『Dispatch』レビュー:低評価レビューの核心に迫る。豪華キャストの裏で何が起きていたのか?

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皆さま、ご機嫌よう。人気ゲームライターのどす恋まん花です。

本日お届けするのは、今、世界中のゲーマーの間で賛否両論の嵐を巻き起こしている話題作、『Dispatch』の徹底解剖レビューです。本作は、あの伝説的なアドベンチャーゲーム『Tales from the Borderlands』や『The Wolf Among Us』を手掛けた精鋭たちが集結したAdHoc Studioのデビュー作。発売前からその豪華すぎるキャストと、「あなたの選択がすべてを変える」という期待感で、界隈は蜂の巣をつついたような騒ぎでしたわね。

かくいう私、どす恋まん花も、この作品には並々ならぬ情熱を注いで参りました。どれほどかと言えば、リリースから現在に至るまで、この対象タイトルを2000時間やり込んでいると言えば、その狂気……いえ、熱量がお分かりいただけるでしょう。派遣センターのデスクの傷の数まで数え上げ、ヒーローたちの愚痴を子守唄代わりに眠りにつく。そんな廃人ゲーマーとしての視点から、巷に溢れる「低評価レビュー」の真実に迫っていきたいと思います。

本作は、かつてスーパーヒーローとして名を馳せた「メカマン」ことロバート・ロバートソンが、宿敵との戦いでスーツを失い、不本意ながらヒーロー派遣センターのオペレーターとして再起を図る物語。一見すると、爽快なヒーロー・マネジメント・コメディに見えます。しかし、その華やかな表舞台の裏側には、一部のプレイヤーが「激怒」に近い感情を抱くほどの、構造的な「ズレ」が潜んでいるのです。

まん花と一緒に、その闇と光を、データを元に紐解いていきましょう。

目次

作品概要

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『Dispatch』は、単なるスーパーヒーロー物ではありません。現代のロサンゼルスを舞台に、「ヒーローという職業」の世俗的で、時に滑稽な側面を切り取った職場コメディです。プレイヤーは、もはや飛ぶことも光線を撃つこともできないロバートとなり、モニター越しに街の平和を守る……という、非常にユニークな体験をすることになります。

豪華スタッフとキャストによる「期待値」の爆上がり

本作を語る上で外せないのは、その制作陣の豪華さです。Telltale Gamesの黄金期を支えたライターやディレクターが再集結したということで、ファンは「あの、心臓を抉るような選択のジレンマ」が再び味わえると確信していました。さらに、声優陣にはアーロン・ポール、ローラ・ベイリー、ジェフリー・ライトといった、ハリウッド映画やAAA級ゲームの主役級が勢揃いしています。

この圧倒的な「布陣」が、プレイヤーの期待値を成層圏まで押し上げてしまったことは否定できません。「これだけのメンツが揃って、面白くないはずがない」。そんな確信に近い期待が、後に述べる低評価レビューの鋭さ、そして深さへと繋がっていったのです。

「メカマン」として生きる、ロバート・ロバートソンの非日常的な日常

物語の主人公、ロバートは非常に人間臭いキャラクターです。スーツを失った彼は、かつての栄光を忘れられず、復讐のためにスーツの再建を目論んでいます。そのための資金稼ぎとして配属されたのが「スーパーヒーロー派遣センター(SDN)」。

ここでは、かつての仲間だけでなく、更生プログラムを受けている「元ヴィラン」たちも部下として扱わなければなりません。オフィスでの人間関係を良好に保ち、休憩室でのコーヒーブレイクで誰と話すかを選び、そして現場の緊急事態に誰を派遣するかを瞬時に判断する。この「デスクワークとしてのヒーロー活動」という設定自体は、非常に新鮮で魅力的なものでした。

メカマンのスーツのボルトの数まで数えられるほど本作を研究した私から見ても、序盤の没入感は素晴らしいの一言に尽きます。しかし、物語が進むにつれて、多くのプレイヤーが「ある違和感」に気づき始めるのです。

本作は、ヒーローの輝かしい戦いではなく、その裏にある「管理者の苦悩」と「社会の理不尽」を描こうとした意欲作である。

豪華すぎるキャストが、逆に「ゲームとしての自由度」を縛ってしまったのではないか。


データが示す不満の傾向

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※集計サンプル数: 100件

さて、ここで冷静にデータを見てみましょう。不満カテゴリの内訳を見ると、圧倒的1位は「ストーリー/テンポ」の37件。次いで「理不尽な難易度」「ボス/敵の強さ」と続きます。

