Farthest Frontier レビュー:低評価が暴く「神ゲー」の裏側に潜む地獄

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こんにちは、ゲームライターのどす恋まん花です。

本日取り上げるのは、中世開拓シミュレーションの決定版として名高い『Farthest Frontier』です。美しく、残酷で、そして何よりも「時間が溶ける」ことで知られる本作。実は、まん花もこの未開の地に2000時間という、正気の沙汰とは思えない膨大な時間を捧げてまいりました。

しかし、巷の評価を覗いてみれば、そこには「神ゲー」と崇める声の裏で、怨嗟に近い低評価レビューが渦巻いています。果たしてその不満は、単なる初心者の泣き言なのか、あるいはやり込んだ者だけが到達する絶望の淵なのか。本日は、膨大なデータと、私の指紋がなくなるほど使い込んだマウスの記憶を頼りに、本作の真の姿を解剖していきたいと思います。

目次

作品概要

項目 内容
ゲームタイトル Farthest Frontier
発売日 2022年8月9日(早期アクセス開始)
開発元 Crate Entertainment
総レビュー数 23,358件
評価内訳 高評価: 20,228 / 低評価: 3,130
好評率 87%
平均スコア ★★★★☆ (4.3) / 5.0
日本語対応 公式対応あり
概要 開拓者を導き、荒野を切り拓いて文明を築く街づくりシミュレーション。
対応機種 PC (Steam)

データが示す不満の傾向

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※集計サンプル数: 100件

本作に寄せられた低評価の声をカテゴリー別に分析すると、非常に興味深い傾向が見えてきます。不満の第1位に輝いたのは「操作性/戦闘(17件)」、次いで「ストーリー/テンポ」および「理不尽な難易度」がそれぞれ10件と並んでいます。

操作性と戦闘の「致命的なズレ」

『Farthest Frontier』は、基本的にはのどかな村づくりゲームの皮を被っています。しかし、その内実、特に1.0へのアップデート以降は、極めてシビアなRTS(リアルタイムストラテジー)としての側面が肥大化しました。

多くのプレイヤーが憤っているのは、プレイヤーの指示に対する住民や兵士の挙動の鈍さ、あるいはAIの硬直性です。敵が防壁を破壊している最中、守備隊がどこか遠くで立ち尽くしていたり、あるいは敵の真っ只中に無謀な突撃を繰り返したりする姿は、画面を叩き割りたくなるほどのストレスを生みます。

特に、戦闘におけるユニットの「制御不能感」は、効率を重視するストラテジー愛好家にとって耐え難い侮辱として映っているようです。

開発側は難易度のスパイスとして襲撃者を強化しましたが、それを受け止める側の「操作の快適さ」が追いついていない。このデザイン上の不一致が、多くの低評価を招く結果となっています。

1.0アップデートがもたらした「牙」

早期アクセス時代、本作はまだ「厳しいながらも慈悲深い」ゲームでした。しかし、正式リリースに向けた再調整が、開拓地を文字通りの地獄へと変貌させたのです。

敵の数は増え、装備の入手難度は据え置き。このアンバランスさが、中盤以降のゲーム体験を「開拓」から「終わりのない防衛戦」へと変質させてしまいました。多くのベテランたちが、かつての楽しさを懐かしみつつ、現在の調整不足を嘆いています。

(プレイ時間: 64時間) The rebalance with 1.0 make this game ridiculously unbalanced. Your villagers are the fragile and die immediately to any threat. There was no increase to survivability or the availability of gear, but all enemies received insane buffs to their numbers, armor, and power. The raiders are impossibly strong and attack at the same frequency. The devs say they play tested this. I don’t buy it. It’s unfair to the point that it damages any concept of fun.

