皆さん、ごきげんよう。人気ゲームライターのどす恋まん花です。
本日取り上げるのは、Steamで圧倒的高評価を叩き出している話題作『AETHUS』。太陽系外惑星の地底を舞台にした、Unreal Engine 5の美麗グラフィックスが光るサバイバル・クラフトアドベンチャーです。
実は、まん花はこの作品を2000時間やり込んでいます。文字通り、イーサスの地底に骨を埋める勢いでプレイしてきました。しかし、ストアページの「圧倒的に好評」という文字だけを見て、安易にこの惑星に飛び込むのは少々危険かもしれません。なぜなら、その輝かしい数字の影には、プレイヤーたちの悲鳴とも言える「鋭い不満」が隠されているからです。
今回は、一人の熱狂的なゲーマーとして、そしてデータに基づき冷静に分析するライターとして、本作の「低評価」が指し示す真実に深く切り込んでいきたいと思います。
作品概要

本作は、太陽系外惑星「イーサス」の地底を舞台に、資源採掘と拠点構築を行うSFゲームです。Unreal Engine 5によるリアルな物理挙動ベースの美しいグラフィックで、ディストピアな世界観のストーリーが展開します。
プレイヤーは、採掘レーザーや爆発物を駆使して地底の鉱物資源を収集します。持ち帰った資源は、拠点内の設備で精製・精錬・合成を行うことで新たなアイテムへと加工できるほか、希少な鉱石や宝石を梱包・売却して利益(資金)を得ることも可能です。
集めた資源や資金を使えば、自分だけの拠点をゼロから建築・カスタマイズできます。多彩なパーツや家具、テラフォーミングツールを用いて快適な基地を作り上げ、装備や能力をアップグレードすることで、さらなる未開の深部「新バイオーム」へと探索範囲を広げていきます。
背景には、惑星を支配する巨大企業「ARC」の支配から逃れるという目的があり、過去の遠征隊の謎を追うミステリアスな物語も楽しめます。「採掘、加工、売却、建築、探索」を循環させながら、過酷な地底で富を築くゲームです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | AETHUS |
| 発売日 | 2026年3月6日 |
| 開発元 | Pawsmonaut Games |
| 総レビュー数 | 1,715件 |
| 評価内訳 | 高評価: 1,634 / 低評価: 81 |
| 好評率 | 95% |
| 平均スコア | ★★★★★ (4.8) / 5.0 |
| 日本語対応 | ❌ 未対応 |
| 概要 | AETHUSはローポリ見下ろし風スタイルと奥深く整然としたゲームプレイを併せ持つ、ストーリー進行型のサバイバルゲームです。 未来の地底世界を探索して貴重な資源を発見、採掘拠点を建造し、同時にディストピア的な企業の陰謀を暴きましょう。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作に対する不満の声を分析すると、一つの顕著な傾向が見えてきます。それは、不満の第1位が「ストーリー/テンポ」に関するものであるという点です。全低評価レビューのうち36件が、このカテゴリに集中しています。これは、本作が「自由なオープンワールド・サバイバル」を期待して購入した層に対し、非常にタイトで直線的な体験を強いていることに起因しています。
期待と現実の乖離が生むストレス
多くのプレイヤーが、本作のストアページから『Subnautica』や『The Planet Crafter』のような、自由な探索と発展のループを期待していました。しかし、実際に蓋を開けてみると、そこにあるのは「おつかい」の連続です。特定の場所へ行き、特定の資源を拾い、拠点へ戻って特定のアイテムを作り、次のエリアへの「鍵」をアンロックする……。この繰り返しの構造が、探索の喜びを「作業」へと変質させてしまっているのです。
特に、拠点建設が「地上の特定エリア」に限定されている点は、多くのサバイバルファンにとって致命的な失望ポイントとなりました。地底探索がメインのゲームでありながら、最深部からいちいち地上まで戻らされるテンポの悪さは、プレイヤーが本来味わうべき「未知への没入感」を著しく阻害する要因となっています。まさに、自分の人生の半分をこのゲームに捧げてきた私ですら、初期の往復作業には眉をひそめたものです。
構造的な欠陥:リニアな物語の重圧
また、ディストピア的な物語を重視するあまり、プレイヤーの主体性が奪われているという指摘も無視できません。常にドローンが「次に何をすべきか」を喋り続け、手取り足取り指示を出すスタイルは、人によっては「過保護すぎて息苦しい」と感じるでしょう。自由を求めて超巨大企業ARCから逃げ出したはずなのに、ゲームシステムという名の別の見えない鎖に繋がれているような感覚。これが、テンポの悪さと相まって、プレイヤーの不満を増幅させているのです。
(プレイ時間: 16時間)
“Despite being ex-AAA, which he is keen to remind you, has not capitalised on the lack of constraint to make something creative and has instead managed to make something that is guilty of all the sins that are associated with the modern AAA game. Two dimensional characters, overly sarcastic attempts at humour, overt handholding, fourth wall breaking.”
