皆様、ごきげんよう。どす恋まん花です。
話題の新作、そして2025年のゲームシーンを席巻している『Clair Obscur: Expedition 33』。メタスコア91点、好評率96%という、まさに「神ゲーの皮を被った怪物」が我々の前に現れました。
どす恋まん花は、この作品の美しさに魅了され、気づけば2000時間という、人生の貴重な時間をすべてこの遠征隊に捧げてしまいました。もはや私の毛細血管には血ではなく、このゲームの舞台であるルミエール大陸の色彩が流れているのではないかと錯覚するほどです。
しかし、華々しい絶賛の嵐の影には、決して無視できない「痛烈な批判」が渦巻いています。なぜ、これほどまでに完成度の高い作品が、一部のゲーマーから「低評価」という冷水を浴びせられているのか。今回は、一人の廃人ゲーマーとしての熱量を保ちつつ、データに基づいた鋭いメスで、本作の「光と影」を解剖していきたいと思います。
作品概要

本作は、ベル・エポック期のフランスを想起させる世界を舞台にした、進化型ターン制RPGです。「描かれた数字と同じ年齢の者が消滅する」という呪いを解くため、プレイヤーは第33遠征隊を率いて死の輪廻を止める決死の旅に出ます。
最大の特徴は、コマンドバトルにリアルタイム要素を融合させた戦闘システムです。敵の攻撃に合わせた回避やパリィ、カウンターが可能なほか、エイム操作で弱点を狙うといったアクション性の高い戦闘が楽しめます。Unreal Engine 5による美麗なグラフィックで描かれる広大な世界を、仲間の能力を駆使して探索する、戦略と没入感が共鳴する一作です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Clair Obscur: Expedition 33 |
| 発売日 | 2025年4月24日 |
| 開発元 | Sandfall Interactive |
| 価格 | ¥ 5,984 |
| 総レビュー数 | 237,384件 |
| 評価内訳 | 高評価: 227,420 / 低評価: 9,964 |
| 好評率 | 96% |
| 平均スコア | ★★★★★ (4.8) / 5.0 |
| メタスコア | 91 / 100 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | 第33遠征隊のメンバーを率い、死を描き続けるペイントレスを打倒せよ。ベル・エポックのフランスをモチーフにした驚異の世界を冒険し、リアルタイムで進行するターン制RPGでユニークな敵と戦おう。 |
| 他機種展開 | Xbox Series X|S |
データが示す不満の傾向

本作を人生の半分を捧げたと言っても過言ではないほどプレイし続けていると、ある種の「歪み」が見えてきます。高評価の海に隠れた約1万件の低評価。その内訳を見ると、非常に興味深い事実が浮かび上がってきました。
「操作性/戦闘」に集中するプレイヤーの悲鳴
不満カテゴリの第1位に輝いたのは、「操作性/戦闘」の52件です。これは単なるボタンの押し心地の話ではありません。本作が提唱する「進化型ターン制RPG」というコンセプトそのものが、一部のプレイヤーにとっては「苦行」として映っているのです。
多くの低評価レビュアーが指摘しているのは、「防御コマンドの欠如」と、それに伴う「アクションの強制」です。従来のJRPGファンが求めているのは、熟考の末に最適なコマンドを選ぶ「静的な知略」でした。しかし、本作はそこに「動的な反射神経」を容赦なくブチ込んできたのです。
期待と現実のミスマッチ
なぜ、このカテゴリが不満を集めるのか。それはプレイヤーが「RPG」という言葉に抱く期待と、本作のデザインが真っ向から衝突しているからです。レベルを上げ、装備を整え、万全の状態で挑んでも、敵の攻撃をパリィできなければ一瞬で全滅する。この「数字による解決」を拒絶する姿勢が、一部の層には「RPGとしてのアイデンティティ崩壊」と受け取られています。
特に、仕事終わりにリラックスして物語を楽しみたいと考えていた社会人ゲーマーにとって、毎戦、一瞬の油避も許されない緊張感を強いられるシステムは、快楽ではなく「疲労」の源泉となってしまったようです。
(プレイ時間: 2時間) ターン制のバトルが好きなら、このゲームにあなたの求めるものはありません。 ターン制バトルの醍醐味といえば戦略性。ターンの中で行動できるのは一度のみ、防御行動をすれば攻撃はできない。逆もまた然り。この原則の中で行動順を見ながら、攻撃と防御のバランスをとってコマンドを選択する。これが面白いのだ。 そしてこのゲームには戦略と言えるものはない。いかに効率よくダメージを与えるかだけしか考えるところがない。 だって防御行動は敵のターンで行うのだから。
それは戦略の進化ではなく、静寂の破壊である。
不満の元凶「戦闘」の分析

