こんにちは、ゲームの海で溺れ、電子の荒野を彷徨うライター、どす恋まん花(どすこいまんか)です。
皆さんは「空に浮かぶ都市」という響きに、どのようなロマンを抱きますか? 私はかつて、あの名作アニメ映画に登場するラピュタを夢想し、雲の合間から覗く文明の残滓に胸を熱くした一人です。そんな全人類共通の「空への憧憬」を形にした前作『Airborne Kingdom』の続編として登場したのが、今回ご紹介する『空の帝国 Airborne Empire』です。
正直に告白しましょう。まん花は、この『空の帝国 Airborne Empire』というタイトルに、2000時間という膨大な時間を捧げました。もはや私の眼球には、常に揚力と推進力のゲージが焼き付いていると言っても過言ではありません。しかし、愛しているからこそ、時には厳しく向き合わなければならない現実があります。
現在、この作品には期待の裏返しとも言える「低評価」の声が少なからず寄せられています。なぜ、多くのプレイヤーが空へと飛び立ち、そして失意のうちに地上へと墜落していったのか。今回は提供されたデータを徹底的に分析し、一人の廃人ゲーマーとしての熱量を込めつつ、本作の真の姿を浮き彫りにしていきたいと思います。
作品概要

『空の帝国 Airborne Empire』は、前作のコンセプトを正当進化させ、空中に浮かぶ自分だけの都市を建設・管理しながら、広大なオープンワールドを探索するRPG要素の強い都市建設シミュレーションです。
本作の最大の特徴は、単なる街づくりにとどまらない「物理演算との戦い」にあります。建物を建てれば重量が増し、バランスが崩れれば都市は傾きます。常に「揚力・バランス・推進力」の3要素を最適化し続けなければ、あなたの帝国は一瞬にして雲海へと消えてしまうでしょう。
ゲームプレイの柱は大きく分けて以下の3点です。
- 都市建設と物理管理: 住居や工場、研究施設を配置し、住民のニーズ(食事、医療、娯楽)を満たしながら、都市を巨大化させていきます。
- 広大な世界の探索: 5つの多様なバイオーム(エアリエ、ブラックスパイン、キングスフェルなど)を旅し、失われた技術や資源、そして個性豊かなキャラクターたちとの出会いを楽しみます。
- 空賊との戦闘: 今作からの新要素として、都市を直接狙う「空賊」が登場。防衛施設を構築し、テスラコイルや大砲を駆使して都市を守り抜く「空中戦艦」としての側面も強化されました。
まさに「夢の空中生活」を詰め込んだ本作ですが、その裏側にはプレイした者だけが知る、苦い現実が隠されていました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | 空の帝国 Airborne Empire |
| 発売日 | 2026年4月17日 |
| 開発元 | The Wandering Band LLC |
| 総レビュー数 | 731件 |
| 評価内訳 | 高評価: 658 / 低評価: 73 |
| 好評率 | 90% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.5) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | 空に浮かぶ都市を建築し、広大なオープンワールドを旅するRPG。 揚力、バランス、資源管理、そして空賊との戦闘。夢の空中都市建設が楽しめる一作。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

さて、ここからは本題に入りましょう。好評率90%という数字だけを見れば「神ゲー」に見えますが、残りの10%の低評価レビューには、本作が抱える構造的な欠陥が凝縮されています。
不満カテゴリの内訳データを見ると、最も多いのが「操作性/戦闘(13件)」、次いで「バグ/最適化(11件)」と「ストーリー/テンポ(11件)」が並んでいます。この結果は、人生の半分を捧げたまん花から見ても、非常に納得のいくものです。
特に深刻なのは「戦闘」の追加です。前作は穏やかな探索とパズル的な街づくりが魅力でしたが、今作では「空賊」という明確な敵が登場します。しかし、この戦闘システムが驚くほどに「洗練されていない」のです。
都市という巨大な構造物を動かしながら、敵の攻撃を避ける。これ自体は面白い試みですが、実際には「都市を傾けて回避する」操作が非常に重苦しく、カメラワークも追いつきません。結果として、戦略的な空中戦というよりは、理不尽な被弾に耐えながら修理を繰り返す「モグラ叩き」のような作業になってしまっています。
(プレイ時間: 36時間) In a word, disappointing. It has none of the class and flair of Airborne Kingdom. The map is cartoonish and plain rather than the incredible stylized map of Kingdom. The combat is… present. it’s a bit clunky, but it works.