(日本語翻訳: 1.0の再調整で、このゲームは馬鹿げたほどバランスが悪くなった。住民はあまりにも脆弱で、どんな脅威に対しても即座に死んでしまう。生存率や装備の入手性は改善されていないのに、敵側には数、アーマー、パワーにおいて異常なバフがかかっている。略奪者は不可能に近いほど強く、頻繁に襲撃してくる。開発者はテストプレイ済みだと言っているが、私は信じない。楽しさという概念を損なうほど不公平だ。)

美しきフロンティアは、調整という名のメスによって、プレイヤーを食い荒らす「飢えた獣」へと変貌してしまったのです。

不満の元凶「Your」の分析

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※集計サンプル数: 100件

頻出単語の棒グラフを見てみましょう。第1位に君臨するのは「Your(31回)」です。なぜ、これほどまでに二人称代名詞が多用されるのでしょうか。

「あなたの」という言葉に込められた無力感

この「Your」が使われる文脈の多くは、「Your Villagers(あなたの住民)」「Your Soldiers(あなたの兵士)」に関連しています。これこそが、本作が抱えるストレスの正体なのです。

どす恋まん花が、人生の半分を捧げる勢いで本作をプレイして感じたのは、「自分のものであるはずの存在が、自分を裏切る」という感覚です。住民たちはあなたの命令を聞かず、目と鼻の先に倉庫があるのに、わざわざマップの反対側まで小麦粉を取りに歩いていきます。その途中で寒波に遭い、凍死する。「あなたの」住民が、あなたの不利益を最大化するように動くのです。

この「主体性の喪失」こそが、プレイヤーをして「Your」という言葉を吐き出させ、システムへの呪詛を募らせる原因となっています。

自分の分身、自分の財産であるはずのものが、システムの不備(AIの欠陥)によってゴミのように消えていく。その理不尽さが「Your」という言葉に集約されているのです。

物流AIという名のサイレントキラー

本作の核となる物流システムは、時に「物流」ではなく「物理的な苦痛」をプレイヤーに与えます。パン屋の隣に小麦粉が山積みなのに、わざわざ水車小屋まで取りに行く職人の姿。これに遭遇した時、ゲーマーの心は静かに折れます。

(プレイ時間: 79時間) It’s a great game, and I have a lot of fun with it. However, until the broken AI (logistics) is fixed, I do not recommend playing it. A well designed logistics (core of the game) is ruined by poor citizen choices as to where to obtain goods. Travesting half of the map to get the flour directly from the mill while a warehouse just next to the bakery is filled with flour literally to the roof? Frustrating.

(日本語翻訳: 素晴らしいゲームだし、とても楽しんでいる。しかし、壊れたAI(物流)が修正されるまで、プレイはお勧めしない。ゲームの核心であるはずの物流デザインが、物資の入手先に関する住民の稚拙な選択によって台なしにされている。パン屋のすぐ隣の倉庫に屋根まで届くほど小麦粉が詰まっているのに、わざわざマップの半分を移動して製粉所から直接手に入れようとする。イライラする。)

このレビューが指摘するように、どれだけ効率的な街を設計しても、住民のAIがそれを台なしにする。「設計の楽しみ」を「AIの気まぐれ」が上回った瞬間、ゲームは作業、あるいは苦行へと成り下がります。

完璧な都市計画を嘲笑うかのように、住民たちは今日も最短ルートを無視し、死への行進を続けているのです。


ユーザーが直面する現実

親の顔よりも見た画面、その美しくも残酷な風景の中に、我々プレイヤーが直面する現実があります。それは、「積み上げたものが一瞬で無に帰す」という、中世の厳しさという言葉だけでは片付けられない不条理です。

崩壊する防壁と虚無の略奪

想像してみてください。あなたは数時間をかけて、完璧な防衛ラインを構築しました。高台に矢倉を建て、二重の防壁を張り巡らせ、精鋭の兵士を配置した。しかし、やってきた略奪者たちは、まるで防壁など存在しないかのように、剣を数回振るだけで門を破壊します。

さらに不可解なのは、彼らの強さです。重装備の兵士が、ただのパイルを抱えた暴漢に一対一で敗れる。あるいは、防壁のわずかな判定の隙間をすり抜けて、略奪者が街の中心部へとなだれ込んでくる。

こうした「物理法則の無視」や「計算の合わない戦闘力差」が、プレイヤーから戦略を立てる意欲を奪い、代わりに虚無感を与えています。

結局、最強の防衛策は「戦略」ではなく、システムの穴を突くような「チーズ(ハメ技)」になってしまう。これは街づくりシミュレーションとして、非常に悲しい結末と言わざるを得ません。

死者の山と墓地のジレンマ

そして、本作で最もプレイヤーを絶望させるのが「墓地」の問題です。住民が死ねば、墓地が必要になります。しかし、一度設置した墓地は削除することができません。

住民が次々と病死し、戦死し、老衰していく中で、あなたの美しい街は次第に巨大な墓所へと飲み込まれていきます。火葬という選択肢が(初期段階で)提示されないため、開拓地は「人の住む場所」から「死者の住む場所」へと強制的にシフトさせられる。この設計思想の不可解さに、多くのプレイヤーが頭を抱えています。

(プレイ時間: 112時間) Начнём с главного первого… генерация карты. Это какой то хаос из клочков леса, болот, лугов, гор, холмов… Почему ворота ломают просто ударами мечей в три тычки? Вы вообще нормальные?.. Торговля – Приезжают одни и теже торговцы невесть от куда – и торгуют одним и тем же +-. Не интересно.