もはや親の顔より見た画面の中で、私は何度「パリィ」という単語を脳内に刻んだことでしょう。頻出単語ランキングを見てください。第1位の「戦闘(90回)」に続き、第2位には「パリィ(81回)」が君臨しています。RPGのレビューでありながら「回避(43回)」や「攻撃(42回)」といったアクション用語が上位を占めている点は、本作の特異性を如実に物語っています。
パリィ大正義という名の呪縛
まん花が本作をプレイしていて最も強く感じたのは、システムの「遊びのなさ」です。本作の戦闘は、一見すると多様なビルドが可能なように見えますが、実のところ「パリィを成功させてカウンターを叩き込む」という単一の解に収束してしまいます。
開発側はこれを「爽快感」と呼びますが、一部のプレイヤーには「強制」と映ります。敵の攻撃モーションは、このパリィを成功させるために意図的に長く、あるいは「タメ」を効かせたものになっています。これが「戦闘のテンポを著しく損なっている」という批判に繋がっているのです。
QTEの亡霊が蘇る
2000年代にゲーマーを震え上がらせた「QTE(クイックタイムイベント)」。本作の戦闘は、実質的にこのQTEの連続です。自ターンの攻撃時ですらタイミングを求められ、敵ターンになれば画面を注視してタイミングよくボタンを押す。これが10時間、20時間と続いた時、プレイヤーの脳は情報の飽和状態に陥ります。
「RPGなのに、なぜ私はリズムゲームをさせられているのか?」という根源的な疑問。特に、数百、数千の戦闘を繰り返すRPGにおいて、一戦一戦にこれほどの集中力を要求する設計は、廃人仕様を通り越して「精神修行」に近いものがあるのかもしれません。
(プレイ時間: 8時間) このタイトルでは、パリィのシステムを何が何でも使わせるために、敵の攻撃モーションが毎回長いものとなっています。そのため、戦闘のテンポが悪いです。アクションゲームで、テンポの良い戦闘の中にパリィが組み込まれているのとは全然異質のものです。 そもそも、こうしたQTEは、過去にプレイヤーたちがとことん忌み嫌って葬り去ったはずです。それを戦闘のたびに毎回やらされるのは、画期的でも何でもない、非常に陳腐なゲーム体験だと思います。
コマンドバトルの戦略性は、反射神経の奴隷に成り下がった。
ユーザーが直面する現実
本作を指紋がなくなるほど遊び尽くした私が、ここで敢えて「理不尽な体験」について、一人のプレイヤーの視点から描写してみましょう。それは、豪華絢爛なトレイラー映像からは決して見えてこない、泥臭くストレスフルな「真実の旅」です。
迷宮という名の、ただの「道」
プレイヤーが最初に直面する壁は、敵の強さではありません。「地図の不在」です。Unreal Engine 5によって描かれたルミエール大陸は、確かに息を呑むほど美しい。しかし、その美しさは同時に「道と壁の区別がつかない」という致命的な視認性の低さを生んでいます。
霧が立ち込める森、入り組んだ洞窟、壮麗な宮殿。どこを向いても同じような「芸術的背景」が続く中で、ミニマップすら与えられないプレイヤーは、ただ自分の方向感覚だけを信じて彷徨うことになります。宝箱を探して脇道に逸れたが最後、自分がどちらから来たのか、どこへ向かっているのか、コンパスすら存在しない世界で「遭難」が始まるのです。
「遠征隊」を名乗りながら、地図すら作成しない主人公たち。プレイヤーは次第に、目の前の絶景を楽しんでいるのではなく、「キャラクターを壁に擦り付けて、登れる段差がないか確認するだけのマシーン」へと変貌していきます。
オートセーブの冷徹な一撃
さらに追い打ちをかけるのが、手動セーブの廃止と、不親切なチェックポイント設計です。ボス戦。一瞬のパリィミスでパーティが半壊し、数十分の死闘が無に帰したとき、プレイヤーが目にするのは「タイトルに戻る」の文字。
ようやく再開したかと思えば、そこはボス戦の直前ではなく、遥か手前の「迷子になったあの場所」です。何度も繰り返される、飛ばせない中ボスの会話イベント。セーフティポイントに触れたいのに、仲間たちが呑気に小話を始めたせいで回復できない数秒間のもどかしさ。これらが積もり積もって、プレイヤーの心を少しずつ、しかし確実に削り取っていきます。
語られない言葉、届かない真実
また、海外プレイヤーの視点も忘れてはなりません。本作の翻訳には、独特の「違和感」が漂っています。ここで一つ、北米掲示板で見つけた痛烈な批判を引用しましょう。
“The localization feels like it was put through a blender. Key terms like ‘Erase’ lack the punch they should have, and the poetic nuance of the French origin is lost in a sea of generic JRPG tropes. It’s a visual masterpiece with a linguistic identity crisis.”
