みなさん、ごきげんよう。どす恋まん花です。
本日お届けするのは、ある意味で「待ちに待たれすぎた」一作、『Mewgenics』についての考察です。本作は、あの『The Binding of Isaac』を生み出した鬼才Edmund McMillen氏が、実に10年以上の歳月をかけて構想・開発した「猫の繁殖と戦略バトル」の集大成。多くのファンが熱狂し、Steamでも圧倒的な高評価を記録していますが、まん花はその熱狂を冷徹に見つめ、あえて「低評価」の声に耳を傾けることにしました。
何を隠そう、まん花はこの『Mewgenics』という迷宮に2000時間という膨大な時間を投じ、猫たちの鳴き声が幻聴として聞こえるレベルまでやり込んだ人間です。その経験を踏まえ、一人のゲーマーとしての熱量と、データに基づいた鋭い分析を交えて、このゲームの「光と影」を解剖していきましょう。
作品概要

このゲームは、『The Binding of Isaac』で知られるEdmund McMillenらが贈る、奥深い「ターン制戦術&繁殖ローグライト」です。プレイヤーは、個性豊かな猫たちをブーン町で繁殖させ、完璧なミュータント猫戦士の軍団を作り上げ、金や食料、財宝を求めて戦略的なアドベンチャーへと送り出します。
ゲームの中心となるのは、編成と戦闘、そして繁殖のサイクルです。まず、多様な猫の中からチームを編成し、ファイター、タンク、メイジといったクラスの首輪を装備させます。そして、この猫軍団を率いてターン制バトルに挑むことになります。戦闘は慎重な配置、各猫の持つユニークな能力コンボ、そして環境の利用が勝利の鍵を握る、戦略性の高いものとなっています。1000種以上の能力、900種類以上のアイテム、無数の環境インタラクションが絡み合い、毎回異なる戦略的チャレンジが提供され、実験的なアプローチから効率的な戦術まで無限の可能性を秘めています。
戦闘から帰還した猫たちは、経験を積むだけでなく、時に新たな突然変異や傷跡を伴います。ここで重要なのが「繁殖」システムです。猫たちの持つ奇妙なスキルや遺伝的変異を次の世代へと継承させ、血統をコントロールすることで、より強力でユニークな猫を育成し、さらなるアドベンチャーに備えることができます。
ローグライト要素により、200時間超のメインキャンペーンを通じて、プレイするたびに常に異なるゲーム体験が約束されます。金、アイテム、遺伝子といった毎ターンの選択がゲームの進行を大きく左右し、シンプルに見えて果てしなく複雑な奥深さを持っています。プレイヤーは繁殖チェーンの最適化や予想外のアビリティコンボの発見、さらには子猫の処遇といった決断に直面しながら、「作って試して適応する」ことを求められ、カオスなゲームプレイを受け入れることで究極の戦術マスターへと成長していくでしょう。ちなみに、猫を撫でることも可能です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Mewgenics |
| 発売日 | 2026年2月10日 |
| 開発元 | Edmund McMillen, Tyler Glaiel |
| 総レビュー数 | 2,170件 |
| 評価内訳 | 高評価: 2,103 / 低評価: 67 |
| 好評率 | 97% |
| 平均スコア | ★★★★★ (4.8) / 5.0 |
| 日本語対応 | ❌ 未対応 |
| 概要 | 戦略的に繁殖して作り上げた究極の猫軍団を、ディープでチャレンジングなターン制アドベンチャーへと送り込め。『The Binding of Isaac』と『The End is Nigh』のクリエイターが送るこのローグライク戦術ゲームで、能力を選び抜き、アイテムを集め、世代を超えた遺伝子操作を行え。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作を語る上で避けて通れないのが、圧倒的な高評価の裏に隠された「67件」の低評価レビューです。数としては少なくとも、そこには本作の構造的な問題が凝縮されています。まん花がデータを集計したところ、不満のカテゴリで最も多かったのは「ストーリー/テンポ」の8件、次いで「操作性/戦闘」の7件でした。
停滞する物語と「Edmund節」の限界
まず、不満の第1位となった「ストーリー/テンポ」について、まん花の鋭いメスを入れていきましょう。
本作はEdmund氏特有の、グロテスクで不謹慎、かつユーモアに満ちた世界観で構成されています。しかし、この「ユーモア」が現代のプレイヤー、あるいは純粋な戦略ゲームを求めてやってきた層には、毒を通り越して「不快」と受け取られている側面があります。
