皆さま、ごきげんよう。どす恋まん花でございます。
いよいよ、あのAmanita Designの最新作『Phonopolis(フォノポリス)』が我々の前に姿を現しましたね。まん花はこの日を、それこそ首を長くして、あるいはダンボールの端を器用に切り抜くような忍耐強さで待っておりました。
何を隠そう、どす恋まん花はこの作品をすでに2000時間やり込んでおります。
「えっ、発売からそんなに経ってたっけ?」という野暮なツッコミは、この際フォノポリスの拡声器でかき消してしまいましょう。一人の熱狂的なゲーマーとして、そしてこの独裁都市のゴミ収集作業員フェリックスに深く共感する者として、本作が抱える「光と影」を、データと執念に基づき、丁寧かつ鋭く解剖していきたいと思います。巷で囁かれる低評価の正体は何なのか? それは単なるわがままか、あるいは名門スタジオゆえの宿命か。今、そのベールを剥いでいきましょう。
作品概要

『Phonopolis(フォノポリス)』は、『マシナリウム』や『サモロスト』を手掛けたAmanita Designによる、ダンボールで作られた暗黒郷を舞台にしたパズルアドベンチャーです。
舞台は、独裁者が拡声器を通じて市民のあらゆる生活をコントロールする都市「フォノポリス」。全市民の人間性を奪う「アブソリュート・トーン」が鳴り響こうとする中、唯一その脅威に気づいたゴミ収集作業員の青年フェリックスは、街を救うために立ち上がります。大衆操作という重いテーマを扱いながらも、作品全体は軽快で遊び心にあふれた雰囲気で描かれます。
ゲームシステムは、紙やダンボールで構成された環境との相互作用が鍵となります。プレイヤーは拡声器を利用して他のキャラクターを動かしたり、壁を回転させたり、紙のカーテンを切断したりといった独創的なアクションを駆使して、世界に統合された多彩なパズルを解き明かしていきます。
最大の特徴は、手描きの素材をデジタル化した独特の3Dグラフィックと、ストップモーション映画のような12FPSのアニメーションです。20世紀初頭のアバンギャルド芸術に影響を受けた独創的なビジュアルと、情緒的な音楽が融合し、まるで動く紙細工の世界に入り込んだような没入感を味わえます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Phonopolis(フォノポリス) |
| 発売日 | 2026年5月20日 |
| 開発元 | Amanita Design |
| 総レビュー数 | 281件 |
| 評価内訳 | 高評価: 270 / 低評価: 11 |
| 好評率 | 96% |
| 平均スコア | ★★★★★ (4.8) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | 『Phonopolis(フォノポリス)』は、ダンボールで作られた手描きの 3D 世界を舞台にしたストーリー重視のパズルアドベンチャーです。 アバンギャルド芸術にインスピレーションを受けた感情を揺さぶる暗黒郷で、多種多様な楽しいパズルを解きながら、フェリックスが自信の圧政に終止符を打つ手助けをしましょう。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作を語る上で避けて通れないのが、圧倒的な高評価の裏に潜む「不満の声」です。データ1の円グラフを見ると、不満の約4割以上を「ストーリー/テンポ」が占めています。これは、Amanita Designのファン層が何を期待し、何に裏切られたと感じたのかを如実に物語っています。
「語りすぎ」という名のノイズ
これまでのAmanita作品といえば、言葉に頼らない「ノンバーバル」な物語体験が真骨頂でした。しかし、本作では明確なナレーションが導入されています。これが一部のプレイヤー、特に目の肥えたファンにとっては、想像力の余地を奪う「お節介な解説」に感じられてしまったようです。
幼児化するゲーム体験
データが示す通り、多くの低評価レビュアーが「説明過剰」を指摘しています。これは、プレイヤーを信じていないかのような、いわゆる「知性を侮辱された」ような感覚に陥らせてしまうのです。パズルを解く楽しさは、その背後にあるメカニズムを自分の力で発見することにあります。それを逐一説明されては、楽しみも半減してしまうというものです。
unfortunately going to be the 1st to place a negative review. what’s up with voice over and the whole concept of constant annoying notation during every second of the gameplay. i can see this adviser sitting in art room telling no they wont understand …/ gush this is unbearable annoying to the point where is unplayable dear develops this genre no need to explain everything is quite simple with the plot, art fire all so far so good the annoying constant voice over every single move makes it children’s book for the sake of human intelligence make it disappear at least make it optional. i will check updates later and promise change review even if it will optional in settings, let ppl to figure out let ppl to use imagination. the art is so beautiful no need for voice,
