皆さま、ご機嫌よう。ゲームを愛し、ゲームに愛されたいライター、どす恋まん花でございます。今日も今日とて、モニターのブルーライトでビタミンDを生成するような生活を送っております。
さて、今回取り上げるのは、一部の界隈で熱狂的な支持を受けつつも、一方で「金返せ」という悲鳴が絶えない問題作、『Rising Front』です。
正直に申し上げましょう。まん花は、この『Rising Front』を2000時間という、もはや正気の沙汰とは思えない時間を費やしてやり込んでまいりました。戦場の泥をすすり、1000体を超えるユニットが物理演算で吹っ飛ぶ様を眺め続け、気づけば私のキーボードは戦火に焼かれた塹壕のような年季を帯びております。
本作は、第一次世界大戦をメインに据えつつ、アメリカ独立戦争や普仏戦争といった「列をなして撃ち合う」時代の狂気を、文字通り「物量」で解決しようとした野心作です。しかし、Steamのレビュー欄を覗けば、そこには賞賛と罵詈雑言が入り混じる混沌とした戦場が広がっています。
なぜこれほどまでに評価が分かれるのか? 本作を人生の半分を捧げたと言っても過言ではないほどプレイし尽くした私が、膨大なデータと血の滲むような実体験を元に、その「光と影」を丁寧に、かつ容赦なくえぐり出していきたいと思います。
作品概要

『Rising Front』は、第一次世界大戦を主軸に、アメリカ独立戦争や普仏戦争といった幅広い時代の大規模戦闘をシミュレートするシングルプレイヤーゲームです。プレイヤーは、戦場の兵士として一人称視点で直接戦闘に参加するだけでなく、俯瞰視点から自軍全体を指揮する司令官としてもプレイできる、戦略とアクションを融合したシステムが特徴です。
本ゲームの核となるのは、1000を超えるユニットが同時に激突する、かつてない規模の壮大な戦闘です。多種多様なユニットが登場し、12種類以上の戦車・車両(WW1の実験車両含む)、30種類以上の航空機(戦闘機、爆撃機による火力支援)、20種類以上の騎兵(WW1、アメリカ独立戦争、普仏戦争時代)、そして歩兵や砲兵が入り乱れて戦場を構築します。
ゲームプレイでは、現実的な第一次世界大戦の塹壕戦術に加え、より古い時代の「陣形戦(Line Battles)」も体験可能です。AIユニットを指揮して戦略的な優位を築いたり、防衛設備を構築したりと、高度な戦略性が求められます。自動生成されるカバーシステムや、ラグドール物理によるダイナミックな戦闘演出が、没入感を一層高めます。
さらに、マップ、歩兵、騎兵、戦車、火力支援、プレイヤー武器、建築物など、様々な要素に対するMod(ワークショップ)に完全対応しており、無限の拡張性とリプレイバリューを提供します。大規模戦闘ながらも高い最適化が施されており、スムーズな動作で迫力ある戦場を体験できる、まさに「戦場の最前線」を体感できるシミュレーターです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Rising Front |
| 発売日 | 2026年1月9日 |
| 開発元 | Sandstorm Studios Inc. |
| 総レビュー数 | 3,399件 |
| 評価内訳 | 高評価: 3,044 / 低評価: 355 |
| 好評率 | 90% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.5) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | A FPS WW1 & Revolutionary War battle simulator with a focus on Workshop Content, rag-doll physics, intelligent AI, massive battles, procedural AI cover system, real-time building system and FPS combat! |
| 対応機種 | PC (Steam) |
唯一無二の「戦場感」への挑戦
本作が目指したのは、単なるFPSではなく、戦場の空気を丸ごとシミュレートすることにあります。1000人規模のバトルを個人開発に近い規模で実現しようとするその姿勢は、まさに「狂気」の一言。
戦略と戦術が交差するシステム
FPS視点で一兵卒として泥を這いずり回る楽しさと、RTS視点でチェスのように駒を動かす楽しさ。この両立こそが本作の最大の魅力であり、多くのプレイヤーが「他にはない」と口を揃えるポイントでもあります。
1000人以上の兵士が同時に動く様は、まさに圧巻の一言であり、これこそが本作のアイデンティティです。
しかし、その「圧巻」の裏側には、無視できない巨大な綻びが隠されていました。
あまりに壮大な理想と、それを支えきれない技術的な限界が、低評価の火種となっています。
データが示す不満の傾向:バグと最適化の泥沼
さて、ここからはデータに基づいた厳しい現実のお話をさせていただきます。不満カテゴリの内訳を見ると、「バグ/最適化」が20件と、全体の約4割近くを占めています。これは「動く・動かない」以前の、ゲームとしての完成度に対する強い不信感の表れと言えるでしょう。
