皆さま、ごきげんよう。自称・世界で一番カードの角で指を切っているゲームライター、どす恋まん花でございます。
今日語るべき議題は、もはや説明不要の怪物タイトルの続編、『Slay the Spire 2』についてです。前作がローグライク・デッキ構築型カードゲームというジャンルそのものを定義してしまったがゆえに、この「2」に寄せられる期待は、エベレストよりも高く、マリアナ海溝よりも深いものでした。
まん花も、この原稿を書くまでに本作を2000時間やり込んでまいりました。睡眠時間を削り、食事中もカードのシナジーを考え、夢の中でまで「ドロー!」と叫ぶ毎日。もはや私の血管には血液ではなく、エナジー(コスト)が流れているのではないかと錯覚するほどです。しかし、そんな「塔の住人」と化した私であっても、今回の『Slay the Spire 2』が現在直面している評価の荒れ模様には、首を傾げざるを得ません。
本作の評価は決して「低い」わけではありません。しかし、熱狂的なファンであればあるほど、「なぜこんなことになった?」という怒りと悲しみの声を上げているのもまた事実。今回は、溢れんばかりのデータを紐解きながら、本作の「光と影」をどす恋まん花が鋭く、かつ愛を持って解剖していこうと思います。
作品概要

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Slay the Spire 2 |
| 発売日 | 不明 |
| 開発元 | 不明 |
| 総レビュー数 | 111,415件 |
| 評価内訳 | 高評価: 90,352 / 低評価: 21,063 |
| 好評率 | 81% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.1) / 5.0 |
| 日本語対応 | 不明 |
| 概要 | 概要取得失敗 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作に寄せられた2万件を超える低評価。その内訳を分析すると、ある一つの明確な「壁」が浮かび上がってきます。円グラフのデータによれば、不満の第1位は圧倒的に「ボス/敵の強さ(18件)」です。これは単に「ゲームが難しい」というレベルを超え、多くのプレイヤーが「理不尽」という感情を抱いていることを示唆しています。
序盤から牙を剥く「数値の暴力」
前作であれば、第1層はデッキの方向性を定め、リソースを蓄えるための「準備期間」としての側面がありました。しかし今作では、第1層の雑魚敵ですら、前作のエリートクラスの火力を平然と叩き込んできます。特に顕著なのが、ターンを追うごとに攻撃力が指数関数的に上昇していく敵の存在です。
これに対し、プレイヤー側の防御手段は依然として限られています。初期デッキに近い状態で「毎ターン30ダメージ」といった猛攻を凌ぐのは、運良く強力なブロックカードを引けない限り不可能です。プレイヤーが戦術を練る余地を与える前に、圧倒的な数値で圧殺してしまう。このゲームデザインの尖りすぎた部分が、多くのプレイヤー、特に「気軽に楽しみたい」と考えていた層を奈落の底へ突き落としているのです。
「エリート」という名の死神
さらに深刻なのが、エリートモンスターの調整です。もちろん、エリートは強くあるべき存在です。しかし、今作のエリートは特定のアーキタイプ(戦術)を「完全に否定」するギミックを初期段階から持ち合わせています。
魔法をメインにするデッキなら「魔法を使うたびに手痛い反撃」、手数を増やすデッキなら「一定回数使うと強制的にターン終了」といった具合に、プレイヤーが「工夫して作ったデッキ」がそのまま「死因」になる構造。これは挑戦しがいがあるというより、「正解のカードを引けなければ、その時点で詰み」という運ゲーの側面を強めてしまっています。
