皆様、ごきげんよう。ゲームの深淵を覗き込み、時にはその深淵から「もう寝なさい」と突き返されるブロガー、どす恋まん花(どすこいまんげ)です。
今回取り上げるのは、リリース前から一部の界隈で異様な熱気を帯びていたオートバトル・ローグライト、『How Many Dudes?』です。何を隠そう、このまん花、本作をすでに2000時間ほどやり込んでおります。もはや私の生活サイクルは「起床、野郎、野郎、睡眠、野郎」といった具合に、完全に「野郎」を中心に回っていると言っても過言ではありません。
しかし、Steamストアを覗いてみれば、圧倒的な高評価の影で、悲痛な叫びのような「低評価レビュー」が散見されます。それも、数分で投げ出した人の不満から、数十時間遊び倒したからこそ辿り着いた絶望まで、実に多種多様です。本日は、このゲームに魂を売った一人のゲーマーとして、データと情熱の両面から、本作が抱える「光と闇」を解剖していこうと思います。
作品概要

『How Many Dudes?』は、多種多様な「野郎(キャラクター)」を集めてチームを編成し、圧倒的なシナジーで敵をなぎ倒していく、カオスで戦略的なオートバトル・ローグライトです。
本作の最大の特徴は、42種類の個性豊かな野郎たちを組み合わせる自由度の高さにあります。アンデッドやSF、アクションといった6つの属性を持つ野郎たちは、それぞれ攻撃や防御、支援といった役割を担います。そこに「遺物」や「アクセサリー」を組み合わせることで、攻撃時に爆発したり特殊な武器を装備したりといった、ゲームバランスを崩壊させるほどの強力な相乗効果を生み出すことが可能です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | How Many Dudes? |
| 発売日 | 2026年7月30日 |
| 開発元 | Butterscotch Shenanigans |
| 総レビュー数 | 1,427件 |
| 評価内訳 | 高評価: 1,313 / 低評価: 114 |
| 好評率 | 92% |
| 平均スコア | ★★★★★ (4.6) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | 野郎軍団を編成してトンデモバトルを繰り広げる、野郎ビルダーローグライク! |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

さて、ここからはデータに基づいた分析を進めてまいりましょう。不満カテゴリの内訳を見ると、もっとも多いのが「理不尽な難易度(14件)」、次いで「ストーリー/テンポ(12件)」となっています。
「理不尽な難易度」が指し示す構造的欠陥
この「理不尽」という言葉には、実は二つの意味が含まれているとまん花は分析しています。一つは、指紋がなくなるほどに画面を擦り続けてきた熟練プレイヤーが感じる「特定のビルド以外お断り」という閉塞感。もう一つは、遊び始めたばかりの初心者が直面する「急激な難易度のスパイク(突出)」です。
本作は、中盤までは非常に快適に、そして爽快に進めることができます。しかし、特定のウェーブ(例えば第89ウェーブなど)に差し掛かった途端、それまでの余裕が嘘のように自軍が霧散することがあります。これは、敵のステータス上昇率がプレイヤー側の強化曲線をある瞬間に追い越してしまう、バランス調整の甘さに起因しています。
プレイヤーの期待と現実のズレ
多くのプレイヤーは、ローグライクゲームに対して「自分の選択で道を切り開く楽しさ」を求めています。しかし、本作の低評価レビューを読み解くと、「選択」が機能していないという不満が根強いことが分かります。序盤で強力なシナジーを引けなければリスタートするしかない、あるいは逆に、一度最強の組み合わせが完成してしまうと、あとの1時間はずっと画面を眺めているだけの「虚無の時間」に変わってしまう。この両極端なゲーム体験が、ユーザーに「理不尽」という印象を植え付けているのです。
ここで、中国語圏のプレイヤーによる非常に鋭いレビューを引用しましょう。
1.兵种太多导致单局极难构筑到同种族乃至特定组合的兵种,甚至没提供新刷出后更换兵种的功能,使得一局的兵种构筑可控性极差 3.部分轮次数值控制过陡,第一局打到89前兄弟健在,一路凯歌,89突然群体被秒,这种数值设计让人很难学习适应
(翻訳:1. ユニットの種類が多すぎるため、同じ種族や特定の組み合わせを構築するのが極めて難しい。さらにリロール後にユニットを入れ替える機能もないため、1回のプレイにおける構築のコントロール性が最悪。 3. 一部のウェーブでの数値調整が急激すぎる。第89ウェーブまでは味方が健在で快進撃を続けていたのに、89で突然全滅した。このような数値設計は、プレイヤーが学習して適応することを困難にしている。)
このレビューが指摘するように、プレイヤーが学習し、対策を練る余地がないまま敗北を突きつけられるという点が、本作の最大のフラストレーション源となっています。
戦略ゲームにおいて、敗北は「次への教訓」であるべきですが、本作では「ただ運が悪かった」あるいは「数値が足りなかった」という結論に陥りやすいのです。
理不尽な数値の壁は、プレイヤーの創意工夫を嘲笑う「絶対的な絶望」へと変貌するのです。
不満の元凶「Run」の分析