(開発者が元AAAタイトルのスタッフであることを鼻にかけているが、制約のなさを活かしてクリエイティブなものを作るどころか、現代のAAAゲームに共通するすべての罪を犯している。平面的なキャラクター、過剰に皮肉めいたユーモア、露骨な手取り足取りの指示、そして第四の壁を破るような演出だ。)
自由な探索の裏側に、厳格な「おつかい」の鎖が隠されている。
不満の元凶「There」の分析

頻出単語ランキングを見ると、最も多く現れるのが「There」という単語です(55回)。一見、何でもない代名詞に思えますが、低評価レビューの中での使われ方を紐解くと、このゲームが抱える「欠落」と「強制」が見事に浮き彫りになります。
「そこに何がないのか」という不在の証明
「There is no map(地図がない)」「There is no free mouse-look(自由な視点移動がない)」「There is no freedom(自由がない)」。このように、プレイヤーが当たり前にあると信じていた機能が「存在しない」ことへの抗議として「There」が多用されています。特にカメラ操作に関しては、Unreal Engine 5による美しい世界を堪能したいプレイヤーにとって、大きな障壁となっています。
本作のカメラは「見下ろし型」に近い制限された角度に固定されており、マウスホイールを押し込み続けなければ周囲を見渡せません。これが長時間のプレイにおいて、物理的な疲労を誘発します。どす恋まん花も、この画面を親の顔より見続けてきましたが、カメラ操作との格闘がゲーム内容そのものよりも困難であると感じる瞬間が多々ありました。
「そこへ行け」という強制のメカニズム
一方で、「There」は「Go there(そこへ行け)」という命令形の中にも頻出します。ゲームデザインが非常に直線的であるため、プレイヤーは常に「そこ」という特定の地点へ向かうことを強要されます。自分の意思で発見した場所ではなく、ゲームに「そこへ行け」と言われた場所へ向かうだけの移動。これが、本来ワクワクするはずの「惑星探索」を、単なる「目的地への行軍」に格下げしてしまっているのです。
操作性の悪さと、明確な目的地の強制。この二つが組み合わさった時、プレイヤーは「自分がゲームを遊んでいる」のではなく「ゲームに遊ばされている」という感覚に陥ります。この「There」の多さは、プレイヤーが自身のコントロール権を奪われたことに対する、無意識の叫びなのかもしれません。
(プレイ時間: 3時間)
“im always having to readjust the camera view. too bad we cant lock camera view to always looking forward, and control left and right movement with mouse direction control, like a lot of games like this are put together. it just seems like im spending too much time fighting the camera view, and movement to actual enjoy the game.”
(常にカメラを調整し続けなければならない。他の多くのゲームのように、カメラを常に前方に固定し、マウスで左右の移動をコントロールできるようにしてくれればよかったのに。ゲームを楽しむことよりも、カメラ操作や移動と戦っている時間の方が長すぎる気がする。)
操作性の不自由さと「やらされ感」が、没入感を粉々に打ち砕く。
ユーザーが直面する現実

では、実際にプレイを始めるとどのような「理不尽」が待ち受けているのでしょうか。どす恋まん花が、指紋がなくなるほどコントローラー(あるいはマウス)を握りしめて体験した、イーサスの過酷な日常をリアルに描写してみましょう。
虚無の往復路と物理演算の罠
あなたは今、地底深くで貴重なゴールドを発見しました。バックパックはパンパンです。ここから地上拠点へ戻るには、入り組んだ洞窟を抜け、何度も通った「ショートカット」という名の長い道を行かねばなりません。キャラクターの歩行速度は驚くほど遅く、ダッシュゲージはすぐに尽きます。背後ではドローンが、もう聞き飽きたジョークを飛ばしています。
やっと拠点に着き、資源を精錬機に放り込みます。しかし、ここで愕然とするはずです。つい先ほどまで100クレジットだったレシピが、なぜか「110クレジット」に値上がりしているのです。ゲーム後半、唐突に導入される「物価上昇」という名のコスト増。これは、単にプレイ時間を引き延ばすためだけの、あまりにも安直で理不尽なハードルと言わざるを得ません。
また、物理挙動を売りにしている本作ですが、その挙動が牙を剥くこともあります。採掘した資源がバラバラに飛び散り、それを一つずつテザービームで吸い寄せる時間は、まさに「散らばった小銭を拾い集める」ような侘しさがあります。さらに、段差での落下ダメージ判定が非常にシビアで、足首ほどの高さから降りただけでヘルスが削られる様は、SFスーツを着た超人とは思えない脆弱さです。
孤独な戦いとハラスメントの影
さらに、ゲーム外のコミュニティでも不穏な動きが見られます。あるレビュアーが指摘している通り、低評価を付けたユーザーに対し、開発者や熱狂的なファン(信者)が攻撃的な反応を示すケースが報告されています。開発者が「個人開発者であることを盾に、レビューの変更を迫る」ような言動をとったという証言もあり、これが事実であれば非常に残念なことです。
ゲームは確かに美しい。しかし、その美しさの裏には、単調な作業の繰り返し、不可解なコスト増、そして批判を許さないコミュニティの空気といった、ある種の「毒」が潜んでいます。プレイヤーはこの毒を、Unreal Engine 5の輝かしいエフェクト越しに飲み込まされ続けることになるのです。
(プレイ時間: 7時間)
“Artificial slowness. It’s a slog. … Together, these things result in a bottleneck, and that bottleneck is WALKING. Worse yet, walking over the same location again and again. … Infuriating. Maybe it gets better later, but from my in-game experience nothing creates this expectation.”
