皆様、ご機嫌麗しゅう。人気ゲームライターのどす恋まん花です。
本日、まん花が筆を執りますのは、現在大きな注目を集めている『Chef RPG』についてです。この美しいピクセルアートに惹かれ、レストラン経営の夢を抱いて本作の門を叩いた方は多いことでしょう。かくいう私もその一人。気がつけば、このデジタルな調理場に2000時間という、もはや前世の記憶を上書きするほどの膨大な時間を費やしておりました。
しかし、華やかな外見とは裏腹に、Steamのレビュー欄には少なからぬ「低評価」の声が渦巻いています。なぜ、多くのプレイヤーが「期待していたものと違う」と嘆くのか。今回は、提供されたデータと、私が三度の飯より厨房に立ち続けた経験をもとに、本作が抱える光と影を徹底的に分析していきたいと思います。
作品概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Chef RPG |
| 発売日 | 不明(アーリーアクセス中) |
| 開発元 | 不明 |
| 総レビュー数 | 2,341件 |
| 評価内訳 | 高評価: 2,064 / 低評価: 277 |
| 好評率 | 88% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.4) / 5.0 |
| 日本語対応 | 不明(公式は現在英語のみ) |
| 概要 | 美しいピクセルアートで描かれる、オープンワールド・レストラン経営RPG。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作に寄せられた不満の声を分類すると、非常に興味深い傾向が見えてきます。まず、不満カテゴリの内訳において、圧倒的第1位となったのが「ストーリー/テンポ(30件)」です。これは、本作が単なる経営シミュレーションではなく「RPG」を冠しているがゆえの期待値の高さ、そしてその期待が裏切られた際の落差を示していると言えるでしょう。
ストーリーとテンポの乖離
多くのプレイヤーが指摘しているのは、ゲームの進行が「足踏みをさせられている感覚」に陥ることです。レストランを経営し、新しいレシピを手に入れ、評判を上げていく。その一連の流れが、特定のアイテム(例えばパワーセル)の入手待ちや、NPCの移動待ちといった「ゲーム側の都合」によって、著しく阻害されているのです。
特に序盤の熱量が、中盤以降の「リソース集めのための単調な日々」によって急速に冷却されてしまう構造は、現代の忙しいゲーマーにとっては致命的なストレス要因になり得ます。どす恋まん花も、指紋がなくなるほどコントローラーを握りしめてきましたが、画面内の主人公の移動速度の遅さに、何度「せめて自転車を……!」と天を仰いだか分かりません。
ゲームデザインの構造的な欠陥
また、ゲームシステム間のバランスの悪さも無視できません。農業、醸造、狩猟といった多彩なサブシステムが存在するものの、それらが「レストラン経営」というメインディッシュを彩る副菜として十分に機能していないのです。むしろ、一部のシステムは「手間がかかる割に、店売りの食材を買ったほうが早い」という、効率を重視するプレイヤーにとっての徒労感を生んでいます。
ここで、あるプレイヤーの痛切な叫びを引用してみましょう。
(プレイ時間: 14時間) 3.5/5 stars. There are some parts of the game I really enjoy but the slowness of everything makes it feel so tedious… Please, cutscene dialogue skips, sprint, and a way to mass purchase ingredients instead of having to wait every single day to purchase 13 things of flour (which is doubly annoying since most recipes call for 5 of each ingredient). Also, finding out what gifts the characters enjoy is really hard! I’ve only been able to find a single well-received gift so far. They hate everything! The mechanics of drilling is also irritating too. I have to line up perfectly or it misses. So annoying. My general experience with this game has been “I wish this game would stop getting in the way of me playing this game”.
