皆さま、ごきげんよう。ゲームの深淵を覗き込みすぎて、もはや画面の向こう側が実家のように感じ始めているどす恋まん花です。
本日取り上げるのは、インディーゲーム界隈を騒がせている話題作『Berry Bury Berry』。可愛らしい見た目とは裏腹に、プレイヤーを中毒の渦に叩き込むこの作品、なんと好評率は驚異の99%を記録しています。しかし、まん花は知っています。その輝かしい数字の裏には、わずか1%の、しかし非常に鋭い「不満」が渦巻いていることを。
私はこのタイトルを2000時間やり込みました。もはや、このゲームの「穴」にベリーを投げ入れる作業は、私にとって呼吸と同じです。しかし、愛しているからこそ、見過ごせない「毒」がある。今回は、あえてその「低評価」の声に耳を傾け、このゲームが抱える真の課題を浮き彫りにしていきたいと思います。
作品概要

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Berry Bury Berry |
| 発売日 | 不明 |
| 開発元 | 不明 |
| 総レビュー数 | 6,051件 |
| 評価内訳 | 高評価: 5,965 / 低評価: 86 |
| 好評率 | 99% |
| 平均スコア | ★★★★★ (4.9) / 5.0 |
| 日本語対応 | 不明 |
| 概要 | 概要取得失敗(※プレイヤーの体験が全てを語るスタイル) |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

さて、まずは冷静にデータを眺めてみましょう。不満カテゴリの内訳を見ると、圧倒的な第1位は「ストーリー/テンポ」で29件。次いで「操作性/戦闘」が7件となっています。好評率99%という神懸かった数字を叩き出している一方で、この「ストーリー」に対する風当たりが強いのは一体なぜなのでしょうか。
「ストーリーとテンポ」に潜む影
本作をプレイした者の多くが、最初は「可愛らしいベリーの収穫ゲーム」だと思って足を踏み入れます。しかし、進めるうちに不穏な空気が漂い始め、いわゆる「アナログホラー」的な要素が顔を出します。ここに、不満の種が埋まっていました。
多くの低評価プレイヤーは、このストーリー展開を「無理矢理感がある」と指摘しています。ゲームプレイそのものが非常に中毒性の高いインクリメンタル(放置・拡大)系であるため、そこに「実は怖い背景がありました」というスパイスを後付けしたように感じてしまうプレイヤーが少なくないのです。特に、ゲームプレイのループを重視する層からすれば、物語の断片を探す作業が、純粋な作業の快楽を削いでいるという見方もあります。
期待と現実のミスマッチ
また、ストーリーの「中身」そのものについても厳しい声が上がっています。序盤の謎めいた雰囲気は素晴らしいのですが、核心に迫るにつれて「どこかで見たようなホラーの類型」に収まってしまうという指摘です。
「秘密があるふりをして、実はそれほど深みがない」という評価は、このゲームを愛そうとしたプレイヤーにとって非常に辛辣な響きを持っています。人生の相当な割合をこの穴に捧げたまん花の目から見ても、確かにストーリーの着地点が、ゲームプレイが持つ圧倒的なパワーに追いついていない感覚は否定できません。
象徴的な不満レビュー
ここで、ストーリーの薄さと演出の強制感について、非常に的確に指摘している海外プレイヤーのレビューを引用しましょう。
(プレイ時間: 8時間) Really fun game but really doesn’t need the whole hidden tapes and wronged kids show star storyline. Feels forced and like it was added last minute to make streams or videos about the game have a hook to get views. Game would actively feel better if the story wasn’t there. Want to give this a positive view but was really bummed and distracting when the fun lil berry hole game suddenly wants to try and be analog horror with a message.
