こんにちは、どす恋まん花です。皆様、鏡の中の自分を疑ったことはありますか?
今回、私が筆を執るのは、Steamで驚異の好評率92%を叩き出している話題作『It Has My Face』です。このゲーム、一見すると「自分に化けたクローンを探して殺す」という非常にシンプルかつ中毒性の高い作品に見えます。しかし、世の中には「絶賛」の嵐の裏側で、静かに、しかし確実に不満を募らせているプレイヤーたちが存在します。
まん花はこのタイトルに2000時間という、人生の貴重な一部を文字通り捧げてきました。もはや鏡を見るよりもゲーム画面を見ている時間の方が長く、自分の顔よりもクローンの顔の方に親近感を覚えるレベルです。
そんな「廃人」の域に達した私だからこそ見える、このゲームの「毒」と「薬」があります。今回は、あえて「低評価」を付けたプレイヤーたちのデータに基づき、この作品が抱える構造的な欠陥と、それでもなお人々を惹きつけてやまない魔力について、鋭く切り込んでいきたいと思います。
作品概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | It Has My Face |
| 発売日 | 不明 |
| 開発元 | 不明 |
| 総レビュー数 | 537件 |
| 評価内訳 | 高評価: 496 / 低評価: 41 |
| 好評率 | 92% |
| 平均スコア | ★★★★★ (4.6) / 5.0 |
| 日本語対応 | 不明 |
| 概要 | 概要取得失敗 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作に対する低評価レビューを分析すると、非常に興味深い偏りが見えてきます。全41件の不満のうち、実に4分の1以上を占める11件が「ストーリー/テンポ」に関するものです。
ストーリーが「恐怖」を殺している皮肉
このゲームの初期衝動は、間違いなく「正体不明の恐怖」でした。しかし、多くの低評価レビュアーが指摘するのは、物語が進むにつれてその恐怖が「過剰な説明」によって霧散してしまう点です。
開発側はプレイヤーを飽きさせないために「なぜクローンが存在するのか」「この施設は何なのか」という謎に対して、メモやログという形で答えを用意しました。しかし、これがホラーゲームとしての「底知れなさを奪う」という致命的な副作用を生んでいます。
かつて、名作ホラーたちは「語らないこと」で恐怖を演出してきました。本作はその逆を行き、すべてを論理的に説明しようとした結果、プレイヤーの想像力を削ぎ落としてしまったのです。「謎が解ける快感」よりも「底が見えてしまった失望」が上回ったとき、熱心なゲーマーは冷酷なレビューを書き残します。
「単調さ」という名の見えない敵
次に多いのが「テンポ」への不満です。本作の核となるループは「鏡を見る→武器を探す→クローンを殺す」の3ステップ。最初の1時間は魔法のような体験ですが、10時間を超える頃には、その魔法は「作業」へと変貌します。
特にやり込み勢にとって、ランダム要素である「ミューテーター(変異)」が、難易度の調整ではなく「単調なプレイを無理やり引き延ばすための足かせ」に感じられる場面が多々あります。これこそが、多くのプレイヤーが「底が浅い」と嘆く理由の正体です。
(プレイ時間: 0時間) when i saw them announce this game at pax east i thought it looked really cool, but then i got to play it and the first five minutes are really fun and the horror atmosphere is on point and similar to mike klubnika’s works. but then you reach the lab and then all of the horror is drained. everything that happens has some explanation, some doom 3 esque note to find that just take away from the horror elements. past the promising but ultimately failed horror aspects most of the weapons suck, besides the gun…
(翻訳:PAX Eastで発表されたとき、このゲームは本当にクールに見えた。最初の5分間は本当に楽しく、ホラーな雰囲気もMike Klubnikaの作品に似ていて完璧だった。しかし、研究所に到達した途端、すべての恐怖が吸い取られてしまう。起こることすべてに何らかの説明があり、Doom 3のようなメモがホラー要素を台無しにしている。期待外れに終わったホラー面を過ぎれば、武器のほとんどはゴミだ。銃以外は……。)
期待が大きかったからこそ、説明過多による「恐怖の死」を許せなかったプレイヤーの悲鳴が聞こえます。
不満の元凶「They」の分析

頻出単語データを紐解くと、奇妙な事実が浮かび上がります。「They(彼ら)」という単語が28回も登場しているのです。これは単なる代名詞ではなく、プレイヤーが直面する「制御不能なストレス要因」の総称と言っても過言ではありません。
「They」とは誰を指すのか?