特に、ゲームの進行(メタプログレッション)に紐付いて登場するNPCたちの言動が、単なる冗談ではなく「誰かを貶めるような攻撃性」を含んでいると感じるプレイヤーが少なくありません。かつて『Isaac』で許容されていた「悪趣味なジョーク」が、2026年の今、同じ文脈で通用するかというと、そこには確実な溝が存在します。
(プレイ時間: 1時間) Mewgenics is a good game, but unfortunately Edmund’s sense of humor when he has room for actual dialogue has turned out to be really bad. Every sequential human character that gets introduced is less funny than the last, and the fact that they’re tied to the game’s metaprogression means you’re dealing with constant eyerollers. It kinda feels like he just found excuses to make fun of people he thinks are annoying, which probably would’ve been okay if he had jokes.
(日本語訳:Mewgenicsは良いゲームだが、残念なことに、Edmundのユーモアセンスは、実際のセリフを盛り込む余地ができた途端、本当にひどいものになってしまった。登場する人間のキャラクターは、後になるほど面白くなくなる。そして、彼らがゲームの進行要素と結びついているため、常に辟易させられることになる。彼が個人的に迷惑だと思っている人々をからかうための口実を見つけているだけのように感じられ、ジョークとして成立していればまだ良かったのだが。もしEdmundが常に誰かを叩くのを我慢できるなら、楽しい戦術RPGローグライクになるだろうが、私は本当に、本当に長くは耐えられなかった。)
テンポが生む、期待と現実の乖離
不満の多くは「テンポの悪さ」にも集中しています。繁殖、育成、戦闘というサイクルの中で、特に「戦闘中のコイン拾い」や「煩雑なUI操作」が、現代の洗練されたゲームに慣れたプレイヤーには苦痛に感じられるようです。
まん花も人生の三分の一を猫の交配に費やした身として理解できますが、本作は「効率」を求めるゲームではなく、「過程の混沌」を楽しむゲームです。しかし、1回のプレイに時間がかかりすぎる一方で、序盤のボスのバリエーションが少ないといった「繰り返し感」が、一部のプレイヤーを返金へと向かわせているのです。
戦略的な奥深さを追求するあまり、プレイヤーの貴重な時間を奪いすぎていないか。この点は、開発側が「ハードコア」という言葉で片付けるには、あまりにも重い課題と言えるでしょう。
かつての衝撃が、今や「古臭い悪意」として受け取られ始めている現実に、ファンは目を背けてはいけません。
不満の元凶「There」の分析

頻出単語ランキングを見ると、非常に興味深い結果が出ています。1位に輝いたのは「There(12回)」。これに「Don(11回)」や「Too(9回)」が続きます。
「何かが足りない」という欠乏の言語化
なぜ、これほどまでに「There」が多用されるのでしょうか。レビューを精査すると、その正体は「There is no…(〜がない)」という形式の嘆きです。「ワイドモニター対応がない」「ボーダレスウィンドウ設定がない」「倍速モードがない」――。
これらは、ゲームバランスそのものへの不満というより、2026年の新作ゲームとしての「標準的なホスピタリティの欠如」を突くものです。
まん花は瞼の裏にグリッド線が焼き付くほど画面を注視してきましたが、確かに本作のUIは親切とは言えません。Edmund氏の作品には常に「不親切さも味のうち」という空気が漂っていますが、戦略ゲームというジャンルにおいて、情報の不透明さは致命的なストレスになり得ます。
(プレイ時間: 1時間) There’s also something uncomfortable about the way that the cats are treated and referred to by characters in this game, I can’t quite put my finger on it, but it’s just…. weird. Not in combat, either, because that is fine, but something about the way the townsfolk behave is unsettling.
