皆さん、ご機嫌よう。どす恋まん花です。
今日は、古代ローマの戦場に魂を売り渡してしまった私が、今最も語るべき——そして最も「痛みを伴う」——一作、『Never Second in Rome』について筆を執りたいと思います。
まず最初に白状しておきましょう。まん花はこのゲームを2000時間やり込んでいます。
そう、私はもはやユリウス・カエサルの軍旗の下で生きる、一人の廃人と化したケントゥリオ(百人隊長)なのです。しかし、そんな愛してやまない本作が、Steamの海では激しい「低評価」の嵐にさらされています。好評率81%という数字だけでは見えてこない、阿鼻叫喚のレビュー欄。
なぜ、これほどまでに野心的で緻密な歴史RPGが、多くのプレイヤーに「苦行」と呼ばれてしまうのか。
今回は、データに基づいた冷徹な分析と、指紋がなくなるほどマウスクリックを繰り返した私個人の熱量を混ぜ合わせ、このゲームの真実を丸裸にしていきます。
作品概要

『Never Second in Rome』は、ユリウス・カエサル率いるローマ軍の百人隊長(ケントゥリオ)となり、ガリア戦争前夜から始まる激動の時代を生き抜く、歴史RPGシミュレーションゲームです。
本作の最大の特徴は、主人公個人の成長と、指揮下にある「百人隊(センチュリア)」の育成・管理を同時に行う点にあります。プレイヤーは自身のステータスを強化するだけでなく、配下の兵士たちを訓練し、有能なスタッフを登用しながら部隊を編成していきます。
戦闘システムはターン制を採用しており、主人公と兵士たちが連携して戦うタクティカルなバトルが楽しめます。ステータスの相関関係が重要となる複雑な戦闘は、史実に基づいた歴史的戦場を舞台に展開されます。また、物語はテキストベースのイベントで進行し、随所で発生するスキルチェックがプレイヤーの選択と結びつき、ローマの運命を大きく左右します。
歴史考証に基づいた緻密な世界観の中で、一軍の指揮官として部隊を率い、ローマ帝国の礎を築くドラマを体験できる一作です。Steamでは序盤の3章までを体験できる無料デモ版が公開されており、そのゲーム性をじっくりと確認することが可能です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Never Second in Rome |
| 発売日 | 2026年5月5日 |
| 開発元 | Alessandro Roberti |
| 総レビュー数 | 526件 |
| 評価内訳 | 高評価: 424 / 低評価: 102 |
| 好評率 | 81% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.0) / 5.0 |
| 日本語対応 | ❌ 未対応 |
| 概要 | Never Second in Rome is a turn-based historical game with RPG and management elements. You are a Roman centurion in the army of Julius Caesar. You will control both your character and the unit under his command. |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作を語る上で避けて通れないのが、プレイヤーの叫びが詰まった「不満カテゴリ」の内訳です。
集計されたデータを見ると、不満の第1位は「ストーリー/テンポ」の34件、次いで「操作性/戦闘」の33件と、ほぼ同率でトップを争っています。
なぜ歴史ドラマを楽しみに来たはずのプレイヤーが、ストーリーやテンポに不満を抱くのか。それは、本作が「物語を読ませるゲーム」ではなく、「極めて不親切な数値シミュレーター」としての顔を強く持ちすぎているからです。
前作『A Legionary’s Life』を知るファンにとって、本作は「正統進化」ではなく「過剰な複雑化」と映ってしまいました。前作では一兵卒としての泥臭い成長が楽しめましたが、今作では「百人隊の管理」という重荷がのしかかります。
テンポを破壊する「管理」の重圧
プレイヤーは軍営でのトレーニング、スタッフの配置、兵士の士気管理など、膨大なリピート作業を強いられます。このプロセスが、物語の壮大な流れをブツ切りにしてしまうのです。
「ガリア戦争」という歴史の奔流に身を任せたいのに、画面上では延々と「1ポイントのステータス上昇のために数時間を費やす」という、修行僧のような時間が流れます。
また、前作にあった「ローグライト要素」の欠如を指摘する声も目立ちます。死んでも何らかのポイントが溜まり、次の周回で有利になるという救済措置が削られた結果、一度のミスが文字通り「すべてを無に帰す」設計になりました。これが、現代のゲーマーにとって「テンポが悪い」「理不尽だ」と感じさせる大きな要因となっています。
(プレイ時間: 18時間)
I loved a legionnairs life, it was a 10/10 game for me. However, this game does not build upon the strenghts of the previous title. Rather it introduces more of the abstract dice rolling that people already did not like in legionnairs life, although in legionnairs life you could slowly and gradually improve your odds through meta progression, which made it exciting.