(翻訳:ローカライズはまるでブレンダーにかけられたようだ。『抹消』のようなキーワードには本来あるべき衝撃が欠けており、フランス語圏特有の詩的なニュアンスは、ありふれたJRPGの決まり文句の海に消えている。これは、言語的なアイデンティティ・クライシスに陥った視覚的傑作だ。)
ストーリーの根幹を支えるはずの言葉が、プレイヤーの心に響かない。専門用語が飛び交う一方で、キャラクターの心理描写は抽象的すぎて、「家族喧嘩に世界が巻き込まれているだけではないか?」という虚無感に襲われる。クリア後の達成感が「感動」ではなく「やっと終わったという解放感」になってしまうのは、RPGとしてこれ以上ない悲劇です。
(プレイ時間: 33時間) 一言でいえば、このゲームはなんでこんなに評価が高いのかわからないゲーム ストーリーに関して ネタバレを含みますのであえて詳細には言いませんが、プロローグであった細かい設定なんかを完全無視しながらフランス映画特有の抽象的表現をふんだんに使ったご都合主義エンドになってました ストーリー根幹にあるキーワードがいきなり出てきて以降「お前これでストーリーある程度理解できただろ?」って感じで話が進んでいきます
美しすぎる世界は、迷える羊たちにとって残酷な檻となった。
それでも支持される理由
これほどまでに不満点が明確であるにもかかわらず、なぜ本作は「神ゲー」として君臨し続けているのでしょうか。もはや脳が本作のコードで書き換えられるほどプレイした私には、その魔力もまた、痛いほど理解できるのです。
抗いがたい「美」の暴力
まず、このゲームには圧倒的な「正義」があります。それは「グラフィックと音楽」です。次世代機の性能をフルに活用した映像美は、他の追随を許しません。光と影が織りなす幻想的な風景、キャラクターの微細な表情の変化。それらが最高潮に達する瞬間、プレイヤーはすべての不便さを「この景色を見るための代償」として許容してしまうのです。
「成功体験」のドラッグ的側面
そして、批判の対象であった戦闘システムも、一度「波」に乗ってしまえば、これほど中毒性の高いものはありません。敵の猛攻をすべてパリィで捌ききり、超高火力のカウンターを叩き込んだ瞬間の脳汁(ドーパミン)の出方は、他のターン制RPGでは決して味わえない領域に達しています。
それは「RPG」を遊んでいるというより、「コマンドを介して死の舞踏を踊っている」という感覚に近い。高難易度であればあるほど、一歩間違えれば即死という崖っぷちでのやり取りが、熱狂的な支持層を生み出しているのです。
JRPGへの「異常な愛」
開発元Sandfall Interactiveが掲げた「JRPGへのリスペクト」。これは単なる宣伝文句ではありませんでした。不便なマップ、理不尽なミニゲーム、大味な物語展開――これらさえも、かつての黄金期JRPGが持っていた「粗削りな情熱」の再現だと捉える向きもあります。
洗練されすぎた現代のゲームにはない、クリエイターの「これがやりたかったんだ!」というエゴ。その熱量が、欠点すらも「味」として昇華させているのかもしれません。
不完全ゆえに愛される、それは一種の宗教的体験です。
最終評価と購入ガイド
さて、まばたきを忘れて眼球が乾燥しきるまでこのゲームと向き合ってきた「どす恋まん花」の結論です。
『Clair Obscur: Expedition 33』は、万人に勧められる「優等生なRPG」ではありません。むしろ、非常に気難しく、プレイヤーの資質を厳しく選別する「選民思想的な傑作」です。
映像美に酔いしれ、己の反射神経を信じ、不条理な迷宮すらも「旅の醍醐味」として笑い飛ばせる強靭な精神の持ち主にとって、これ以上の宝物はないでしょう。しかし、一歩一歩着実にレベルを上げ、理論に基づいた戦略で敵を圧倒したいと願う正統派RPGファンにとって、このゲームは「美しい皮を被った毒薬」になり得ます。
購入を迷っているあなた。自分が「ゲームに何を求めているのか」を、今一度問い直してみてください。
✅ 購入をお勧めする人
- UE5による最高峰の映像美と、幻想的な世界観に没入したい人
- ターン制バトルに「緊張感」と「アクションの爽快感」を求める人
- 死にゲー特有の「敵の動きを見切る楽しさ」をRPGでも味わいたい人
❎ 購入を避けるべき人
- 反射神経を求められる要素が苦手で、静かに戦略を練りたい人
- ミニマップのない探索や、不親切なUIに強いストレスを感じる人
- 論理的で整合性の取れた、分かりやすいストーリーを重視する人
以上、どす恋まん花がお送りいたしました。
このレビューが、皆様の「遠征」の一助となれば幸いです。それでは、また次なる戦場でお会いしましょう!
執筆:どす恋まん花