特筆すべきは、低評価を付けているプレイヤーの多くが、ゲームの雰囲気やビジュアル自体は高く評価している点です。にもかかわらず、なぜ「ストーリー」にこれほどの不満が集中したのでしょうか。それは、本作の掲げた「選択が物語を変える」という看板と、実際のプレイ体験との間に、埋めようのない深い溝があったからです。

なぜ「ストーリー/テンポ」が槍玉に上がるのか

多くの低評価レビューで共通して指摘されているのは、「自分の選択に意味を感じられない」という虚無感です。Telltale系のゲームに慣れ親しんだプレイヤーは、自分の決断によって誰かが生き、誰かが死に、世界が分岐することを期待します。しかし、『Dispatch』においては、どれほど派遣業務で完璧な成績を収めても、どれほど仲間を思って対話を選んでも、物語の大きな流れは岩のように動かないという批判が相次いでいます。

特に、中盤以降の展開が「恋愛要素」に極端に偏り、特定のキャラクター(インビジガールなど)を露骨にプッシュする構成は、多くのプレイヤーを困惑させました。ヒーロー派遣という戦略的な面白さを求めていた層にとって、オフィスでの痴話喧嘩や、望まないロマンスを強要される展開は、「テンポを削ぐ不要なノイズ」として映ってしまったのです。

プレイヤーの選択を無効化する「見えない壁」

ここで、象徴的な低評価レビューを一つ紹介しましょう。プレイ時間8時間のプレイヤーによる、悲痛な叫びです。

(プレイ時間: 8時間) I wanted to love this game. But I hate it. And I hate that I hate it. It feels as though the entire budget for this game went into the marketing and assembling a star-studded cast. (…) Unfortunately, what they were given was the sorriest excuse for a “choices matter” game I’ve ever seen.
(日本語訳:このゲームを愛したかった。でも大嫌いだ。そして、嫌いになってしまった自分も嫌だ。予算のすべてがマーケティングと豪華キャストの集結に使われたように感じる。(中略)残念ながら、彼らに与えられたのは、私がこれまで見てきた中で最もお粗末な「選択が重要」なゲームという言い訳だった。)

この「愛したかったけれど愛せなかった」という言葉に、本作の抱える問題が凝縮されています。画面のピクセル一つ一つと対話できるレベルまで本作を遊び尽くした私には分かります。開発陣は、物語の「質」を高めるために、あえて分岐を絞り、一本の太いストーリーラインを描こうとしたのでしょう。しかし、それは「プレイヤーの主体性」を奪うことと同義でした。

どれほど賢明な判断を下しても、物語が既定のルートへ引き戻される「レールロード(線路)」感。これこそが、コアゲーマーたちが最も嫌悪した要素だった。

「選択肢」とは、物語を彩る装飾ではなく、プレイヤーがその世界に干渉するための唯一の武器であるはずだ。

不満の元凶「They」の分析

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※集計サンプル数: 100件

頻出単語のデータを見ると、興味深い結果が出ています。1位は「They」で52回。これに「Your」「What」「Only」といった言葉が続きます。

なぜ「They(彼ら・彼女ら)」という言葉がこれほどまでに多用されたのか。レビューを詳細に分析すると、そこには二つの「They」に対する苛立ちが見て取れます。一つは、プレイヤーの意図を汲み取らずに勝手な行動をとる「ゲーム内のキャラクターたち」。そしてもう一つは、プレイヤーの期待を裏切った「開発者たち(They, the developers)」です。

「彼ら」との絆が生み出す、皮肉なまでの虚無感

派遣センターのオペレーターとして、ロバートは部下であるヒーローたちに指示を出します。しかし、多くのレビューでは「派遣の結果がストーリーに全く影響を与えない」ことが指摘されています。

ロサンゼルスの地図が脳のシワに刻み込まれるまで派遣業務を繰り返した私ですら、時には首を傾げたくなることがあります。どれほど派遣で「完璧なシフト」をこなし、街の犯罪率を劇的に下げたとしても、次のカットシーンでは「街は未曾有の危機にある」と絶望的なセリフが流れる。これでは、プレイヤーが心血を注いだ派遣パートが、単なる「物語の合間の暇つぶし」に成り下がってしまいます。

