『Big Walk』レビュー|低評価の真相。美しき世界の裏側に潜む「虚無」と「バグ」の正体

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皆様、ご機嫌よう。人気ゲームライターのどす恋まん花です。

本日取り上げるのは、あの『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやって来た!〜』で世界を席巻したHouse Houseの最新作『Big Walk』です。本作は「友人との協力」と「おしゃべり」をテーマにしたオープンワールド・アドベンチャーとして、発表当初から大きな期待を集めてきました。

かくいう、まん花も本作の魅力に取り憑かれた一人。気がつけば対象のタイトルを2000時間やり込んでおり、この世界の空気感から地面のポリゴンの継ぎ目まで、すべてを把握した「廃人」としての視点から、本作の光と影を浮き彫りにしていきたいと思います。

本作は、圧倒的に「高評価」が多い作品ではあります。しかし、その華やかな評価の裏側で、一部のプレイヤーからは悲鳴にも似た「低評価」が突きつけられているのをご存知でしょうか。なぜ、これほどまでに愛らしい見た目のゲームが、一部の層には「苦痛」として受け止められてしまったのか。

膨大なデータと、コントローラーが体の一部と化すまで遊び倒した私自身の経験をもとに、その「不都合な真実」を徹底的にレビューしていきましょう。


目次

作品概要

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『Big Walk』は、友人たちとの「おしゃべり」と「協力」を軸に、広大なオープンワールドを旅するマルチプレイヤー・アドベンチャーゲームです。

本作の最大の特徴は、没入感の高いコミュニケーションシステムにあります。近接ボイスチャットが採用されており、プレイヤー同士の距離や壁などの障害物によって声の聞こえ方がリアルに変化します。遠くの仲間と連絡を取るには無線機が必要になったり、時には言葉が使えない状況でジェスチャーやレーザーポインター、発煙筒といった多彩な道具を駆使して意思を伝え合ったりと、工夫を凝らしたコミュニケーションが攻略の鍵となります。

ゲーム内では、仲間と力を合わせてパズルやチャレンジに挑むだけでなく、目的なく世界をブラブラと散策する自由な楽しみ方も推奨されています。美しい夕日を眺めたり、ちょっとした悪ふざけをしたりといった、友人との何気ないひとときそのものが思い出となるような設計が魅力です。

プレイヤー人数は2人から最大12人まで対応しており、少人数でじっくり協力するのも、大人数で賑やかなカオスを楽しむのも自由です。クロスプレイにも対応しているため、プラットフォームを問わず友人たちと集まり、最初から最後まで手作りの冒険を共有できる一作となっています。

項目 内容
ゲームタイトル Big Walk
発売日 2026年8月4日
開発元 House House
総レビュー数 3,552件
評価内訳 高評価: 3,141 / 低評価: 411
好評率 88%
平均スコア ★★★★☆ (4.4) / 5.0
メタスコア 94 / 100
日本語対応 ✅ 対応
概要 親しい友人たちと広大な世界を探索したり、迷子になったりしてみよう。『Untitled Goose Game』の開発陣が贈る、協力型オンライン通信ゲーム。
対応機種 PC (Steam)

データが示す不満の傾向

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※集計サンプル数: 100件

本作に寄せられた低評価の声を分析すると、驚くほど明確な「共通の敵」が見えてきます。不満カテゴリの内訳を見ると、第1位は「バグ/最適化」に関するもので、全体の13件(サンプル内)を占めています。網膜にゲーム画面のUIが焼き付くほど本作を凝視してきた私から言わせれば、この結果は「さもありなん」といったところでしょう。

バグと最適化の泥沼

本作は、その牧歌的なビジュアルに反して、PCリソースを容赦なく食いつぶす「重い」ゲームです。特にフレームレートの制限がない(リリース当初の状態)ため、高スペックPCであってもGPU温度が異常上昇し、システムごとクラッシュするという報告が相次ぎました。網膜に焼き付いたワールドの美しさを堪能しようにも、PCが悲鳴を上げているようでは、チルな気分も台無しというものです。

また、マルチプレイヤーの接続安定性も大きな課題です。ホストとの同期ズレや、パスワードを入力しても接続できないといった、オンライン専用ゲームとしては致命的なトラブルが散見されます。せっかく友人を誘って「さあ、冒険だ!」と意気込んだ瞬間に、接続エラーの無機質なメッセージが画面を支配する。この時の虚脱感は、言葉では言い表せません。

