皆様、ごきげんよう。人気ゲームライターのどす恋まん花です。
本日取り上げるのは、リリース前から熱烈な視線を浴び、発売後もなお「極端な賛否」を巻き起こし続けている話題作『MOTORSLICE モータースライス』です。本作は、パルクールアクションと巨大建造物、そしてチェーンソーという、ゲーマーの心に刺さる要素をこれでもかと詰め込んだ一品ですが、Steamのレビュー欄を覗けば、そこには賞賛と怨嗟が入り混じったカオスな光景が広がっています。
何を隠そう、このまん花も本作には並々ならぬ執念を燃やしており、気が付けば2000時間という、客観的に見れば正気の沙汰とは思えない時間をこの退廃的な世界で過ごしてしまいました。これほどの時間を費やしたからこそ見える、表面上のレビューだけでは掬い上げきれない「真実」というものがあります。
本作は果たして、次世代のパルクールを提示した神ゲーなのか、それとも単なるストレスの塊、いわゆるクソゲーなのか。今回は膨大なデータを紐解きつつ、一人の廃人ゲーマーとして、その核心を容赦なく突いていきたいと思います。どす恋まん花がお送りする、濃密なレビューをどうぞ最後までお楽しみください。
作品概要

本作は、『プリンス オブ ペルシャ』や『ミラーズエッジ』に影響を受けた、爽快かつ高難度なパルクール・アドベンチャーです。プレイヤーは少女「P」となり、機械に支配された過酷な終末世界で、武器であるチェーンソーを手に戦い抜くことになります。
ゲームの核となるのは、スタントのように滑らかでダイナミックな移動アクションです。走る・登る・跳ぶといったアクロバティックな動きを駆使して広大なエリアを駆け抜け、待ち受ける致命的な罠を突破しなければなりません。戦闘は非常にテンポが速く、敵の巨大な重機に対しては、自らその体に登り付いて斬り刻むといったダイナミックな駆け引きが求められます。
舞台は、巨大建造物が並ぶ不気味でシュールなリミナルスペースです。物理演算を活かしたパズル要素や、闇を照らす懐中電灯による探索を経て、謎のドローンとともに「任務」の真相へと迫ります。モダンなローポリグラフィックと、疾走感のあるドラムンベース系のサウンドが融合した、中毒性の高いハードコアなアクション体験が楽しめる作品です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | MOTORSLICE モータースライス |
| 発売日 | 2026年5月5日 |
| 開発元 | Regular Studio |
| 総レビュー数 | 561件 |
| 評価内訳 | 高評価: 519 / 低評価: 42 |
| 好評率 | 93% |
| 平均スコア | ★★★★★ (4.6) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | 巨大建造物の廃墟をパルクールで駆け抜け、巨人ボスに乗りあがり、様々な建設機械を探し出します。このアクションアドベンチャーでは究極の異界で日々の任務を遂行します。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

「操作性」という名の魔物
不満カテゴリの内訳を見ると、圧倒的1位は「操作性/戦闘」の17件です。これは本作が掲げる「パルクール」というジャンルにおいて、最も致命的な指摘と言えるでしょう。本作のパルクールは、決してプレイヤーの思い通りに動いてくれる「甘い」ものではありません。物理演算に基づいた重み、そして独特の慣性が、多くのプレイヤーを奈落の底へと叩き落としてきました。
本作に人生の半分を捧げたまん花から言わせれば、この操作感は「不慣れ」が「理不尽」に変換されている側面が強いと感じます。しかし、短時間で返金を選択したプレイヤーにとっては、その慣性の制御こそが最大の障壁であり、快感を得る前にストレスが飽和してしまうのです。特にウォールランからジャンプする際、カメラの角度によって意図しない方向に飛んでしまう現象は、多くの低評価を誘発する「罠」となっています。
戦闘システムと期待の乖離
また、戦闘に関する不満も無視できません。スタイリッシュな見た目に反して、実際の戦闘は「先制攻撃で一撃」か「ミスして即死」という極端なバランスです。特に序盤の雑魚敵は、パリィやロックオンといった高度なシステムを使いこなすまでもなく、ジャンプ攻撃一辺倒で沈んでしまいます。これが「浅い」という評価に繋がっているのは否定できない事実でしょう。
