どす恋まん花です。皆様、タクティカルな生活を送っていらっしゃいますか?
今回取り上げるのは、あまりにも長い潜伏期間を経て、ついに「1.0」という数字を冠したタクティカルFPSの期待作、『GROUND BRANCH』です。
正直に申し上げましょう。まん花はこの作品を2000時間やり込んでいます。早期アクセス開始直後の、まだ何もなかった時代から今日まで、このストイックな戦場に身を置いてきました。それだけの時間を費やしてきたからこそ、今回の「1.0リリース」という報を聞いた際、喜びよりも先に、複雑な溜息が漏れてしまったのです。
世間では高評価も多い一方で、コアなファンからは痛烈な「低評価」も突きつけられている本作。その不満の正体は何なのか。長年、親の顔よりもこのゲームのロード画面を見てきた私が、データと経験に基づき、その核心に鋭く切り込んでいきたいと思います。
作品概要

『GROUND BRANCH』は、CIAの精鋭準軍事組織として世界各地の極秘任務に挑む、究極のリアリズムを追求したタクティカルFPSです。90年代の名作群が持っていた硬派なゲームプレイの再誕を目指しており、妥協のない「戦術性」と「没入感」が最大の特徴です。
独自の「True First Person」システムにより、カメラはキャラクターの目に、弾丸は銃口から実際に発射される仕様を採用。遮蔽物からの体の露出や銃身の干渉がシビアに判定されるため、実戦に近い空間把握が求められます。カスタマイズ性は前例がないほど細かく、銃器のパーツだけでなく、ベストに装着するポーチの配置まで自由自在です。装備の重量はスタミナや移動速度に直結するため、任務に合わせた慎重な選択が不可欠となります。
最大8人の協力プレイや対人戦では、3D音響の無線を駆使した緊密な連携が鍵となります。物理的なロビーで作戦を練り、射撃場で練習してから出撃するプロセスそのものを楽しめます。ヒット確認や自動回復といったカジュアルな要素を排除し、弾道物理や姿勢制御を徹底した、計算高く容赦のない戦場を体験できる本格シミュレーターです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | GROUND BRANCH |
| 発売日 | 2026年7月16日 |
| 開発元 | BlackFoot Studios, MicroProse Software |
| 総レビュー数 | 23,770件 |
| 評価内訳 | 高評価: 20,821 / 低評価: 2,949 |
| 好評率 | 88% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.4) / 5.0 |
| 日本語対応 | ❌ 未対応 |
| 概要 | From one of the developers behind the original Rainbow Six® and Ghost Recon® games, comes a thinking-man’s first-person shooter featuring in-depth character and weapon customization. Take your time. Think ahead. Get the job done. |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

マップと探索における「虚無感」の正体
まず注目すべきは、不満カテゴリの内訳です。最も多くの不満を集めているのが「マップ/探索」の16件。タクティカルFPSにおいてマップは戦場そのものであり、最も重要な要素の一つですが、なぜこれほどまでに批判を浴びているのでしょうか。
人生の半分をこのゲームの偵察に捧げたまん花の視点から言わせてもらえば、本作のマップは「器」としては一流でも、「中身」が伴っていないのです。地形の起伏や遮蔽物の配置、CQB(近接戦闘)を意識した建物の構造などは、元『Rainbow Six』の開発者が関わっているだけあって見事なものです。しかし、いざ任務を開始すると、広大なマップに対して配置されているAIの動きが単調すぎ、探索というプロセスがただの「索敵作業」へと成り下がってしまっています。
構造的な欠陥とプレイヤーの期待
プレイヤーが求めていたのは、状況が刻一刻と変化する動的な戦場でした。しかし、現状のマップデザインは静的であり、ランダム要素はあるものの、一度パターンを覚えてしまえば驚きがありません。特に1.0で追加されたキャンペーン要素についても、「マップは増えたが、やっていることは10年前と変わらない」という厳しい声が上がっています。
(プレイ時間: 74時間) So, after 12 years in development with nothing to really show for it Ground Branch decides to shed it’s alpha versioning number and skip beta directly to a full 1.0 release! Hooray! … We get a quarter of a campaign! (TWO MISSIONS, THE CAMPAIGN IS TWO MISSIONS.)
(日本語翻訳:12年間の開発期間を経て、何も示すものがないまま、Ground Branchはアルファ版を脱ぎ捨ててベータを飛ばし、直接フル1.0リリースに踏み切った!万歳!……得られたのはキャンペーンの4分の1だけ!(2ミッションだ。キャンペーンはたったの2ミッションなんだぞ))
このレビューが指摘するように、開発期間に対する「内容の薄さ」が、マップの広さと反比例してプレイヤーのストレスを増幅させています。どれだけ銃を握る指紋がなくなるほど撃ち込んでも、戦うべき舞台にドラマがなければ、それはただの標的射撃と変わりません。
期待とのズレが引き起こす悲劇
本作は「戦術シミュレーター」としての側面を強調しすぎたあまり、ゲームとしての「面白さの導線」を軽視している節があります。マップの探索が「戦術的な楽しみ」ではなく「理不尽な死を探す苦行」になっている点は、多くの低評価レビューに共通する核心部分です。広大なマップに点在する敵が、壁を透過してこちらを察知し、長距離から正確無比な射撃を浴びせてくる現状では、探索の楽しみなど霧散してしまいます。
この「マップの広さ」と「AIの不自然な挙動」の組み合わせこそが、1.0リリースという大きな節目においても解消されなかった最大の不満点なのです。
美しくも虚無な戦場を彷徨い、原因不明の弾丸に倒れるだけの時間は、もはや戦術ではない。
不満の元凶「They」の分析