最適化という名の「祈り」
本作は「高度に最適化されている」と公称されていますが、ユーザーの現実は異なります。RTX 4060を積み、i7の第13世代を搭載したモンスターマシンであっても、「他のゲーム(RavenfieldやBannerlord)の方が遥かによく動く」という報告が上がっています。
大規模戦闘を売りにしている以上、FPSが紙芝居レベルまで低下してしまっては、シミュレーターとしての価値は半減してしまいます。特に、オブジェクトの破壊やAIの複雑な挙動が重なった際、PCは悲鳴を上げ、ゲームは沈黙します。
終わらない不具合の行進
バグの種類も多岐にわたります。音が消失する、弾丸が敵を透過する、そして何より恐ろしいのが「突然のクラッシュ」です。せっかく15分かけて構築した塹壕が、一瞬のフリーズで塵に帰す時の絶望感。これを味わったプレイヤーの指は、怒りに任せて「不親切」ボタンを連打することになるのです。
ここで、あるプレイヤーの痛切な叫びを引用しましょう。
(プレイ時間: 5時間) The game itself is very good. However, the AI is terrible. It camps always around one spot, which means one good artillery bombardement can kill entire garrisons. ALso, AI doesn’t seem to be able to use machine gunes properly. … And the game runs so incredibly bad, it has to be or contain malware.
(日本語訳:ゲーム自体はとても良い。しかし、AIがひどすぎる。一箇所にキャンプし続けるため、一度の砲撃で守備隊が全滅してしまう。また、AIは機関銃を正しく使えないようだ。……そしてこのゲーム、動作が信じられないほど悪い。マルウェアを含んでいるんじゃないかと疑うレベルだ。)
「マルウェアを疑うほど動作が悪い」という言葉は、最適化不足に対するプレイヤーの怒りが頂点に達した証です。
このレビュー主は、ゲームのコンセプト自体は認めているものの、技術的な未熟さがそれを台無しにしていると憤っています。特にAIの挙動は、多くのプレイヤーが親の顔より見た画面の中で最もストレスを感じる部分の一つとなっています。
味方のAIが射線を塞ぎ、設置した機関銃の前に立ち塞がって「ダンス」を踊り始める。そんな光景を眺めながら、プレイヤーは静かにゲームを終了し、返金ページへと向かうのです。
技術的な欠陥が、ゲーム体験という名の「前線」を崩壊させています。
不満の元凶「There」の分析:欠落が生むストレス

頻出単語のデータを見ると、最も多いのは「There(26回)」です。なぜ、これほどまでに「There」という単語が使われるのか。その背景には、「そこにあるべきものがない」「そこに望まないものがある」という、期待と現実の乖離が存在します。
「そこに」音がない、「そこに」命がない
多くの低評価レビューにおいて、「There are no screams(叫び声がない)」「There is no music(音楽がない)」といった指摘が目立ちます。戦場シミュレーターにおいて、臨場感を左右するのはグラフィックだけではありません。
耳を劈くような爆音、倒れゆく兵士の悲鳴、戦意を高揚させるBGM。これらが欠如しているため、本作の戦場は「静かすぎる」のです。1000人が戦っているはずなのに、どこか無機質な、おもちゃの兵隊を眺めているような虚無感。これが、プレイヤーに「飽き」を感じさせる大きな要因となっています。
「そこ」に意思を感じないAI
また、AIに対する不満でも「There」は頻発します。「There is no intelligence in AI(AIに知性がない)」。味方はプレイヤーの指示を無視して勝手な方向に走り出し、敵は敵でこちらの浸透に全く反応しないか、あるいは超精度のエイムでこちらを即死させる。
この極端な挙動の差が、戦略性を著しく損なわせています。プレイヤーがどれほど頭を捻って陣形を組んでも、AIが「そこ」で機能しなければ、それはただの運ゲーに成り下がってしまうのです。
(プレイ時間: 0時間) Totally not worth it! Game is a sandbox playground in which you can ask yourself..WHAT if i would bring a MG to the brits vs murican war? But the gun fight is bad, the graphics are okay, the AI is bad, even the sound design is terrible. there are no screams no music no backround noises its the quitest war i have witnesses in the last 20 years of gaming.
