みなさん、ごきげんよう。人気ゲームライターのどす恋まん花です。
本日お届けするのは、今界隈で「卵の皮を被った魔物」と噂される話題作『オムレツにそれ入れる?』のレビューでございます。まん花はこのゲームを2000時間ほどやり込んでまいりました。もはや私の血管には血液ではなく、出汁の効いた卵液が流れているのではないかと思うほど、この厨房に浸りきっております。
さて、本作はSteamレビューにおいて驚異の「好評率99%」を叩き出しており、一見すると非の打ち所がない神ゲーに見えます。しかし、まん花は一人のゲーマーとして、わずか数パーセントに刻まれた「低評価」の声にこそ、本作の真実が隠されているのではないかと考えました。
なぜ、これほどまでに愛されているゲームに、あえてNOを突きつける人々がいるのか。そして、やり込み勢である「どす恋まん花」が、その低評価の裏側にある不満をどう分析するのか。丁寧かつ、時にフライパンの角で突くような鋭さを持って解説していきましょう。
作品概要

「Omelette Mania」は、ちょっとおかしな学校の学食シェフとなり、最高のオムレツ作りを目指す、カオスと戦略が融合したクッキングパズルゲームです。プレイヤーのミッションは、コンベアで流れてくる様々な「食材」をオムレツに配置し、気難しいニワトリ校長や個性的な客を満足させること。しかし、流れてくるのは普通の食材だけでなく、丸ごとのココナッツ、レンチ、果ては跳ねるタコといった常識外れのアイテムまで。
ゲームの核となるのは、オムレツの盤面に食材を手動で配置するシステムです。一度置いた食材は取り消せず、配置場所一つでスコアが大きく変動します。食材同士は相互に影響し合い、例えば唐辛子は周囲を燃やし、チーズはスコア倍率を重ね、同じカテゴリの食材を揃えることで強力なコンボが発動します。瞬時の判断と戦略的な思考が求められる奥深いパズル要素が特徴です。
ゲームプレイは、難易度によってダイナミックに変化します。高難度ではコンベアの速度が超高速になり、オムレツが回転・縮小したり、客が食材を盗んだりゴミを投げ入れたりといった妨害が発生。リアルタイムでの混乱と正確な操作が要求されます。一方、じっくり考えたいプレイヤーのために、ターン制モードも用意されており、自分のペースで戦略を練ることも可能です。
登場する客は70種類以上の独自の好みと厄介な癖を持ち、王道のオムレツからドーナツやピクルス、チョコレートといった奇抜な材料を使った注文まで、多様な要求に応える必要があります。140種類以上の食材、90種類以上の「遺物」と呼ばれる強化要素、厨房を強化するショップシステム、複数の難易度と初期ロードアウトが用意されており、高いリプレイ性とやり込み要素で飽きさせません。
予測不能なハプニングと、戦略的な思考、誠実な判断が融合した、ユニークで中毒性のあるクッキングパズル体験を提供するゲームです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | オムレツにそれ入れる? |
| 発売日 | 2026年2月8日 |
| 開発元 | Dan Schumacher, Hjalte Tagmose |
| 総レビュー数 | 716件 |
| 評価内訳 | 高評価: 710 / 低評価: 6 |
| 好評率 | 99% |
| 平均スコア | ★★★★★ (5.0) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | オムレツにそれ入れる?そうーーこのオムレツには何でも入る!手が足りないほど忙しい。それでも、なぜかやめられない。本作は、ローグライク×料理ビルドゲームだ。気難しい客を満足させ、 厄介極まりない校長のご機嫌を取れ。たとえオムレツの中身が、レンチやココナッツの殻でもね! |
| 対応機種 | PC (Steam) PlayStation 5 Nintendo Switch Xbox Series X|S |
データが示す不満の傾向

本作を人生の半分を捧げたとも言える密度でプレイしてきた、まん花の目から見ても、データの示す不満の傾向は非常に興味深いものです。わずかな低評価レビューの中で最も大きな割合を占めているのが「バグ/最適化」に関する問題。次いで「ストーリーやテンポ」への指摘が見られます。
「バグ/最適化」への懸念
まず、バグに関する不満ですが、これは特にアーリーアクセス期間を含めた開発段階での不安定さが原因のようです。あるプレイヤーは、ショップの更新機能が特定の条件で動かなくなる、いわゆる「進行不能バグ」に遭遇し、丹精込めて作り上げたビルドが水の泡になったと報告しています。
これは特に、何十時間、何百時間とプレイを積み重ねてきた「やり込み勢」にとって致命的なストレスとなります。本作はローグライクの性質上、一回のラン(プレイ)にかける時間が長く、それが一瞬の不具合で崩壊するのは、まさに「完成したオムレツを校長にひっくり返される」ような屈辱。まん花も、理想的なチーズ倍率コンボが決まりそうだった瞬間にクラッシュした際は、コントローラーを握る手が震えたものです。
不満カテゴリの1位がバグであるという事実は、裏を返せば「ゲーム性そのもの」への拒絶感は少ないということも示唆しています。しかし、この「最適化」という言葉には、単なる挙動の不安定さだけでなく、UIの使い勝手や情報の不透明さに対する不満も内包されていることに注目すべきでしょう。
(プレイ時間: 38時間) The game is really fun WHEN it works. Right now there is a bug which straight up bricks runs, making it unplayable, and it remains unfixed for at least a month. Not saying to not keep an eye on this, but don’t buy it just yet.
