皆さん、ごきげんよう。ゲームの深淵を覗き込み、時にはその深淵から大剣で斬りつけられることを至上の喜びとするブロガー、どす恋まん花です。
本日取り上げるのは、発表当初からそのあまりに「HELL YEAH(最高だぜ)」なコンセプトで世界中のゲーマーの度肝を抜いた一作、『Dinoblade』です。恐竜が口に巨大な剣を咥えて暴れ回る。男児の夢を煮詰めて、さらに煮詰めて焦がしたようなこのゲーム、皆さんはもう手に取られましたか?
まん花はこの作品に対し、並々ならぬ熱量を持って接してきました。どれくらいかと言えば、この『Dinoblade』を2000時間やり込んでいるほどです。もはや自分の指がスピノサウルスの爪なのか、キーボードを叩くための道具なのか分からなくなるほど、この太古の世界に浸かってまいりました。
しかし、巷を見渡せば「神ゲー」と崇める声の裏側で、怨嗟に近い「低評価」が渦巻いているのも事実です。今回は、一人の廃人ゲーマーとしての視点と、蓄積されたデータに基づいた冷静な分析を交え、本作の真の姿を解剖していきたいと思います。
作品概要

『Dinoblade』は、大災害により変貌を遂げた太古の世界を舞台に、恐竜たちが武器を手に戦うハイテンションなアクションRPGです。プレイヤーは若きスピノサウルスの個体となり、自らの体躯に匹敵する巨大な大剣を振るって、迫りくる絶滅の運命を覆すための死闘に身を投じます。
本作の核となるのは、重厚かつスピード感溢れる剣戟アクションです。多彩な攻撃コンボを軸に、敵の猛攻を紙一重でかわす回避やローリング、タイミングを極めるパリィを駆使する、テクニカルで緊張感のあるバトルが楽しめます。各地を支配する強大な頂点捕食者「アルファ」を討伐することで、新たなスキルの習得や破壊的な能力の解放が可能となり、自分だけの戦闘スタイルを築き上げることができます。
恐竜×大剣という唯一無二のロマン
まず特筆すべきは、その圧倒的なビジュアルコンセプトでしょう。かつてこれほどまでに「剣」と「恐竜」を真正面から融合させた作品があったでしょうか。スピノサウルスが巨躯をくねらせ、口に咥えた大剣で真空波を飛ばす。そのアニメーション一つひとつに、開発者の狂気的なまでの愛が感じられます。
探索と成長のサイクル
探索要素も充実しており、乾燥した渓谷から霧深い密林まで、圧倒的なスケールで描かれる多彩なバイオームには、強力な伝説級の武器が各地に眠っています。過酷な荒野を生き抜き、種族の存亡を懸けた謎を解き明かしていく物語は、プレイヤーの手に委ねられます。「恐竜×大剣」という独創的なコンセプトで描かれる世界で、歴史を塗り替える伝説の存在を目指す体験は、他の追随を許さない魅力があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Dinoblade |
| 発売日 | 2026年7月23日 |
| 開発元 | Team Spino LLC |
| 総レビュー数 | 625件 |
| 評価内訳 | 高評価: 564 / 低評価: 61 |
| 好評率 | 90% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.5) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | 『Dinoblade』は、大災害によって変貌した太古の世界を舞台にしたアクションRPG。若きスピノサウルスとなり、大剣を振るって絶滅を阻止せよ。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
ロマンという名の劇薬が、多くのゲーマーを狂わせている。
データが示す不満の傾向