(日本語訳:残念ながら、私が最初の低評価レビューを書くことになりそうです。ボイスオーバーと、ゲームプレイ中ずっと続く不快な注釈は何事でしょうか?「これじゃ彼らは理解できないよ」なんて言っているアートアドバイザーが目に浮かぶようです。…ああ、これは耐え難いほど煩わしく、プレイ不能なレベルです。開発者の皆さん、このジャンルですべてを説明する必要はありません。プロットもアートも素晴らしいのだから、それで十分なんです。一動作ごとに流れる煩わしいボイスオーバーは、このゲームを子供向けの絵本にしてしまっています。人間の知性を尊重して、それを消すか、せめて設定でオフにできるようにしてください。人々に想像力を使わせ、自分で解決させてください。アートはこれほど美しいのだから、声なんていらないのです。)
このように、指紋がなくなるほどコントローラーを握りしめたコアなファンほど、本作の親切すぎる設計に違和感を覚えているようです。
Amanita Designの過去作に酔いしれた者にとって、沈黙こそが最大の雄弁であったはずなのです。
期待が大きすぎたのか、それとも時代の流れに合わせた「わかりやすさ」の代償なのか。しかし、この過剰なガイドが、フォノポリスという独裁国家の「管理された不自由さ」を演出するためのメタ的な意図であったとしても、プレイヤーのフラストレーションを解消するには至っていないのが現実のようです。
美しすぎるアートが、うるさすぎるナレーションによって台無しにされている。
不満の元凶「Games」の分析

次に、頻出単語TOP7のデータに注目してみましょう。ここで最も多く登場するのが「Games(13回)」という単語です。これは、プレイヤーが本作を単体として評価するのではなく、常に「他のゲーム(過去作)」と比較して語っていることを示唆しています。
過去作という名の巨大な壁
『マシナリウム』や『サモロスト』といった傑作を世に送り出してきたスタジオであるからこそ、プレイヤーは本作に対しても「それ相応の深み」を求めてしまいます。しかし、データによれば、本作のパズルは過去作に比べて「底が浅い」と感じる人が多いようです。
手応えのなさと「総当たり」の弊害
パズルゲームにおいて、「ひらめき」の瞬間こそが報酬です。しかし、本作のパズルの一部は、論理的な思考よりも「とりあえず全部試せば解ける」という総当たり的なアプローチを強いるものがあると指摘されています。これは、パズルゲームとしてのカタルシスを削ぎ落としてしまう致命的な欠陥になり得ます。
I don’t really know how to express this, but I feel like they’re maybe a notch under the other games in terms of difficulty. I saw someone say in another review that by the time you cycle through every configuration (and there usually aren’t many), you’ve already solved it, and I think that’s pretty accurate. Some puzzles don’t even require interaction between their different parts.
(日本語訳:どう表現すればいいのか分かりませんが、他のゲームに比べて難易度が一段階下がっているように感じます。他のレビューで「すべての設定を試しているうちに(そもそも選択肢が多くない)、すでに解けてしまっている」と言っている人がいましたが、それは非常に正確だと思います。一部のパズルは、異なるパーツ間の相互作用すら必要としません。)
まん花も、親の顔より見た画面を前にして、何度か「えっ、これで終わり?」と呟いてしまったことがあります。
プレイヤーが求めているのは「解かされている」感覚ではなく、「自ら解いた」という達成感なのです。
もちろん、カジュアルな層にとってはこれくらいの難度が適正なのかもしれません。しかし、Amanitaの看板を背負っている以上、古参プレイヤーの厳しい視線に晒されるのは避けられません。「Games」という言葉がこれほど頻出するのは、彼らが「これこそがAmanitaのゲームだ!」と叫びたがっている裏返しでもあるのです。
「パズル」を解いているのではなく、「総当たり」の作業をさせられているという虚無感。
ユーザーが直面する現実

プレイ時間が短いプレイヤーが「説明過剰」に怒る一方で、じっくりと遊び込んだプレイヤー、あるいは人生の半分を捧げたレベルの廃人たちは、また別の深刻な問題に直面しています。それは「技術的な不備」と「ボリュームの欠如」です。
突如として奪われる「時間」という資産
独裁国家フォノポリスでの生活は理不尽に満ちていますが、ゲームそのものまで理不尽であっては困ります。一部のユーザーからは、頻繁なクラッシュによって進行状況がリセットされたという悲痛な叫びが上がっています。
短すぎる旅路への不満
本作のプレイ時間は、スムーズにいけば3〜4時間程度で終わってしまいます。これに対して、価格設定が高すぎると感じる層が一定数存在します。特に、Amanitaの前作『クリークス』などが濃密なパズル体験を提供していただけに、本作の「あっけなさ」は物足りなさを強調してしまいます。
This game is charming but it crashes a lot and i lost all the progress several times now… i don’t know if it’s my computer that sucks or what. The narrator also yaps a lot. Mmm if i didn’t have to start over again and again it is a bit too short for the price i think.
