どす恋まん花です。皆さんは「終末」という言葉にどんなロマンを感じますか? 私は、崩れかけたコンクリートの隙間から芽吹く一輪のタンポポに、抗いがたい美しさを感じてしまうタイプです。そんなまん花が今回取り上げるのは、今話題の農業シミュレーション『Doloc Town』。
実はこのゲーム、まん花は既に2000時間という、自分でも「正気か?」と疑いたくなるほどの時間を捧げています。もはや現実の天気予報よりも、ゲーム内の酸性雨予報の方を信用するレベルにまで達してしまいました。
本作はSteamで「圧倒的に好評」という輝かしい看板を背負っていますが、その陰には無視できない「低評価レビュー」が確かに存在します。今回は、指紋が消え去るまでコントローラーを握りしめてきた一人の廃人ゲーマーとして、データの裏側に隠された、痛烈かつ切実な不満の正体を徹底的に解剖していきたいと思います。
作品概要

『Doloc Town』は、終末後の世界を舞台にした、横スクロール視点のピクセルアート農業シミュレーションです。プレイヤーは過酷な荒野に位置する小さな集落で、ゼロから農場を築き上げます。
本作の大きな特徴は、異常気象を味方につけるサバイバル農業システムです。酸性雨や雷雨といった脅威を、灌漑や電力供給の手段として活用できます。また、旧世界の技術を用いた「遺伝子改良」で特殊な作物を作ったり、ドローンや再生可能エネルギーによる「生産の自動化」を構築したりと、科学的なアプローチで農園を拡大できるのが魅力です。
建築面では、横スクロールの特性を活かし、足場を積み上げて垂直方向に住まいや農場を広げていく自由度があります。拠点の外には、廃墟や洞窟など危険な探索エリアが広がり、夜間の凶暴な生物に対抗するため、ドローンに武器や照明を装備して挑むアクション要素も備えています。
30時間以上のメインコンテンツには、住人との絆を深める交流や季節の祭り、そして世界の崩壊に隠された謎を追う物語が凝縮されています。自給自足の苦労から、文明の利器を駆使した大農園主への成長まで、終末世界ならではの奥深いスローライフを楽しめる一作です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Doloc Town |
| 発売日 | 2026年8月5日 |
| 開発元 | RedSaw Games Studio |
| 総レビュー数 | 2,535件 |
| 評価内訳 | 高評価: 2,431 / 低評価: 104 |
| 好評率 | 96% |
| 平均スコア | ★★★★★ (4.8) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | 若き入植者となり、過酷な天候の中、足場を一段ずつ積み上げて空へ伸びる農場を築こう。ガラクタを拾って生き延びるだけの日々から、悠々自適に収穫を楽しむ大農園主へ。気候を変え、荒れ果てた大地を自分だけの楽園へと作り変えよう。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

さて、本作を親の顔より見た画面として愛用しているまん花ですが、データを見ると興味深い事実が浮かび上がってきます。低評価カテゴリの内訳で圧倒的1位(14件)を占めているのは、意外にも「操作性/戦闘」でした。農業シムでありながら、なぜ操作性がこれほどまでに批判の矢面に立たされているのでしょうか。
農作業を阻む「硬すぎる」操作感
本作は2D横スクロールアクションの側面を持っていますが、その操作感は決して「軽快」とは言えません。特にプラットフォームを飛び移りながら農作業を行う際、キャラクターの挙動がどこか重々しく、精密な配置を求めるプレイヤーにストレスを与えています。
例えば、多くの低評価レビューで指摘されているのが「ジャンプの不安定さ」です。2段ジャンプを前提としたマップ設計でありながら、入力の受付がシビアだったり、地形に引っかかったりと、開発側が想定している「優雅な空中農作業」には程遠い現実があります。人生の半分をこの世界で過ごしてきたまん花でさえ、未だに不意の落下で「うぎゃあああ!」と叫ぶことがありますから、新米入植者の皆さんが苛立つのは当然と言えるでしょう。
