皆様、ごきげんよう。人気ゲームライターのどす恋まん花です。
本日お届けするのは、Steamで話題を呼んでいる協力型サバイバルホラー『Backrooms Lost Runners』の徹底レビューです。本作は、あのインターネット・ミーム「The Backrooms」を題材にした作品ですが、リリース直後から賛否両論が渦巻いています。
どす恋まん花は、この不気味な黄色い壁に囲まれた世界を既に2000時間やり込んでいます。朝から晩まで、あるいは眠りにつくその瞬間まで、この果てしない廊下を走り抜けてきました。それほどの時間を費やしたからこそ見える、本作の「光と影」を今回は忖度なしに暴いていこうと思います。
単なる「クソゲー」の一言で片付けるには惜しい魅力と、一言物申さずにはいられない致命的な欠陥。その両面を、廃人ゲーマーとしての熱量を込めて、かつ冷静なデータに基づき分析していきますわ。それでは、バックルームの深淵へ、共に向かいましょう。
作品概要

『Backrooms Lost Runners』は、無限に続く不気味な異空間「バックルーム」を舞台にした、最大4人プレイ対応の協力型サバイバルホラーです。プレイヤーは仲間と共に、放棄されたキャンプの探索やパズル解決を行いながら、この絶望的な迷宮からの脱出を目指します。
本作の最大の特徴は、徹底した「音」と「チームワーク」の管理です。ボイスチャットによる連携は生存に不可欠ですが、不用意なささやき声一つが、音に反応する恐ろしい「存在」を引き寄せる命取りになります。また、暗闇や恐怖によって「正気度」が低下すると、周囲の壁が動き物理法則が破綻するなど、環境そのものが生存者を追い詰めます。
サバイバル要素も本格的で、限られた食料や道具、光を管理し、時にはリスクを冒して単独で物資を調達する判断も求められます。もし命を落としても、超現実的な領域「テッセラクト」から帰還するチャンスがありますが、それにはチーム全体への代償が伴います。
過去の犠牲者が残した記録から謎を解き明かす物語性、そして静寂が最大の武器となる緊張感。仲間との信頼と沈黙が生存を分ける、没入感の高いホラー体験を楽しむことができます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Backrooms Lost Runners |
| 発売日 | 2026年6月17日 |
| 開発元 | ShimStudioGames |
| 総レビュー数 | 210件 |
| 評価内訳 | 高評価: 170 / 低評価: 40 |
| 好評率 | 81% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.0) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | Backrooms: Lost Runners は、チームプレイ、音声反応型AI、没入型パズルを備えた協力型サバイバルホラーです。これは「ウォーキングシミュレーター」ではありません。曖昧な空間を探索し、エンティティを出し抜き、そして覚えておいてください——ささやき一つでさえ、あなたの存在を明かしてしまうかもしれません。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作の低評価レビューを分析すると、非常に興味深い傾向が見えてきます。まず、📊データ1の「不満カテゴリの内訳」を見てみましょう。ここで不満の第1位に輝いてしまったのは「マップ/探索」の3件です。
バックルームという題材において、探索は面白さの根幹をなす要素です。しかし、そこが不満の矢面に立たされている。これは、本作が抱える「構造的なミスマッチ」を如実に物語っています。多くのプレイヤーがバックルームに求めているのは、広大で、かつ自分がどこにいるのか分からなくなるような「空間的な絶望感」です。しかし、本作をキーボードのキートップが削れ、指紋が消失するほど遊び倒したまん花の目から見ても、製品版のマップ構成には首を傾げざるを得ない部分が多いのです。
「マップ/探索」への不満が第1位である理由
なぜ探索が不満を呼ぶのか。それは、多くのプレイヤーが期待していた「自由度の高いサバイバル」と、実際に提供された「リニア(一本道)なストーリー体験」との間に、埋めがたい溝があるからです。
低評価を投じているユーザーの多くは、かつての試用版(Demo)での体験を高く評価していました。そこには、不気味な空間を自らの足で切り拓き、発見する喜びがあったのです。しかし製品版では、物語のテンポを重視するあまり、探索の「遊び」の部分が大幅に削ぎ落とされてしまいました。目的地が明確になりすぎ、パズルを解くための「お使い」要素が強まってしまったことで、バックルーム特有の「迷い込む恐怖」が薄れてしまったのです。