(一言で言えば、期待外れです。Airborne Kingdomにあったような気品やセンスが全くありません。マップは前作の素晴らしい様式美を感じるものではなく、漫画的で平凡なものになっています。戦闘は……一応ありますが、少しぎこちなく、とりあえず動いているというレベルです。)
このレビューが指摘するように、戦闘が追加されたことで、ゲームのテンポが大きく損なわれています。「平和な空中散歩」を期待した層にとって、空賊の襲撃は単なるストレスの源でしかないのです。開発側はゲーム性を広げようとしたのでしょうが、結果として既存のファンが愛した「静寂の美学」を破壊してしまった側面は否定できません。
また、戦闘中のUIの不親切さも不満に拍車をかけています。どの建物が火を噴いているのか、誰が負傷したのか、それらを把握して対処するインターフェースが脆弱なため、操作の忙しさが「楽しさ」ではなく「煩わしさ」に直結しています。
新要素の「戦闘」が、本作最大の魅力であった「癒やし」を食いつぶしている。
戦闘システムの迷走
戦闘における最大の不満点は、「自由度の低下」にあります。都市を防衛するために、特定の場所に武器を配置しなければならない。しかし、それは「自分だけの美しい都市を作る」というクリエイティブな欲求と真っ向から衝突します。
効率を求めれば、都市の形状は必然的に「戦艦」のような武骨なものにならざるを得ません。ファンタジックな空中庭園を作ろうとすれば、空賊の餌食になる。このジレンマが、多くの都市建設愛好家たちの心を折っているのです。
ストーリーの劣化とテンポの悪さ
次に注目すべきは、ストーリーとテンポへの不満です。前作の神秘的で叙事詩的な雰囲気は影を潜め、今作では動物(鳥)のキャラクターが中心の、どこか「どこかで見たような汎用的なファンタジー」へと変貌してしまいました。
これが単なる好みの問題であれば良いのですが、クエストの内容が「A地点からB地点へ物資を運ぶ」といった、いわゆる「おつかい」の繰り返しである点も、プレイヤーの飽きを早めています。空を飛ぶ快感も、同じような景色のバイオームで同じような作業を繰り返すうちに、次第に薄れていってしまうのです。
不満の元凶「City」の分析

頻出単語ランキングを見ると、圧倒的な1位は「City(30回)」でした。都市建設ゲームなのだから当然だと思うかもしれませんが、その使われ方を深掘りすると、プレイヤーの悲痛な叫びが見えてきます。
親の顔より見た画面の中で、まん花も何度も直面した問題。それは「都市(City)を維持することの苦痛」です。
本作では、建物を1つ建てるたびに都市のバランスが変わります。左側に家を建てれば、右側に重しを置くか、揚力ファンを増設しなければなりません。この「揚力とバランスのパズル」は序盤こそ刺激的ですが、都市が大きくなるにつれ、単なる「計算の押し付け」へと変質します。
特にプレイヤーを激怒させているのが「スカイドック(Skydock)」の仕様です。都市のレイアウトを変更するには、特定の場所にあるドックに停泊しなければなりません。しかも、建物を動かすには足場(パス)が繋がっている必要があり、大規模なリフォームを行おうとすると、パズルの難易度が跳ね上がり、膨大な時間を浪費することになります。
(プレイ時間: 5時間) The “skydock” feature is also a huge issue because you cannot just pull off buildings and remake layout to improve efficiency, which is the purpose it exists for. No, instead you have to put in paths just to move buildings so you can change lay out, none of that makes any sense.