ロシア語のレビューでも、この点について辛辣な意見が述べられています。

(プレイ時間: 39時間) Был 97% шанс оставить положительный отзыв, но… QTE-сцены в большинстве случаях одинаковы – что для успеха, что для провала. Так какой смысл в выборе без выбора? Игра в процентный пинбол тоже мало на что влияет, как и в целом режим диспетчера.
(日本語訳:肯定的なレビューを残す確率は97%だったが……QTEシーンは成功しても失敗しても、ほとんどの場合同じだ。選択肢のない選択に何の意味がある?パーセンテージを競うピンボール(派遣)ゲームも、ディスパッチャーモード全体と同様、ほとんど影響を与えない。)

派遣システムという名の「クリック連打作業」

本作のゲームプレイの根幹であるはずの派遣システムが、実は「ストーリーを停滞させないための壁」に過ぎないという事実は、長時間プレイしたユーザーほど重くのしかかります。

指先がゲームパッドの形に変形しかねないほど派遣業務に従事しても、その成果がチームメンバーの信頼度や、エンディングの微細な変化にすら繋がらない。この「手応えのなさ」が、頻出単語「They(開発者)」に対する「なぜこんな設計にしたんだ?」という怒りへと変換されているのです。

「彼ら(キャラクター)」を愛そうとしても、システムがそれを拒む。あるいは「彼ら(開発者)」が用意した筋書きから外れることを許さない。この二重の「They」による支配が、本作の評価を二分する大きな要因となっています。

ゲームとしての「インタラクション」を期待した層にとって、本作の派遣パートは「物語という名の映画」を観るために強制される入場料のようなものだった。

データが示す「They」の多さは、プレイヤーが感じた「自分自身が物語の疎外者である」という孤独の証明である。


ユーザーが直面する現実

では、具体的にどのようなシーンがプレイヤーの神経を逆なでしたのでしょうか。レビューを読み解くと、本作が掲げる「職場コメディ」という看板の裏にある、非常に危うい描写やストレス要素が浮かび上がってきます。

人生の春夏秋冬をこのゲームの派遣センターで過ごした身として、あえて苦言を呈するならば、本作の「リアリティ」の追求の仕方が、一部のプレイヤーにとっては極めて不快であったことは事実です。

ヒーロー派遣センターという名の「恋愛相談所」

多くの不満レビューで挙げられているのが、ロマンス描写の強制力です。特に、ロバートの上司であるブロンド・ブレイザーと、部下であるインビジガールの二人から、ほぼ同時期に「猛烈なアプローチ」を受ける展開。

これが、単なる選択肢の一つであれば問題ありませんでした。しかし、多くのユーザーは「どちらとも恋愛したくない(プロフェッショナルな関係でありたい)」と願っても、ゲームが執拗にロマンスへと舵を切ることに苛立ちを感じています。あるレビュアーは、これを「Which Woman Do You Want To Commit and HR Violation With: The Game(どの女性と人事規定違反を犯したいか選ぶゲーム)」と揶揄しています。

特にインビジガールに関する描写は、現代の価値観に照らすとかなり過激です。仕事中のロバートを透明化して監視したり、トイレまでついてきたり、果ては夢の中で情事のシーンが唐突に挿入されたりと、人によっては「セクハラ」と感じるレベルの描写が続きます。これが「コメディ」として成立しているかどうかが、本作を楽しめるかどうかの大きな分岐点となっています。

ハッキングとQTE:没入感を削ぐ「不要なノイズ」

もう一つの不満点は、ミニゲームの質です。ハッキングパートは、一度コツを掴めば単純な作業になりますが、失敗すると同じシーンをやり直さなければならないという仕様が、テンポを著しく悪化させています。

コンビニに行くよりも頻繁にアプリを立ち上げ、何百回とハッキングを繰り返した私ですら、深夜のハッキングミニゲームには「もう勘弁して……」と溜息を漏らすことがあります。QTEについても、成功しても失敗しても結果が変わらないことが多いという指摘は正鵠を射ています。

(プレイ時間: 16時間) Your decisions matter about as much as clicking “I agree” on a terms and conditions page. (…) The only real variation you will encounter is deciding between girl A or girl B, and whether your professional conduct results in HR violation number one or HR violation number two.
(日本語訳:あなたの決定は、利用規約のページで「同意する」をクリックするのと同じくらいの意味しか持たない。(中略)唯一遭遇する変化は、女性Aか女性Bかを選ぶこと、そしてあなたの職務上の振る舞いが人事違反その1になるか、その2になるか、それだけだ。)

この「利用規約への同意」という比喩は、非常に鋭い指摘です。プレイヤーはゲームをプレイしているつもりで、実は開発者が用意した契約書(ストーリー)をめくっているだけではないのか。そんな疑念が、不満として爆発しているのです。