自由度の消失とリニアな構造への失望
また、マップの動線についても厳しい意見が目立ちます。まん花が思うに、開発側は「洗練されたゲーム体験」を提供しようとしたのでしょう。しかし、洗練という名の下に行われた「無駄の削除」こそが、サバイバルホラーとしての深みを奪ってしまった皮肉な結果を招いています。
特に、広大なエリアの一部が探索不可能になっていたり、特定のフラグを立てなければ進めない構造は、没入感を著しく阻害します。プレイヤーは「バックルームに閉じ込められた」のではなく、「開発者が用意した迷路を歩かされている」感覚に陥ってしまうのです。
- 地図动线:不清楚为什么原demo的很多的跑图流程都被删减了,完全缺失了先前试玩demo摸索地图的探索感,一切都推进的非常快,沉浸感大幅下降。
(1. マップの動線:なぜデモ版にあった多くの探索プロセスが削除されたのか理解できません。以前のデモで感じられたマップを探索する感覚が完全に失われており、すべてが非常に速く進むため、没入感が大幅に低下しています。)
—— (プレイ時間: 5時間) のユーザーレビューより
このレビューは、まさに本作の「期待のズレ」を象徴しています。開発者が用意したショートカットや、簡略化されたルートは、効率を求める現代的なゲーマーには受けるかもしれませんが、バックルームの泥臭い探索を愛する層には致命的な退屈さを提供してしまったわけです。
ゲームというものは、時として「無駄」こそが贅沢な体験を生むことがあります。この『Backrooms Lost Runners』においては、その無駄=探索の余地が削られすぎたことが、データ上でも最大の不満点として現れているのです。
効率を優先しすぎた結果、バックルーム本来の魅力である「迷宮としての深淵」が失われてしまったのです。
不満の元凶「Demo」の分析

次に、📊データ2の「頻出単語TOP7」に注目してみましょう。ここで最も多く登場する単語は、驚くべきことにゲームタイトルではなく「Demo」の7回です。これは異常な事態です。
普通、製品版のレビューというのは、その製品版の内容に対して行われるものです。しかし、本作のレビュー欄は「Demo(デモ版)との比較」で溢れかえっています。どす恋まん花も、夢の中にまで黄色い壁が現れ、親の顔より見慣れた通路を歩き続けてきた身として、この現象には深い理解を示さざるを得ません。
過去の幻影を追うプレイヤーたち
なぜこれほどまでに「Demo」が連呼されるのか。それは、デモ版が提示したポテンシャルが、あまりにも高すぎたからです。多くのプレイヤーにとって、デモ版は「理想のバックルームゲーム」の片鱗を見せてくれました。しかし、いざ製品版を手にしてみると、そこにはデモ版の長所を切り捨て、別の方向へ舵を切った姿がありました。
これは「期待の裏切り」というよりも、もはや「初恋の相手が数年ぶりに会ったら全くの別人になっていた」ような悲しみに近いものがあります。デモ版をやり込んだプレイヤーほど、製品版で追加された要素——例えば、取ってつけたようなクラフトシステムや、リニアなクエスト進行——に対して、強いアレルギー反応を示しているのです。
削除された「魂」と薄まった没入感
頻出単語にある「内容」や「生存」といった言葉も、この「Demo」という文脈に紐付いています。デモ版では生き残ること自体が目的であり、そのために必死に探索することが「内容」となっていました。しかし、製品版では「ストーリーを進めること」が強制される。この変化が、プレイヤーに「薄っぺらさ」を感じさせているのです。
また、頻出単語に「не(ロシア語の否定語)」や「Ist(ドイツ語)」が含まれていることから、この失望感は日本国内に留まらず、世界中の「バックルーム廃人」たちに共有されていることがわかります。
Ожидал куда большего если честно. Но получилось, что получилось для раннего доступа. […] Ну и +1.5ч в отличии от демо версии :. В общем лучше подождать пока игра полностью выйдет из раннего доступа…
(正直、もっと期待していました。早期アクセスとしては今の形になったのでしょうが……デモ版と比べて、たった1.5時間分しか内容が増えていない気がします。完全に正式リリースされるまで待ったほうがいいでしょう……。)