(日本語訳:このゲームは魅力的ですが、クラッシュが多く、これまでに何度も進行状況を失いました…。私のPCがダメなのか何なのか分かりません。ナレーターもしゃべりすぎです。うーん、何度もやり直す必要がなかったとしても、価格の割に短すぎると思います。)
3時間の体験がクラッシュで40分巻き戻される絶望は、ダンボールの壁に頭を打ち付けるような苦しみです。
もしこれが一本の映画であれば、3時間は十分な長さでしょう。しかし、これは「ゲーム」です。プレイヤーはフェリックスと共にフォノポリスの隅々まで探索し、その奇妙な世界に浸りたいと願っているのです。その没入感を削ぐクラッシュや、物足りないボリュームは、どれほどアートが優れていても隠しきれるものではありません。
芸術性は超一流だが、ゲームとしての安定性と満足感には疑問符が残る。
それでも支持される理由

ここまで厳しい意見を並べてきましたが、どす恋まん花は本作を「駄作」と切り捨てるつもりは毛頭ありません。むしろ、これほどまでに不満が出ながらも好評率が96%を維持しているという事実にこそ、本作の真の恐ろしさが隠されているのです。
唯一無二の「芸術体験」
本作のビジュアルスタイルは、もはやゲームの枠を超えています。1920年代のソビエト・アヴァンギャルド、構成主義、未来派といった芸術運動を、これほどまでに見事に「ダンボール」という素材に落とし込んだセンスには脱帽するほかありません。魂が紙細工と融合したかのような錯覚を覚えるほどの映像美は、他のどんなタイトルでも味わえません。
耳に残る「フロークス」の旋律
トマシュ・ドヴォルザークによる音楽は、本作の心臓部です。不気味でありながらどこかユーモラス、そして哀愁を帯びたメロディは、フォノポリスという都市の空気を完璧に補完しています。ナレーションへの不満はあれど、この音楽とビジュアルが合わさった瞬間、私たちは紛れもなく「Amanitaの世界」にいることを確信するのです。
「政治的メッセージ」の軽やかな表現
大衆操作やディストピアという重厚なテーマを、子供でも親しめるような「ダンボール劇」として表現した手法は非常に巧みです。カレル・チャペックのSF的視点とジョージ・オーウェルの鋭い批判精神を、軽妙なタッチで混ぜ合わせた物語は、プレイ後に確かな余韻を残します。
不満点は山ほどある、しかしこの世界を一度体験してしまったら、もう戻ることはできない。
多くのプレイヤーが低評価を付けつつも「心苦しい」と述べているのは、本作が持つ「美しさ」への敬意があるからに他なりません。パズルが簡単すぎようが、ナレーターが喋りすぎようが、このダンボールの都市を歩く体験そのものに、数千円を払う価値があると考えているのです。
文句を言いながらも、我々はこの「紙の暗黒郷」を愛さずにはいられない。
最終評価と購入ガイド
どす恋まん花としての結論はこうです。『Phonopolis(フォノポリス)』は、「最高のパズルゲーム」ではありません。しかし、「最高峰の芸術作品」であることは疑いようがありません。
あなたがもし、手に汗握る超難解なパズルを解き明かし、何十時間も遊び倒せるボリュームを求めているなら、本作は期待外れに終わるかもしれません。しかし、もしあなたが「動く美術館」に足を踏み入れ、比類なきセンスに圧倒され、たった数時間の旅で人生に新しい色彩を加えたいと願うなら、これ以上の選択肢はないでしょう。
網膜が12FPSに固定されるほど本作を見つめ続けてきたまん花から、最後にこのチェックリストを贈ります。
✅ 購入をお勧めする人
- Amanita Designの独特な世界観や、シュールなアートが何よりも好きな人
- ソビエト・アヴァンギャルドや構成主義など、20世紀初頭の芸術運動に興味がある人
- 難易度よりも、物語の雰囲気や情緒的な音楽を重視する「体験型」のゲーマー
❎ 購入を避けるべき人
- 『マシナリウム』のような、言葉を使わない無口で硬派なパズル体験を期待している人
- コストパフォーマンス(プレイ時間に対する価格)を最優先に考える人
- 総当たりで解けてしまうパズルにストレスを感じ、高い挑戦的な難易度を求める人
フォノポリスの拡声器は、今日も誰かを導き、誰かを束縛しています。
その声に耳を貸すか、それとも自分の意志でダンボールの壁を切り開くか。
それは、プレイヤーであるあなた次第なのです。
それでは、また次のゲームでお会いしましょう。どす恋まん花でした。
執筆:どす恋まん花
