ごきげんよう、皆様。人気ゲームライターのどす恋まん花でございます。霧の深い戎ヶ丘から、ようやく現世に戻ってまいりました。
さて、本日お話しするのは、発表当初から世界中の注目を一身に集めていた話題作『SILENT HILL f』について。シリーズ久々の新作、しかも舞台が1960年代の日本、シナリオにはあの竜騎士07氏を起用するという「劇薬」のような組み合わせに、多くのゲーマーが胸を躍らせたことでしょう。
しかし、蓋を開けてみれば、各プラットフォームのレビュー欄はまさに「混沌(カオス)」そのもの。絶賛の声がある一方で、痛烈な低評価が並ぶ事態となっています。
何を隠そう、このまん花。本作の舞台である戎ヶ丘には、累計で2000時間ほど滞在させていただきました。ええ、全てのエンディング、全てのフレーバーテキスト、そして最高難易度でのノーダメージクリアに至るまで、文字通り骨の髄までしゃぶり尽くした自負がございます。
今回は、一人の熱狂的なゲーマーとして、そしてデータに基づき冷静に分析するライターとして、なぜ本作がここまで激しい賛否両論を巻き起こしているのか、その真相を紐解いていきたいと思います。
作品概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | SILENT HILL f |
| 発売日 | 2025年9月24日 |
| 開発元 | NeoBards Entertainment Ltd. |
| 価格 | ¥ 5,148 |
| 総レビュー数 | 21,859件 |
| 評価内訳 | 高評価: 17,730 / 低評価: 4,129 |
| 好評率 | 81% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.1) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | 山々に囲まれた日本の田舎町・戎ヶ丘に住む主人公の高校生・深水雛子(しみず ひなこ)。彼女の日常は、謎の白い「バケモノ」によって突如崩れ去った。変り果てた見慣れた町を探索し、戦い、謎を解きながら、やがて彼女はある「結末」にたどり着く。 |
データが示す不満の傾向
▲不満カテゴリ内訳
まずは、プレイヤーたちがどこに「NO」を突きつけたのか。集計されたデータを元に、不満のカテゴリを分析してみましょう。
「ボス/敵の強さ」とホラー体験の乖離
不満カテゴリの第1位(51件)を占めたのは、意外にも「ボス/敵の強さ」でした。通常、ホラーゲームにおける敵の強さは「恐怖」を増幅させる要素として機能するものですが、本作においてはそれが「ストレス」へと変換されてしまっているようです。
サイレントヒルシリーズは、本来「逃げ惑う恐怖」や「心理的な圧迫感」を主軸に置いていたはず。しかし今作では、敵を倒さなければ先に進めない強制戦闘エリアが多く、かつその敵が「硬すぎる」という不満が噴出しています。特にプレイ時間が短いプレイヤーにとっては、この「理不尽な壁」が没入感を削ぐ最大の要因となっているのです。
竜騎士07氏のシナリオと「周回」という名の足かせ
不満の第2位(46件)は「ストーリー/テンポ」です。ここでは、プレイ時間の長いユーザーほど、深い絶望を味わっている傾向が見て取れます。本作の真髄を味わうためには、最低でも3周以上のプレイが要求される設計なのですが、これが致命的に「だるい」のです。
竜騎士07氏らしい「多層的な真実」を暴いていく構成は、ノベルゲームであれば極上の体験だったでしょう。しかし、同じマップを、同じ敵をなぎ倒しながら、微細な変化を求めて何度も歩かされる苦痛。まん花も2000時間の中で何度「この演出、1周目に見せてよ!」と叫んだか分かりません。
(プレイ時間: 54時間) ○はじめに 結論から言うと、シナリオ担当・竜騎士氏の物語構成と、サイレントヒルというゲーム性の融合は噛み合わず、結果として残念な仕上がりだった 真エンディングまで最低3周を求められるが、この構成が致命的にストレスフルだ ○周回ごとの感想 1周目:恐怖と新鮮さがあり、序盤は楽しめた。しかし到達できるのはバッドエンディングのみで、謎が解けぬまま終わるため、達成感より失望が勝る 2周目:恐怖は薄れるが、謎を追う興味で何とかプレイ継続。ムービーの細かな変化は好印象だった。 3周目:最大の問題点。展開はほぼ同じで新鮮味がなく、好奇心が急速に失われる。
物語の野心に、システムが追いつかなかった悲劇。
不満の元凶「戦闘」の分析
▲頻出不満ワードTOP7
頻出単語ランキングで堂々の1位(140回)に輝いたのは「戦闘」です。この言葉がこれほどまでにネガティブな文脈で語られるのは、ホラーゲームとしてはある種、異常事態と言えるかもしれません。
サイレントヒルに「スタミナ」は必要だったのか?