この「They」には、主に3つの対象が含まれています。一つは、群衆の中に紛れるNPC。二つ目は、治安維持の名目で徘徊するガードマン。そして三つ目は、それらを制御する「開発者の意図」そのものです。
不満を持つプレイヤーたちは、しばしば「They are pointless(彼らは無意味だ)」あるいは「They just get in the way(彼らはただ邪魔なだけだ)」と吐き捨てます。群衆シミュレーションが売りのはずの本作において、NPCたちが単なる「動く障害物」に成り下がっている点が、ゲーム体験の解像度を著しく下げているのです。
私は指紋がなくなるほどこのゲームをプレイし続けてきましたが、確かにガードマンの挙動には首をかしげることがあります。クローンがナイフを持って襲いかかってきているのに、プレイヤーが自衛のためにバットを構えた瞬間、ガードマンはプレイヤーの方を「違法武器所持」として叩きのめしに来る。この理不尽なまでの「彼ら(They)」のポンコツぶりが、戦略性を破壊しているのです。
メカニクス間の「不協和音」
「They」という言葉が頻出する背景には、複数のシステムが噛み合っていないという苛立ちがあります。武器、ガードマン、クローン、そしてステージギミック。これらがオーケストラのように調和して難易度を形成するのではなく、それぞれが勝手な方向に暴走している感覚。
特に、ランダムに配置されるガードマンが「クローンを仕留める絶好のチャンス」を物理的にブロックしてしまったときの虚脱感は、言葉にできません。プレイヤーは「ゲームの難易度」と戦っているのではなく、「システムの不備」と戦わされている……。そのフラストレーションが、28回もの「They」という叫びに集約されているのです。
(プレイ時間: 3時間) …Another issue is the security officers. There’s usually 2-3 per level… They act as an obstacle that’ll stop you dead in your tracks if you run into them, as well as beat you to death if you have any weapon but the baseball bat. Other than that, they’re pathetic and annoying as if they decided to actually help when your clone starts coming at you with a knife they get instantly killed…
(翻訳:……もう一つの問題は警備員だ。通常1レベルに2〜3人いる。彼らはぶつかると足を止める障害物として機能し、野球バット以外の武器を持っていれば殴り殺してくる。それ以外では、彼らは哀れで迷惑な存在だ。クローンがナイフを持って襲ってきたときに助けようとしても即座に殺される……。)
「彼ら」は恐怖の演出家ではなく、単にプレイヤーの足を引っ張る「不条理な舞台装置」と化しています。
ユーザーが直面する現実
もはや私の網膜には、このゲームのドットのひとつひとつが焼き付いています。しかし、数千時間という膨大な時間をこの世界で過ごしてきた私ですら、擁護しきれない瞬間があります。それは「虚無」と「理不尽」が交差する、あの暗転の瞬間です。
1秒で終わる虚無、15分続く苦行
本作のゲームデザインにおける最大の問題は、1ステージの密度が極端に不安定なことです。ある時は、リスポーンした瞬間に目の前にクローンが立っており、1秒でステージがクリアとなります。これは「幸運」ではなく、もはや「バグに近い設計ミス」です。
一方で、マップが広く、クローンが入り組んだ路地の奥で延々とNPCに紛れ込んでいる場合、プレイヤーは「15分間、ただ不気味な顔をした集団を眺め続ける」という苦行を強いられます。この時、ゲームはスリリングな心理戦ではなく、解像度の低い「ウォーリーを探せ」の劣化版へと成り下がります。
やり込み勢になればなるほど、この「待ち時間」の多さに敏感になります。ロード画面を見ている時間の方がプレイ時間より長いのではないか?という疑念は、あながち間違いではありません。特にPCスペックが最適化されていない環境では、黒い画面(ブラックアウト)を眺める時間が、プレイヤーの熱量を急速に奪っていきます。
RNG(乱数)という名の不公平な神
「ローグライク」という免罪符のもと、本作はあらゆる要素を運任せにしています。しかし、真のローグライクとは、運をプレイスキルでねじ伏せるカタルシスがあるものです。
『It Has My Face』はどうでしょうか。武器の出現場所、クローンの配置、ガードマンの巡回ルート。これらが最悪の形で噛み合ったとき、プレイヤーにできることは「死を受け入れること」だけです。15%から25%の進行度が、自らの過失ではなく「運の悪さ」だけで消し飛ぶ瞬間。
この理不尽な喪失感こそが、高評価の裏側に潜む最大の毒です。短時間プレイのユーザーは「まあ、こういうこともあるか」と笑って済ませられますが、腰を据えてプレイしている人間にとっては、これほど不快な体験はありません。
(プレイ時間: 4時間) i had to PUSH through to finish this game in its current stage, 2.5 hrs to finish the current story. Not bothering with 100%ing the games achievements as most are pointless grind achievements to force you to boost the games play time, they arent fun and honestly nore is this game at current.