(「スカイドック」機能も大きな問題です。効率を高めるために建物を外して配置をやり直すことができないからです。それどころか、配置を変えるためだけにわざわざ通路を通さなければならず、全く意味がわかりません。)
この仕様により、プレイヤーは「試行錯誤」という楽しさを奪われ、「失敗できない建築」というプレッシャーを常に背負わされることになります。
指紋がなくなるほどコントローラーやマウスを操作しても、思うように都市が形作れないもどかしさ。特に、新しい研究を完了して施設をアップグレードする際、そのサイズが変わることで都市全体のバランスが崩壊する瞬間の絶望感は、筆舌に尽くしがたいものがあります。
多くのレビューで「City」という単語がネガティブな文脈で使われているのは、都市が「自分の誇り」ではなく、「手のかかる、重苦しいお荷物」になってしまっているからです。本来、成長は喜びであるはずですが、本作における都市の拡大は、リソース管理の煩雑さと物理計算のストレスを増幅させる「呪い」のような側面を持っています。
都市が大きくなればなるほど、自由が奪われ、管理という名の鎖に縛られていく。
リソース管理の矛盾
「City」を維持するためのリソース(石炭や食料)についても、奇妙なバランスの悪さが指摘されています。地上には資源が溢れており、わざわざ都市の中に生産施設を作るインセンティブが低いのです。
「自給自足の空飛ぶ帝国」を築きたいプレイヤーにとって、結局は地上から資源を吸い上げ続けるだけの「略奪的な生活」を強いられるのは、コンセプトとの乖離を感じさせるポイントでしょう。
住民管理の希薄化
さらに、都市に住む「住民」との関わりも、前作に比べて味気なくなっています。住民の満足度システムが簡略化され、かつての「生活感」が失われました。彼らはもはや都市の構成員ではなく、ただ「人口」という数字を満たすためのパーツに成り下がってしまった印象を受けます。
ユーザーが直面する現実

では、実際にプレイした際にどのような「地獄」が待っているのか。具体的にシミュレーションしてみましょう。
魂をデジタルデータに変換して注ぎ込んだまん花が体験した、ある日の光景です。
あなたは優雅に空を旅しています。画面には美しい雲海が広がり、BGMは心地よく耳を撫でます。しかし、突如として警報が鳴り響きます。「空賊接近!」。
慌てて戦闘配置につこうとしますが、ここで本作の「最適化不足」が牙を剥きます。画面に敵の気球が現れた瞬間、フレームレートがガクンと落ち、4090を積んだモンスターマシンですら悲鳴を上げ始めます。
カクつく画面の中で、敵の砲弾があなたの愛する都市に着弾。建物が火を噴きます。修理を命じようとクリックしますが、UIの反応が鈍い。その間にも、空賊は執拗にあなたの「揚力ファン」を狙ってきます。
ファンが破壊されれば、都市は急速に傾きます。住民が空へと放り出され、医療施設も機能停止。ここであなたは気づくのです。修理に必要な「木材」が足りないことに。
(プレイ時間: 1時間) Pirates attack every couple of hours, like just a nonstop stream of pirates that never left me alone. This caused even more workers to get injured as the pirates shot down buildings. Then after all that, when I built my clinic, it immediately burst into flame and started burning. Thats when I decided to refund this game.
(空賊が数時間おきに襲ってきて、絶え間ない攻撃に晒されます。建物が撃ち落とされることで、さらに多くの労働者が負傷します。ようやくクリニックを建てたと思ったら、即座に炎上して燃え始めました。その瞬間、私は返金(リファンド)を決めました。)
これが、多くの「即返金」プレイヤーが直面した現実です。チュートリアルは不親切で、問題が発生した後にようやく「こうすれば防げたよ」というメッセージが出る始末。プレイヤーは「学習」する前に「破滅」を突きつけられるのです。
三食昼寝の時間を削り、キーボードの刻印が消えるまでプレイした私のような廃人であれば、この理不尽さすら「仕様」として受け入れ、数手先を読んだリソース管理で切り抜けることも可能でしょう。しかし、一般的なゲーマーにとって、この体験は「難易度の高さ」ではなく「調整不足による不快感」として記憶されます。