次に注目すべきは、頻出単語ランキングで堂々の1位(40回)に輝いた「Run」という言葉です。ローグライクにおける「Run(1回の試行)」は、本来であればワクワクする冒険の単位であるはずですが、本作においては苦痛の単位として語られることが多いようです。
1回のプレイ時間が長すぎるという病
本作の1回のRunは、100ウェーブを超える長大な戦闘で構成されています。これに対し、多くの低評価レビュアーは「長すぎる」「退屈だ」と声を揃えています。特に、ゲームに慣れてくると中盤のウェーブは作業と化し、親の顔より見た画面を何十分も眺め続けることになります。
倍速モードを適用してもなお、1回のクリアに1時間近くかかることも珍しくありません。しかも、その時間の9割は、何も考えずに「次のウェーブへ」をクリックするだけの、いわば「クリック放置ゲーム」のような状態になってしまうのです。戦略的な決断を下す瞬間が極めて少ないにもかかわらず、拘束時間だけは超大作RPG並みという歪な構造が、プレイヤーの精神を摩耗させています。
密度と緊張感の欠如
「Run」が苦行に変わるもう一つの要因は、イベントの密度の低さです。道中で得られる遺物やアクセサリーの選択は、序盤こそ楽しいものの、後半になると「どれを選んでも勝てる(あるいは、どれを選んでも死ぬ)」という大味な展開になりがちです。
英語圏のユーザーからは、以下のような厳しい意見が寄せられています。
Runs in this game take way too long and end up being boring and repetitive. This game would be way better if runs took 30 minutes and were cut throat in which each act boss challenges your build.
(翻訳:このゲームの1回のプレイ(Run)はあまりに長すぎ、最終的には退屈で繰り返しの作業になってしまう。もし1回のプレイが30分程度で、各アクトのボスがビルドを厳しく試してくるような緊張感があれば、もっと良いゲームになっていただろう。)
この意見には、まん花も深く頷かざるを得ません。短時間で濃密な意思決定を繰り返すことこそがローグライクの醍醐味であるはずなのに、本作は「引き延ばされた希薄な体験」を提供してしまっているのです。
多くのプレイヤーは、仕事や学業の合間に「ちょっと1プレイ」を楽しみたいと考えています。しかし、本作を始めるには、腰を据えて「虚無の1時間」に耐える覚悟が必要になってしまいます。このハードルの高さが、リピート率を下げる大きな要因となっているのは間違いありません。
「Run」が冒険ではなく「労働」に感じられた時、ゲームとしての寿命は尽きてしまいます。
ユーザーが直面する現実

本作をさらに深く、それこそ人生の半分を捧げたと言えるほどに遊び込むと、より深刻な問題が見えてきます。それは、開発者が意図的に用意したと思われる「プレイ時間の水増し」とも取れる仕様です。
解放(アンロック)の苦行ロード
本作には3段階の難易度設定がありますが、ここでの仕様が物議を醸しています。新しいキャラクター(野郎)を使用するためには、まず難易度1でそのキャラを含めてクリアし、次に難易度2でクリアし……という手順を、42種類のキャラクター全員分、個別に繰り返す必要があるのです。
高難易度で遊びたい、より歯ごたえのある戦いを求めているプレイヤーであっても、新キャラを試すためには、まずは「目を瞑っていても勝てる」ような低難易度で、1時間近い時間を無駄にしなければなりません。この仕様は、多くのプレイヤーの「遊びたい」という熱意を、物理的な時間拘束によって冷却してしまいます。
試行錯誤を阻むチーム固定システム
また、一度Runを開始すると、最初に選んだ5種類のユニット(野郎)を途中で入れ替えることができません。これは「一期一会の出会い」を重視した結果かもしれませんが、本作のようにRunが長いゲームでは裏目に出ています。
中盤で「この組み合わせ、面白くないな」と感じても、プレイヤーに許された選択肢は「そのまま1時間虚無を味わう」か「全てを投げ出してリセットする」かの二択です。途中で新しい野郎を雇用したり、戦略をガラリと変えたりする柔軟性があれば、これほどまでに「退屈」という言葉が飛び交うことはなかったでしょう。
あるプレイヤーは、この仕様を「網ゲー的思考(オンラインゲームのような、プレイ時間を稼ぐための設計)」と切り捨てています。
游戏分为三个难度,解锁的新人物必须打通一级难度才能在二级难度使用……我的玩兴瞬间一扫而空,如果我想玩下去,就必须重复通关枯燥的一级难度。思来想去,只有制作组是傻逼这一种结论。
(翻訳:ゲームは3つの難易度に分かれているが、新キャラクターを解放するには、難易度1をクリアしなければ難易度2で使えず、難易度2をクリアしなければ難易度3で使えない……私のやる気は一瞬で消え失せた。遊び続けたいなら、退屈な難易度1を何度もクリアしなければならないのだ。考えてみたが、制作陣が愚かであるという結論しか出せない。)
非常に過激な表現ですが、「もっと遊びたい」と願うプレイヤーに対して、無意味な反復作業を強要するシステムが、どれほど愛想を尽かされる原因になるかを物語っています。
ゲームとは、本来自由であるべきです。特にインディーゲーム、そしてローグライクというジャンルにおいては、プレイヤーの好奇心を制限するようなアンロックの壁は、毒にしかなりません。
「遊び」を「作業」に格下げしてしまったこと、それが本作最大の失策です。
それでも支持される理由