多くのユーザーが指摘しているのは、昨今の「ソウルライク(死にゲー)」ブームを意識しすぎた中途半端なシステム設計です。主人公が女子高生である以上、動作がもっさりしているのは「リアリティ」として許容できます。しかし、そこに厳しいスタミナ管理と武器の耐久値が加わると、話は変わってきます。
探索を楽しみたいのに、すぐ息切れする主人公。ようやく見つけた鉄パイプは、数体のバケモノを殴っただけでゴミと化す。この「制限の多さ」が、戦略性というよりも「不自由さ」としてプレイヤーの首を絞めているのです。
武器耐久度と「強制戦闘」の矛盾が生む苛立ち
特に後半戦、逃げることが許されない狭い空間での集団戦において、この戦闘システムの欠陥が露呈します。敵の攻撃を「見切って回避」することが前提の難易度でありながら、カメラワークが悪く、画面外からの不可避な「掴み攻撃」にハメられる。
さらに、海外のプレイヤーからも同様の指摘が上がっています。
(Original English Review) The combat feels like a clunky version of a Souls game. You have a stamina bar and weapon durability, but the character moves too slowly to actually enjoy the “action.” It’s more of a chore than a challenge.
(日本語訳:戦闘は、ソウルシリーズの劣化版のように感じられる。スタミナバーと武器の耐久性があるが、キャラクターの動きが遅すぎて「アクション」を楽しむことができない。それは挑戦というよりは、もはや雑用だ。)
どす恋まん花も、2000時間のプレイ中、何度コントローラーを握りしめたまま天を仰いだことでしょう。この「戦闘」という名の苦行が、本作の評価を著しく下げている事実は否めません。
(プレイ時間: 27時間) 全エンディングまでプレイしました。結論としてはわりとサイレントヒルしてたなと思います。敵のデザイン、キャラの周回するほど見えてくる本心、日本ホラーにあるジットリとした湿っぽい雰囲気など良い点があります。が!悪いのが、戦闘システム!!!サイレントヒルの戦闘モーションにフロムゲーのような回避やゲージ管理を混ぜたせいで、めんどくささが半端ないです。
ホラーの緊張感を、ただの「面倒くささ」が上書きしてしまった。
ユーザーが直面する現実:戎ヶ丘の霧に隠れた違和感

実際に戎ヶ丘の地を踏んだプレイヤーたちは、データには現れにくい「細かな、しかし無視できない違和感」に直面しています。
没入感を削ぐ「演技」と「表情」のフラットさ
まず多くの低評価レビューでやり玉に挙げられているのが、ボイスアクトとフェイシャルアニメーションの質です。特に「主人公の父親」の演技については、もはや伝説的な酷評を受けています。
「愛娘の危機」という極限状況において、あまりにも平坦で、まるで台本を初めて読んだかのような棒読み。これはグラフィックが美麗であればあるほど、不気味の谷を超えた別の「虚無感」を生み出してしまいました。まん花も、感動的なはずのシーンで父親が喋った瞬間、不覚にも吹き出してしまったことをここに告白いたします。
センスを疑う「謎解き」の不条理と苦痛
また、サイレントヒルシリーズの華であるはずの「謎解き」も、今作では多くのプレイヤーを絶望させています。ヒントと答えの論理的な繋がりが希薄で、「作者の頭の中を当てる」クイズのようなもの。
特にメダルの嵌め込みやカカシの謎解きは、最高難易度「五里霧中」においては、もはや思考停止して総当たりで解いたほうが早いという、パズルとしての死を迎えています。