戦闘の「ちぐはぐ」な設計
次に問題となるのが戦闘です。本作の戦闘は、基本的には後述するドローンによる自動攻撃と、プレイヤー自身の近接攻撃・射撃で構成されています。しかし、このバランスが非常に悪い。近接武器(斧やピッケルなど)の攻撃範囲は極めて狭く、空中の敵にはほとんど無力です。
「それならドローンを使えばいいじゃない」と思うかもしれませんが、ドローンのAIがまた曲者なのです。地形を考慮せずに壁を撃ち続けたり、倒すべき敵ではなく「その辺を歩いている無害なスライム」を狙い始めたり……。この「自分の思い通りに動かない」感覚が、特にアクションゲームに慣れた層からの猛烈な低評価に繋がっているのです。
ここで、操作性と戦闘の不満を象徴するレビューを見てみましょう。
(プレイ時間: 36時間) It’s basically Stardew Valley+Terraria to me. It is a good game but I had to leave negative review because of the followings: 1. Double jump and sprint. Most of the time this function works well besides the west area for me. Sometimes when I pressed jump twice, it only jumped once, which really drives me mad. I use controller. When I tried to use double jump and sprint to do the birds puzzle in the west wood area, I’m supposed to jump all the way up on where those birds stand. Some of the platforms have little glitches, I pressed Jump button twice and it only jumped once. Probably just I’m too noob, but I haven’t met this problem in other games. And I feel the Jump action is so stiff.
(日本語翻訳: 私にとってこのゲームは基本的に『Stardew Valley』と『Terraria』を合わせたようなものです。良いゲームですが、以下の理由で低評価を付けざるを得ません。1. 2段ジャンプとダッシュ。ほとんどの場合は機能しますが、西のエリアでは話が別です。2段ジャンプをしても1回分しか反応しないことがあり、本当に発狂しそうになります。コントローラーを使用していますが、西の森のエリアにある鳥のパズルを解く際、足場をジャンプで登り続けなければならないのに、小さなグリッチのせいでジャンプが1回しか出ない。私が下手なだけかもしれませんが、他のゲームではこんなことはありませんでした。ジャンプのアクションが非常に硬く感じます。)
このレビュアーが嘆いている「硬さ」こそ、本作がアクション要素を取り入れたがゆえのジレンマなのです。農業シムとしての「まったり感」と、アクションとしての「シビアさ」が、悪い意味で衝突してしまっていると言わざるを得ません。
農作業よりも「自分の体」を動かすことに苦労する、それがDoloc Townの最初の壁です。
不満の元凶「无人机」の分析

さて、頻出単語ランキングで堂々の1位(36回)に輝いたのは、中国語でドローンを意味する「无人机」でした。本作の目玉システムであるはずのドローンが、なぜこれほどまでに連呼され、そして不満のタネとなっているのでしょうか。前世の記憶より鮮明にこのゲームの内容を刻み込んでいるまん花が、その闇を暴きます。
期待を裏切る「自動化」の罠
プレイヤーがドローンに期待するのは、ズバリ「自動化による快適な生活」です。水やり、収穫、そして自分を守ってくれる戦闘。しかし、本作のドローンは、そのどれもが「あと一歩足りない」性能をしています。