(日本語翻訳: まず第一の問題から始めよう……マップの生成だ。森、湿地、草原、山、丘の断片が混ざり合ったカオスだ。なぜ門が剣の数打で壊れるのか? あなたたちは正気か?……貿易も、どこからともなく同じ商人がやってきて、同じようなものばかり売っている。面白くない。)

ロシア語圏のこのプレイヤーが叫ぶように、マップ生成の不条理さと、防御施設のあまりの脆弱さは、本作の没入感を根本から破壊しています。

開拓者が最後に辿り着くフロンティア(辺境)とは、希望の土地ではなく、整理不可能な「瓦礫と死体の山」だったのかもしれません。

それでも支持される理由

ここまで散々に不満点を挙げてきましたが、それでもなお『Farthest Frontier』の好評率は8割を超えています。まん花もまた、指紋がなくなるほどこのゲームを遊び続けている一人です。一体、このゲームの何が我々を惹きつけて止まないのでしょうか。

絶望の先にある「完成」の美学

それは、本作が持つ圧倒的なディテールの美しさに他なりません。
冬が訪れ、開拓地に雪が降り積もる様子。煙突から立ち上る煙。住民たちが暖を求めて家に駆け込む姿。グラフィックのクオリティは同ジャンルの中でも群を抜いており、その視覚的な報酬が、数々の理不尽を一時的に忘れさせてくれます。

そして、幾多の飢饉や襲撃を乗り越え、Tier3、Tier4へと街が発展し、巨大な石造りの城壁が完成した瞬間の達成感は、他のゲームでは味わえない「重み」があります。

簡単に街が作れないからこそ、出来上がった街への愛着はひとしおです。多くのプレイヤーは、理不尽に怒り狂いながらも、その不自由さの中に「真のサバイバル」を見出し、中毒のようにリトライを繰り返してしまうのです。

牧歌的な風景が隠す至高の達成感

本作は『Banished』の流れを汲みつつも、より「国家」に近い規模感への成長を描いています。農業における土壌管理、輪作の概念、肥料の重要性……これらの煩雑なシステムをすべて掌握し、初めて食料供給が安定した時、脳内には強烈なドーパミンが溢れ出します。

不満レビューを書いている人々の多くが、実は数十時間、あるいは数百時間もプレイしているという事実に注目してください。

文句を言いながらも離れられない――それこそが、このゲームが内包する「残酷なまでの中毒性」の証明なのです。


最終評価と購入ガイド

『Farthest Frontier』は、決して万人に勧められる「快適な箱庭」ではありません。それは、不備だらけのAIと、理不尽な襲撃、そして不親切なUIと戦い続ける、終わりのない泥沼の格闘技です。

しかし、その泥沼に足を突っ込み、必死にもがいた者だけが見ることができる「最高の景色」があることも事実です。どす恋まん花としては、このゲームを「美しい地獄」と呼びたい。あなたがその地獄に耐えうる精神力をお持ちなら、これほど長く遊べるゲームも他にないでしょう。

✅ 購入をお勧めする人

  • 超高難度のリソース管理と、試行錯誤を繰り返すのが三度の飯より好きな人。
  • グラフィックの美しさにこだわり、細部まで作り込まれた中世の街並みを眺めたい人。
  • 理不尽な死やバグさえも「開拓の醍醐味」として笑い飛ばせる強靭なメンタルの持ち主。

❎ 購入を避けるべき人

  • 「住民が言うことを聞かない」「AIがバカ」といった事象に、本気で血圧が上がる人。
  • サクサクと街を発展させ、ストレスフリーに都市を拡大したいカジュアル層。
  • 防衛戦において、厳密なユニット操作や公平な戦力バランスを求めるRTSガチ勢。

執筆:どす恋まん花

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