(プレイ時間: 19時間) Really disappointed with this one. Huge fan, had some fun initially – wanted to play this as a cooperative experience – but the difficulty is just arbitrary. It is certainly fun initially and then you just get “got”. Overtuned elites kill you, so you think to yourself: “I guess I avoid them to compensate.” Then you face “normal” enemy encounters with enemies that do 30+ damage each turn, while shielding and sapping away at you. (中略) The only way you can reliably beat most of the game is to go for silly infinite loops, which sucks imho
(日本語訳:本当にがっかりしました。大ファンだったので最初は楽しかったですが、難易度がとにかく理不尽。最初は楽しいのに、途中でいきなり詰みます。調整不足のエリートに殺されるので、避けて通ろうとすると、今度は毎ターン30ダメージ以上をブロックしつつデバフをかけてくる「通常」の敵に遭遇します。(中略)結局、無限ループのようなズルいコンボを狙う以外に安定して勝つ方法がありません。これは最悪のゲームデザインだと思います。)
期待と現実の乖離
このレビューにもある通り、多くのプレイヤーが「無限ループ」や「特定のぶっ壊れカード」を引くことしか勝利への道がないと嘆いています。まん花も人生の半分を捧げた一人のゲーマーとして言わせてもらえば、ローグライクの醍醐味は「限られた資源でいかにやりくりするか」にあるはずです。しかし、現在のバランスは「特定の最強ビルド以外は門前払い」という、非常に窮屈なものになっている。これが「低評価」の正体であり、多くのファンの心を折っている原因なのです。
あまりの理不尽さに、塔を登る足が震えるほどの絶望がそこにはあります。
不満の元凶「平衡」の分析

さて、頻出単語のデータを眺めてみると、非常に興味深い、そして皮肉な言葉がトップに君臨しています。それが「平衡(バランス)」です。16回という頻度は、この言葉がポジティブな意味ではなく、「バランスが壊れている」という文脈で叫ばれていることを如実に物語っています。
「運」と「実力」の天秤が壊れた瞬間
カードゲームにおいて、ドローの運が絡むのは当然です。しかし、その運を技術や経験でいかにカバーするかがプレイヤーの腕の見せ所。本作では、その「腕の見せ所」が著しく削り取られている印象を受けます。
特に、新しいメカニクスとして導入された「環境変化」や「特殊ギミック」が、プレイヤーの操作感を著しく阻害しています。例えば、手札のコストをランダムに変更する、あるいは特定のカードを使わないとダメージが通らないといったギミック。これらが重なったとき、プレイヤーは「自分の意志でプレイしている」のではなく、「ゲームに遊ばされている」という感覚に陥ります。
「平衡」という名の呪縛
まん花は親の顔より見た画面を前にして、幾度となく「なぜ今負けたのか?」と自問自答してきました。その答えが「プレイングのミス」ではなく「単に適切なカードが提示されなかったから」に集約されてしまうとき、この「平衡」という言葉は呪いとなってプレイヤーを襲います。
開発側はおそらく、前作をやり込んだプロ級のプレイヤーたち(アセンション20を鼻歌まじりにクリアするような猛者)を基準に調整を行ってしまったのでしょう。その結果、中級者以下のプレイヤーにとっては、登ることすら不可能な垂直の崖がそびえ立つことになってしまった。これが「平衡」というキーワードに込められた、プレイヤーの悲鳴の正体です。
(プレイ時間: 11時間) 一坨石,玩了那么多种卡牌游戏,这是我玩过最垃圾の卡牌游戏,平衡性做的一坨区,精英怪是人打の?设计师你自己玩过这游戏吗,谁买谁后悔,一个单机卡牌游戏,正反馈少的可怜,玩个战士别说ftk了,做个无限都难死,听说设计师不乐意玩家玩无限,那我问你能把数値再調整一下吗?