(日本語訳:このゲームにおけるキャラクターたちの猫の扱い方や言及の仕方に、何か不快なものを感じる。具体的に何とは言えないが、ただ……奇妙なんだ。戦闘中ではない。そこは問題ないんだが、町の人々の振る舞いには、何か不安にさせるものがある。)
UIという名の不可視の壁
「There is also something uncomfortable(何かが不快だ)」という表現も目立ちます。
これは、ゲームデザインの細部から漂う「不気味さ」や「倫理的な危うさ」を指しています。猫を愛する人々にとって、繁殖というプロセスを極めて即物的に、時には露悪的に描く本作のスタイルは、生理的な拒絶反応を引き起こす境界線を平然と踏み越えてくるのです。
「Isaac」の時は、自分自身の悲劇をテーマにしていたため、その痛みは自己完結していました。しかし、対象が「猫」になり、それを第三者(町の住人)が弄ぶ構図になったことで、一部のプレイヤーは「そこにある悪意」に耐えられなくなったのでしょう。
また、操作性についても「Gamepad support means using sticks to control a cursor(ゲームパッド対応といっても、スティックでカーソルを動かすだけ)」という批判がある通り、直感的な操作感の欠如が、ゲームへの没入を妨げる大きな要因となっています。
最新スペックのPCを嘲笑うかのような最適化不足と、時代に逆行する不親切なUIが、「There is no…」の悲鳴を加速させています。
ユーザーが直面する現実

では、実際にこのゲームを起動したプレイヤーがどのような体験をするのか。低評価レビューの裏側に隠された、地獄のような「虚無」の時間を描写してみましょう。
狂気と卑俗が交差する繁殖の儀式
あなたが期待していたのは、可愛い猫たちが勇ましく戦う物語かもしれません。しかし、現実は非情です。
探索を終え、ボロボロになって帰還した猫たちを待っているのは、休息ではなく「強制的な交配」です。まん花はキーボードの印字が猫の毛で埋まるほどこの作業を繰り返しましたが、画面上で繰り広げられるのは、Edmund氏の歪んだユーモアが全開になった、お世辞にも上品とは言えない演出の数々。
(プレイ時間: 0時間) Every night you are supposed to watch your cats having intercourse, vigorously. I don’t get the comedy behind it. Maybe it would have made me giggle when i attended kindergarten. But my main problem was the music. Appalling. Ear piercing.
(日本語訳:毎晩、あなたは自分の猫たちが激しく「交尾」するのを眺めることになる。その裏にあるコメディ要素が私には理解できない。幼稚園に通っていた頃ならクスクス笑ったかもしれないが。しかし、私の最大の問題は音楽だ。ひどい。耳を突き刺すようだ。)
この「繁殖」こそがゲームの核であり、強力な遺伝子を引き継ぐための聖なる儀式なのですが、その演出があまりにも幼稚で、かつ繰り返されるため、多くの大人が「自分は何を見せられているんだ?」という賢者タイムに突入してしまいます。
高スペックPCすら悲鳴を上げる「理不尽」
さらに追い打ちをかけるのが、技術的な未熟さです。
RTX 5080という最新鋭のグラフィックボードを積み、最強の布陣で挑んだプレイヤーですら、メモリリークによるクラッシュという「物理的な理不尽」に直面します。どれだけ知略を尽くしても、ゲームそのものが落ちてしまえば全ては無に帰します。
ローグライトにおいて、1回のランに数時間をかけるのはザラです。そのクライマックス、あと一歩で伝説の猫が生まれるというその瞬間に、画面がフリーズし、デスクトップに戻される絶望。これはゲーム内の難易度が高いといった次元の話ではありません。開発者の怠慢、あるいは「とりあえず動けばいい」というインディー特有の甘えが、熱心なファンの心を折っているのです。