(日本語訳:本当に楽しいゲームだけど、隠しテープや不当に扱われた子供番組のスターといったストーリーラインは全く必要ないと感じた。ストリーマーや動画投稿者が再生数を稼ぐための「フック」として、土壇場で付け加えられたような印象だ。ストーリーがなければ、もっと純粋に良いゲームとして楽しめたはず。肯定的な評価をしたかったが、楽しいベリーの穴投げゲームが突然メッセージ性の強いアナログホラーになろうとした時、本当にがっかりしたし気が散ってしまった。)
このレビュアーが感じた「動画映えを狙った後付け感」こそが、不満の核心と言えるでしょう。
ゲーム本来の持つ「無心で穴を埋める快楽」が、外部から持ち込まれた「ありきたりな恐怖」によって汚染されている。
そう感じるプレイヤーにとって、この99%という高評価は信じがたいものに映るのかもしれません。
「可愛さの裏に恐怖を」という手法は、今や新鮮な驚きではなく、単なる「お決まりのテンプレート」と化しているのです。
不満の元凶「There」の分析

次に注目したいのは、頻出単語ランキングです。驚くべきことに、第1位は「There」(31回)という、一見何の意味も持たないような単語でした。しかし、この「There」の使われ方を分析すると、プレイヤーが抱える深いストレスのメカニズムが見えてきます。
なぜ「There」がこれほど叫ばれるのか
不満レビューにおける「There」の多くは、「There is no…(~がない)」という否定の文脈で使用されています。
「There is no mystery(謎などなかった)」「There is no horror(ホラー要素なんてない)」「There is no accessibility(アクセシビリティが機能していない)」。
これらはすべて、プレイヤーが本作に対して抱いた「期待」が裏切られた瞬間を象徴しています。特に「There is dead air(何もすることがない虚無の時間がある)」という指摘は、インクリメンタルゲームとしては致命的です。ベリーを成長させるため、あるいはコインが貯まるのを待つためだけに、網膜に穴の輪郭が焼き付くほど画面を凝視し続けなければならない時間が、確かに存在するのです。
虚無感を生むゲームデザイン
本作は、ベリーを穴に入れてアップグレードを買う、という単純なループで構成されています。しかし、ある一定の段階でアップグレードのコストが跳ね上がり、進行が極端に鈍化するポイントがあります。この時、プレイヤーは「ただ待つ」ことを強いられます。
この「待ち時間」において、もしストーリーが深く、探索が楽しければ「There is something to do(やることがある)」となりますが、前述の通りストーリーが薄いと感じているプレイヤーにとっては、それは単なる「Dead air(死んだ時間)」に他なりません。キーボードのWASDが摩耗して消えるほど動き回っても、何も進展がない時間が、プレイヤーの心を折っていくのです。
言及された不満の核心
あるプレイヤーは、この「期待外れ」の感情を次のように吐露しています。
(プレイ時間: 9時間) This would be more interesting but there’s a lot of dead air just waiting for coins or fruits to enlarge the hole. Plus its higher than average price for games of this type.
(日本語訳:もっと面白くなる可能性はあったが、コインを待ったり、穴を大きくするためにフルーツを待ったりする「死んだ時間」が多すぎる。その上、この手のゲームとしては平均よりも価格が高い。)
この「There’s a lot of dead air」という一言は、本作が抱えるテンポの問題を鋭く突いています。
プレイヤーは「加速していく快感」を求めてインクリメンタルゲームを遊ぶのであり、「立ち止まって待つこと」を求めているわけではありません。
この期待のズレが、低評価における「There」の多さに繋がっているのは明白です。
どれほど優れたビジュアルやコンセプトがあろうとも、プレイヤーに「無意味な時間」を自覚させた瞬間に、ゲームの魔法は解けてしまいます。
ユーザーが直面する現実
データだけでは見えてこない、プレイヤーが実際に体験する「苦痛」についても触れておかねばなりません。本作には、無視できないレベルの物理的な障壁、そして開発者の姿勢に対する疑問が投げかけられています。
「自分のペースで」という甘い罠
ストアページには「自分のペースで遊べる(Playable at Your Own Pace)」というタグが付いています。しかし、実際には1日という時間制限があり、その中でどれだけ効率よく動けるかが鍵となります。この「制限」が、特定のプレイヤーにとっては大きなストレス源となっています。
特に深刻なのは、キーバインドの変更が不可能(初期状態)であったこと、そして操作性に強い癖があることです。親の顔よりもこの不気味な月を見つめてきた廃人レベルのプレイヤーなら慣れもしますが、初めて触れるプレイヤーにとって、WASD固定の操作や独特の慣性は、単なる「不自由」でしかありません。
操作性がもたらす「3D酔い」という壁
本作のカメラ挙動や移動時の慣性は、人によっては激しい3D酔いを引き起こします。
「プレイしたいのに、身体が拒絶する」。これはゲーム体験において最も悲劇的な状況です。アクセシビリティを謳いながら、実際には特定の操作を強要し、物理的な体調不良を招く設計は、低評価を投じる十分な理由になり得ます。
虚無の時間の解像度
ゲーム中盤、あなたはただ広大な空間で、ベリーが熟すのを待つことになります。BGMは穏やかですが、心の中では焦燥感が募ります。
「この時間は何なのだろう?」「私はなぜ、穴に果物を投げ続けているのだろう?」。
ふと我に返った時、画面の中の不気味な演出が、恐怖ではなく「滑稽さ」として映り始めます。
ストーリーを補完する「テープ」を探すパズルも、一部のプレイヤーには「簡単すぎて赤子でも解ける」と評されています。この「簡単すぎるパズル」と「長すぎる待ち時間」の組み合わせが、ゲーム全体を「底の浅い体験」へと引きずり下ろしているのです。
体験者の声
操作性とアクセシビリティへの不満を爆発させているレビューを1つ見てみましょう。
(プレイ時間: 0時間) I will keep this brief. I love everything about this game, except that the movement keys cannot be changed from WASD. I require this for safe and comfortable play. […] combined with a blatantly misleading accessibility tag on the store page, is something I find quite negligent.