さて、ここからはデータに基づいた厳しい現実のお話です。本作の低評価レビューを分析すると、明確な傾向が見て取れます。不満カテゴリの内訳において、第1位を独走しているのが「ボス/敵の強さ(16件)」および「操作性/戦闘(16件)」です。
なぜ、アクションRPGの華であるはずのボス戦が、これほどまでに不満の矢面に立たされているのでしょうか。それは、本作が標榜する「ハイテンションなアクション」と、実際の「ゲームバランス」の間に、埋めがたい溝があるからです。
判定の理不尽さと「見えない攻撃」
多くのプレイヤーが指摘しているのは、攻撃判定(ヒットボックス)の不透明さです。キャラクターのモデルが巨大な恐竜であるため、攻撃の軌道が複雑になりがちなのは理解できます。しかし、明らかに回避したはずの攻撃に吸い込まれるように被弾するストレスは、アクションゲームとしては致命的です。
特に「アルファ」と呼ばれるボス個体との戦闘では、一撃の重さが全滅に直結します。そこで発生する「理不尽な被弾」は、挑戦意欲を削ぐどころか、コントローラーを物理的に破壊したくなるほどの憤りを感じさせます。網膜にUIの残像が焼き付くまでプレイし続けた私ですら、初期バージョンの判定には首を傾げたものです。
学習を拒絶するエネミーデザイン
また、敵の攻撃予兆(テラグラフ)の欠如も深刻です。恐竜が口に剣を咥えているという構造上、人間のキャラクターのように「予備動作」を表現するのが難しいのは分かります。ですが、何の前触れもなく発生する超高速の突進や、視覚的なエフェクトと実際の攻撃範囲が乖離している波状攻撃は、もはや「覚えゲー」の域を超えた何かです。
(プレイ時間: 3時間) This game should not be 20 bucks. I’m sorry but a 3 – 4 hour game with this much jank can’t be saved by the vibes alone. […] One boss has a leaping attacks that hurls these energy waves at you, the wave can go completely over your head, and still hit you for half your HP bar.
(このゲームに20ドルの価値はありません。残念ですが、これほど粗削りな3〜4時間のゲームは、雰囲気だけで救えるものではない。あるボスはエネルギー波を投げる跳躍攻撃をしてくるのですが、その波が完全に頭の上を通り過ぎたにもかかわらず、HPの半分を削られるヒット判定がありました。)
このように、物理法則を無視した判定の数々が、真剣に攻略に励むプレイヤーの心を折っているのです。
開発者は、恐竜という巨大な生命体の「重み」を表現しようとしたのかもしれません。しかし、それが単なる「操作の重さ」や「理不尽な当たり判定」に変換されてしまったとき、ゲームはエンターテインメントから苦行へと変貌します。
理不尽な死を「難易度」と呼ぶには、このゲームはあまりに粗削りすぎる。
不満の元凶「There」の分析

次に、レビューで使用されている頻出単語を見てみましょう。興味深いことに、名詞や動詞を抑えて「There」が35回とトップに君臨しています。これは一体何を意味するのでしょうか。
文章の中で「There」が使われる際、その多くは「There is no…(〜がない)」あるいは「There are bugs(〜というバグがある)」という文脈で登場します。つまり、プレイヤーは『Dinoblade』の世界に「あるべきはずのものがない」こと、あるいは「あってはならないものがある」ことに、強い不満を感じているのです。
空虚なオープンワールドと「そこ」にある虚無
本作は広大なバイオームを売りにしていますが、実際に足を踏み入れてみると、そこには驚くほど「何もない」時間が流れています。探索を促すはずのロケーションは、ただアセットを並べただけの平坦な空間であり、収集要素も単なるステータスアップのポイントに過ぎません。
「There is nothing to do in the world(この世界にはやることが何もない)」という言葉が、多くのレビューでリフレインされています。コントローラーが手汗で滑らなくなるほどやり込んだ私から見ても、確かに特定のボスを倒すという目的以外に、この世界に留まる理由は希薄です。
視認性の崩壊と「そこ」に見えない敵
さらに深刻なのが、グラフィック設定と視認性の問題です。「There」が指し示す先が、そもそも視覚的に確認できないという悲劇が起きています。
(プレイ時間: 0時間) I literally can’t see anything in this game/ Enemies are too tiny and are blocked by the size of my dino. The contrast is Brown. Everything is brown. Dinos are brown, ground is brown, sky is brown, swords are brown, and so on.
(このゲームでは文字通り何も見えません。敵は小さすぎ、自分の恐竜の巨体に隠れてしまいます。コントラストは茶色。すべてが茶色です。恐竜も、地面も、空も、剣も、すべて。画面上の何が脅威なのかさえ判別できませんでした。)
「茶色い世界で茶色い敵と戦う」という体験は、もはやステルスゲームのそれであり、ハイテンションなアクションを期待した層には耐え難い苦痛でしょう。
ライティングの不具合や、カメラワークの未熟さが重なり、プレイヤーは「そこに何かがいる」ことは分かっても、それが何をしてくるのかを判別できない。この「視覚情報の欠如」こそが、「There」という言葉に込められた絶望の正体なのです。
「そこ(There)」に存在するのは、作り込まれた世界ではなく、未完成の残骸だった。
ユーザーが直面する現実