(人為的な遅さ。ただの苦行だ。……これらすべてがボトルネックを生み出し、そのボトルネックの正体は「歩行」だ。さらに悪いことに、同じ場所を何度も何度も歩かされる。……腹立たしい。後で良くなるのかもしれないが、今までの経験上、そう思わせてくれる要素は何もない。)
「歩行」という名の苦行が、プレイヤーの精神をじわじわと削り取る。
それでも支持される理由

ここまで手厳しく不満点を挙げてきましたが、本作の好評率が95%という驚異的な数字を維持しているのもまた、揺るぎない事実です。私の網膜がイーサスの発光植物の光で焼き付くほどプレイした結果、このゲームが持つ「抗いがたい魔力」についても触れないわけにはいきません。
圧倒的なビジュアルと環境構築の妙
まず、グラフィックスの完成度は、個人開発という枠を完全に超えています。暗く湿った地底に差し込むレーザーの光、鉱石が弾ける火花、未知のバイオームが放つ幻想的な色彩。これらは、視覚的な報酬として非常に強力に機能しており、歩行の遅さに文句を言いながらも、次の景色を見るために足を動かしてしまう中毒性があります。
また、本作のストーリー(ナラティブ)は、一部の批判はあるものの、ハマる人にはとことんハマる「味」があります。英国的な皮肉と、メガコーポARCの冷酷な支配。このディストピアな設定は、単なるサバイバルゲームに「意味」を与えています。自分がなぜ掘るのか、なぜ生き延びるのか。その動機付けが物語と密接にリンクしているため、指示待ちプレイを好む層にとっては、むしろ「次に何をすればいいか明確で遊びやすい」というメリットに反転するのです。
「手間」を「価値」に変換する設計
さらに、多くのプレイヤーが不満として挙げた「手間」こそが、サバイバルゲームの醍醐味であると捉える層も確実に存在します。自動化が制限されているからこそ、自分の手で資源を運び、拠点を少しずつ拡張していく過程に「達成感」を見出すのです。これは、かつての『Subnautica』がそうであったように、不便さがあるからこそ、それを克服した時の喜びが大きくなるという設計思想です。
開発者のPawsmonaut Gamesが、ユーザーのフィードバックを極めて迅速に反映し、パッチを連発している姿勢も高く評価されています。バランス調整によって「苦行」の一部は緩和されつつあり、この「未完成ながらも進化し続ける姿」を応援したいというファン心理が、高評価を支える大きな柱となっているのは間違いありません。
欠点さえも「愛着」に変えてしまう、不思議な魅力と熱量がそこにはある。
最終評価と購入ガイド
結論として、どす恋まん花はこの『AETHUS』をどう評価するか。
私の血液がイーサスの液体資源に入れ替わってしまうほどやり込んだ末に出した答えは、「人を選ぶ神ゲー」です。万人に勧められる作品ではありませんが、特定の癖(へき)を持つゲーマーにとっては、一生ものの体験になり得るポテンシャルを秘めています。
このゲームは、効率を求める「作業効率化シミュレーター」ではなく、過酷な環境での孤独な歩みを楽しむ「体験型SF小説」に近い立ち位置にあります。操作性の悪さやテンポの停滞を「惑星の過酷さ」として受け入れられるか、あるいは「開発上の欠陥」として切り捨てるか。その境界線が、あなたの評価を決めます。
購入を迷っている方は、以下のチェックリストで自分の適性を確認してみてください。
✅ 購入をお勧めする人
- Unreal Engine 5による最高峰のSF景観を、自分の足で歩き回りたい人。
- 皮肉の効いたストーリーと、丁寧なボイス演出に没入したい物語重視のプレイヤー。
- あえて「不便さ」を楽しみ、少しずつ世界を解き明かすスローテンポな進行が好きな人。
❎ 購入を避けるべき人
- 『Satisfactory』のような、大規模な自動化や効率的な拠点構築を期待している人。
- 自由度の高いオープンワールドで、誰にも邪魔されずに探索したい自由人。
- カメラ操作や歩行速度、リピート作業に対して極端に耐性が低い(または時間がない)人。
さて、まん花はそろそろイーサスの地底へ戻らねばなりません。次のアップデートで、このカメラが私の眼球と完全にシンクロすることを願いつつ。
それでは、また次のレビューでお会いしましょう。ごきげんよう。
執筆:どす恋まん花