ゲームスピードの遅さも相まって、この「虚無感」は倍増します。移動一つ、攻撃一つに時間がかかり、戦闘終了後の清算ももっさりとしている。もしあなたが「サクッと遊びたい」と考えているなら、本作は最も避けるべき選択肢となるでしょう。
あなたの愛猫が「遺伝子の塊」として無残に消費され、挙句の果てにクラッシュで消え去る。これが本作の洗礼です。
それでも支持される理由

ここまでボロカスに書いてきましたが、それでもなお、本作は97%という驚異的な支持を得ています。まん花もまた、不満を抱えながらもこのゲームを親の顔より見た画面として愛し続けています。一体なぜでしょうか。
遺伝子が織りなす無限のコンボ
その理由は、ひとえに「圧倒的な中毒性」にあります。
確かにUIは不親切で、ユーモアは下品です。しかし、1000種類以上の能力と900種類以上のアイテムが織りなすシナジーは、他のどのゲームでも味わえない「ビルドの極致」を提供してくれます。
「この猫の毒属性を、次世代のタンク猫に引き継がせ、環境の炎を利用して大爆発させる……」。そんな妄想が、実際に画面上で爆発的な数値となって現れた時の快感は、何物にも代えがたいものです。
不満レビューで「Bland(退屈)」と吐き捨てたプレイヤーは、おそらくこの深淵に辿り着く前に脱落したのでしょう。本作は、最初の数時間を「苦行」として耐え抜いた者だけが、無限のカスタマイズという名の果実を味わえる構造になっているのです。
唯一無二の「Edmund McMillenワールド」
そして、Edmund氏のファンにとっては、この「不快さ」こそが報酬なのです。
彼が描く世界は、常に「生と死と糞尿」が隣り合わせです。それは美化されたゲーム界への反旗であり、一種の芸術表現でもあります。
本作に低評価をつけた人々は、「普通に快適で、普通に面白い、洗練されたゲーム」を求めていました。しかし、まん花のような廃人は知っています。Edmund McMillenのゲームに「普通」を求めること自体が間違いであるということを。
圧倒的なボリューム、200時間プレイしても底が見えないコンテンツ量。これだけの熱量を持って作られた「変態的なゲーム」が、他にどこにあるでしょうか。批判されている音楽ですら、一度ハマればその不協和音が脳内麻薬へと変わります。本作は、万人に向けられたエンターテインメントではなく、選ばれし(あるいは毒された)狂信者たちのための聖典なのです。
理性では拒絶しても、本能がこの「カオス」を求めてしまう。それこそが『Mewgenics』が神ゲーである証なのです。
最終評価と購入ガイド
さて、結論を出しましょう。
『Mewgenics』は、「宝石のようなシステムを、わざわざ汚物に塗(まみ)れさせた」稀有な作品です。
もしあなたが、Edmund McMillenという作家の過去作を愛し、不親切なUIや悪趣味なジョークを「味」として楽しめるなら、これ以上の時間泥棒はありません。本作をプレイしないのは、ゲーマーとして損失ですらあるでしょう。
しかし、もしあなたが「洗練されたUI」「サクサク進むテンポ」「まともな倫理観」を重視するなら、1分たりともプレイしてはいけません。あなたの貴重な30ドルは、もっと他の「綺麗なゲーム」に使うべきです。
まん花はこれからも、指紋がなくなるほどこのゲームを遊び続けるでしょう。たとえ猫が変な鳴き声を上げようとも、RTX 5080が悲鳴を上げようとも。
✅ 購入をお勧めする人
- 『The Binding of Isaac』の狂気的なビルド構築と世界観に魅了された人
- 何百世代にもわたる遺伝子操作と、その果てに生まれる「壊れ性能」を追求したい廃人プレイヤー
❎ 購入を避けるべき人
- 下ネタやグロテスクな描写、そして動物に対する即物的な扱いに強い抵抗がある人
- 最新のゲームには当然備わっているべき「快適な操作性」や「最適化」を何よりも優先する人
執筆:どす恋まん花