(3.5/5星。ゲームの中には本当に楽しんでいる部分もありますが、すべてが遅すぎて退屈に感じてしまいます……。カットシーンのスキップ、ダッシュ、そして毎日13個の小麦粉を買うために待つのではなく、大量購入できる方法を実装してください(ほとんどのレシピで5個ずつ使うので、これは二重にイライラします)。また、キャラクターが喜ぶプレゼントを見つけるのが本当に難しい!今のところ、喜ばれたプレゼントは一つだけです。彼らは何もかも嫌がります!採掘のメカニズムも腹立たしい。完璧に位置を合わせないと外れてしまいます。本当にイライラします。このゲームでの私の全体的な経験は、「このゲームが私のプレイを邪魔するのをやめてほしい」というものでした。)
この「ゲームがプレイを邪魔する」という表現こそ、本作の低評価の本質を突いています。プレイヤーが「やりたいこと」と、ゲームが「要求する手順」の間に巨大な溝があるのです。
期待が高かったからこそ、システムが足かせになる瞬間のストレスは計り知れません。
不満の元凶「There」の分析

頻出単語ランキングを見ると、「There」が52回とトップに君臨しています。単なる指示語に見えるこの単語がなぜこれほどまでに多用されるのか。それは、多くのプレイヤーが「There is no…(~がない)」「There are bugs…(バグがある)」と、現状の欠落や不具合を指摘せざるを得ない状況にあるからです。
「そこに」あるべき快適さの欠如
「There」という単語が使われるシチュエーションを分析すると、操作感やユーザーインターフェース(UI)への不満が浮き彫りになります。例えば、「アイテムをソートする機能がない」「コントローラーで釣りができない」「NPCがどこにいるか分からない」。これらの「本来あるべき利便性」の欠如が、プレイヤーの語彙を「There(あそこに~がない)」という指摘に集中させているのです。
まん花も、親の顔より見た画面の中で、何度インベントリの整理に苦労したことか。美しいグラフィックという表層のすぐ下に、未整備の砂利道が広がっているような、そんなもどかしさがこの単語には凝縮されています。
ストレスの発生メカニズム
特に操作性に関しては、「丁寧な描写」が仇となっている側面があります。ツールを使用する際のアニメーションロック、一回一回位置を微調整しなければならない採集システム。これらは一見リアリティに寄与しているように見えますが、数百、数千回と繰り返す作業においては、純粋な「壁」として立ちはだかります。
以下のレビューは、そのストレスを如実に物語っています。
(プレイ時間: 25時間) I REALLY wanted to like this game but man, there are so many problems. First off the game is very buggy in weird ways…If you hover over a foragable then your tool will work once then it will bug out and not work anymore. If you open your mail incorrectly it’ll glitch and you can NEVER open it in your whole playthrough, Threads complained about this bug over 9 months ago and it is still not fixed. When you enter a new area you stop moving and have to repress the buttons to move again. Whenever you use a tool you get stuck in an animation lock that’s boring and repetitive.
(本当にこのゲームを好きになりたかったのですが、問題が多すぎます。まず、奇妙なバグが非常に多いです……。採集ポイントにカーソルを合わせると、ツールが一回だけ動作し、その後はバグって動かなくなります。メールを間違った方法で開くとグリッチが発生し、そのプレイ中ずっと二度とメールが開けなくなります。スレッドでは9ヶ月以上前からこのバグが報告されていますが、いまだに修正されていません。新しいエリアに入ると移動が止まり、もう一度ボタンを押し直す必要があります。ツールを使うたびに退屈で繰り返しの多いアニメーションロックに捕まります。)
このように、バグと仕様の境界線が曖昧なまま、プレイヤーの時間を奪い続ける構造が「There」という不満の洪水を生んでいるのです。特にコントローラー使用時の入力不備や挙動の不安定さは、多くのプレイヤーから「プレイ不可能」とさえ評される原因となっています。
「美しさ」という看板に惹かれた客が、隙間風の吹く厨房で途方に暮れているのが現状です。
ユーザーが直面する現実
では、実際にこのゲームをプレイするとどのような「現実」が待っているのでしょうか。どす恋まん花が、人生の半分を捧げたかのように錯覚するほど没入した日々を振り返りつつ、その虚無と理不尽の正体を解剖します。
虚無の調理場と繰り返されるミニゲーム
朝起きて、遅い足取りで食材を集め、ようやく開店準備を整える。しかし、いざレストランを開店させると、そこに待っているのは「創造性」とは程遠い、単調なミニゲームの連続です。料理を作るたびに同じミニゲームを数十回と繰り返す。これを「シェフの体験」と呼ぶには、あまりにもゲーム性が希薄です。