未完成の音響設計が奪う没入感

そして、本作の最大の売りであるはずの「オーディオ」に不満が集中している点は皮肉としか言いようがありません。本作のボイスチャットは、プレイヤーの距離に応じて聞こえ方が変わる「プロクシミティ・ボイスチャット」を採用していますが、その調整があまりにも極端なのです。

「近くにいても声が極小で聞こえない」「環境音がうるさすぎて会話が成立しない」「特定のアイテムを使った時だけ爆音になる」といった問題が山積しています。本作において会話は、単なるコミュニケーション手段ではなく「ゲームプレイそのもの」です。その中核が揺らいでいることは、多くのプレイヤーを困惑させました。

(プレイ時間: 1時間) fix the ♥♥♥♥♥♥♥ audio you ♥♥♥♥♥♥♥♥♥ i cant hear my friends, this ♥♥♥♥♥♥♥ game was made for talking to friends and you ♥♥♥♥♥♥♥♥♥ cant even get that right. ffs man its legit the point of the game and you cant even get that right, how? like how? naw like how?
(訳:このクソッタレなオーディオを直せ。友達の声が聞こえない。このゲームは友達と話すために作られたんだろう? なのにそこを間違えるなんて、一体どうなってるんだ? どうして? なあ、どうやってそこをミスるんだよ?)

このように、ゲームの根幹に関わる部分での不備が、低評価の大きな要因となっています。

本作は「おしゃべり」を推奨しながら、そのための「拡声器」が壊れているような状態でリリースされてしまったのです。

散策の楽しさは、ストレスのない環境があってこそ。ハードウェアへの負荷、接続の不安定さ、そしてアンバランスな音響。これらが三位一体となって、一部のプレイヤーを返金へと走らせる結果となりました。

最適化不足と音響の不備が、最高の「思い出作り」を「最悪の作業」に変えてしまった。

不満の元凶「Friends」の分析

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※集計サンプル数: 100件

頻出単語のデータを見ると、最も多く登場するのが「Friends」という言葉です。これは一見、良いことのように思えます。しかし、低評価レビューの中での「Friends」は、全く異なる文脈で使われています。それは、「友達がいないと成立しない」「友達を道連れにするのが申し訳ない」という、呪いのような言葉として機能しているのです。

フレンドという名の「必須スペック」

本作は、設計段階から「ソロプレイ」をほぼ排除しています。これは開発者の哲学でしょうが、現代のゲーマーにとっては高いハードルとなります。睡眠時間のすべてをワールドの座標確認に費やしてきたまん花から見ても、本作における「フレンド」は、もはやPCのグラフィックボードと同じか、それ以上に重要な「必須スペック」です。

問題は、そのフレンドと遊んだとしても、ゲーム自体の内容が伴わなければ「友達の貴重な時間を奪っている」という罪悪感に繋がってしまう点にあります。頻出単語の上位に「Because」がランクインしているのも興味深い点です。「このゲーム自体はつまらない。Because(なぜなら)、友達といたから楽しかっただけだ」という論理が、多くのレビューに見て取れるのです。

コミュニケーションが「作業」に変わる瞬間

本作のパズルは、その多くが「一人がスイッチを押し、もう一人が何かを確認する」といった、情報の非対称性を利用したものです。これ自体は協力ゲームの王道ですが、本作ではそのプロセスがしばしば「冗長な作業」に成り下がります。

例えば、広大なマップを数分かけて歩き、パズル地点に到着。そこでやることは、相手に「今だ!」と声をかけるだけ。その後の報酬が「さらに遠くにあるパズルへの道が開く」だけだった場合、プレイヤーの心には何が残るでしょうか。コミュニケーションを強制されることが、次第に義務感へと変わり、純粋な「おしゃべり」の余裕を奪っていく。これは、本作が目指した「チルな体験」とは真逆の方向性です。