(日本語翻訳: このゲームは、ちゃんと動いていれば本当に楽しいです。現在、ランを完全に壊してプレイ不能にするバグがあり、少なくとも1ヶ月は修正されないままです。注目し続ける価値はあるけれど、今はまだ買うべきではありません。)
プレイヤーの期待とのズレ
このレビューが示す通り、38時間という「そこそこのやり込み」を行ったプレイヤーであっても、システム的な欠陥には非常に厳しい目を向けています。プレイヤーが求めているのは、自分の戦略の失敗による敗北であり、システムの不備による強制終了ではありません。
開発側が意図した「カオス」と、プログラムが生み出す「不具合」の境界線。ここが曖昧になると、ゲーマーの心は急速に離れていきます。本作は、あまりにも独創的な物理演算(食材が転がる、跳ねる、積み重なる)を採用しているがゆえに、判定のバグが発生しやすいという宿命を背負っているのです。
情報の可視性、例えば「現在の予想スコアがリアルタイムで表示されない」といった点も、最適化不足の一環として批判の対象となっています。これは、後のセクションで詳しく述べる「ピクセルハンティング」の問題にも繋がっていきます。
バグが解消されない限り、極限の戦略を求める層にとって、本作は「運否天賦のギャンブル」に成り下がってしまう危険性を孕んでいます。
不満の元凶「Yet」の分析

データ2の頻出単語TOP7を見ると、最も多い単語の一つが「Yet」であることに驚かされます。これほど高い評価を受けているゲームで、なぜ「Yet(まだ)」という言葉が多用されるのでしょうか。
親の顔より見た画面を何千回と見守ってきた、まん花には、この「Yet」に込められた複雑な感情が痛いほど理解できます。
「まだ」届かない完成度への嘆き
レビューにおける「Yet」の使われ方は、大きく分けて二通りあります。一つは「まだ買うな(Don’t buy it just yet)」、もう一つは「まだ修正されていない(Not fixed yet)」です。
これは非常に残酷な評価です。つまり、ゲームとしてのポテンシャルは認めている。面白さは分かっている。しかし、現時点では人に勧めるには足りない、あるいは自分の不満が解消されていない。そんな「もどかしさ」がこの一語に集約されているのです。
特に、パッチ(Patch)という単語が同数並んでいることから分かるように、ユーザーは開発者の動向を非常に密に追っています。期待しているからこそ、アップデートの内容が自分の望むもの(バグ修正)ではなく、新しいゲームバランスの変更であった際に、「なぜ先にこっちを直さないのか」という失望が「Yet」という言葉になって漏れ出すのです。
プレイ時間で見える景色の違い
ここで注目したいのは、プレイ時間が短いユーザーと長いユーザーでの「Yet」の重みの違いです。プレイ時間数十分のユーザーが放つ「Yet」は、期待感を含んだ「これからに期待」という意味合いが強いですが、数十時間プレイしたユーザーの「Yet」は、蓄積された疲労と「いつまで待てばいいのか」という諦念に近い感情が混じっています。
期待値が最大化された状態で突きつけられる「未完成の壁」こそが、高評価ゲームにおける低評価の正体なのです。
やり込んだ人ほど、システムが「本来どうあるべきか」を理解してしまいます。食材の相性、レリックの相乗効果、それらが完璧に噛み合ったはずなのに、小さなラグや判定のミスでスコアが届かない。その時、彼らは「It’s good, but not yet(良いけれど、まだだ)」と呟きながら、親指を下に向けるのです。
(プレイ時間: 0時間) the game is neat and the mechanics are unique, it need a bit of polish to really shine. steam really needs a middle option or a not yet option