スタッフを雇えば自動化も可能ですが、その精度は運(RNG)に左右されます。高評価を得るためには、結局自分でミニゲームをこなすしかない。この「強制された反復」が、いつしかプレイヤーの情熱を磨り減らしていきます。本来楽しいはずの「開店」が、いつしか「今日もまたあの作業か」という、現実の仕事のような憂鬱さに変わっていくのです。
理不尽なリソース制限とRNGの壁
さらにプレイヤーを追い詰めるのが、進行を司る「RNG(ランダム性)」の悪戯です。特定の料理を作るために必要な食材が、店の棚に何日も並ばない。重要なアップグレードに必要な「パワーセル」が、どれだけ働いても手に入らない。こうした状況に直面したとき、プレイヤーができることは「寝て、翌日を待つ」だけです。
特に冬のシーズンは、採取できる食材が激減し、店にも目新しいものが並ばず、ただベッドと店の往復を繰り返す「冬眠状態」を強いられます。これはもはやゲームプレイではなく、時間の消化に過ぎません。
(プレイ時間: 5時間) 第一次给模拟经营游戏打差评。因为真的很难受。我玩的时间很短,剧情评价不了。那我从时间管理,资源管理,操作感,美术四个角度评价一下起码前期的问题。这个游戏每天开店的时间跟采集食材的时间完全是重合的,而且两者都没有上限。开店的时候让你觉得你在亏食材,采食材的时候让你觉得你在亏钱。也许后期可以靠员工什么的改善,但是前期很闹心。
(経営シミュレーションゲームに初めて低評価をつけました。本当に苦痛だからです。プレイ時間は短いのでストーリーは評価できませんが、時間管理、リソース管理、操作感、美術の4つの観点から、少なくとも序盤の問題を評価します。このゲームは、毎日店を開ける時間と食材を採集する時間が完全に重なっており、どちらにも上限がありません。店を開けている間は食材を損している気分になり、食材を採集している間はお金を損している気分になります。後半になれば従業員などで改善できるのかもしれませんが、序盤は非常にイライラします。)
この「何をしても何かを損している」という感覚は、プレイヤーに焦燥感を与えます。効率的なプレイを目指そうとすればするほど、ゲームの不自由な仕様が牙を剥き、プレイヤーの精神を削り取っていくのです。
「理想のレストラン」を建てるための煉瓦が、運任せの箱からしか出てこない絶望。
それでも支持される理由
ここまで手厳しい意見を並べてきましたが、それでも『Chef RPG』の好評率が88%という高い水準にあるのは、本作に「代えがたい魅力」が存在するからです。どす恋まん花も、血肉を分けたかのような愛着を抱いている部分は多々あります。
唯一無二のアートスタイルと世界観
何よりも特筆すべきは、その圧倒的なビジュアルです。近未来とレトロが融合した「レトロフューチャー」な港町の雰囲気、そこに暮らすアンドロイドや個性豊かな住民たち。ジブリ作品を彷彿とさせるような、どこかノスタルジックで憂いのある色彩設計は、歩いているだけで溜息が出るほど美しい。
この世界に「住みたい」と思わせる力、そして画面から漂ってきそうなほど瑞々しく描かれた料理のグラフィック。これらは、多くの欠点を覆い隠すほどの「没入感の土台」となっています。
経営シムとしての底知れぬポテンシャル
また、批判の対象となっている複雑なシステムも、裏を返せば「やり込み要素の宝庫」です。酒造システムにおける試行錯誤や、スキルの組み合わせによる自分だけのプレイスタイルの構築。これらがカチリと噛み合った瞬間、本作は他の追随を許さないほど濃厚な「経営RPG」へと化けます。
現在はアーリーアクセスということもあり、粗削りな部分は目立ちますが、開発者がコミュニティの意見を取り入れ、日々修正を行っている姿勢も評価されています。「今はまだ未完成だが、いつか神ゲーになるはずだ」という、プレイヤーたちの祈りに似た期待が、この高い支持率を支えているのでしょう。
不満を漏らしながらも数百時間を費やしてしまうプレイヤーが続出しているのは、本作の核にある「レストラン経営」という夢が、あまりにも魅力的だからに他なりません。
この美しい地獄を愛せるかどうかが、本作を「神ゲー」と呼べるかの分水嶺です。
最終評価と購入ガイド
さて、どす恋まん花としての結論をお伝えしましょう。
『Chef RPG』は、現時点では「非常に人を選ぶ、未研磨の宝石」です。美しいドット絵に癒やされたいだけの方、あるいはスピーディーで快適な経営を求める方には、現状のバグとテンポの悪さは耐え難い苦痛になるかもしれません。しかし、不便ささえも「この世界の理不尽さ」として受け入れ、地道な作業の先に自分だけの城を築くことに喜びを感じる「真の作業ゲー愛好家」であれば、これほどしゃぶり甲斐のあるタイトルも珍しいでしょう。
最後に、購入を迷っている皆様のためにチェックリストを用意しました。
✅ 購入をお勧めする人
- ドット絵の美しさだけで、数時間は画面を眺めていられる人
- 効率よりも「その世界の住人として生きる不自由さ」を楽しめる人
- アーリーアクセスのバグを「成長の過程」として笑って許せる寛容なシェフ
❎ 購入を避けるべき人
- 「Stardew Valley」のような、完成されたUIと快適なテンポを期待している人
- ミニゲームの繰り返しや、移動時間の長さに強いストレスを感じる人
- 日本語がないとシステム理解に支障をきたし、翻訳ツールを使うのが面倒な人
今はまだ、厨房の火加減が安定していません。しかし、この料理が完成したとき、歴史に残る一皿になる可能性を秘めていることだけは確かです。
以上、どす恋まん花がお送りしました。
執筆:どす恋まん花