(日本語訳:一塊のゴミ。これまでたくさんのカードゲームを遊んできたが、これは最悪だ。バランス調整が酷すぎる。あのエリートモンスター、人間が倒せると思っているのか? 設計者は自分でテストプレイしたのか? 誰が買っても後悔する。シングルプレイのカードゲームなのに、得られる快感が少なすぎる。アイアンクラッドを使っても無限コンボどころか、普通のクリアすら至難の業。設計者が無限ループを嫌っているという噂だが、それなら敵の数値を再調整しろと言いたい。エリートやボスに一撃で蹴り殺されるのは笑えない。)
拒絶される「自由度」
このレビュー主の怒りは凄まじいものがありますが、一理あります。前作で愛された「多様なビルドの可能性」が、今作では「開発が意図した正解ルートをなぞるだけ」の窮屈な作業に成り下がっている。
まん花が指紋がなくなるほどコントローラーを握りしめて感じたのは、今の『Slay the Spire 2』は、自由を愛する冒険者のための場所ではなく、開発者が用意した難解な詰将棋を解かされる試験場のような雰囲気があるということです。もちろん、その難問を解いた瞬間の快感はありますが、そこに至るまでの過程が「苦行」になってしまっては、ゲームとしての本質を見失っていると言わざるを得ません。
「平衡」とは名ばかりの、開発者によるプレイヤーへの一方的な挑戦状。それが今の現状です。
ユーザーが直面する現実
では、具体的にどのような「地獄」が塔の中で繰り広げられているのか。数値やデータだけでは見えてこない、プレイヤーたちのリアルな体験を、まん花の視点から再現してみましょう。
夢も希望も打ち砕く「第3層の悪夢」
あなたは1時間かけて、最高のデッキを構築したとしましょう。カード同士のシナジーは完璧、レリック(遺物)の引きも良く、HPも十分。あなたは「これならクリアできる!」と確信し、意気揚々と第3層の深部へと足を踏み入れます。
しかし、そこで待ち受けていたのは「特定のアクションを強制的に封じる」ボスでした。あなたのデッキの核となるカードを使うたびに、ボスの筋力が上がり、ブロックを貫通するダメージが飛んでくる。それまでの1時間を全否定されるような「相性の悪さ」という名の宣告。そこにはプレイングの工夫が介在する余地はなく、ただ自分のHPがゼロになるのを見守るしかない「虚無の時間」が流れます。
報われない「努力と時間」
特に今作で悪名高い「悪魔の遺物」や「ドアメーカー」と呼ばれる要素。これらはプレイヤーに非常に重いデメリットを突きつけます。あるレビューでは、苦労して手に入れたボスレリックが、実は自分の首を絞めるだけの「毒」だったという体験が綴られています。
(プレイ時間: 82時間) 恶魔瓦库真是智力癫疯设计出来的,很难想象费尽千辛万苦,艰难蠕動到第三层会碰到一个全是负面作用のBOSS遗物,还不能不拿。这就好像给女朋友送钞票送礼物最后临门一炮发现她得了艾滋 (中略) 真是撕了码。
(日本語訳:悪魔のワクー(仮)は本当に知能を疑う設計だ。第3層まで苦労して辿り着いたのに、デメリットしかないボスレリックを押し付けられるなんて想像もしたくない。しかも、それを取らないと先へ進めない。これはまるで、恋人にプレゼントを貢いで、最後の一番いいところで最悪の病気をうつされたようなものだ(中略)本当に許しがたい。)
比喩が過激ではありますが、プレイヤーが抱く「裏切られた」という感覚は本物です。まん花も脳が塔の形に固まったかのような時間を過ごしてきましたが、今作の「強制的に不利な選択肢を選ばされる」という構造には、確かに強いストレスを感じます。
早期アクセスという名の免罪符
もちろん、本作は早期アクセス段階であり、バランス調整は今後行われるでしょう。しかし、現時点での「難易度の上げ方」が非常に安易、かつプレイヤーの心を折る方向に働いているのは否定できません。
「難しければやりがいがある」というのは、あくまでクリアの道筋が複数用意されている場合に限ります。今の『Slay the Spire 2』は、プレイヤーを導くのではなく、ただ突き放している状態。この「突き放された感覚」が蓄積し、やがて「もういい、前作に戻ろう」という離脱を生んでいます。
