皆さま、ごきげんよう。どす恋まん花です。
本日お届けするのは、あまりにも不穏、かつあまりにもシュールな話題作『How to Make an Atomic Bomb in Your Garden』のレビューでございます。本作は、平和な郊外の裏庭で原子爆弾をDIYするという、倫理観をどこか別の銀河に置き忘れてきたようなシミュレーションゲーム。その奇抜なコンセプトから、発表当初より多くの注目を集めてまいりました。
何を隠そう、このどす恋まん花、このタイトルを2000時間やり込んでおります。
ええ、自分でも正気とは思えません。しかし、この狂気に満ちた「裏庭プロジェクト」には、それだけの時間を費やさせるだけの「何か」があるのも事実。一方で、Steamのレビュー欄を見れば、噴出する不満と低評価の嵐。一見すれば単なる「ネタゲー」や「クソゲー」として切り捨てられかねない本作ですが、その深淵を覗き込んできたまん花が、データと実体験に基づき、このゲームの真実を徹底的に解剖してまいりましょう。
作品概要

本作は、郊外の静かな裏庭で「原子爆弾をDIYする」という荒唐無稽な目的を掲げた、ブラックユーモア溢れる一人用シミュレーションゲームです。プレイヤーは平和な日常の裏で、史上最も危険で疑わしいプロジェクトを完遂させるために奔走します。
主なゲームシステムは、資金調達、研究、材料調達、組み立てのステップで構成されています。カオスなミニゲームで資金を稼ぎ、信頼性の低い情報源から研究を進め、怪しいオンラインセラーから部品を購入します。さらには、ありふれた家庭用品から重要な材料を抽出するといった、狂気的なプロセスを体験します。
単なる作業だけでなく、サバイバル的な管理要素も重要です。癖のある近隣住民への対応や、プルトニウムに資金を投じることでIRS(税務署)の監視を逃れるといったスリリングな駆け引き、そして理不尽な方法によるストレス管理が求められます。
ゲームは3つの製作段階を経て進展し、段階が上がるごとにリスクと複雑さが増していきます。一歩間違えれば自分自身が爆発しかねない緊張感の中、30分から180分程度のプレイ時間で、異常な目的を達成する背徳的なシミュレーションを楽しむことができます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | How to Make an Atomic Bomb in Your Garden |
| 発売日 | 2026年6月9日 |
| 開発元 | karahan |
| 総レビュー数 | 442件 |
| 評価内訳 | 高評価: 382 / 低評価: 60 |
| 好評率 | 86% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.3) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | な裏庭での原子爆弾作成シミュレーター。資金を集め、アプローチを計画し、希少な部品を探し、冷静さを保ちながら原子力の傑作を組み立て、好奇心旺盛な隣人や連邦エージェントから疑いを避けましょう。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

物理エンジンという名の暴君
この作品を語る上で、避けて通れないのが「バグ/最適化」の問題です。不満カテゴリの1位(16件)を独占しているこの要素は、単に「画面がカクつく」といったレベルの話ではありません。本作の物理演算は、時としてプレイヤーを宇宙の彼方へと誘うほどに制御不能なのです。
例えば、爆弾の部品を運搬する「一輪車(Wheelbarrow)」。これが本作における最大の敵と言っても過言ではありません。少しの段差や、アイテムの置き方の不備によって、一輪車は突如として重力から解放されたかのように激しく回転し、丹精込めて集めた材料を庭中に、あるいはマップの外へとぶちまけます。まん花も、人生の大部分をこの裏庭の芝生の上で過ごしてきた身として、何度この物理現象に絶叫したか分かりません。
進行不能(ソフトロック)の恐怖
物理エンジンの暴走以上に深刻なのが、ゲームのロジック的な欠陥による進行不能バグです。本作は「正しい手順」で進めることをプレイヤーに強いる一方で、その手順から少しでも逸脱すると、ゲーム機転が利かずにシステムが崩壊してしまう脆弱さを抱えています。
例えば、特定のアイテムを手に持ったまま家の中を通り抜けると、フラグが折れてしまい、次のステップに進めなくなるといった具合です。これは自由度を売りにするシミュレーションゲームとしては致命的であり、プレイヤーが「工夫」をしようとするたびに、ゲーム側がそれを「拒絶」するような形になっています。
The game is funny and made me laugh a lot. But unfortunately it has a tendency to soft lock you. This game requires you to act and proceed in a very specific way and if you don’t the game just breaks. For example at Stage one you are required to purchase a number of items. When I purchased them I picked them up and walked through the house instead of using the wheelbarrow. This then soft locked me.
(日本語訳:このゲームは面白くて何度も笑わせてくれた。でも残念ながら、ソフトロック(進行不能)に陥りやすい傾向がある。非常に特定の方法で行動し、進めることを要求され、そうしないとゲームが壊れてしまうんだ。例えば、ステージ1でいくつかのアイテムを購入する必要があるんだけど、買った後に一輪車を使わずに手に持って家の中を歩いて運んだら、それでソフトロックされたよ。)
このような、開発側が想定した「細い一本道」を外れた瞬間にゲームが死ぬという仕様は、多くのプレイヤーにとって大きなストレス源となっています。特に、数時間に及ぶ作業の末にバグで全てが台無しになった時の脱力感は、計り知れません。
また、最適化不足も深刻で、舞台がたった一つの裏庭と家屋であるにもかかわらず、PCに過剰な負荷をかける点も指摘されています。グラフィック設定を下げても改善されない熱暴走は、まさに「自宅のPCが原子爆弾になるのではないか」という皮肉な没入感を生んでいると言えるでしょう。
最適化不足と理不尽なバグは、プレイヤーの情熱を文字通り「物理的に」吹き飛ばす破壊力を持っている。
不満の元凶「Items」の分析