ここまで、どす恋まん花はあえて厳しい側面ばかりを強調してきました。しかし、冒頭で述べた通り、本作の好評率は92%という驚異的な数字を叩き出しています。血液がゲームのプログラムコードに入れ替わるほどに遊び続けた私には、その理由もまた、痛いほど理解できるのです。
「カオス」がもたらす唯一無二の多幸感
本作の魅力は、何と言っても「ゲームバランスの破壊」にあります。
特定の遺物とアクセサリーがカチリと噛み合った瞬間、画面上を埋め尽くす敵が、見たこともないようなエフェクトと共に一瞬で溶けていく。あの隕石が降り注ぎ、ゾンビが爆発し、忍者があらゆる攻撃を回避し続ける光景は、理屈を超えた快感をもたらします。
何も考えず、ただただ「俺が考えた最強の野郎軍団」が画面を制圧していく様を眺める。それは、現代社会で疲弊した脳にとって、一種のセラピーに近い効果があるのかもしれません。「脳死で遊べる」というのは、ある側面から見れば欠点ですが、別の側面から見れば、本作最大の「癒やし」の要素でもあるのです。
圧倒的なアセットと開発の「野郎」愛
42種類の野郎たちは、どれも個性的で、専用の遺物による強化バリエーションも豊富です。ドット絵の質感や、コミカルながらもどこか哀愁漂う「野郎」たちのモーションには、開発者の並々ならぬこだわりが感じられます。
低評価レビューで「バランスが悪い」と叩かれている点も、裏を返せば「とんでもないバランスの壊れ方を楽しむ」というローグライクの本質を、極端な形で体現しているとも言えます。刺さる人にはトコトン刺さる。毒もあれば薬もある。そんな、アクの強いラーメンのような中毒性が、本作を支えているのです。
「意味のないもの」に全力でリソースを注ぎ込むというインディー精神が、そこかしこに溢れています。不満点が多いことを理解しつつも、ついつい「もう一回だけ、あの爆発を見ようかな」と起動してしまう……そんな魔力が、この『How Many Dudes?』には確かに宿っているのです。
万人に受ける優等生なゲームではありません。しかし、特定の周波数を持つプレイヤーにとっては、一生モノの「おもちゃ箱」になり得るポテンシャルを秘めています。
欠点すらも「野郎の個性」として愛せるか、それが本作を楽しむための踏み絵なのです。
最終評価と購入ガイド
さて、長々と語ってまいりましたが、どす恋まん花としての結論をお伝えしましょう。
『How Many Dudes?』は、「超濃厚なインスタント・カオス」です。
深い戦略性や完璧なバランス、あるいは達成感のある高難易度体験を求めている方には、本作はおすすめしません。それどころか、あまりの底の浅さと時間の長さに、怒りすら覚えるかもしれません。
しかし、「何も考えずに派手な画面を楽しみたい」「一瞬の快感のために1時間の仕込みを厭わない」という奇特な……失礼、情熱的なゲーマーにとっては、これ以上ないご馳走になるはずです。
購入を迷っている方は、まずデモ版を触ってみてください。そこで「あ、これ好きかも」と感じたなら、それはあなたが「野郎」の素質を持っている証拠です。逆に「時間の無駄だな」と感じたなら、その直感は正しいので、そっとページを閉じましょう。
✅ 購入をお勧めする人
- ド派手なエフェクトと、画面を埋め尽くす敵が溶ける様子に快感を覚える人
- 戦略よりも「カオスな状況」を愛し、バランス崩壊を笑って許せる人
❎ 購入を避けるべき人
- 短時間で密度の高いプレイを求め、反復作業を極端に嫌う人
- 運要素を実力でねじ伏せるような、精密なゲームバランスを求める人
それでは、皆様が良き「野郎ライフ」を送れることを願っております。まん花は、また第3難易度の深淵へ戻ることにいたしますわ。
執筆:どす恋まん花