丹精込めて育てたデッキがゴミのように捨てられる瞬間、プレイヤーの心もまた粉々に砕け散るのです。
それでも支持される理由
ここまで散々な言いようをしてきましたが、それでも本作の好評率は81%を維持しています。これほど多くの不満を抱えながらも、なぜ人々はこの呪われた塔を登り続けるのでしょうか? まん花も瞬きの回数よりドローした数の方が多い生活を続けている一人として、その「魔力」について触れずにはいられません。
圧倒的な「中毒性」と「一新された視覚体験」
まず、不満を漏らすプレイヤーたちのプレイ時間を見てください。30時間、80時間、果ては100時間オーバー。これほど不満を言いながら、彼らはなぜこれほどの時間をこのゲームに捧げているのか? それは、本作の根底にある「中毒性」が、依然として他の追随を許さないほど強烈だからです。
新キャラクターたちの挙動、より鮮明になった演出、そして「次はもっとうまくやれるはずだ」と思わせるローグライク特有のループ構造。理不尽な死を経験してもなお、「あと一回だけ……」とスタートボタンを押させてしまう魔力。それは、前作が築き上げた黄金の公式が、今作でもしっかりと脈打っている証拠でもあります。
「死」の先にある、わずかな「希望」
不評レビューの中にも「 combat just feels great(戦闘自体は素晴らしい)」という声が混じっているのが印象的です。敵の強さが理不尽だとしても、新しいカードのシナジーがカチッとはまった瞬間の「脳内麻薬」の分泌量は、前作を遥かに凌駕しています。
骸骨の新キャラクターで、自分だけの最強ビルドを自力で発見した時の喜び。それは、攻略サイトを眺めて正解をなぞるだけでは決して得られない、真のゲーマーとしてのカタルシスです。たとえ100回死んでも、その1回の「完璧な勝利」がすべてを帳消しにしてしまう。この「飴と鞭」の比率が、今は極端に「鞭」寄りなだけなのです。
磨けば光る「原石」としての評価
多くの低評価は「改善への期待」の裏返しでもあります。「バランスさえ良くなれば神ゲーなのに!」という叫びは、裏を返せばゲームの基礎部分がいかに優れているかを証明しています。
まん花も、この原稿を書き終えたらまた塔へ戻るつもりです。なぜなら、どれだけ理不尽な目に遭わされても、このゲーム以上に「自分の脳をフル回転させてカードを選ぶ楽しさ」を教えてくれる作品が他にないからです。不満があるのは、それだけこの作品を愛しているから。ファンは怒りながらも、この「歪な傑作」が真の神ゲーへと進化する日を、誰よりも心待ちにしているのです。
絶望の淵に立たされてもなお、一筋の光(完璧なドロー)を求めて塔を登り続ける。これこそが、全カードゲーマーの性なのです。
最終評価と購入ガイド
さて、どす恋まん花がお送りしてきた『Slay the Spire 2』の現状分析、いかがでしたでしょうか。
結論を言えば、本作は「現時点では、極めて人を選ぶ劇薬」です。前作のような「万人に愛される傑作」を期待して飛び込むと、その火力の高さに火傷どころか全身炭化することになるでしょう。しかし、理不尽を飲み込み、開発者との知恵比べを「苦行」ではなく「エンターテインメント」として楽しめる修羅であれば、これほど熱中できるゲームもありません。
今はまだ、荒削りな石の塊です。しかし、そこには確かにダイヤモンドの輝きが秘められています。今後のアップデートで、あの「平衡」がプレイヤーに歩み寄る形に調整されたとき、本作は真の意味で前作を超える伝説となるはずです。
最後に、今のあなたがこの塔に挑むべきかどうかの判断基準を置いておきます。
✅ 購入をお勧めする人
- 前作のアセンション20を安定してクリアできる、鋼の精神を持つ廃人ゲーマー。
- 「理不尽な死」を分析し、それを克服することに快感を覚えるドM気質な方。
- 早期アクセスという「ゲームが進化する過程」そのものを楽しみたい方。
❎ 購入を避けるべき人
- 前作の「適度な難易度」と「多様なビルドの自由度」を最も重視する方。
- 運要素によって努力が無に帰すことに、強いストレスを感じる方。
- 完成されたゲーム体験を求めており、バランス調整を待つ余裕がない方。
執筆:どす恋まん花