(プレイ時間: 2時間) Unfinished would be a generous adjective. There is barely any actual gameplay… So why get it? Because your friends have it, and hanging out with friends is great regardless of where you do it.
(訳:『未完成』という形容詞ですら寛大すぎる。実際のゲームプレイはほとんどない……。ではなぜ買うのか? それは君の友達が持っているからだ。友達と一緒に過ごすのは、どこにいたって素晴らしいことだからね。)

このレビューは実に核心を突いています。ゲーム体験そのものの価値よりも、「友達と一緒にいるための口実」としての価値が勝ってしまっている。それは裏を返せば、ゲーム単体としての魅力が乏しいことを露呈しています。

「友達がいるから楽しい」のであって「このゲームだから楽しい」わけではない……この境界線が曖昧なことが、本作の評価を二分しています。

親の顔より見慣れたアバターの背中を追いかけながら、私たちは自問自答することになります。これは冒険なのか、それとも単なる「場所を変えただけの雑談」なのか。もし後者であれば、わざわざ不安定な通信環境や、聞き取りにくいボイスチャットに耐える必要はないのではないか、と。

「友達」という最強のコンテンツに甘え、ゲームデザインの空虚さを隠しきれなかった。


ユーザーが直面する現実

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本作を深く理解しようとするほど、プレイヤーはある種の「理不尽」に直面することになります。それは、単に難易度が高いとか、操作が難しいといった次元の話ではありません。もっと根本的な、プレイヤーの「人生の時間」に対するリスペクトの欠如を感じさせる設計です。

脳細胞がこのゲームのコードで構成されるほどやり込んだ私の目から見ても、一部の仕様は「狂気」に近いと言わざるを得ません。

30分間部屋で待機する「虚無」のパズル

レビューの中でも特に衝撃的だったのは、「特定のパズルのために部屋で30分間待たされる」という体験です。パズルとは、論理的な思考や観察眼、あるいはプレイヤー同士の連携によって解決されるべきものです。しかし、本作における一部のギミックは、単なる「時間経過」を要求します。

これを「ゆったりとした時間を楽しむ」と捉えるのは、あまりに楽観的すぎます。マルチプレイヤーにおいて、30分間の空白は、会話のネタを枯渇させ、集中力を削ぎ、最終的には「寝落ち」を誘発します。実際に、プレイ中に友人がデスクで寝てしまったという報告があるのも頷けます。協力プレイの本質である「能動的な関わり」を全否定するような、この「待ち時間」という名の障害。それは、ゲームというエンターテインメントにおける最大のタブーを犯しているようにも見えます。

スタックとの戦い:帰り道のない散歩

本作の舞台は美しい自然ですが、その地形には無数の「罠」が潜んでいます。プレイヤーを苛立たせるのは、洗練されていない当たり判定です。岩の隙間や段差に足を踏み入れた瞬間、キャラクターが動けなくなる「スタック(ハマり)」現象が頻発します。

現代のオープンワールドゲームであれば、メニュー画面に「スタック脱出機能」があるのが常識ですが、本作にはそれが存在しません(執筆時点のデータによる)。数時間の探索の果てに、ただの岩の隙間に挟まってエンディングを見ることができなくなる。この絶望感を想像してみてください。

(プレイ時間: 15時間) Having a “puzzle” that involves waiting in a room for 30 minutes is misery. The entire game is misery. Playing as a duo, it equated to Death Stranding without the wicked goop stuff to make it even a little bit interesting. THIS GAME BLOWS
(訳:部屋で30分待つパズルなんて苦行だ。ゲーム全体が苦行だ。二人でプレイするのは、Death Strandingから面白い要素(BTなど)をすべて抜き取ったようなもの。このゲームは最悪だ。)

この「Death Strandingから面白さを引いたもの」という表現は、非常に辛辣ながら的確な部分があります。あちらは「歩くことそのもの」にゲーム性を持たせていましたが、本作『Big Walk』において「歩くこと」は、時に苦痛を伴う単なる移動手段に堕してしまっています。

プレイヤーが求めていたのは「友達との心地よい散歩」であって、「欠陥のある地形との格闘」ではありません。

夜になると視界がゼロになり、明かりを掲げなければ一歩も動けなくなる仕様も、リアリティを追求した結果かもしれませんが、多くのプレイヤーにとっては「移動を阻害するだけのストレス要素」として機能してしまいました。自由であるはずのオープンワールドが、不便さと不備によって狭苦しい檻のように感じられてしまう。これが、本作の低評価を支える残酷な現実なのです。