(翻訳:現在のステージでこのゲームを終わらせるために、無理やり自分を追い込まなければならなかった。現在のストーリーを終えるのに2.5時間。実績の100%解除なんて気にしない。ほとんどがプレイ時間を無理やり増やすための無意味な作業実績で、楽しくもないし、正直今のこのゲームも楽しくない。)
「楽しさ」ではなく「義務感」でコントローラーを握らせる設計は、ゲームとして健全とは言えません。
それでも支持される理由
ここまでボロカスに書いてきましたが、まん花は今もこのゲームを起動しています。なぜか? それは、このゲームが持つ「唯一無二のコンセプト」が、すべての欠点を補って余りあるほどに強烈だからです。
「自分が自分を殺しに来る」という根源的な恐怖
どれほどシステムが稚拙でも、鏡で確認した「自分の姿」が、無表情で群衆の向こうからこちらを見つめている瞬間……。あの心拍数が跳ね上がる感覚だけは、他のゲームでは味わえません。
Dead by Daylight(DbD)とのコラボレーションで本作を知ったプレイヤーも多いでしょう。確かに、DbDのような洗練された対人戦はありません。しかし、「静寂の中に潜む殺意」をこれほど安価に、かつ手軽に体験できる作品は稀有です。
多くの高評価レビュアーが「ついつい続けてしまう」と語るのは、この核となるメカニクスが、人間の脳の報酬系をダイレクトに刺激するからです。どれほど理不尽に殺されても、次のマッチでクローンを完璧な一撃(One-Shot)で仕留めた瞬間、すべてのストレスが脳内麻薬で上書きされてしまう。この危うい中毒性こそが、本作の真価と言えます。
アーリーアクセスという「希望」への投資
また、92%という好評率の正体は、現状の完成度への評価ではなく「将来への期待」です。
「Early Access」というタグは、魔法の言葉です。バグがあっても、コンテンツが不足していても、「これから良くなるはず」という希望が批判を和らげます。低評価を付けた人々も、その多くは「コンセプトは素晴らしい」と前置きしています。
まん花としても、このゲームの荒削りな部分は「磨けば光るダイヤモンドの原石」だと信じたい。マルチプレイの安定化や、NPCのAI改善が行われれば、これは間違いなく神ゲーへと化けるでしょう。今の不満は、いわば「生みの苦しみ」をプレイヤーも共有している状態なのです。
私たちは、未完成の傑作が完成するまでの「過程」に金を払っているのかもしれません。
最終評価と購入ガイド
結論として、どす恋まん花の視点から言わせていただければ、『It Has My Face』は「極上のコンセプトを、未熟な技術で包んだ、非常に危うい劇薬」です。
2000時間という、もはや親の顔よりもクローンの顔を見続けた私ですら、誰にでもお勧めできるとは口が裂けても言えません。しかし、この「歪な体験」に抗いがたい魅力を感じる人が一定数いることも事実です。
あなたが鏡の中の自分と向き合う覚悟があるのなら、以下のチェックリストを確認してみてください。
✅ 購入をお勧めする人
- 「自分に化けた敵を探す」というコンセプトだけで白飯が食えるホラー好き
- 理不尽な運要素も「ローグライクの醍醐味」として笑い飛ばせる鋼のメンタル保持者
- DbDのファンで、あの世界観の一部を別の形で体験したい人
❎ 購入を避けるべき人
- 一貫性のあるロジカルなゲームデザインと、丁寧なチュートリアルを求める人
- 「説明過多なストーリー」が恐怖を削ぐことに耐えられない、雰囲気重視派のゲーマー
- ロード時間の長さや、1マッチの密度のバラつきにストレスを感じやすい人
もし購入を決めたなら、まずは1時間だけプレイしてみてください。その1時間で「あ、これ作業だな」と感じたら、迷わず返金ボタンを押すのも一つの正解です。しかし、もし鏡の中の自分と目が合った瞬間にゾクッとするものを感じたなら……。
ようこそ、こちらの世界へ。私が座っている「廃人席」を、少しだけ空けておきましょう。
執筆:どす恋まん花