(日本語翻訳: ゲームは洒落ているしメカニクスも独特ですが、本当に輝くためにはもう少し磨きが必要です。Steamには「中間」や「まだ」という選択肢が本当に必要ですね。)
このレビューはプレイ時間こそ短いものの、本作の現状を最も的確に表しています。「面白いのに、低評価をつけざるを得ない」という矛盾。それは、本作が持つ強烈な魅力と、それを支える土台の脆さが同居しているからに他なりません。
「まだ」という言葉は、未来への希望であると同時に、現状に対する最も冷徹な拒絶の言葉でもあるのです。
ユーザーが直面する現実

では、具体的にどのような「理不尽」が、プレイヤーの心を折るのでしょうか。指紋がなくなるほどに画面をなぞり、オムレツの配置を研究してきた、まん花が体験した厨房の地獄絵図を描写しましょう。
ピクセル単位の絶望(ピクセルハンティング)
本作の最大の特徴であり、同時に最大の不満点となっているのが、食材の「物理的な配置」です。一般的なデッキビルドゲームであれば、カードを出せば効果が発動します。しかし本作は、卵の上に具材を「置く」という動作が必要です。
想像してみてください。あなたは今、究極のオムレツを完成させようとしています。ピーマンとサラミを隣接させ、チーズでその倍率を上げたい。しかし、コンベアは高速で流れ、ニワトリ校長は不機嫌に鳴き、周囲ではゴミが飛び交っています。
一瞬の判断でトマトを置いたその瞬間、物理演算が気まぐれを起こします。トマトが転がり、わずかにサラミを押し出しました。その移動距離、わずか2ピクセル。しかし、その2ピクセルによって「隣接判定」が消え、数万点あったはずの期待スコアがゼロになる……。
これが、低評価レビューで痛烈に批判されている「ピクセルハンティング」の正体です。プレイヤーは料理をしているのではなく、顕微鏡を覗きながら砂粒を並べるような精密作業を、しかも高速で行うことを強いられているのです。
気難しい校長と理不尽なオーダー
さらに追い打ちをかけるのが、ゲームの演出とQOL(利便性)の欠如です。現在、盤面に並んでいる具材で何点入るのか。それを確認する手段が、一部のモードを除いてほとんど存在しません。
プレイヤーは頭の中で、140種類以上の食材の相性を暗算し、90種類のレリックの効果を乗算し、「たぶんこれで行けるはずだ!」という勘に頼ってサーブボタンを押します。そして結果は無慈悲な「不合格」。
なぜ足りなかったのか。どの具材の判定が漏れていたのか。それを分析するためのログも乏しく、ただ校長から「クビだ!」と告げられる虚無感。この「分析不能な失敗」の繰り返しは、戦略ゲーマーにとって最大の苦痛となります。
(プレイ時間: 0時間) Наиграл пол часа, но я уже в НЕРЕАЛЬНОМ предвкушении, насколько же будет гореть жoпа от уeбищного пиксельхантинга, если я прям щас не сделаю рефанд. На глаз невозможно определить, соприкасаются ингредиенты или нет…
(日本語翻訳: 30分プレイしただけだが、今すぐ返金しないと、クソみたいなピクセルハンティングのせいでどれだけ頭に血が上るか、想像するだけで恐ろしい。肉眼では具材が触れ合っているかどうか判断できないんだ……。)
このロシア人プレイヤーの叫びは、全人類の共通の怒りを代弁しています。15ポイント必要な場面で、自分が何ポイント持っているのか分からないまま、タコやレンチが飛び交う中で精密操作を要求される。これはもはや料理ではなく、厨房という名の拷問部屋です。
戦略が「運」や「視力検査」に敗北する瞬間、ゲーマーの情熱は冷めたオムレツよりも早く凍りつきます。
それでも支持される理由

ここまで低評価の要因を掘り下げてきましたが、それでもなお本作が99%の好評を得ているのは、それらの欠点を補って余りある「脳汁が出る瞬間」が存在するからです。脊髄反射で卵を割るレベルに達した廃人たちが、なぜこの理不尽な厨房に戻ってしまうのか。その理由を分析しましょう。
