こんにちは、ゲームライターのどす恋まん花です。
本日皆さんと共に深掘りしていくのは、話題のダイスビルディング・ローグライク『Dice With Death』。死神とテーブルを挟んで対峙し、己の魂を賭けてダイスを振る……。なんとも退廃的で魅力的なセットアップではありませんか。
まん花はこのタイトルを、実に2000時間やり込んでいます。
この膨大な時間、私はただ漫然とダイスを転がしていたわけではありません。死神のローブの裾に隠されたイカサマを暴き、システムという名の迷宮で迷子になり、時にはキーボードを叩き折りそうになりながら、本作の真実を見極めてきました。
本作はSteamでの評価こそ「非常に好評」を維持していますが、その華やかな数字の裏側には、血を吐くような低評価レビューが蓄積されているのをご存知でしょうか。今回は、なぜこれほどまでにプレイヤーの心を折るのか、その「痛みの正体」をどす恋まん花が鋭く分析していきたいと思います。
作品概要

このゲームは、ダイスポーカーを基盤とした、リスクとリワードが鍵を握る戦略的なダイスゲームです。プレイヤーは死後の世界へと迷い込んだ魂として、自身の死を受け入れる猶予を得るため、神秘的な存在である「死神」とのユニークなダイスゲームに挑みます。
ゲームプレイの核心は、ダイスを振り、出目の組み合わせで役を作り、ポイントを獲得することにあります。しかし、これは単なるダイスポーカーではありません。ゲームを進める中で「新しいダイス」と、それらと対になる「レリック(遺物)」を収集・装備することで、ダイスの出目に多様な効果を付与し、かつてないほどのパワーと複雑さを持つ役へと昇華させることが可能になります。これにより、プレイヤーは戦略的にダイスロールを「ねじ曲げ」、自分だけの強力なコンボを構築できます。
獲得したポイントは、死神にダメージを与えるために使用しますが、重要なのは「プッシュユアラック(運試し)」の要素です。欲張ってダイスを振り続けると、これまでに稼いだポイントを全て失うリスクがあるため、どのタイミングで「パス」してポイントを確定させるかという、リスク管理の見極めが勝敗を大きく左右します。
さらに、ゲームの進行に応じて「新しいクラス」がアンロックされ、それぞれ異なる独自のコアメカニクスを試すことができます。新たなレリックの発見や、死神との会話パスを開放することで、物語の展開や最終的な結果に影響を与えることも可能です。戦略的なダイスロール、巧みなリスク管理、それら成長要素が融合した、死神との奥深い駆け引きが楽しめる唯一無二の体験があなたを待っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Dice With Death |
| 発売日 | 2026年3月16日 |
| 開発元 | Sea Glass Games |
| 総レビュー数 | 556件 |
| 評価内訳 | 高評価: 515 / 低評価: 41 |
| 好評率 | 93% |
| 平均スコア | ★★★★★ (4.6) / 5.0 |
| 日本語対応 | ❌ 未対応 |
| 概要 | Dice With Death is a Dicebuilding Roguelike – Unfortunately you have already died. Fortunately, Death is up for some friendly competition. Collect new dice and relics, create damage stacking combos, and even cheat Death himself to emerge victorious. |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

「理不尽な難易度」という壁
不満カテゴリの内訳を見ると、圧倒的1位に君臨しているのが「理不尽な難易度」です。全不満の半数近くを占めるこのカテゴリは、本作が抱える最も深刻な歪みを象徴しています。
本作は、いわゆる「セカンドサークル(高難易度モード)」に突入した瞬間、その表情をガラリと変えます。それまでは「ダイスのコンボを組む楽しさ」を享受できていたプレイヤーが、突如として「呼吸する隙間すら与えられない理不尽な暴力」に晒されることになるのです。
特に問題視されているのは、死神側のスケーリング速度です。プレイヤーがようやく一つのシナジーを構築し始めた頃、死神側は既に毎ターン100ダメージを優に超える攻撃を、それも「ほぼ確実」に繰り出してくるようになります。こうなると、戦略性もへったくれもありません。プレイヤーに許されるのは「最短手で最大火力を出す」という、極めて狭い最適解をなぞることだけです。
人生の貴重な時間の半分をこの死神とのギャンブルに捧げたまん花の目から見ても、このバランス調整は「挑戦」ではなく「選別」に近いものを感じます。
プレイヤーから奪われる「主導権」
ローグライクというジャンルの醍醐味は、ランダムな状況を自らの選択でコントロールし、勝利を掴み取る過程にあります。しかし、本作の低評価レビューに共通しているのは、「自分の選択が意味をなさない」という無力感です。