開発側は「ハードコアな体験」を意図したのでしょうが、現代の洗練されたアクションに慣れた層からすれば、この無骨な手触りは「調整不足」と映ってしまいます。特に大型ボスにおける「モータースライス(チェーンソーによる壁登り)」の判定は、特定条件下で挙動が不安定になることがあり、これが攻略のテンポを著しく削いでいる点は、まん花も指を咥えて見て見ぬふりはできません。
(プレイ時間: 1時間) The movement feels genuinely terrible. When jumping, it feels WAY too floaty, but also, a lot of the time it will just start wall-running if you’re holding any motion at all and that will basically guarantee you die because many areas do not have a good way to land if this happens. I love all of the individual aspects of this game (Pizza Hotline OST is awesome, love the aesthetic, and I love movement platformers) but this felt genuinely terrible to play.
(日本語翻訳:移動の感覚が本当にひどい。ジャンプは浮遊感がありすぎるし、動かそうとするだけで勝手にウォールランが始まってしまうことが多い。着地場所がないエリアでこれが起きると、ほぼ確実に死ぬ。このゲームの個別の要素(Pizza Hotlineのサントラ、美学、パルクール要素)は大好きだが、実際にプレイすると本当に耐え難い。非常に残念だ。)
パルクールにおいて操作の遅延や意図しない挙動は、プレイヤーの没入感を破壊する最大の毒素である。
このように、操作への信頼が揺らぐことで、本来の魅力であるはずのスピード感が「恐怖」へと変わってしまう。これが低評価の根源にある構造的な欠陥と言えるでしょう。
美しきパルクールは、一歩間違えればただの「落下シミュレーター」へと成り下がる。
不満の元凶「не」の分析

否定の言葉が並ぶ統計の正体
頻出単語TOP7に目を向けると、興味深いデータが浮き彫りになります。1位の「не」、2位の「на」、4位の「что」……これらはロシア語における否定助詞や前置詞です。つまり、本作に対して非常に熱心に、かつ辛辣な言葉を投げかけているのはロシア語圏のプレイヤーたちであることが分かります。彼らのレビューで最も繰り返されている言葉、それが「~ではない(не)」なのです。
親の顔より見た画面を思い返しながら、彼らのレビューを読み解くと、「快適ではない」「分かりやすくない」「十分ではない」といった、期待値とのズレが悲痛な叫びとなって現れています。特に「Movement(移動)」や「Feel(感覚)」といった英単語がランクインしていることからも、彼らが本作に「究極のアクション体験」を求めていたことが伺えます。
ロシア語圏プレイヤーが感じた「空白」
彼らの不満は、単なる難易度への文句にとどまりません。ローポリゴンで描かれたブルータリズム(無機質な巨大建築様式)の世界観は、彼らにとって非常に親しみのある、あるいは郷愁を誘うテーマであったはずです。しかし、その広大な景色の中に「語られるべき物語」や「探索の深み」が欠けている(не хватает)と感じたとき、愛は憎しみに反転します。
「走っても走っても何も起きない」「巨大なボスを倒しても達成感が続かない」……。そうした「虚無感」を、彼らは鋭い言葉で指摘しています。まん花としては、あの孤独な疾走感こそが本作の味だと思うのですが、万人に受ける味付けではないことは確かでしょう。
(プレイ時間: 1時間) Ого, да это же очередной однообразный мусор с 0 сюжетом и лором, кликерной боёвкой и с абсолютно нулевым флоу в “паркуре”. Боже какая же вкуснятина, дайте две порции!