(私は前作『A Legionary’s Life』を愛していました。私にとって10/10の神ゲーでした。しかし、今作は前作の強みを活かせていません。むしろ、前作でさえ不評だった抽象的なダイスロール要素を増やしてしまいました。前作ではメタ的な成長要素があったので、少しずつ確率を改善していく楽しみがありましたが、今作にはそれがありません。)
親の顔より見た画面構成であっても、この「成長の実感のなさ」は、まん花の心をも時に折りに来ます。
複雑な計算式が裏で動いているのは分かりますが、それがプレイヤーの「楽しみ」に変換されていないのです。
本作は「歴史体験」を隠れ蓑にした、剥き出しの「数値管理シミュレーター」である。
不満の元凶「Combat」の分析

次に、頻出単語の棒グラフに目を向けてみましょう。
圧倒的な1位は「Combat(戦闘)」の92回。続いて「Rng(乱数)」が51回と、プレイヤーのストレスがどこに集中しているかは一目瞭然です。
本作の戦闘は、一見するとオーソドックスなターン制RPGに見えますが、その実態は「1d100(100面ダイス)」を互いに振り合う過酷なギャンブルです。
しかも、単なるギャンブルではありません。プレイヤーがどれほど戦略を練り、部隊を鍛え上げても、運命のダイスが「1」を示せば、すべてが崩壊するという恐怖が常に付きまといます。
確率の壁と「スタンス」の罠
戦闘中、プレイヤーは常に「スタンス(姿勢)」や「スタミナ」を管理しなければなりません。
しかし、敵のAIはこの制限を無視しているかのような挙動を見せることがあり、プレイヤーが必死に守りを固めても、運悪くガードを崩されれば、そのまま一方的な蹂フルボッコ(蹂躙)が始まります。
多くの不満レビューが指摘しているのは、この「努力が報われない感覚」です。
人生の半分を捧げた私ですら、自分の百人隊がたった一度の不運なダイスロールで壊滅し、カエサルからの評価が地に落ちる瞬間は、ディスプレイを窓から投げ捨てたくなります。
特に「5ターン以内」という厳しい制限がある戦闘も多く、じっくり腰を据えて戦うことすら許されないシチュエーションが多発します。
(プレイ時間: 41時間)
Everything is competing d100’s. That means within any variable, before any other modifiers are added, you are rolling between a 1 and 100, then comparing that with your opponent’s 1 to 100. Failing a roll typically means a negative consequence. Passing a roll often means requiring passing another roll after that to have a positive consequence…
(すべては競合するd100のダイスロールです。つまり、どんな変数であれ、修正値が加わる前に1から100の数字を振り、相手の1から100と比較するのです。ロールに失敗すれば通常は悪い結果を招き、成功しても、さらに次のロールに成功しなければ良い結果は得られません……。)
このように、戦闘は「タクティカルな楽しさ」よりも「理不尽な確率との戦い」に変貌しています。
プレイヤーは指揮官として采配を振るっているのではなく、巨大な「乱数生成機」の機嫌を伺っているような気分にさせられるのです。
戦術の粋を尽くしても、最後は「100面ダイスの神」に祈るしかない絶望。
ユーザーが直面する現実

では、実際にこのゲームをプレイするとどのような「地獄」が待っているのでしょうか。
読者の皆さんが追体験できるよう、少し具体的に描写してみましょう。
あなたは数時間をかけて、配下の兵士たちを血反吐を吐くような訓練で鍛え上げました。装備を整え、カリスマ性を磨き、準備は万全です。
いざ、ガリアの戦士たちとの決戦。テキストイベントが発生し、あなたの部隊の「士気」や「防御陣形」のスキルチェックが行われます。
ここで本作の最も凶悪な仕様が牙を剥きます。それは「固定スキルチェック」です。
「1ポイント」が分ける生と死
戦闘中のダイスロールはランダムなのに、なぜかイベントでのスキルチェックは「1ポイントでも足りなければ100%失敗」という極端な設計になっています。
あなたがどれほど優秀な指揮官であっても、要求値が「50」のところで「49」しかなければ、兵士たちは盾を構えることすら忘れ、矢の雨にさらされて全滅します。
「運命のいたずら」で失敗するならまだ納得もいくでしょう。しかし、このゲームは「お前の努力がたった1ポイント足りないから、全員死ね」と冷酷に告げてくるのです。
この瞬間、プレイヤーは「指揮官」としての没入感を失い、自分が「エクセルのスプレッドシートを埋める事務員」であることに気づかされます。
生まれてからこのUIしか見ていないのではないかと錯覚するほどやり込んだ私でも、この「0か100か」の判定には納得がいきません。
リアリズムを追求した結果、ゲームとしての「遊び」や「納得感」が犠牲になってしまっているのです。
(プレイ時間: 15時間)
Your men will always fail a defence check if they’re 1 stat below leading to bizarre scenarios where your men simply cannot raise a shield several times in a row… the only thing separating you between a brain dead commander that shouldn’t be in charge of a horse stall, and a legendary commander that can convince his men to raise their shields, is a mere couple of points.