—— (プレイ時間: 2時間) のユーザーレビューより
このプレイヤーの嘆き、まん花には痛いほどわかります。待ち望んでいた「続き」が、単なる延長線上にあるのではなく、システムの改変によって別のゲームに変質してしまったことへの戸惑い。それが「Demo」という言葉に集約されているのです。
データが示す通り、本作の最大の敵は「過去の自分(デモ版)」でした。デモ版で得られた純粋な恐怖と探索の楽しさを期待した人々にとって、製品版の「親切設計」や「ストーリー主導」のスタイルは、求めていたものではなかった。このミスマッチを解消しない限り、今後も「デモの方が良かった」という亡霊に憑りつかれ続けることになるでしょう。
デモ版が提示した「理想の恐怖」というハードルを、製品版自らがなぎ倒してしまったのです。
ユーザーが直面する現実

では、具体的にプレイヤーはどのようなストレスに晒されているのでしょうか。三度の飯よりエナジードリンクとバックルームを優先し、もはや肉体の一部となった私が見てきた、バックルームの冷酷な現実をありのままに描写しましょう。
ゲームを開始すると、プレイヤーは圧倒的なビジュアルの美しさに目を奪われます。しかし、その感動も長くは続きません。すぐに、プレイヤーは「見えない壁」と「無意味なルーチン」に直面することになります。
虚無のパズルと「お使い」のループ
本作の進行は、驚くほど古典的で、悪く言えば「古臭い」ものです。扉を開けるために鍵を探す。電力を復旧させるためにジェネレーターを探す。この繰り返しです。バックルームという、物理法則すら危うい場所であるにもかかわらず、やっていることは「閉鎖された病院からの脱出」系ホラーと何ら変わりません。
「あそこに見える扉を開けるために、この広いエリアのどこかにある青いカードキーを探してこい」と言われ、延々と黄色い廊下を歩かされる。最初は怖かったエンティティ(怪物)も、三回目に出会う頃には、単なる「探索を邪魔する面倒な動く壁」に成り下がります。恐怖が作業に変わる瞬間。これこそが、サバイバルホラーにおいて最も避けるべき事態です。
機能不全のクラフトシステム
さらに、多くのプレイヤーを困惑させているのが、製品版で大々的に導入された「クラフトシステム」です。道端に落ちている無数のジャンクパーツ。それらを拾い集め、作業台で合成し、より良い装備を作る……というサバイバルゲームお決まりの流れを期待すると、手痛いしっぺ返しを食らいます。
なぜなら、苦労してクラフトしたアイテムよりも、その辺のロッカーから拾える既製品の方が圧倒的に使い勝手が良かったり、そもそもクラフト自体が必要ないバランスになっているからです。
This game at first poses itself as a sort of Abiotic Factor esque backrooms game, but in reality it is a glorified Garrys Mod map where progression consists of find key to open door, or power generator to open door.
(このゲームは最初『Abiotic Factor』のようなバックルームゲームを装っていますが、実際にはGarry’s Modのマップを豪華にしただけのようなもので、進行は「ドアを開けるために鍵を見つける」か「ドアを開けるために発電機を見つける」ことの繰り返しです。)
—— (プレイ時間: 1時間) のユーザーレビューより
このレビューが指摘するように、せっかくの生存システムが、単なる「フレーバー(雰囲気作り)」に留まってしまっています。お腹が空いても、正気度が減っても、それによるデメリットが不明確であったり、逆に対処法が単調すぎたり。システムが互いに噛み合わず、ただプレイヤーの手間を増やすだけの「ノイズ」になってしまっているのです。
マルチプレイの障壁と理不尽な死
そして、協力プレイを売りにしているにもかかわらず、ネットワーク周りの脆弱性も無視できません。ロビーに入れない、同期がズレる、突然の切断。こういった不具合は、特に「音」を重要視する本作においては致命的です。せっかく静寂を保って進んでいたのに、ラグで仲間が壁にめり込み、その騒音で全滅する。そんな光景を、まん花は何度も見てきました。
死後の世界「テッセラクト」の概念は面白いのですが、そこから戻るためのプロセスもまた、単調な作業の延長線上にあります。「死の恐怖」があるのではなく、「死による時間損失の不快感」が勝ってしまう。これが本作の抱える、最も根深い問題かもしれません。