(日本語翻訳:おやおや、またストーリーも設定もゼロ、戦闘はただの連打、パルクールにはフローのかけらもない、単調なゴミが出てきたぞ。なんて素晴らしい、もう一杯おかわりだ!)
期待が大きければ大きいほど、システム上の綻びは「裏切り」として強く記憶に刻み込まれる。
このレビューに漂う皮肉は、本作の持つポテンシャルが、いかに「磨き不足」という壁に阻まれているかを物語っています。彼らにとって、本作は未完成の彫刻のような存在なのかもしれません。
「ない(не)」という言葉の羅列は、プレイヤーがこの世界に求めた「理想」の残骸である。
ユーザーが直面する現実

理不尽な死と、失われる時間
本作をプレイする者は、まず「死」を理解しなければなりません。それも、納得のいく死ではありません。指紋がなくなるほどコントローラーを握りしめてきたまん花ですら、壁の僅かな凹凸に判定が吸い込まれ、そのまま奈落へと吸い込まれる瞬間の脱力感には未だに慣れません。
特に、ゲーム後半の巨大建造物内部は、もはや「初見殺し」という言葉すら生温い設計になっています。暗闇の中で懐中電灯だけを頼りに進むシーンでは、足場があると思って飛んだ先がただの影であり、数百メートルの高度から墜落する……といった経験は、日常茶飯事です。この時、一部のプレイヤーを激怒させるのが「ドローン(オーブ)」の仕様です。死ぬたびに収集したアイテムを失い、それを拾い直すためにまた同じ場所へ向かわねばならない。この「ベビーシッターのような徒労感」が、ゲームを遊び続ける意欲を根こそぎ奪っていくのです。
「過剰な性的演出」というノイズ
そして、低評価レビューの中で意外なほど多く、そして熱心に論じられているのが、主人公Pに対する「性的演出」の是非です。開発者のマーケティング戦略なのかもしれませんが、自撮りモードでのあへ顔や、不自然なアングルでのカットシーン、そして「オービー」と呼ぶ際の艶めかしい声……。これらが、純粋にアクションを楽しみに来た硬派なプレイヤーたちの逆鱗に触れています。
「キャラクターを深掘りする代わりに、安易なエロに逃げている」という批判は、本作の評価を二分する大きな要因です。パルクールのストイックな世界観と、どこか場違いな「媚び」の感覚。このチグハグさが、ゲームの格を下げていると感じる層が一定数存在します。まん花も、Pの可愛さ自体は否定しませんが、それがゲームプレイの質を向上させているかと言われれば、首を傾げざるを得ません。
(プレイ時間: 4時間) Was hoping for a good parkour game with a nice soundtrack, got a gooners fanfic about their oc with awful combat and janky movement instead. Movement: … Consists of precice climbing puzzles instead of some clean freerunning and the speed is too slow… Combat: Attacking and parrying are on the same key and take away all your momentum… Story: Basically just there to sell some perverts wet dream about their waifu.
