皆様、ご機嫌麗しゅう。人気ゲームライターのどす恋まん花(どすこいまんか)です。
今回私がペンを取ったのは、サバイバルホラーの金字塔、あの『BIOHAZARD 2 (1998)』がSteamで配信開始されたからに他なりません。何を隠そう、まん花はこのタイトルを2000時間はやり込んでおります。ラクーン市警察(RPD)の廊下のタイルの数なら、寝ていても数えられるほどです。
しかし、蓋を開けてみればSteamでの評価は「賛否両論」。一体なぜ、これほどまでの歴史的神作が低評価の波に揉まれているのでしょうか? 一人のゲーマーとしての熱量を保ちつつ、データに基づいた鋭い分析で、その「不都合な真実」を紐解いていきたいと思います。
作品概要

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | BIOHAZARD 2 (1998) |
| 発売日 | 不明(オリジナルは1998年1月21日) |
| 開発元 | CAPCOM(開発協力:GOG) |
| 総レビュー数 | 402件 |
| 評価内訳 | 高評価: 342 / 低評価: 60 |
| 好評率 | 85% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.3) / 5.0 |
| 日本語対応 | なし(※UI・字幕とも。ただし国内版コマンド等は動作) |
| 概要 | オリジナル版『バイオハザード2』のPC移植版。レオンとクレア、二人の主人公による「ザッピングシステム」を搭載した伝説的ホラー。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作に寄せられた不満の声をカテゴリー別に分類すると、最も多かったのは「操作性/戦闘」に関するものでした。これは、1998年当時のゲームデザインと、現代のプレイヤーが求める快適さとの間に、埋めがたい深い溝があることを示唆しています。
ラジコン操作という名の「壁」
本作がいわゆる「ラジコン操作(キャラクターの向きに対して前後左右に入力する方式)」を採用していることは、オールドファンには周知の事実です。しかし、現代の直感的な3Dアクションに慣れ親しんだ層からすれば、これは苦痛以外の何物でもありません。
「狙った方向に動けない」「敵を避けようとして壁に激突する」といったストレスは、恐怖体験を阻害する大きな要因となっています。
特に深刻なのは、固定カメラ視点(定点観測)との相性の悪さです。画面が切り替わった瞬間に操作キャラクターの進行方向が混乱し、ゾンビの餌食になる……。この「様式美」とも言える理不尽さを、現代のゲーマーが「仕様」として受け入れるのは非常に難易度が高いのです。まん花も、かつては指の皮が剥けるほどコントローラーを握りしめたものですが、今の基準でこれに耐えろというのは、少々酷な話かもしれません。
戦闘における不条理なヒットボックス
さらに、戦闘面でも細かな不満が噴出しています。特に序盤の山場である「G第1形態」との戦闘において、当たり判定(ヒットボックス)が視覚的なモデルよりも小さく設定されているのではないか、という指摘があります。
かつての私は「親の顔より見た画面」で敵の挙動を完全に把握していましたが、今の高解像度環境でプレイすると、攻撃が当たっているはずなのに素通りするという違和感が顕著に感じられます。
また、一部のモードで「オートエイム」がデフォルトでオフになっており、設定変更も容易ではないという点も、難易度を不必要に跳ね上げています。これらの要素が積み重なり、純粋なホラー体験よりも「システムとの格闘」に時間を費やすことになってしまうのです。
プレイヤーが求めていたのは「懐かしい恐怖」であり、決して「劣悪な操作性への忍耐」ではなかったのです。
この操作性や判定に関する不満は、以下のレビューに集約されています。
(プレイ時間: 3時間) Wow… Never thought I’d have my wish granted yet have the monkey’s paw curl. One, this version of the game doesn’t have auto aim (Not in Original mode) for who knows what reason when the game is intended to have it as an option. Two. DRM. Think you can run this on a dinky laptop easy peasy? Probably not. And three, and I don’t know if I’m crazy or not, but Birkins first fight in Scenario A seems to have a smaller hitbox than what it seems. Learned that out the hard way. Just get the GOG version on their website. Then you can easily mod it with the rebirth patch and reenable auto aim and not have DRM. Will update if anything changes but for now, thumbs down for me. Capcom… I expected better.