終わりのない「お使い」シミュレーター
頻出単語データを見ると、「Items」という言葉が14回とトップに君臨しています。これは、本作のゲームプレイの本質が「アイテムをひたすら運ぶこと」に終始している証左でもあります。
核兵器を作るという壮大なテーマとは裏腹に、プレイヤーが実際に行う時間の大部分は、Amazonならぬ「怪しい通販サイト」でポチった段ボール箱を、門の外から裏庭までひたすら運び、開封し、中身を指定の位置に置くという地味な作業です。キーボードの印字が消え果てるほど移動キーを押し続けなければならないこの構造は、もはや核物理学ではなく、引っ越し業者のアルバイトに近い感覚を抱かせます。
「楽しさ(Fun)」と「苦行」の境界線
面白いことに、頻出単語の2位には「Fun」が入っています。これは「コンセプトは面白い(Fun)」けれど「実際の作業は苦行である」という、プレイヤーの引き裂かれた感情を表しています。
特に第2段階(Stage 2)に入ると、要求されるアイテムの量が爆発的に増加します。例えば、何百本もの水樽や、大量の化学薬品を一つずつ運搬する作業。これに前述の「暴走する一輪車」が加わると、ゲームプレイはエンターテインメントから、忍耐力を試す精神修行へと変貌を遂げます。
Tried Act 2 4-5 times but every time the wheelbarrow or physics breaks the progression. I’d try again but carrying 30+ boxes to the backyard while the wheelbarrow is spinning across the fence is not enjoyable.
(日本語訳:アクト2を4~5回試したけど、毎回一輪車か物理演算のバグで進行が止まってしまう。もう一度やり直したい気持ちはあるけど、一輪車がフェンスを越えて回転し続けている間に、30個以上の箱を裏庭まで運ぶのは全く楽しくないよ。)
アイテムを運ぶ、という行為そのものに面白みを見出せない限り、本作のボリュームの大部分は「時間の浪費」に感じられてしまいます。特に、アイテムの保持システムが貧弱で、一輪車の上にテトリスのように無理やり詰め込むしかない現状のUIでは、不器用なプレイヤーはそれだけで挫折してしまうでしょう。「Items」という単語がこれほどまでに頻出するのは、このゲームが「素材」ではなく「素材を運ぶ手間」に支配されているからに他なりません。
まん花としても、もう少し「研究」や「設計」といった知的なパズル要素が強ければと願わずにはいられません。現状では、IQを極限まで下げて荷物を運び続けるゴリラのような忍耐力が、核兵器製造の必須条件となっているのです。
「核兵器を作る」という知的な期待は、大量の「Items」を運搬するという肉体労働によって無残に打ち砕かれる。
ユーザーが直面する現実

セーブ機能の欠如という最大の罠
さて、ここからはプレイヤーが実際に直面する、より具体的な地獄についてお話ししましょう。本作において最も多くの悲鳴を上げさせているのは、「セーブ機能の不完全さ」です。
一応、ステージクリアごとのオートセーブは存在すると謳われていますが、実態は「一度中断したら最後、そのステージの最初からやり直し」という、現代のゲームとは思えないほど硬派(というか不親切)な仕様になっています。1ステージをクリアするには、バグに遭遇しなければ数十分、手間取れば数時間を要します。その間、一時中断も許されないというのは、忙しい現代人にとってあまりにも酷な話です。
現実の住所より、このゲームの裏庭の座標に詳しいと自負するまん花ですら、突然のクラッシュで2時間の作業が消えた時は、マウスを握る手が震えました。
ローカライズが生むカオス
また、多言語対応の不備も深刻な問題を引き起こしています。日本語対応とされてはいるものの、その精度は決して高いとは言えません。それどころか、設定言語と表示言語が混ざり合う奇妙な現象が報告されています。
例えば、フランス語でプレイしているのに購入リストのアイテム名がロシア語で表示される、といった怪現象です。核爆弾を作るために必要な材料の名前が分からないというのは、シミュレーションゲームとして致命的です。「ウラン」を注文したつもりが「ジャガイモ」が届く(極端な例えですが)ような状況では、プロジェクトは完遂できません。
Le jeu demande d’acheter des objets, je joue en français le nom des objets à acheter est en russe !! Pas de traduction française du jeu !
(日本語訳:ゲームはアイテムを購入するように求めてくるけど、フランス語でプレイしているのに買うべきアイテムの名前がロシア語なんだ!! フランス語の翻訳なんて存在しないようなものだ!)
さらに、UI内の改行コード(\n)がそのまま表示されていたり、テキストが枠を突き抜けていたりと、製品版としてのチェックを疑うような箇所が散見されます。これらの細かい「未完成さ」の積み重ねが、プレイヤーの没入感を削ぎ、最終的に「返金」という選択肢を突きつけさせるのです。
ストレス管理という名のギャグ
ゲーム内のシステムである「ストレス管理」も、実態は非常にシュールです。爆弾作りという極限状態のストレスを解消するために、プレイヤーは「風変わりで理不尽な方法」を試すことになりますが、これがゲーム的な面白さに繋がっているかと言えば、首を傾げざるを得ません。
単調なクリック作業の合間に、脈絡のないミニゲームを挟まれる感覚。これが「核開発のプレッシャー」を表現しているのか、単に「開発者の悪ふざけ」なのか。多くの低評価レビューは後者であると断じています。
セーブ不能、言語崩壊、そして虚無の作業。裏庭の平和は、物理エンジンとシステム不備によって常に脅かされている。
それでも支持される理由