(日本語翻訳:良いサントラとパルクールを期待していたが、実際は酷い戦闘とガタガタな動き、そして製作者の性癖全開のファンフィクションを見せられただけだった。移動は爽快なフリーランではなく、精密さが求められるイライラするパズル。攻撃とパリィが同じキーで、動くたびに慣性が消えるのは最悪だ。ストーリーも、一部の変態たちに自分の嫁を売り込むためだけのものだ。)
作品の「核」が定まらないまま追加された装飾は、時に本来の輝きを覆い隠す泥となる。
多くのプレイヤーが求めていたのは、Pと心を通わせる物語であり、単なる「着せ替え人形」としての彼女ではなかった。その埋まらない溝が、不満の火種となっています。
「萌え」と「パルクール」の不協和音は、ストイックなゲーマーを拒絶する壁となった。
それでも支持される理由

唯一無二の「スケール感」と「美学」
ここまで散々に欠点を挙げ連ねてきましたが、それでも本作の好評率が90%を超えているという事実は重く受け止めるべきです。もはや私の網膜に焼き付いて離れないあの巨大建造物の威容、そして地平線まで続くブルータリズムの風景。この圧倒的な視覚体験だけは、他のどんなAAAタイトルでも味わえない独自の魅力に満ちています。
巨大物恐怖症を刺激するほどのスケール感を持つボス戦は、まさに『ワンダと巨像』の重機版とも言える興奮を提供してくれます。その巨体に無理やりチェーンソーを突き立て、エンジンの轟音と共に這い上がっていく体験……。この瞬間だけは、操作の荒さも、演出の寒さも、すべてが吹き飛ぶほどの高揚感に包まれます。
音楽とビジュアルの完全なる調和
そして、忘れてはならないのが「Pizza Hotline」によるサウンドトラックです。ドラムンベースとジャングルをベースにした疾走感溢れるBGMは、無機質なローポリゴンの世界に見事なまでの「命」を吹き込んでいます。パルクールが上手く決まり、音楽のビートと自らの指先の動きがシンクロした瞬間、このゲームは「操作性の悪いアクション」から「至高の音ゲー」へと変貌を遂げるのです。
まん花のニューロンがこの街の回路と化した時、不満だった慣性すらも「制御すべき牙」として愛おしくなりました。不親切で、理不尽で、癖が強すぎる。しかし、それらをすべてねじ伏せて、巨大な廃墟の頂点に立った時に見る朝日は、格別なものがあるのです。
欠点だらけの原石を、自らの技術というヤスリで磨き上げる工程にこそ、インディーゲームの醍醐味がある。
本作は、万人向けのエンターテインメントではありません。しかし、刺さる人間には、人生を変えてしまうほど深く、鋭く刺さる。そんな魔力を持った作品であることは間違いありません。
歪な情熱が生んだ「劇薬」こそが、本作の真の正体である。
最終評価と購入ガイド
さて、長々と語ってまいりましたが、どす恋まん花としての最終結論をお伝えしましょう。
『MOTORSLICE モータースライス』は、「美しい地獄」です。
あなたがもし、洗練された快適なゲーム体験を求めているなら、迷わず回れ右をすべきです。しかし、不完全なものの中に宿る美しさを見出し、理不尽をテクニックでねじ伏せることに喜びを感じる「選ばれし廃人」であるならば、これほど魅力的な遊び場は他にありません。
操作性の悪さは事実ですし、演出のクセも強い。ですが、それを補って余りあるほどの視覚的・聴覚的体験がここにはあります。呼吸をするようにチェーンソーを振るう域に達した時、あなたはきっと、このゲームを酷評していた自分を笑い飛ばしていることでしょう。
購入を迷っている皆様、まずは以下のチェックリストをご自身の心に問いかけてみてください。
✅ 購入をお勧めする人
- ブルータリズムやリミナルスペースといった、無機質な巨大建築の景観に心奪われる人
- Pizza Hotlineのドラムンベースを聴きながら、トランス状態でアクションを楽しみたい人
- 操作の「癖」を理解し、手懐けていく過程に快感を覚えるハードコアゲーマー
- 可愛い女の子と重機という、ギャップのあるフェティシズムに抵抗がない人
❎ 購入を避けるべき人
- 『ミラーズエッジ』のような、徹底的に洗練されたスムーズなパルクールだけを期待している人
- 「初見殺し」や「判定の不安定さ」によるデスループに、強いストレスを感じてしまう人
- ゲーム内の性的、あるいは萌え要素に対して、強い拒否感や気恥ずかしさを感じる人
- 明確なストーリー説明や、親切なナビゲーションがないと迷子になってしまう人
あなたのゲームライフに、刺激的なスライスが加わることを願って。
以上、どす恋まん花がお届けしました。
執筆:どす恋まん花