カオスが生む中毒性
本作の魅力は、間違いなく「Balatro(バラトロ)」に代表されるような、スコアが指数関数的に伸びていくインフレの快感にあります。最初はたったの5点、10点を積み上げていたのが、シナジーが噛み合い、チーズの倍率が重なり、伝説のレリックが発動した瞬間、スコアは数千、数万、そして桁が溢れんばかりの数字へと跳ね上がります。
この「ビルドが完成した瞬間」の万能感は、何物にも代えがたいものがあります。特に、食材の個性が実に「らしい」のが素晴らしい。「ピクルスは酸っぱいから周囲の得点を下げるが、単体なら強い」「ココナッツはデカくて邪魔だが、殻が防壁になる」といった、料理の知識(?)を逆手に取ったギミックが、配置パズルとしての深みを生んでいます。
理不尽な妨害を、それ以上の「暴力的なスコアインフレ」で粉砕した時のカタルシスこそ、本作の真骨頂と言えるでしょう。
不満点で挙げた「ピクセル単位の配置」も、裏を返せば「自分だけが作り上げた、世界に一つだけの盛り付け」という愛着に繋がります。ぐちゃぐちゃになったオムレツの上に、最後に無理やり高級食材をねじ込んでノルマを達成した時の、あの「やり切った感」。それは、整然としたカードゲームでは味わえない、泥臭くも熱い「料理のライブ感」なのです。
食材と世界観への愛
また、アートスタイルの可愛らしさと、それとは裏腹なクレイジーな設定のギャップもファンの心を掴んで離しません。ニワトリ校長に仕えるシェフというシュールな立場、BGMに混ざる「レンチが投げ込まれた時の金属音」などの小粋な演出。
これらの要素が、プレイヤーのストレスを適度に中和してくれます。「まあ、ニワトリが校長の学校だしな……」「レンチを入れる客が悪いわな……」と、理不尽を世界観のせいにして笑い飛ばせる余裕があるうちは、このゲームは最高に楽しいコージーゲーム(癒やしゲー)として機能するのです。
まん花も、深夜に無心で具材を並べていると、いつの間にか現実の悩みなどどうでもよくなり、ただ「いかに効率よくタコとドーナツを共存させるか」という宇宙の真理に近づいているような錯覚に陥ることがあります。
このゲームは、不完全であることを武器に、プレイヤーの「遊び心」を無限に引き出そうとしているのです。
最終評価と購入ガイド
さて、長々と語ってまいりましたが、どす恋まん花の結論をお伝えしましょう。
『オムレツにそれ入れる?』は、間違いなく「人を選ぶ神ゲー」です。
現状、いくつかの深刻なバグやUIの不備があることは否定できません。しかし、それを補うだけの圧倒的なオリジナリティと、一度ハマれば抜け出せない中毒性がそこにはあります。
「完璧に制御されたパズル」を求めるなら、あなたは低評価をつけた人々の仲間入りをするでしょう。しかし、「カオスを乗りこなし、自分だけの最強(最狂)のオムレツを作りたい」という野心があるなら、これ以上の戦場はありません。
購入を迷っている方、あるいはすでに厨房で絶望している方のために、まん花特製のチェックリストを用意しました。
✅ 購入をお勧めする人
- Balatroのような、スコアが爆発的に伸びるデッキビルドゲームが大好きな人
- 物理演算のカオスを楽しみ、アドリブでピンチを切り抜けることに快感を覚える人
- シュールな世界観と可愛いアートワークに癒やされつつ、中身はハードコアな挑戦をしたい人
❎ 購入を避けるべき人
- 1ピクセルの配置ミスや、不透明なスコア計算にストレスを感じてしまう完璧主義者の人
- 進行不能バグや最適化不足に対して、極めて低い耐性しか持っていない人
- 「料理ゲーム」という言葉から、オシャレで平穏なシミュレーターを期待している人
まん花はこれからも、指が動かなくなるその日まで、この学校の厨房で卵を割り続けるつもりです。もしあなたが、レンチ入りのオムレツを持って立ち尽くしている私を見かけたら、どうぞ優しく声をかけてくださいね。
それでは、良きクッキングライフを!
執筆:どす恋まん花