(日本語訳:手短に言う。WASDから移動キーを変更できない点を除けば、このゲームのすべてが大好きだ。私にとって安全で快適なプレイにはキー変更が必須だ。(中略)ストアページにある見え透いた嘘のアクセシビリティタグと相まって、これは非常に怠慢だと思う。)
0時間での返金レビューですが、これこそが「ゲームを遊びたくても遊べない」ユーザーの悲痛な叫びです。
ゲームを面白くする以前に、多様なプレイヤーが「土俵に立てる」ように配慮することは、現代のゲーム開発において避けては通れない義務です。
どれほど中身が神ゲーであっても、入り口で物理的に追い返されるプレイヤーがいる事実は重く受け止めるべきでしょう。
「優しさ」を売りにする世界観でありながら、実際の操作環境がプレイヤーに対して「不親切」であるという矛盾が、この1%の低評価をより尖ったものにしています。
それでも支持される理由
ここまで徹底的に叩いてきましたが、どす恋まん花は忘れていません。このゲームの好評率が99%であることを。そして、私自身がもはや血管をベリーの果汁が流れていると言っても過言ではないほど、このゲームに魅了されていることを。
抗いがたい「穴」の魔力
なぜ、不満がありながらも人はこのゲームを愛してしまうのか。それは、本作が持つ「触感」の良さにあります。
ベリーが穴に吸い込まれる時の音、コインが噴き出す時の視覚的な報酬、そして「穴が大きくなる」という原初的な快感。これらが、脳の報酬系をダイレクトに刺激するのです。
ストーリーが後付けだろうと、ホラーが使い古されたものだろうと、そんなことは関係なくなる瞬間があります。アップグレードによって爆発的に効率が上がり、かつて苦労して運んでいた巨大なフルーツをゴミのように穴へ叩き込めるようになった時、私たちは「全能感」という名の甘い蜜に酔いしれます。
インクリメンタルゲームとしての完成度
また、本作の「転生(Prestige)」システムは非常によく練られています。
転生しても、獲得した「お友達」を引き継げるため、再スタート時のストレスが極小化されています。むしろ、最初から圧倒的なパワーで無双できる時間が、プレイヤーにとっての最高のご褒美になっているのです。
「中だるみ」を指摘する声もありましたが、それを乗り越えた先にある「インフレの極致」を知っているプレイヤーからすれば、あの退屈な時間すらも、後の快感を高めるための「溜め」に過ぎないと感じられるのでしょう。
欠点だらけで、不親切で、ストーリーもどこか借り物……それでもなお、このゲームには「つい、もう一日だけ」とプレイを続けさせる、呪いのような中毒性があります。
この中毒性こそが、多くのプレイヤーを盲目にし、99%という驚異的な支持率を支えている真実なのです。
Berry Bury Berryは、理屈ではなく「本能」に訴えかける、劇薬のようなゲーム体験を提供しているのです。
最終評価と購入ガイド
さて、2000時間という途方もない時間をこの穴の前で過ごしてきた「どす恋まん花」としての結論です。
このゲームは、「最高に心地よい作業ゲー」と「質の低いアナログホラー」が、奇跡的なバランスで(あるいは不器用に)共存している歪な作品です。
1%の低評価者たちが指摘する問題点は、すべて事実です。ストーリーは薄く、操作性は改善の余地があり、一部のタグは誤解を招きます。しかし、そのすべてを飲み込んだとしても、余りある「快感」がそこにはある。
あなたが「深い考察を楽しめる重厚なホラー」を求めているなら、回れ右をして帰りましょう。しかし、もしあなたが「日々のストレスを忘れ、無心で穴に何かを放り込み、数字が爆発するのを見たい」という飢えを抱えているなら、このゲームはあなたのためのものです。
最後になりますが、まん花からのアドバイスです。
「このゲームに深淵を求めてはいけません。ただ、深淵(穴)をベリーで満たすことだけに集中しなさい。そうすれば、あなたは幸せになれるでしょう。」
✅ 購入をお勧めする人
- 単調な作業に没頭し、数字がインフレしていく様子に快感を覚える人
- 「可愛いけれどどこか不気味」なアートスタイルが好きな人
- 短時間でサクッと遊べつつ、中毒性の高いループを求めている人
❎ 購入を避けるべき人
- 重厚で独創的なストーリー展開や、予想外のどんでん返しを期待している人
- 3D酔いをしやすく、視野角やキーバインドの設定にこだわりがある人
- 「自分のペースで」という言葉を、時間制限が一切ないという意味で捉える人
執筆:どす恋まん花