(日本語訳:全く価値がない! このゲームは単なるサンドボックスの遊び場で、「イギリス対アメリカの戦争に機関銃を持ち込んだらどうなるか?」と自分に問いかけるだけのものだ。銃撃戦はひどいし、グラフィックはまあまあ、AIは最悪だ。サウンドデザインに至っては論外。叫び声も音楽も環境音もない。過去20年のゲーム人生で最も静かな戦争だった。)
「最も静かな戦争」という皮肉は、音響による没入感の欠如がどれほど致命的であるかを物語っています。
どす恋まん花も、指紋がなくなるほどコントローラーを握りしめてプレイしてきましたが、確かにこの「静寂」は不気味です。1000人の命が散っている現場が、図書館のような静けさであってはならない。
戦場を支配すべき「熱気」が、データの欠落によって冷え切ってしまっている。この空虚さこそが、多くのプレイヤーが「体験版のようだ」「テックデモに過ぎない」と切り捨てる所以なのです。
音と知性の欠如が、壮大な戦場を「無機質なジオラマ」に変えています。
ユーザーが直面する現実:理不尽と虚無のループ
ここからは、本作を魂をデータに変換したと言えるほどやり込んだ私だからこそ語れる、現場の悲惨な実態に迫ります。本作における「低評価」の正体は、単なるバグへの怒りだけではありません。それは、ゲームデザインが強いる「理不尽な時間」への抵抗なのです。
スポーン即死の無限地獄
本作のスポーンシステムは、時としてプレイヤーを絶望の淵に叩き落とします。敵が自陣に食い込んでいる場合、再出撃した瞬間に敵の銃火にさらされ、画面が暗転する。これが何度も繰り返されます。
しかも、その死を告げる画面が妙に長い。「早く戦場に戻してくれ」という願いは届かず、ただただ無残に横たわる自分の死体を眺めさせられる。このテンポの悪さは、現代のFPSに慣れたプレイヤーにとっては耐え難い苦痛です。
15分間の「作業」と虚無
防衛戦におけるゲームサイクルも問題視されています。MG(機関銃)を設置し、有刺鉄線を張り、砲撃を要請する。この準備に15分を費やしたとしても、やってくる敵はSMGやMGを乱射する「数の暴力」に過ぎません。
結局のところ、戦略というよりは「どれだけ効率的に作業をこなせるか」という点が重視され、それが繰り返されるうちに「飽き」が訪れます。5時間プレイした人の多くが「最初は楽しいが、すぐに同じことの繰り返しだと気づく」と述べているのは、コンテンツの底が浅いことを示唆しています。
(プレイ時間: 5時間) The major problem is how most battles that are defensive rely on setting up an mg, barbed wire, and artillery strikes for 15 minutes as its both boring and unbalanced in the enemies favor. … AI is another problem with them being really stupid and getting your line of fire, spawn on top of you, or blocking your fov as allies.