特に戦闘におけるドローンの挙動は、熟練のプレイヤーを絶望させるに十分な「唐変木(とうへんぼく)」ぶりを発揮します。敵が動くと、ドローンはその「1秒前の位置」を撃ち続け、虚空に弾丸をバラ撒く。あるいは、プレイヤーが必死に逃げ回っている最中、ドローンは地形の隙間に引っかかって明後日の方向を向いている。この「相棒」というにはあまりに頼りないAIが、「无人机」という単語を低評価レビューに定着させた主因です。
燃費の悪さと維持の苦労
さらに追い打ちをかけるのが、ドローンの維持コストです。ドローンを動かすには電力が必要であり、その電力を確保するためにプレイヤーは必死に資源を集め、発電機を回さなければなりません。しかし、苦労して動かしたドローンがもたらす「恩恵」が、そのコストに見合っているかと言えば、首を傾げざるを得ないシーンが多々あります。
あるレビュアーは、ドローンの命中率の低さと、それゆえのエネルギーの無駄遣いを痛烈に批判しています。
(プレイ時間: 66時間) 无人机有两种模式:自动模式,算是勉强能用。但是命中率感人,而且建筑和地形会挡子弹,可是AI不管,明明弹道上有阻碍,只要在射程内,就一个劲的突突突,能量全部浪费。而且无法锁定固定目标,经常打一半突然调头打“一般路过”的变形虫……
(日本語翻訳: ドローンには2つのモードがあります。自動モードは、まあ何とか使えるレベル。ですが命中率がひどすぎます。しかも建築物や地形が弾を遮るのに、AIはそれを無視し、弾道に障害物があっても射程内ならひたすら突撃し続けてエネルギーを無駄にします。さらに固定目標をロックオンできず、戦っている最中に突然向きを変えて、横を通り過ぎただけのスライムを攻撃し始めたり……。)
この「突突突(ドバババ)」と無意味に弾を撃ち続けるドローンの姿は、多くのプレイヤーにとってトラウマ級の光景です。自動化を夢見て汗水垂らして資源を集めた結果が、これ。そりゃあ「无人机!」と叫びたくもなりますよね。まん花も、何度自分のドローンをスクラップにしてやろうと思ったか数え切れません。
「全自動」の甘い言葉に乗せられたプレイヤーを待っているのは、バカなAIを介護する日々だったのです。
ユーザーが直面する現実

さて、ここからはさらに踏み込んだお話をしましょう。本作を人生の10分の1を費やしたと言っても過言ではないほどやり込んでいるまん花が一番頭を抱えたのは、その「経済バランス」の崩壊ぶりです。
鶏よりも卵が尊い「逆転した経済圏」
本作には、畜産という素晴らしいシステムがあります。鶏を飼い、卵を収穫し、それを加工して売る。スローライフの王道ですよね。しかし、この世界の数値設定は、時折狂気を感じさせるほど歪んでいます。
あるやり込みプレイヤー(240時間プレイ!)が指摘している事実は、まさに衝撃的です。鶏を一羽育てるよりも、その鶏が産んだ卵一個をピータンに加工した方が高く売れる。あるいは、牛を飼って毎日世話をし、ミルクをヨーグルトに加工して得る利益よりも、温室で龍舌蘭(テキーラ)を大量生産して放置する方が、圧倒的に、そして暴力的に稼げるのです。
シジフォスの労働と「虚無」の加工時間
本作の加工システムは、しばしば「シジフォスの岩」に例えられます。一生懸命岩を山頂まで運んでも、すぐに転がり落ちてしまう。それと同じで、プレイヤーがどれだけ手間暇かけて料理や加工品を作っても、その利益は原材料をそのまま売るのと大差ないか、最悪の場合「赤字」になることすらあります。
特に中盤以降の工業化プロセスは、文字通り「時間を溶かす」作業になります。一つの鉄のインゴットを作るのに数日かかり、その間プレイヤーはただ待つか、あるいは延々と単調な資源集めを繰り返すことになります。この「待たされるストレス」が、本作の美しいドット絵の輝きを曇らせているのです。
(プレイ時間: 240時間) 一个鸡蛋腌制成的皮蛋售价为165G,一根鸡毛售价是225G;而一只成年鸡的售价居然高达160G!!!什么叫一只鸡卖の还没一颗皮蛋贵???让这种数值活到更新推送,制作组和前面那50个测试玩家是吃干饭的???