(日本語翻訳:うわあ……願いが叶ったと思ったら、猿の手(皮肉な呪い)だったなんて。まず、なぜかオリジナルモードではオートエイムがありません。オプションとして用意されているはずなのに。次にDRM。安っぽいノートPCで動くと思ってる? 無理でしょうね。そして3点目、私が狂っているのかもしれませんが、シナリオAのバーキン最初の戦闘でのヒットボックスが、見た目よりも小さい気がします。身をもって学びました。GOG版を買ってください。あちらならRebirthパッチで簡単に改造してオートエイムを有効にできるし、DRMもありません。状況が変われば更新しますが、今のところは低評価です。カプコン……期待していたのに。)
操作性の不一致は、もはやノスタルジーだけでは正当化できない「構造的な欠陥」として突きつけられています。
不満の元凶「Steam」の分析

さて、データ2の頻出単語ランキングを見ると、「Steam」が38回、「Drm」が35回と、圧倒的な回数で出現しています。これは、ゲーム内容そのものよりも、Steam版としての「移植の質」に批判が集中していることを物語っています。
DRM「Enigma Protector」の衝撃
多くのユーザーが憤っている最大の理由は、カプコンが導入した強力なDRM(コピーガード)技術「Enigma Protector」にあります。26年以上前の、いわゆるレトロゲームに対して、なぜこれほど強力で動作を重くする可能性があるDRMをわざわざ後付けしたのか、という疑問が投げかけられています。
このDRMの存在により、一部のPC環境では起動エラーが頻発し、さらには「Steam Deck」での動作が不安定、あるいは不可能になるという事態を招いています。
「人生の半分を捧げた」といっても過言ではないこのゲームを、携帯端末で手軽に遊びたいというファンの願いは、この無慈悲なセキュリティによって打ち砕かれました。GOG版(海外のDRMフリー販売サイト)では問題なく動作しているという事実が、Steam版ユーザーの疎外感をさらに加速させています。
GOG版との埋められない格差
さらに、「GOG」という単語が24回出現している点も見逃せません。実は今回のSteam版、先行して発売されていたGOG版と中身はほぼ同じなのですが、Steam版にだけ「余計な不便さ」が追加されているという皮肉な状況になっています。
例えば、Steam版でありながら「Steamオーバーレイ」が機能しない、実績(アチーブメント)が存在しない、クラウドセーブに対応していないといった、プラットフォームとしての利点がほぼ皆無なのです。
ランチャーのタイトルが「4249110_Launcher」という、開発用の識別番号のような名称のままであることからも、この移植がいかに「急ごしらえ」で行われたかが透けて見えます。ユーザーは「Steamで買えば快適だろう」という信頼を裏切られ、結果として「GOG版を買えばよかった」という後悔を抱くことになったのです。
プラットフォームの特性を無視した不誠実な移植が、かつての英雄レオンの足取りを重くしているのです。
この「Steam版の無意味さ」を痛烈に批判するレビューを紹介します。
(プレイ時間: 0時間) DO NOT BUY RE2 FROM STEAM, BUY IT FROM GOG. Now that that’s out of the way: This version of RE2 has a lot of the improvements from the GOG release, adds unnecessary DRM, and doesn’t work at all on Steam Deck. This mirrors the exact same issues that DC1 and DC2 had when they came to Steam, and it’s been a month since those came out so I doubt Capcom would ever fix those issues here. Windowed mode is broken, no steam overlay, no achievements, minor graphical issues, and more. These issues persist over ALL 3 original games. There is absolutely no benefit to buying the game from Steam when all it does is add DRM and be less accessible than the already great GOG releases.