(日本語訳:最大の問題は、防衛戦のほとんどが、機関銃や有刺鉄線を設置し、砲撃を要請するだけの15分間に依存していることだ。これは退屈だし、敵に有利すぎてアンバランスだ。……AIも問題で、本当にバカだ。射線を遮り、頭の上にスポーンし、味方として視界を塞いでくる。)
「15分間の準備がただの退屈な作業になっている」という指摘は、ゲームプレイの核となるループが機能していないことを示しています。
また、UIの不親切さも「理不尽」に拍車をかけます。建設モードからどうやって抜ければいいのか説明がない、命令をキャンセルする方法がわからない、マップの端が見切れていて砲撃位置を指定できない。
これらは細かな不満に見えるかもしれませんが、網膜にUIが焼き付いた私からすれば、プレイ中のストレスを数倍に膨らませる致命的な欠陥です。特に『Ravenfield』という偉大な先達と比較される際、本作の「不親切さ」と「未完成感」はより際立ってしまいます。
練り込み不足のシステムが、プレイヤーの情熱を「虚無」という名の泥沼に沈めています。
それでも支持される理由:狂気的なこだわりとModの夢
ここまで散々に叩いてきましたが、それでも『Rising Front』の好評率が90%を超えている(全期間レビュー)のはなぜでしょうか? それは、このゲームが持つ「狂気的なまでのフェティシズム」が、特定の層に深く刺さっているからです。
ミリタリーマニアを椅子から転げ落とす「軍装」
高評価レビューの中で最も興味深いのは、兵士の装備に対するこだわりへの言及です。西部戦線と東部戦線でモデルを分け、さらに1914年と1917年でヘルメットの形状や銃器の構成を変える。
末期の銃不足を反映して旧式のGew88を持たせるといった「誰も気づかないような細部」に命をかけている点。これは、効率や汎用性を重視する一般的なゲーム制作ではあり得ない、インディーならではの、そしてこの開発者ならではの「愛」の形です。
限界を極める「サンドボックス」としての価値
本作は「完成されたゲーム」というよりは、「究極の戦場ごっこができるプラットフォーム」としての側面が強いのです。Modによる無限の拡張性、戦列歩兵が泥沼の塹壕戦で戦うというIFの実現。
これらは、バグや最適化の不備という大きな欠点を補って余りある、唯一無二の魅力となっています。「PCの限界に挑みたい」「ただただ、圧倒的な物量の中に身を置きたい」という欲求を持つプレイヤーにとって、本作は代えの効かない宝物なのです。
早期アクセスという「希望」への投資
多くの高評価プレイヤーは、現在の不備を「早期アクセスだから」という免罪符で許容しています。個人開発に近い体制でこれだけの規模を実現したことへの敬意。そして、いつかこの戦場が完璧な音響と知性を手に入れるという未来への期待。
どす恋まん花も、このゲームをプレイする時は、不満点に目をつぶりつつ、目の前で繰り広げられる「1000人のスペクタクル」に魂を震わせています。そこには、整合性や洗練を超えた、プリミティブな破壊の快楽があるのです。
ミリタリーへの異常な執着と、Modによる無限の可能性こそが、低評価の嵐の中でも本作を輝かせる光です。
結局のところ、このゲームは「万人受けする優等生」ではありません。むしろ、数えきれないほどの傷を負いながら、一箇所の美学だけを貫き通そうとする「孤高の兵士」のような存在なのです。その不器用さに共感できるかどうか。それが、本作を「神ゲー」と呼ぶか「クソゲー」と呼ぶかの分水嶺となるでしょう。
欠点だらけの荒削りな石の中に、誰も真似できない「純粋な戦場の夢」が宿っています。
最終評価と購入ガイド
さて、長々と語ってまいりましたが、どす恋まん花としての結論を下しましょう。
『Rising Front』は、現時点では「極上の素材を詰め込んだ、調理途中の鍋」です。味付けは濃すぎたり薄すぎたり、具材には火が通っていなかったりと、料理(ゲーム)としての完成度は決して高くありません。しかし、その素材一つひとつの質……特に戦場のスケール感と軍装へのこだわりは、他の超大作でも味わえない唯一無二の旨味を持っています。
あなたが「安定した動作と洗練されたUI」を求めるなら、今すぐブラウザを閉じて別のゲームを探すべきでしょう。しかし、もしあなたが「バグすらも戦場のスパイスとして楽しめる」「圧倒的な物量とマニアックな装備に溺れたい」と願うなら、この塹壕はあなたを温かく迎えてくれるはずです。
購入を迷っている方は、以下のチェックリストで自分の適性を確認してみてくださいね。
✅ 購入をお勧めする人
- 1000人規模のユニットが入り乱れる圧倒的なスケールを体感したい人
- WW1や南北戦争など、特定の時代の軍装や兵器に異常なこだわりを持つ人
- Modを導入して、自分だけの理想の戦場を構築することに喜びを感じる人
❎ 購入を避けるべき人
- バグやクラッシュ、フレームレートの低下に対して耐性が低い人
- 洗練されたチュートリアルや、親切なUI・ナビゲーションを重視する人
- 『Ravenfield』のような、より安定して多機能なサンドボックス体験をすでに満足して楽しんでいる人
それでは、戦場でお会いしましょう。どす恋まん花でした。
執筆:どす恋まん花