頻出単語「They」が指し示す矛先
頻出単語データを見ると、圧倒的1位は「They(62回)」です。これに続くのが「Years(43回)」「Still(34回)」。これらの単語が組み合わさることで、プレイヤーたちの呪詛が浮かび上がってきます。「彼ら(They=開発者)は、何年(Years)経っても、未だに(Still)修正していない」――。
マウスのソールを何個潰したか分からないほど操作を繰り返してきたベテランたちの怒りは、特定のバグに向けられているというより、開発姿勢そのものに向けられています。特に「They」という主語がこれほどまでに多いのは、プレイヤーがゲーム内のAI(敵キャラクター)に対しても、その不満をぶつけているからです。
脳死とターミネーターの二面性
本作のAIは、ある時は「脳死(Braindead)」と形容されるほど愚かなくせに、別の瞬間には「ターミネーター」のように超人的な反応を見せます。この落差が、プレイヤーに「公正な勝負をしていない」という感覚を抱かせるのです。
(プレイ時間: 58時間) The AI is still braindead, they shoot through walls, run in straight lines at the player, spam grenades even when they cant see you.
(日本語翻訳:AIはいまだに脳死状態で、壁越しに撃ってくるし、プレイヤーに向かって一直線に走ってくるし、こちらが見えていない時でさえグレネードを連発してくる)
この「They」という言葉には、不可解な挙動を繰り返す敵への嫌悪感と、それを何年も放置し続ける開発者への不信感が凝縮されています。タクティカルFPSにおいて、AIの質はゲーム体験の8割を決定します。網膜にレティクルが焼き付くほど集中してクリアリングを行っても、壁の向こう側からAIが正確に頭を撃ち抜いてくるのであれば、そこに戦術の介在する余地はありません。
「Still」という言葉の重み
「Still」という単語が頻発するのも、本作の不幸な歴史を物語っています。「まだAIの味方が実装されていない」「まだバイポッドが機能していない」「まだ最適化されていない」。1.0という数字は本来、これら「Still」からの卒業を意味するはずでした。しかし、現実は「1.0とラベルを貼っただけのアルファ版」であると、多くのユーザーが感じているのです。
「They」という主語がこれほど多く使われるのは、プレイヤーが開発チームを「共に歩むパートナー」ではなく「対立する不誠実な存在」と認識し始めた兆候かもしれません。
どれほどカスタマイズ要素を増やそうと、核心的な「遊び」の部分が停滞していることへの不満。それがこのデータに如実に表れています。
「彼ら」への期待は、12年という歳月の重みに耐えかねて、深い絶望へと変わりつつある。
ユーザーが直面する現実