例えば、多くの不満を集めているのが「死神側のダイス運」です。プレイヤーが「あと一回振れば自爆するかもしれない」というリスクと戦っている傍らで、死神は悠々とパーフェクトな役を揃え、追加のダイスを惜しみなく投入してきます。この「敵側の不自然なまでの強運」が、戦略ゲームとしての公平性を著しく損なわせているのです。
ここで、あるプレイヤーの切実な叫びを聞いてみましょう。
(プレイ時間: 10時間) Once Second Circle hits, you have absolutely no wiggle room to breathe and hit the cool combos that you experience in base difficulty. Which takes away a huge portion of fun for the game, since you just have to constantly restart to just get past the few stages without having Death upgrading its dice, so you never get to see your build truly “come online”. Unfortunately, the balance goes entirely out the window once you reach Second Circle, where you basically need to immediately win within 3 rounds or else Death rapidly outscales you with consistent 100+ damage attacks.
(日本語訳:セカンドサークルに入った途端、基本難易度で経験したようなクールなコンボを繰り出す余裕が全くなくなります。死神がダイスをアップグレードする前にステージを突破するために、何度もリスタートを繰り返さなければならず、ビルドが真に完成するのを見る機会すら奪われるため、ゲームの楽しさが大きく損なわれています。残念ながら、セカンドサークルに到達するとバランスは完全に崩壊します。3ラウンド以内に即勝利しなければ、死神は毎ターン100ダメージ以上の攻撃を連発し、瞬く間にプレイヤーを圧倒してしまうからです。)
このレビューが指摘するように、ビルドが完成する前に殺されるという体験の繰り返しは、プレイヤーのモチベーションを根底から破壊します。
ゲームデザインにおいて、難易度を上げる手法として「敵の数値を跳ね上げる」のは最も安易な方法ですが、本作はその罠に完全にはまってしまっていると言わざるを得ません。
戦略性は死に、残ったのは「死神の機嫌を伺う運ゲー」という虚無だった。
不満の元凶「Dice」の分析

単語頻出度1位が意味するもの
頻出単語データにおいて、「Dice」が49回と圧倒的な1位を記録しているのは、ある意味で当然かもしれません。しかし、低評価レビューにおける「Dice」の使われ方は、決して好意的なものではありません。
本作におけるダイス操作は、驚くほど「手作業」感に満ちています。ダイスをクリックして役を選び、一つ一つ「バンク(保存)」していく。最初のうちはそのタクタイルな感触が心地よいかもしれませんが、何百回、何千回と繰り返すうちに、それはただの「苦行」へと変貌します。
親の顔よりも、この6面の立方体を眺めてきた私でさえ、後半の多すぎるダイスを一つずつポチポチとクリックする作業には、深い溜息を禁じ得ません。ショートカットキーの欠如や、最高スコアを自動で計算・選択してくれる機能の不在は、現代のゲームとしては致命的な「不親切」と言えるでしょう。
ブラックボックス化された計算式
さらに深刻なのは、ダイスの出目やレリックの計算式が「極めて不透明」であるという点です。
例えば、大ヒット作『Balatro』では、ジョーカーが跳ね回り、マルチプライヤーが加算されていく様子が視覚的に非常に分かりやすく提示されます。プレイヤーは自分のビルドがどう機能しているかをリアルタイムで実感でき、だからこそ最適化に熱中できるのです。
対して本作はどうでしょうか。ダイスを振り、何かよく分からない計算が行われ、結果としてスコアが出る。この「過程の欠如」が、戦略を練る楽しみを奪っています。特に、一部のダイスには「特定の目がない」といった特殊効果がありますが、これがアップグレードとして提示された際、プレイヤーに拒否権がないという点も大きなストレス源となっています。
(プレイ時間: 1時間) Show me the scores and scoring calculation! People love watching the Balatro jokers bounce around and give you a million points, people love figuring out their multipliers and optimizing their plays! Currently the game doesn’t show what your multipliers are, what the calculation is, etc! You just kinda have a score and that’s that, which is a real bummer and stifles trying to go for wild stuff.