(部下の能力が要求値より1ポイントでも低ければ、防御チェックに必ず失敗します。その結果、兵士たちが連続で盾を構えることすらできないという奇妙なシナリオが発生します。馬小屋の番人にも劣る無能な指揮官か、伝説の指揮官かを分けるのは、わずか数ポイントの差なのです。)
この理不尽な現実を前に、プレイヤーは「セーブ&ロード」を繰り返すという、歴史体験とは程遠い作業に没頭することになります。しかし、このゲームは保存場所すら制限されており、一度のやり直しが15分以上の苦行を強いることもあるのです。
努力の結晶が「たった1のステータス不足」で灰になる虚無のシミュレーター。
それでも支持される理由

ここまでボロクソに書いておきながら、なぜまん花はこのゲームに狂わされ、2000時間もの時間を捧げてしまったのか。
それは、本作が持つ「圧倒的な歴史的解像度」と、他では味わえない「苦難の果てのカタルシス」にあります。
本作の作者、Alessandro Roberti氏は、歴史考証に対して異常なまでの情熱を注いでいます。
ガリア戦争の背景、各部族の名称、当時のローマ軍の組織体制……。これらが緻密なテキストで描かれる様は、歴史ファンにとっては「垂涎の的」と言っても過言ではありません。
泥臭い「軍人生活」の真髄
多くのAAAタイトルが描くのは「英雄としてのローマ兵」ですが、本作が描くのは「組織の歯車としての指揮官」です。
上官からの理不尽な命令、部下たちの不満、限られた予算と時間の中での部隊運用。
これらを乗り越え、ようやく掴み取った勝利——たとえそれが「100回ロードしてようやく引いた幸運」によるものだとしても——その瞬間の快感は、他のゲームでは決して味わえません。
私が指紋がなくなるほどマウスを叩き続けているのは、この「泥沼の中から黄金を掘り起こすような体験」を求めているからです。
本作は万人に向けたエンターテインメントではありません。しかし、「苦痛さえも歴史の一部」として楽しめる選ばれし変態……失礼、熱心な歴史愛好家にとっては、唯一無二の聖書(バイブル)なのです。
不満を抱くプレイヤーが多いのは、このゲームが「ゲーム」としての楽しさよりも、「シミュレーションとしての厳格さ」を優先した結果です。
その不器用で、かつ純粋すぎる歴史への愛こそが、低評価の裏側にある「抗いがたい魅力」の正体なのです。
「苦痛」を「歴史」として愛せる者だけが辿り着ける、ガリアの戦場の真実。
最終評価と購入ガイド
さて、結論を申し上げましょう。
『Never Second in Rome』は、「万人向けの神ゲー」ではありません。むしろ「人を選ぶクソゲー」の皮を被った「歴史愛好家のための超深淵シミュレーター」です。
低評価レビューたちの言い分は、すべて正しいです。
テンポは悪い、UIは不親切、ダイスロールは理不尽。
しかし、そのすべてを受け入れた先にしか見えない景色があるのもまた事実。
もしあなたが、カエサルの戦記を読み耽り、当時の兵士たちが感じたであろう「不条理」までも体験したいと願うなら、これ以上の作品はありません。
購入を検討している方は、以下のリストを自分の心に問いかけてみてください。
✅ 購入をお勧めする人
- 歴史考証のためなら、エクセルを眺めるようなゲーム画面にも耐えられる人
- 「理不尽な運ゲー」を「戦場の不確実性」として楽しめる強靭な精神の持ち主
- 前作『A Legionary’s Life』の世界観に骨の髄まで浸かりたい人
❎ 購入を避けるべき人
- サクサク進む物語や、爽快感のある戦闘を求めている人
- 努力が100%報われないとストレスで夜も眠れなくなる人
- メタ成長要素(周回ボーナス)のない、ストイックすぎる設計が苦手な人
ローマは一日にして成らず。
そして、このゲームの面白さを理解するのにも、相応の時間と覚悟が必要です。
あなたがカエサルの下で「二番目(Second)」に甘んじることなく、栄光を掴めることを、まん花は軍営の片隅で祈っております。
以上、どす恋まん花でした。
執筆:どす恋まん花