100GBの肥大化と消えた約束
1.0リリースに伴い、多くのプレイヤーが愕然とした事実があります。それは、ゲームのファイルサイズが突如として約40GBから100GBへと倍増したことです。それだけのデータ量増加があれば、さぞかし劇的な変化があるのだろうと期待するのが人情ですが、現実は非情でした。
「何が増えたのか?」という問いに対し、明確な答えが見つかりません。追加されたのは数種類の武器と、わずかなミッションのみ。グラフィックの劇的な進化や、待ち望んでいたAIチームメイトの実装は、未だ「Future planned(将来の予定)」のままです。
理不尽な戦場での「虚無な時間」
実際のプレイフィールを、長年この戦場で泥にまみれてきた私の視点で描写しましょう。
装備を整える時間は至高です。ベストのどの位置にマガジンポーチを配置し、ホルスターの角度をどうするか。数十分かけて「究極のタクティカルバービー」を完成させ、意気揚々と出撃します。
しかし、戦場に降り立った瞬間に待っているのは、前述の「理不尽」です。
漆黒の闇の中、ナイトビジョンを装着して慎重に歩を進める。足音一つ立てず、影から影へと移動する。完璧な隠密行動だと思った瞬間、200メートル先の建物の中にいる敵が、明かり一つない窓からこちらを正確に視認し、「Enemy!」と叫びながら銃弾を叩き込んできます。こちらからは敵の影すら見えません。
(プレイ時間: 0時間 ※返金済み) AI teammates are not in yet … but once they spot you they know where you are even if you move behind buildings and peak the other side. They will just keep firing at you as you enter their line of sight again, in pitch black darkness mind you.
(日本語翻訳:AIのチームメイトはまだ実装されていない……そして、一度敵に発見されると、建物の裏に隠れて反対側から覗いても居場所がバレている。真っ暗闇の中でも、こちらの視線が通った瞬間に撃ち続けてくるんだ)
12年経っても変わらぬ「ハリボテ」感
ドアを開ければ壁にめり込み、梯子を登れば空へ放り出される。そんなバグが1.0でも散見されます。もはやバグそのものよりも、「これを修正せずにリリースと呼ぶ神経」にユーザーは恐怖を感じているのです。
100GBものストレージを占有しながら、中身は数年前のテックデモと大差ない。この「虚無感」こそが、現在の『GROUND BRANCH』を象徴する空気感です。どれだけ愛着を持ってこの世界に浸ろうとしても、システムの不備が没入感を冷酷に引き剥がし、プレイヤーを現実に引き戻します。
タクティカルFPSのファンは忍耐強い人種ですが、その忍耐も「進歩」が見えてこそ。12年経っても「基礎工事が終わらない」状況に、多くのファンが匙を投げ始めています。
100GBという巨大な器に注がれたのは、12年物の「いつか良くなる」という賞味期限切れの期待だった。
それでも支持される理由

他の追随を許さない「銃器愛」
ここまでボロクソに書いてきましたが、それでも本作には88%という高い好評率が存在します。その理由は、一言で言えば「銃と装備への執着心が異常」だからです。
他のどんなリアル系FPS……それこそ『Escape from Tarkov』や『Ready or Not』と比較しても、本作のカスタマイズの自由度は群を抜いています。レールのどの溝に光学サイトを載せるか、フォアグリップの位置を1センチ単位でどこにするか。この「こだわり」が許容されるゲームは他にありません。
長年、銃声だけを子守唄に生きてきた私のような人間にとって、このカスタマイズ画面だけで数時間が溶ける体験は代えがたいものです。自分の体格に合わせ、使いやすさを追求した一挺を作り上げた時の達成感。それを持って射撃場で紙のターゲットを撃ち抜く瞬間。その一点において、本作は神ゲーと呼ぶにふさわしい輝きを放ちます。
「引き算」の美学が生む緊張感
ヒット確認のマーカーが出ない。倒したかどうかも分からない。死体を確認しに行くまで、その脅威が去ったのか判断できない。この「不便さ」が、実戦に近い緊張感を生んでいます。昨今の親切すぎるFPSに飽き飽きしている層にとって、『GROUND BRANCH』の無愛想なインターフェースはむしろご褒美なのです。
「余計なことをしない」という設計思想が、かえってプレイヤーの想像力を刺激し、自分たちで遊びを作り出す余地を与えています。
マルチプレイで気の合う仲間と、徹底的にリアリズムを追求したロールプレイを行う。そのプラットフォームとして見れば、本作の右に出るものはありません。バグや未完成な部分を「運用の工夫」で乗り越える。そんな変態的な楽しみ方ができる層には、今なお熱狂的に支持されているのです。
不完全ゆえの美しさ――この歪な「タクティカル・シミュレーター」は、特定の狂信者にとっての聖域であり続けている。
最終評価と購入ガイド
どす恋まん花としての結論を申し上げます。
『GROUND BRANCH』は、現状「1.0」と呼ぶにはあまりにも未完成な作品です。12年の月日は、期待を熟成させるには長すぎ、一方で開発の情熱を風化させるには十分な時間でした。しかし、このゲームにしかない「銃へのフェティシズム」と「硬派な空気感」は、間違いなく本物です。
購入を検討されている皆様は、これが「完成されたゲーム」ではなく、「終わりなき開発に付き合うための入場券」であることを理解しておく必要があります。ストレスを戦術でねじ伏せる喜びを感じられるか、それとも未完成なシステムに憤死するか。あなたはどちらのタイプでしょうか?
✅ 購入をお勧めする人
- 銃器のカスタマイズこそがFPSの本体であると信じて疑わない人
- 自分たちでルールを決め、ロールプレイを楽しめるマルチプレイ仲間がいる人
- 「早期アクセス」という言葉の裏にある不条理を笑って許せる、海の向こうの仏のような寛大な心を持つ人
❎ 購入を避けるべき人
- 『Ready or Not』のような、完成度の高い洗練されたキャンペーン体験を求めている人
- AIの理不尽な超反応や、壁越し射撃に耐えられない人
- 100GBのストレージを、「中身の詰まったゲーム」のために取っておきたい人
執筆:どす恋まん花