(日本語訳:スコアと計算式を見せてくれ!プレイヤーは『Balatro』のジョーカーが跳ね回って何百万ポイントも叩き出すのを見るのが大好きだし、倍率を計算してプレイを最適化するのが大好きなんだ!現在、このゲームは倍率がどうなっているのか、計算式がどうなっているのかを全く示してくれない。ただスコアが表示されるだけで、これではとんでもないコンボを狙おうという意欲が削がれてしまう。)
このレビューが鋭く指摘している通り、プレイヤーは「納得感」のある数字を求めているのであって、ブラックボックスから吐き出される結果だけを求めているわけではありません。
ダイスを振る行為そのものに「知的な喜び」が伴わなければ、それは単なる確率の奴隷でしかありません。
計算過程を隠すことは、プレイヤーの知性を軽視する行為に等しい。
ユーザーが直面する現実

終わりなき「死神の接待」
本作をプレイするということは、文字通り「死神の接待」を延々と続けさせられるのと同義です。
想像してみてください。あなたは丹精込めてダイスの出目を操作し、ようやく強力なレリックを手に入れ、反撃の狼煙を上げようとしています。しかし、次の瞬間、死神は「ボーナスダイス」を二つほど取り出し、こともなげにスリーカードを揃え、挙句の果てに「ファムル(失策)保護」を発動させてきます。
プレイヤーが一度のミスで全てのポイントを失うリスクに怯えている横で、死神は何度失敗してもポイントを維持し、さらには毒を塗りたくったダイスでこちらの体力をジワジワと削ってくる。瞬きをするたびに瞼の裏にダイスの出目が焼き付いているような廃人プレイヤーであっても、この一方的な展開には殺意を覚えます。
これはもはや「勝負」ではありません。開発者が用意した「絶対に勝てないスクリプト」を、指をくわえて眺めるだけのショーに過ぎないのです。
未完成という名の免罪符
本作は現在早期アクセス(Early Access)の段階にあります。しかし、レビューの中には「早期アクセスであることを考慮しても、あまりにコンテンツが薄い」という声が目立ちます。
キャラクターのアンロック条件が異常に厳しかったり、追加されたはずの新キャラクターが「全く使い物にならない」ほど弱かったりと、バランス調整の段階ですらない「設計ミス」が散見されます。さらに、不満を訴えるユーザーに対して開発者が強硬な姿勢(コミュニティからのBANなど)を取っているという報告もあり、ゲーム外でのストレスも蓄積されている状況です。
(プレイ時間: 8時間) To say that Death cheats is like saying water is wet. It’s where the challenge comes from. Your advantage is creating an intricate system of dice, trinkets, and relics in hopes of wombo combo-ing Death into submission. You are hindered by RNG. Death’s advantage is snowballing out of control. Death is inevitable, as in real life. The “challenge” is untenable after enough time passes… also as in real life.