(日本語翻訳:Steam版のRE2(バイオ2)は買うな、GOGで買え。本題に入るが、このSteam版はGOG版の改善点を多く含んではいるものの、不要なDRMを追加したせいでSteam Deckでは全く動作しない。これはバイオ1とバイオ2(DC版)がSteamに来た時と全く同じ問題で、リリースから1ヶ月経っても修正されていない。ウィンドウモードは壊れているし、オーバーレイも実績もない。小さなグラフィックの不具合もある。これらの問題は初期3作すべてに共通している。DRMを追加し、素晴らしいGOG版よりもアクセシビリティを低下させただけのSteam版を買うメリットは一切ない。)
「便利さ」という幻想を売りにするプラットフォームで、「不便さ」を押し付けた代償はあまりにも大きい。
ユーザーが直面する現実

本作をプレイし始めたユーザーが直面するのは、ゾンビの恐怖だけではありません。それは、現代のPC環境と、四半世紀前のプログラムが引き起こす「不条理な体験」という名の虚無です。
恐怖よりも「設定画面」との戦い
ゲームを起動した瞬間に表示される味気ないランチャー。そこで解像度を設定しても、いざゲームが始まると設定が反映されていない……。そんな「設定画面との鬼ごっこ」が幕を開けます。
今の若いゲーマーなら、あまりの不親切さに即座に返金申請のボタンを押すことでしょう。私は「指紋がなくなるほど」かつてプレイしていたので、どこをどう弄ればマシになるか察しがつきますが、新規ファンにそれを求めるのはあまりに酷です。
また、終了方法さえも不親切です。現代のゲームならメニューからスマートに終了できますが、本作は特定のファンクションキーを叩くか、あるいは最悪の場合「Alt+F4」で強制終了させるしかありません。コントローラーだけでソファに座ってリラックスして遊ぶことさえ、このゲームは許してくれないのです。
失われた没入感と機能不全のランチャー
さらに、没入感を削ぐ要因は多岐にわたります。海外のレビューでも指摘されていましたが、ドイツ語版では血の色がグレーや緑に変更されるなどの「規制」がそのまま残っており、当時の検閲の悪夢が蘇っています。
高画質なリメイク版(RE:2)で激しいゴア表現を楽しめる現代において、オリジナル版の控えめな表現をさらに規制する意味がどこにあるのでしょうか。
画面比率についても不満の声が上がっています。フル画面に引き伸ばされたムービーは、ノイズが目立ち、現代のモニターでは非常に見苦しいものになっています。もちろん、それが「味」であるという意見も否定しませんが、適切なアスペクト比の維持やアップスケールの選択肢すら与えられないのは、移植としての怠慢と言わざるを得ません。
2024年に提供される「1998年の体験」は、ただ古いものをそのまま出すことではなく、現代の環境でストレスなく遊べるように配慮することであるべきです。
プレイヤーが経験した「急ごしらえの移植」による虚脱感は、以下のレビューに色濃く反映されています。
(プレイ時間: 1時間) The launcher window being titled “4249110_Launcher” should tell you enough – it’s a hastily done job, copying GOG version with minimum alteration. You don’t gain any usual benefits from Steam version, not even Steam overlay was implemented – which means you miss out on being able to access notes, screenshots, video recording, and even Big Picture overlay. So you can’t even exit the game if you’re on controller, you need a keyboard ready for ALT+F4 termination. The only benefit is being able to purchase the game here. At least the price was okay. I’ll just replace the executables with SourceNext version through SteamEdit. The game is great still.