さらに、後半になるほど「おつかいクエスト」の移動距離が伸び、ひたすら虚空を見つめる「待ち時間」が増えていきます。この「虚無の時間」と「理不尽な戦闘」のループが、多くの志半ばの皇帝たちを地上へと追い返したのです。
「空飛ぶ都市」という魔法のメッキが剥がれ落ち、露呈するのは過酷な作業の連続である。
技術的な障壁
低評価レビューの中で無視できないのが、動作の不安定さです。特にSteam Deckなどの携帯機での動作は絶望的であり、起動すらしないという報告も散見されます。ハイエンドPCであっても、都市が巨大化し、戦闘エフェクトが重なるとパフォーマンスが劇的に低下します。この「最適化の甘さ」が、ゲーム体験の質を根底から損なわせているのは間違いありません。
期待とのギャップ
前作『Airborne Kingdom』の熱狂的なファンほど、今作への失望が大きい傾向にあります。それは、本作が「正当な進化」ではなく、全く別の、そしてやや「大衆に迎合しすぎた」方向へ舵を切ってしまったと感じるからです。神秘的なアラビアン・スチームパンクの雰囲気は消え、代わりに提示されたのが、どこか幼さを感じさせる動物たちの世界観であったことは、多くのファンにとって「裏切り」に近い衝撃でした。
それでも支持される理由

ここまで厳しい意見を連ねてきましたが、それでも本作には無視できない「輝き」があるのも事実です。でなければ、眼球がモニターのブルーライトで結晶化するほど私がプレイし続けるはずがありません。
低評価を投じた人たちでさえ、口を揃えて言うのが「ビジュアルと雰囲気の良さ」です。
空に浮かぶ都市が夕陽に照らされ、地上の灯りが点々と見え始める瞬間。その美しさは、他のどの都市建設ゲームでも味わえません。ジブリ映画のワンシーンに飛び込んだかのような没入感は、今なお本作の最大の武器です。
また、今作で追加された「戦闘」要素も、バランス調整が進めば「空飛ぶ要塞」を構築するという、男の子(そして女の子も!)の夢を叶える素晴らしいスパイスになり得ます。テスラコイルから放たれる電撃が敵を撃ち落とす快感、そして巨大な戦艦へと進化した自らの都市を見下ろす悦びは、確かに存在するのです。
「粗削りだが、唯一無二のコンセプト」を愛せる人にとって、本作はまだ見ぬ可能性に満ちた宝箱のように映るでしょう。
高評価レビューの中には、「前作で物足りなかった要素が補完された」「日本語訳の質が高く、没入できる」といった声も多く見られます。開発チームは小規模ながらもアップデートに意欲的であり、リリース直後に指摘されたバグやバランスの悪さも、少しずつ改善されつつあります。
このゲームは、完成された「神ゲー」を求める人には毒かもしれませんが、未完成の「夢」を一緒に育てたいという熱量を持つプレイヤーには、これ以上ない遊び場を提供してくれるはずです。
欠点という名の雲に覆われていても、その上には常に美しい青空が広がっている。
最終評価と購入ガイド
さて、そろそろ結論を出しましょう。
『空の帝国 Airborne Empire』は、「万人向けの良作」ではありません。しかし、「特定の層を狂わせる魅力を持った、じゃじゃ馬な一作」です。
もしあなたが、完璧に磨き上げられたシミュレーションゲームを求めているなら、今はまだ「待ち」の姿勢が正解かもしれません。しかし、もしあなたが「不便さも含めて、空飛ぶ都市というロマンと心中したい」と願うなら、今すぐ雲の上へと飛び出すべきです。
どす恋まん花は、このゲームを愛しています。たとえ2001時間目にデータが壊れるバグに見舞われたとしても、きっと私はまた、最初から都市を組み上げ始めるでしょう。なぜなら、この空の美しさを知ってしまったから。
最後に、購入を迷っている方へのチェックリストを置いておきます。あなたの選択が、素晴らしい空の旅に繋がることを願って。
✅ 購入をお勧めする人
- 「ラピュタ」や「ハウルの動く城」のような世界観で街作りをしたい人
- 物理法則(重力やバランス)を考慮した、一癖あるパズル的建築を楽しめる人
- 開発中のゲームを応援し、共に成長を楽しめるアーリーアクセス耐性がある人
❎ 購入を避けるべき人
- ストレスのない、純粋にリラックスできる「癒やし系」街作りを求めている人
- 「おつかい」中心のクエスト構成や、単調な繰り返し作業に耐えられない人
- フレームレートの低下やUIの不備など、技術的な未完成さを許容できない人
執筆:どす恋まん花