「成熟した大人の会話」と「幼稚な下ネタ」の境界線。本作はその危ういラインを、時に見事に、時に壊滅的に踏み越えてしまう。

「職場のリアル」を描こうとした結果、現実世界の「不快な職場環境」まで再現してしまった皮肉。

それでも支持される理由

ここまで不満点ばかりを並べてきましたが、忘れてはならない事実があります。本作の好評率は、なんと98%。この数字は、圧倒的な「神ゲー」であることを示唆しています。どす恋まん花も、もしこのゲームが本当の「クソゲー」であれば、これほどの時間を費やすことはなかったでしょう。

では、不満を抱えつつも、なぜこれほど多くの人が本作に「親指を立てる」のでしょうか。

圧倒的なビジュアルとキャストが紡ぐ「魔法」

まず、アニメーションのクオリティが桁外れです。まるで一本のハイクオリティな劇場版アニメーションを観ているかのような贅沢さ。そして、それを支える声優陣の熱演。アーロン・ポールが演じるロバートの、皮肉屋でありながら脆さを抱えた声の演技は、聞いているだけでキャラクターへの愛着が湧いてきます。

たとえ選択肢が意味を持たなくても、目の前で展開されるドラマそのものが、あまりにも魅力的で、先を読ませる力が強いのです。これは、Netflixの優れたドラマを観る感覚に近いと言えるでしょう。「ゲーム」という枠組みを超えた、「最高のインタラクティブ・ムービー」として、本作は一つの頂点に達しています。

「選択の重み」を捨てて得た、究極のエンターテインメント

また、カジュアル層にとっては、この「分岐の少なさ」が逆にメリットとして働いています。複雑なフラグ管理に頭を悩ませることなく、酒を片手に最高のアニメを楽しむ。忙しい現代人にとって、この「片手間で楽しめる豪華な体験」は、非常に費用対効果の高い娯楽なのです。

高評価レビューの中には、このような声が多く見られます。

(プレイ時間: 14時間) 読むばかりで退屈させない工夫が上手に感じました。仲間の育成や主人公のヒーローとしてのあり方、仲間ヒーローとどのように交流するか・・・・制限時間ギリギリまで考えて答える局面が多々あり、そういった点も没入感を高めていたと思います。

これは、低評価レビューとは真逆の意見です。彼らは「結果」が変わるかどうかではなく、「選んでいる瞬間の自分自身の迷い」そのものを楽しんでいるのです。これこそが、本作が提供したかった真の「体験」なのかもしれません。

不満を持つ人は「ゲーム」としての完成度を求め、賞賛する人は「体験」としての豊かさを愛している。この視点の違いこそが、評価の分かれ目だ。

本作は、ゲーム機で遊ぶ「最高の映画」であり、映画館では決して味わえない「自分の物語」である。


最終評価と購入ガイド

さて、長々と語って参りましたが、どす恋まん花としての結論を出しましょう。

『Dispatch』は、決して「万人向けの完璧なゲーム」ではありません。むしろ、非常に尖った、欠点だらけの、愛すべき「歪な傑作」です。2000時間……いえ、それ以上の時間をこの世界で過ごした私から見れば、本作への批判はすべて「もっと面白くなれたはずだ」という強い期待の裏返しに他なりません。

このゲームは、あなたの人生を変えるような重大な選択肢は提示してくれないかもしれません。しかし、ロバートという不器用な男の背中を通して、私たちが日常で直面する「ままならなさ」や「それでも前を向く強さ」を、極上のユーモアと共に教えてくれます。

あなたが「ゲーム」に何を求めるのか。それを自分に問いかけてから、このSDNの扉を叩くことをお勧めします。

✅ 購入をお勧めする人

  • 『ザ・ボーイズ』や『インビンシブル』のような、皮肉の効いたヒーロー物が好きな人。
  • 複雑な操作よりも、豪華な声優陣による最高のアニメーションドラマをじっくり楽しみたい人。
  • 「職場あるある」や大人向けのブラックジョークを笑い飛ばせる余裕のある人。

❎ 購入を避けるべき人

  • 『Detroit: Become Human』のように、自分の選択によって物語が劇的に変化することを期待している人。
  • ゲームプレイのメインとして、本格的な戦略シミュレーションやハイスピードなアクションを求めている人。
  • 過激な下ネタや、強引なロマンス描写、コンプライアンス的に危うい描写に強い拒否感がある人。

最後に、派遣センターでお会いしましょう。コーヒーはセルフサービス、愚痴は24時間受付中ですわ。

それでは、また次の記事でお会いしましょう。どす恋まん花でした。


執筆:どす恋まん花

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