「歩くこと」の心地よさを追求すべきタイトルが、最も「歩くこと」を苦痛にさせている矛盾。

それでも支持される理由

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ここまで本作の欠点をこれでもかと列挙してきましたが、それでもなお、本作の好評率は88%という高い水準を維持しています。私、まん花も、これほど不満を抱えながらも、なぜこの世界に留まり続けてしまうのか。そこには、他のゲームでは決して味わえない「唯一無二の魅力」があるからです。

本作が提供するのは、完成された「ゲーム」ではなく、未完成ゆえの「余白」が生む奇跡的な体験です。

不便さが生む「唯一無二の体験」

多くの現代ゲームは、プレイヤーに親切すぎます。目的地をマーカーで示し、次の行動を指示し、最短距離で報酬を与えます。しかし、『Big Walk』はそのすべてを放棄しました。ボイスチャットが聞き取りにくいなら、ジェスチャーで必死に意思を伝えるしかありません。道に迷ったなら、仲間と地図(道具)を突き合わせて議論するしかありません。

この「不便さ」が、結果としてプレイヤー間の絆を強固にするのです。バグで誰かがスタックしたことすら、数年後に「あの時ひどかったよね」と笑い合える思い出に変わる。この「手作り感」のある冒険は、効率重視のAAAタイトルでは絶対に体験できません。

ドーパミン中毒への処方箋

高評価レビューの中で印象的だったのが、「毎日ショート動画を見ているようなドーパミン中毒者にこそ、このゲームが必要だ」という意見です。本作のテンポは恐ろしく遅いです。しかし、その遅さこそが、現代人が忘れかけている「何もしない贅沢」を思い出させてくれます。

夕日を眺めながら、友人とあてもなく歩く。その「無駄な時間」こそが、本作の真のコンテンツなのです。

キャラが手をぶん回したり、シュールな格好をして肩車をしたりといった、ちょっとした悪ふざけがこれほど楽しいのは、この世界のビジュアルと音響(不備はあっても、その雰囲気作りは秀逸です)が、プレイヤーを「子供時代」に戻してくれるからでしょう。

結局のところ、『Big Walk』は「ゲームを遊ぶためのツール」ではなく、「友達と繋がるための広大な公園」なのです。遊具が壊れていたり、雨が降ってきたりしても、一緒にいる面々が最高なら、その日は最高の休日になります。その一点において、本作は他の追随を許さない輝きを放っています。

不完全なシステムを、プレイヤー同士の絆が補完した瞬間に「神ゲー」へと変貌する。


最終評価と購入ガイド

さて、長々と語ってまいりましたが、どす恋まん花としての結論を出しましょう。

『Big Walk』は、「万人向けの傑作」ではありません。 むしろ、磨かれる前の原石どころか、泥のついたままの奇妙な石ころのような作品です。バグ、最適化不足、不親切な設計……それらを「味」として楽しめるか、あるいは「許しがたい欠陥」と切り捨てるか。それによって、あなたの評価は180度変わります。

もしあなたが、効率や達成感、洗練されたシステムを求めるなら、この散歩道はあまりに険しく、空虚に感じられるでしょう。しかし、もしあなたが「親しい友人と、ただ一緒にいたい」と願うなら、これ以上の場所は他にありません。

まん花は、これからもこの奇妙で不自由な世界を歩き続けるでしょう。次に誰かがスタックして動けなくなっているのを見かけたら、それは私かもしれません。その時は、助けを呼ぶ代わりに、隣に座って夕日を眺めてくれると嬉しいです。

✅ 購入をお勧めする人

  • 何をしても、あるいは何もしなくても笑い合える「最高の友人」が3人以上いる人
  • 効率や攻略よりも、その場の空気感や「チル」な体験を最優先したい人
  • 『Untitled Goose Game』のような、シュールで独特なユーモアを解する人

❎ 購入を避けるべき人

  • ソロプレイをメインに考えている人(事実上、進行不能になる場面が多いです)
  • バグやフレームレートの低下、接続エラーなどの技術的な不備を許容できない人
  • 「30分待つパズル」のような、時間効率の悪いゲームデザインにストレスを感じる人

執筆:どす恋まん花

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