唯一無二の「バカゲー」としての輝き
ここまでボロクソに書いてきましたが、それでも本作の好評率は86%という高水準を維持しています。これほどまでに欠陥だらけでありながら、なぜ多くのプレイヤー(そしてこのまん花)を惹きつけてやまないのでしょうか。
それは、ひとえにこのゲームが持つ「圧倒的なバカバカしさ」と「背徳的なコンセプト」にあります。
「日曜日の朝にふと思い立って原子爆弾を作る」という導入から、IRS(国税庁)の監視を逃れるためにプルトニウムにお金を注ぎ込むという支離滅裂なロジック。これらは、洗練されたAAAタイトルでは決して味わえない、インディーゲーム特有の「毒」に満ちています。親の顔より見慣れたプルトニウムの容器を丁寧に組み立てる瞬間、私たちは法と倫理の外側にいるという奇妙な万能感に包まれるのです。
作業の果てに待つ(かもしれない)達成感
理不尽な運搬作業も、考えようによっては「かつてないほどリアリティのある苦労」と言えるかもしれません。何百という物資を自らの足で運び、不安定な物理演算に怯えながら精密な組み立てを行う。その過程を乗り越えて完成させた爆弾は、もはや単なるオブジェクトではなく、プレイヤーの血と汗と涙(と怒号)の結晶です。
また、不気味な近隣住民との交流や、怪しげなオンラインサイトでの買い物といったフレーバーテキストは非常に秀逸で、ブラックユーモアのセンスは一級品です。
欠陥すらもネタにできる寛容な層
本作を高く評価している層は、最初から「まともなシミュレーター」を期待していません。彼らが求めているのは、YouTubeや配信で映えるような「物理エンジンの大暴走」や「突拍子もない展開」なのです。
「一輪車が空を飛んだw」「バグで家から出られなくなったw」というハプニングを、ゲームの欠陥ではなく「アトラクション」として楽しめる人にとって、本作は10ドル程度の投資で無限の笑いを提供してくれる神ゲーになり得ます。不完全であることを含めて愛でる、というインディーゲーム特有の楽しみ方が、この高い支持率を支えているのでしょう。
まん花も、2000時間という狂気的な時間を費やす中で、数え切れないほどの物理バグに遭遇しました。しかし、そのたびに「次はどうやって一輪車を安定させようか」「アイテムをどう積めば物理法則を欺けるか」と考えるのが、いつしか快感に変わっていったのです。
このゲームは「完成された作品」ではない。プレイヤーが自ら狂気に飛び込み、バグと共に踊るための「遊び場」なのだ。
最終評価と購入ガイド
『How to Make an Atomic Bomb in Your Garden』は、決して万人にお勧めできる「良作」ではありません。むしろ、人によっては人生で一番時間を無駄にしたと感じる「地雷」にすらなり得ます。
しかし、あなたが「洗練されたゲーム性」よりも「一度見たら忘れられない衝撃」を求め、物理エンジンの機嫌を伺いながら黙々と作業することに喜びを感じる変態……失礼、「こだわりの強いゲーマー」であるならば、この裏庭には至福の時間が待っています。
バグを笑い飛ばし、理不尽を楽しみ、日曜日の朝に核兵器を作るという狂気に身を投じる。そんな覚悟がある方だけ、この門を叩いてみてください。
✅ 購入をお勧めする人
- ブラックユーモアとシュールな世界観を何よりも愛する人
- 物理エンジンの暴走を「ハプニング」として笑って許容できる寛容な心を持つ人
- 「引っ越しシミュレーター」のような、地味で反復的な作業に没入できる人
❎ 購入を避けるべき人
- 快適な操作性、バグのない洗練されたゲーム体験を求めている人
- 数時間の進捗がバグで消えることに、耐えがたいストレスを感じる人
- 「核兵器製造」に対して、本格的な科学的・技術的シミュレーションを期待している人
以上、どす恋まん花がお送りいたしました。皆さま、裏庭でのDIYは計画的に。そして何より、プルトニウムの扱いには十分ご注意を!
執筆:どす恋まん花