ここで、プレイ時間による不満の質の変化について触れておきましょう。本作において、プレイ時間が「2時間未満」の返金推奨レベルのユーザーと、私のように指紋がなくなるまでやり込んだ人間では、見えている景色が全く異なります。
短時間で去っていくユーザーの多くは、その「第一印象の悪さ」に耐えられません。操作の不自由さ、メニュー画面の使いにくさ、そして何より「これは未完成品ではないか」という不信感。これらが、期待に胸を膨らませて20ドルを支払ったプレイヤーを襲います。
即返金勢が味わう「粗悪な期待の裏切り」
序盤のチュートリアルから、ゲームはプレイヤーを突き放します。巨大なポップアップテキストが画面を覆い尽くし、没入感を削ぎ落とす。そして一歩外へ出れば、地形にスタックした恐竜が滑稽な動きを見せている。この「ジャンク感」は、一人開発という情熱の物語を免罪符にできる限界を超えています。
(プレイ時間: 1時間) This game is NOT finished. […] You can cheese literally EVERY fight with a simple Dodge right followed by a heavy attack, rinse and repeat the WHOLE health bar.
(このゲームは完成していません。右回避の後に強攻撃を繰り出す、ただそれだけで文字通り「すべての戦闘」をハメ殺すことができます。ヘルスバーを削りきるまで、これを繰り返すだけです。)
やり込んだ廃人が到達する「虚無の果て」
一方で、数百、数千時間を費やした猛者(私を含め)は、また別の地獄を見ることになります。ハメ技(チーズ戦略)に気づいてしまった後のゲームプレイは、もはやアクションゲームではなく、単なる「作業」へと成り下がります。
回避して斬る。回避して斬る。
その単調な繰り返しの中に、当初抱いていた「恐竜と剣のロマン」は霧散していきます。スキルのビルドを工夫しようにも、結局は最も効率の良い「右回避強攻撃」に収束してしまう。自分だけの戦闘スタイルを築き上げるという謳い文句は、浅すぎるゲームバランスの前に崩れ去るのです。
やり込めばやり込むほど、このゲームの底の浅さと、磨き上げられなかった原石の悲哀が浮き彫りになります。
それでも、私たちはプレイを止められませんでした。なぜなら、時折見せる「完璧なアニメーション」や「重厚なサウンド」が、このゲームが「神ゲー」になり得た可能性を、残酷なまでに示唆しているからです。
期待し、裏切られ、それでも縋りつく。それはゲーマーとしての不治の病だ。
それでも支持される理由

ここまで散々に酷評してきましたが、客観的なデータを見れば『Dinoblade』の好評率は90%という驚異的な数値を叩き出しています。これは単なる「ネタゲー」としての評価ではありません。
本作には、欠点をすべて飲み込んでも余りある、強烈な「華」があるのです。
ソロ開発という名の「奇跡」への敬意
多くの不満レビューの中にも、「このゲームを一人で作り上げた開発者は素晴らしい」という言葉が添えられています。アニメーターがその情熱だけで、恐竜が剣を振るう世界を形にした。そのストーリー性自体が、プレイヤーの心を動かしています。
不完全であっても、誰かの猛烈な「好き」が形になったものには、大手のAAAタイトルにはない熱量が宿ります。その熱量に触れたとき、私たちはバグや判定の甘さを「アジ」として受け入れてしまう、ある種の共犯関係に陥るのです。
唯一無二の「恐竜体験」
そして何より、スピノサウルスで大剣を振るうという体験自体が、脳内麻薬を分泌させます。パリィが決まり、巨大な敵を大剣で薙ぎ払った瞬間の快感。それは他のどのソウルライクゲームでも味わえない、本作だけの特権です。
音楽のクオリティも高く、静寂からボス戦のメタルサウンドへ移行する瞬間は、否応なしにテンションが引き上げられます。不満点があるからこそ、それが解消された時の快感が最大化される――そんな歪な魅力が、このゲームには確かに存在しているのです。
欠陥品であっても、愛さずにはいられない。そんな不思議な魔力がこの剣には宿っている。
最終評価と購入ガイド
『Dinoblade』は、決して万人にお勧めできる完成度ではありません。むしろ、アクションゲームとしての洗練を求めるならば、避けるべき作品かもしれません。
しかし、もし貴方が「恐竜が剣を持って戦う」という一文だけで、心の中の少年が騒ぎ出すような人間であれば、この20ドル(あるいはセール時の18ドル)は、人生で最もエキサイティングなギャンブルになるでしょう。
どす恋まん花の結論
まん花としては、このゲームを「未完の傑作」と呼びたい。
2000時間もの時間を、ある時は憤り、ある時は失笑し、そしてある時は魂が震えるほどの興奮と共に過ごしてきました。バグや判定の悪さは確かに存在しますが、それらを乗り越えた先にある「恐竜アクション」の片鱗は、今のゲーム業界において極めて希少な輝きを放っています。
✅ 購入をお勧めする人
- 「恐竜×大剣」というビジュアルコンセプトに理屈抜きで惹かれる人
- 粗削りなインディーゲームの「勢い」や「情熱」を愛せる人
- 判定の理不尽さを、気合とハメ技でねじ伏せることに喜びを感じる人
❎ 購入を避けるべき人
- 『ELDEN RING』のような、極限まで磨き抜かれたアクション体験を求める人
- 不鮮明なヒット判定や、視認性の悪いグラフィックに強いストレスを感じる人
- 20ドルに対して、20時間以上の濃密なボリュームと洗練されたUIを期待する人
皆さんも、太古の荒野で剣を振るってみませんか?
そこに「何もない」としても、あなたが振るう大剣の軌道だけは、確かにそこに刻まれるはずですから。
執筆:どす恋まん花