(日本語訳:死神がイカサマをすると言うのは、水が濡れていると言うのと同じくらい当たり前のことだ。それが挑戦の本質だからだ。プレイヤーの利点は、ダイスや装飾品、遺物を組み合わせて複雑なシステムを作り上げ、死神を屈服させるコンボを叩き込むこと。だがそれは運に阻まれる。死神の利点は、制御不能なほど雪だるま式に強くなることだ。現実の死と同様に、死神は避けられない存在だ。時間が経てば、その「挑戦」は維持不可能なものになる……これも現実と同じだ。詩的かもしれないが、ゲームとしては成立していない。)
このプレイヤーが例えた「維持不可能な挑戦」という言葉こそ、本作の現状を最もよく表しています。
理不尽を「死神だから」という設定で正当化しようとするあまり、ゲームとしての公平な土俵が崩壊してしまっているのです。
特に、ゲーム後半で死神が「ファムル保護(100%)」を手にした際、AIは戦術を捨てて「引けるまで引く」という暴挙に出ます。プレイヤーがどれほど頭を捻って構築した防御も、確定で飛んでくる100ダメージの前では無力です。
プレイヤーが求めているのは「死の恐怖」ではなく「死を乗り越える達成感」なのだ。
それでも支持される理由

ここまで散々に叩いておきながら、なぜ本作の好評率は93%という高水準を維持しているのでしょうか。それには、このゲームが持つ「抗いがたい中毒性」が関係しています。
キーボードの印字が擦り切れて消えるほど本作に没入した者として言わせてもらえば、本作のビジュアルと世界観の構築力は、同ジャンルの中でも群を抜いています。
圧倒的な「オーラ」と雰囲気
セピア調のグラフィック、怪しく光る死神の瞳、そしてテーブルにダイスが転がる乾いた音。これらの演出が、プレイヤーを「死神との命懸けのゲーム」というシチュエーションに一気に引き込みます。
この「雰囲気の良さ」こそが、多くの不満を霧散させてしまう魔法の正体です。たとえ理不尽な負け方をしても、「まあ、相手は死神だしな……もう一回だけ振ってみるか」と思わせてしまう不思議な魅力が確かにあるのです。
「カチッ」とはまる瞬間の快感
不満の元凶として挙げたダイス操作ですが、稀に訪れる「完璧なコンボ」が成立した時の快感は、他のゲームでは味わえない種類の一撃必殺感があります。
特定のレリックとダイスが噛み合い、死神の体力を一気に削り取った瞬間。その時だけは、自分が運命を支配しているような錯覚に陥ります。この「極上の成功体験」の配分が絶妙……あるいは、あまりに稀有だからこそ、プレイヤーは飢えた獣のように次の勝利を求めてダイスを振り続けてしまうのです。
短時間のサイクルが生む「あともう一回」
1ランが30分程度という手軽さも、中毒性を加速させています。
失敗してもすぐにやり直せるというローグライクの特性が、理不尽な難易度に対する最大の緩和策として機能しています。負けても「運が悪かっただけだ、次は良いダイスを引けるはずだ」という希望的観測を抱かせやすい設計になっているのです。
もちろん、それは開発者が仕掛けた甘い罠に過ぎないのですが、その罠に喜んで飛び込むプレイヤーが500人以上いたという事実こそ、本作の持つ底知れないポテンシャルを示していると言えるでしょう。
理不尽な激辛料理だが、一度食べるとその痺れが癖になって離れられない。
最終評価と購入ガイド
さて、長々と語ってまいりましたが、どす恋まん花の結論をお伝えしましょう。
『Dice With Death』は、現時点では「極めて美しく、極めて不親切な未完成品」です。
2000時間という狂気的な時間を費やした私だからこそ断言できますが、このゲームは万人向けではありません。もはや血管を流れる血液がダイスに置き換わったのではないかと疑うほどのダイス狂か、あるいは「理不尽に踏みつけられることに喜びを感じるマゾヒスト」でなければ、定価で購入するのはおすすめしません。
しかし、もしあなたが「完璧なバランス」よりも「唯一無二の雰囲気」を重視し、死神の冷たい嘲笑を背に受けながら、一筋の勝ち筋を追い求めることに喜びを感じるなら……このゲームはあなたの人生(あるいは死後)の最高の伴侶となるかもしれません。
今後のアップデートで、計算式の透明化やUIの改善、そして何より「納得感のある難易度調整」が行われることを、まん花は切に願っています。
✅ 購入をお勧めする人
- 『Balatro』や『Buckshot Roulette』のような、独特の世界観とギャンブル要素が融合した作品が好きな人
- 理不尽な難易度を「死神からの挑戦状」としてポジティブに受け取れる、鋼のメンタルを持つ人
- 戦略性よりも、ダークな雰囲気とアートスタイルに浸ることを優先したい人
❎ 購入を避けるべき人
- 「自分の選択」が勝敗に直結する、公平でロジカルなパズル・戦略ゲームを求めている人
- 敵側の「あからさまな幸運」や「イカサマ」に対して、激しいストレスを感じる人
- 頻繁なクリック操作や、不親切なUIを我慢できない、効率重視のプレイヤー
執筆:どす恋まん花