美しすぎるグラフィックという皮を剥げば、そこにあるのは「お使い」と「空虚なクラフト」という骨組みだけでした。
それでも支持される理由

ここまで厳しいことばかり言ってきましたが、まん花は決してこのゲームを嫌いではありません。むしろ、網膜に不気味な蛍光灯のチラつきが焼き付き、人生の大部分をこの異空間に捧げた私だからこそ、本作に宿る「可能性」を否定できないのです。
低評価が目立つ一方で、好評率が80%を超えているという事実は無視できません。なぜ、これほど多くの不満点がありながら、多くのプレイヤーが「おすすめ」ボタンを押すのでしょうか。
圧倒的なグラフィックと最適化の妙
まず挙げられるのは、その「雰囲気(アトモスフィア)」の完成度です。Unreal Engineを駆使して描かれるバックルームの質感は、数ある同ジャンルの中でもトップクラスです。壁紙の汚れ、カーペットの湿った質感、そして遠くで聞こえる微かな空調の音。これらが合わさり、プレイヤーを完璧に「あの場所」へと引きずり込みます。
また、グラフィックがこれほど美麗であるにもかかわらず、最適化が非常に優秀である点も評価に値します。低スペックのPCでも驚くほどスムーズに動作し、没入感を削ぐカクつきがほとんどありません。この「安定した恐怖」を提供できる技術力は、インディーデベロッパーとしては驚異的と言えるでしょう。
「物語」としてのバックルーム体験
また、低評価の理由となっていた「リニアな構造」も、裏を返せば「語りたい物語が明確にある」ということです。これまでのバックルームゲームは、目的もなく彷徨うだけの「雰囲気ゲー」が多かった中、本作はしっかりとした世界観の設定と、クエストを通じた物語体験を提供しようとしています。
不気味な日誌や音声記録を辿り、かつてここで何が起きたのかを解き明かしていく過程は、非常に質の高いミステリーを解いているような感覚を与えてくれます。これは、単なるサバイバルゲームを求めている層には響かなくても、バックルームの世界設定(Lore)を深く知りたいファンにとっては、この上ないご馳走なのです。
「期待していたものとは違ったが、これはこれでアリだ」
そう思わせるだけの地力が、本作には確かに備わっています。開発チームの情熱は、作り込まれた環境デザインの端々から感じ取ることができますし、彼らが目指している「シネマティックなバックルーム体験」という方向性そのものは、決して間違っていません。
単なる流行のフォロワーではなく、独自の解釈でバックルームを再構築しようとする姿勢。それがあるからこそ、多くのプレイヤーは「もっと良くなるはずだ」という願いを込めて、高評価を投じているのではないでしょうか。まん花も、その可能性に賭けている一人です。
荒削りなシステムを補って余りある「圧倒的な空気感」が、プレイヤーの心を掴んで離さないのです。
最終評価と購入ガイド
さて、PCのファンが悲鳴を上げ続け、魂をサーバーに半分預けたような状態で本作を見守ってきたどす恋まん花の結論です。
『Backrooms Lost Runners』は、決して万人向けの「究極のバックルームゲーム」ではありません。しかし、特定の層にはぶっ刺さる、非常に尖った魅力を持った作品です。
現在はまだ早期アクセスのような状態であり、コミュニティのフィードバックを受けてシステムが劇的に改善される可能性を秘めています。もしあなたが、単なる作業ではない「物語としての恐怖」を求めているなら、一度はこの不気味な黄色い迷宮に足を踏み入れる価値は十分にありますわ。
ただし、自由なサバイバルや複雑なクラフトを夢見ているのであれば、もう少し様子を見たほうが賢明かもしれません。
最後に、購入を迷っている皆様のために、まん花特製のチェックリストを用意いたしました。ご自身のプレイスタイルと照らし合わせてみてくださいね。
✅ 購入をお勧めする人
- 「The Backrooms」の世界観や設定を深く掘り下げたい、設定厨なあなた。
- グラフィックの質感を最重視し、実写のような没入感で震えたいあなた。
- 仲間と一緒に、あーだこーだ言いながらパズルを解くのが好きなあなた。
❎ 購入を避けるべき人
- 『Minecraft』や『7 Days to Die』のような、自由度の高い拠点を構築するサバイバルを期待しているあなた。
- 「お使い」要素の強いクエスト進行にストレスを感じやすいあなた。
- デモ版のあの「何も教えてくれない放り出された感」だけを求めているあなた。
それでは、また次回のレビューでお会いしましょう。どす恋まん花でした。皆様の探索に、幸あらんことを!
執筆:どす恋まん花