(プレイ時間: 35時間) 惜しい作品だと思います。最小限の描写で、周回ごとに視点や印象が変わってくるので毎回新しい発見があります。ただ、それは同時に“注意深く観察しないと伝わらない”構造でもあります。私自身は考察が好きなので、その余白を想像しながら遊ぶのが楽しかったのですが、物語をシンプルに楽しみたい人には少し疲れるゲームかもしれません。
「考察の余白」と「説明不足」を履き違えてはならない。
それでも支持される理由:和風サイレントヒルの美しき残像

ここまで辛辣な批評を重ねてまいりましたが、本作を「クソゲー」の一言で切り捨てるのは、あまりにも早計。というのも、このゲームには抗いがたい魅力が確実に存在するからです。
圧倒的なビジュアルと音響が紡ぐ「空気感」
まず特筆すべきは、1960年代の日本を再現したその美術レベルの高さ。田んぼ道を抜けた先にある古びた木造校舎、錆びたバス停、そしてそれらを浸食するように咲き誇る不気味な「赤い花」。
サウンドデザインも秀逸で、環境音一つをとっても「そこ(戎ヶ丘)にいる」という実感が得られます。特に「蓮コラ系」と称される、生理的な嫌悪感を煽るエネミーデザインの美しさは、サイレントヒルシリーズの伝統を正しく、かつ残酷に継承しています。
考察の迷宮に挑む真のファンの存在
低評価の嵐の中でも、やり込んだプレイヤーだけが到達できる「真エンド(4周目以降)」の風景。ここで語られる、神隠し、土着信仰、そして深水家の血筋にまつわる悍ましい真実は、竜騎士07氏のファンであれば震えるほど熱い内容となっています。
「全てを語らない」美学が、ある種のプレイヤーには深く刺さっている。だからこそ、一部の熱狂的ファンは、苦行のような周回プレイすらも「愛」で乗り越えているのです。まん花が2000時間を捧げたのも、結局はこの「空気」と「考察」の毒気に当てられたからに他なりません。
最終評価と購入ガイド
さて、そろそろどす恋まん花としての結論を出しましょう。
『SILENT HILL f』は、決して万人に勧められる優等生ではありません。むしろ、美しすぎるガワを被った、非常に性格の悪いゲームと言えるでしょう。
「サイレントヒル2 リメイク」のような洗練されたプレイ体験を期待すると、そのもっさりした戦闘と、不親切な周回仕様に激怒すること間違いなしです。しかし、あなたが「不条理な謎」や「湿り気のある日本ホラー」、そして「一筋縄ではいかない難解な物語」を愛してやまない変態的ゲーマー(褒め言葉です!)であるなら、この地獄は一見の価値があります。
最後に、どす恋まん花特製のチェックリストを置いておきます。あなたの覚悟が本物かどうか、霧に足を踏み入れる前に確認してみてくださいね。
✅ 購入をお勧めする人
- 1960年代の日本という設定、和風ホラーの雰囲気に「魂」を抜かれる人
- 竜騎士07氏のシナリオなら、何周してでも真実に辿り着きたいという根性の持ち主
- 「蓮コラ」や「集合体」への生理的な嫌悪感を、あえて味わいたい特殊な趣味の方
- 考察サイトをハシゴして、資料の断片から世界の形を想像するのが三度の飯より好きな人
❎ 購入を避けるべき人
- サクサクした快適なアクション、爽快な戦闘を楽しみたい「死にゲー」アンチの方
- 「周回プレイ」そのものに強い抵抗があり、1周で完結した物語を求める人
- 理不尽な難易度の謎解きや、カメラワークの悪さにすぐコントローラーを投げたくなる人
- 声優の演技が完璧でないと没入できない、耳の肥えたドラマファンの方
戎ヶ丘で迷い、狂い、そして悟りを開く。
そんな稀有な体験を求めているのなら、どうぞ。まん花は、霧の向こうであなたをお待ちしております。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。ごきげんよう。
執筆:どす恋まん花