(日本語翻訳: 一個の卵を加工したピータンの販売価格が165G、一根の羽が225G。それなのに、大人の鶏一羽の価格がなんとたったの160G!!!鶏一羽がピータン一個より安いってどういうことだよ!?こんな数値をそのままアップデートに流すなんて、制作チームとテストプレイヤーは寝てたのか!?)
この怒り、まん花には痛いほど分かります。2000時間もプレイしていれば、この「経済のバグ」のような仕様に慣れてはきますが、ふと我に返った時、「私は一体何のために鶏のフンを拾っているんだろう」という虚無感に襲われるのです。
愛を込めて育てた家畜よりも、道端のガラクタの方が価値がある。それがこの終末世界の過酷な真実です。
それでも支持される理由

ここまでボロクソ(失礼!)に書いてきましたが、それでも本作の好評率は96%という驚異的な数値を維持しています。キーボードの印字が消え去るまでこのゲームを叩き続けてきたまん花が、その「抗いがたい魔力」についてもお伝えしなければ、フェアではありませんよね。
終末に咲く一輪の花のような美しさ
まず、何と言っても「ピクセルアート」の暴力的なまでの美しさです。退廃的な世界観でありながら、光の表現や植物の揺らぎ、雨の描写などが、驚くほど緻密で温かい。酸性雨に濡れる農場を眺めているだけで、不思議と心が落ち着くのです。
音楽もまた、この世界観に完璧にマッチしています。物悲しくもどこか希望を感じさせるメロディは、単調な作業を「心地よい瞑想の時間」へと変える魔法を持っています。この「雰囲気の良さ」こそが、多くのプレイヤーが数々の理不尽を許せてしまう最大の理由でしょう。
日本語ローカライズの「愛」
そして、日本人プレイヤーにとって嬉しいのが、翻訳の質です。インディーゲームにありがちな「機械翻訳を突っ込んだだけ」の怪文書ではなく、キャラクター一人一人の個性が伝わる丁寧な日本語訳が提供されています。
これは、有志や公式が継続的に改善を行っている成果であり、世界観への没入感を大きく高めています。キャラクターたちが語る終末の歴史、そして彼らとの何気ない会話。それらが心に染み渡るからこそ、不便な操作性や狂った経済バランスを乗り越えてでも「この町の力になりたい」と思わせてくれるのです。
欠点すらも「終末世界の不自由さ」として愛せてしまう、そんな不思議な魅力がDoloc Townにはあります。
最終評価と購入ガイド
さて、長い旅路も終盤です。まん花としての結論を申し上げましょう。
『Doloc Town』は、「万人向けの神ゲー」ではありません。 むしろ、プレイヤーに忍耐と寛容さを要求する、非常に尖った作品です。しかし、その尖った部分(操作性や経済バランス)を、「インディーらしい荒削りな愛嬌」として受け流せる人にとっては、これ以上ない「終末の桃源郷」となるでしょう。
2000時間を捧げた一人の廃人として言えるのは、このゲームは「効率」を求めると途端に牙を向いてくるということです。逆に、効率なんて二の次、今日は雨だから家でドローンの掃除でもしよう、明日は隣町の廃墟までピクニックに行こう……そんな「不便さを楽しむ余裕」がある人には、最高のギフトになるはずです。
最後に、購入を迷っている皆さんのために、まん花流のチェックリストを置いておきますね。
✅ 購入をお勧めする人
- 最高峰のピクセルアートと、退廃的だが温かい世界観に浸りたい人
- 効率よりも「雰囲気」を重視し、不自由な生活を楽しめるスローライフ愛好家
- 有志の愛を感じる丁寧な日本語翻訳で、じっくりと物語を楽しみたい人
❎ 購入を避けるべき人
- 精密なアクション操作や、洗練された戦闘システムを求めている人
- ゲームバランスの歪み(経済バランスや資源の希少性)に耐えられない人
- 「自動化」という言葉に、完璧な利便性と快適さを期待している人
皆さんの入植ライフが、酸性雨に負けない輝かしいものになることを祈っています。まん花でした!
執筆:どす恋まん花