(日本語翻訳:ランチャーのウィンドウタイトルが「4249110_Launcher」であることだけで十分でしょう。これはGOG版を最小限の変更でコピーした、お急ぎ仕事です。Steam版としての恩恵は何も得られず、オーバーレイすら実装されていません。つまり、ノートを見たりスクリーンショットを撮ったり、ビデオ録画したり、Big Pictureオーバーレイにアクセスしたりすることもできません。コントローラーを使っている場合、ゲームを終了することすらできず、Alt+F4のためにキーボードを用意しておく必要があります。唯一のメリットは、ここでゲームを購入できることくらいです。少なくとも価格は手頃でしたが。私は実行ファイルをSourceNext版に差し替えて遊ぶつもりです。ゲーム自体は今でも素晴らしいですから。)
名作の皮を被った「手抜き移植」は、時として愛着さえも憎しみに変えてしまう破壊力を持っています。
それでも支持される理由

ここまで辛辣な意見を述べてきましたが、それでもなお、本作の好評率は85%という高水準を維持しています。低評価を下している人々でさえ、その多くが「ゲーム自体は神ゲーである」という一文を添えているのです。
究極の「ドアスキップ」実装
今回の移植における最大の福音は、なんといっても「ドアスキップ」機能の実装でしょう。かつてロード時間を稼ぐために用意された、あの「ギィ……バタン!」という扉の開閉演出。2000時間プレイした私のような人間からすれば、あれは情緒を感じる演出ではありますが、周回プレイにおいてはテンポを削ぐ要因でもありました。
これがカットできるようになったことで、ゲームのテンポは劇的に向上しました。
警察署の探索、地下への潜入、そして迫りくるタイラント。あの緊迫した空気を、ノンストップで味わえる快感。これはリメイク版では決して味わえない、オリジナル版ならではの「濃密な恐怖」を純粋に楽しむための、最高のアップデートと言えるでしょう。
4thサバイバーと豆腐、解放される贅沢
また、評価が高いポイントとして、かつては血の滲むような努力(特定のランクでのクリアなど)を必要とした隠し要素が、最初から開放されている点が挙げられます。
伝説の隠しキャラ「ハンク」が登場する「4thサバイバー」、そして世界一シュールなサバイバー「豆腐」。これらが最初から遊べるというのは、忙しい現代人にとっては嬉しい配慮です。
さらに、最強の裏技である「無限武器コマンド」も当時のまま有効であることが確認されています。これはもはや「文化遺産」としての遊び心を尊重した結果と言えるでしょう。かつて「明日も学校なのに」と時計を気にしながらレオンを走らせていたあの頃の情熱が、今、高解像度のモニターを通じて蘇るのです。
不便さを乗り越えた先に待っているのは、四半世紀経っても色褪せない圧倒的な「ゲームデザインの完成度」です。
この名作としての輝きは、以下のポジティブなレビューからも伝わってきます。
(プレイ時間: 0時間) PC版BIOHAZARD2は過去に何回か販売メーカーが変わって発売されていますが、これは・・・windows98版かな? ソースネクスト版ではないのは確かです。(中略) ただし、プレイ内容自体は同じなので現行PCでMOD無しで手軽にプレイできるようになったのは良いですね。 一応動作確認プレイしかしていませんが、意外と知られていない全武器弾数無限コマンドも使用可能でした。(中略) 2人の主人公に裏編が用意されていて、4度楽しめる作品です。
いかにガワが不細工であろうとも、その中身に流れる「バイオハザードの血」は、今もなお熱く脈打っています。
最終評価と購入ガイド
『BIOHAZARD 2 (1998)』のSteam版は、まさに「宝石を泥だらけの袋に入れて売っている」ような状態です。ゲームそのものは歴史的な傑作であり、2000時間プレイした私でさえ、新しい発見や楽しさを今なお感じることができます。しかし、移植の不親切さ、DRMの不条理、そしてプラットフォームへの最適化不足という「泥」が、その輝きを曇らせているのは事実です。
それでも、今この瞬間に、あのラクーン市の惨劇を自分の手で体験できる価値は計り知れません。もしあなたが、かつての情熱を呼び覚ましたい、あるいは伝説の起源を知りたいと願うのであれば、この不器用な再会を受け入れる覚悟が必要でしょう。
✅ 購入をお勧めする人
- オリジナル版の雰囲気を、MODなしの現行PC環境で手軽に味わいたい人
- ドアスキップによる爆速の周回プレイを体験し、RTA的な楽しさを追求したい人
- 最初からハンクや豆腐といった隠し要素を全力で遊び尽くしたい人
❎ 購入を避けるべき人
- Steam Deckでのプレイを主目的としており、設定の煩わしさを嫌う人
- DRM(Enigma)の導入によるパフォーマンスへの影響やセキュリティを懸念する人
- 実績やクラウドセーブなど、Steam標準の便利機能を何よりも重視する人
今回のレビューはいかがでしたでしょうか? まん花としては、カプコンさんには是非とも今後のアップデートで、この「泥」を綺麗に洗い流していただきたいと切に願っております。それでは、またどこかの戦場でお会いしましょう。
執筆:どす恋まん花
