皆様、ごきげんよう。どす恋まん花です。
宇宙。それは人類に残された最後のフロンティアであり、同時にロマンの塊でもあります。今回、まん花が筆を執るのは、巷で話題の宇宙探査シミュレーション『Solar Expanse – Space Exploration Manager』。
何を隠そう、どす恋まん花はこの作品を2000時間やり込んでいます。地球から月へ、そして火星のテラフォーミングに至るまで、私の指先は常に太陽系の座標と共にありました。しかし、このゲームには輝かしい「高評価92%」という数字の裏側に、鋭い棘のような「低評価」が突き刺さっています。
本日は、一人の廃人ゲーマーとして、そしてデータ重視のライターとして、本作がなぜこれほどまでにプレイヤーを悶絶させ、一部の人々から拒絶されているのか。その「不都合な真実」を徹底的に解剖していきましょう。
作品概要

『Solar Expanse』は、21世紀初頭の宇宙探査企業のCEOとして、太陽系の天体を開拓し、最終的には星々を居住可能にする壮大なスケールのシミュレーションゲームです。
このゲームの核となるシステムは、精密な宇宙航行計画と資源管理にあります。プレイヤーは、常に移動する惑星や月、小惑星の位置を考慮し、ロケットの飛行ルート、コスト、スケジュールを最適に立案します。重力効果を利用したスイングバイを駆使して効率的な輸送を実現するなど、物理法則に基づいた戦略的な判断が求められます。
ゲームは、望遠鏡や探査機を用いて太陽系をスキャンし、水や貴金属といった価値ある資源を持つ小惑星を発見することから始まります。これらを採掘し、地球や新設された植民地へ輸送することで利益を獲得し、企業を拡大していきます。得られた資金で新しい技術を研究し、宇宙開発の可能性を広げることが可能です。
企業が成長するにつれて、プレイヤーはさらに大規模なプロジェクトに着手します。小惑星や惑星上に燃料補給ステーション、打ち上げ施設、宇宙カタパルト、エレベーター、さらには恒久的な植民地を建設し、宇宙インフラを整備していきます。
最終目標は、数世紀にもわたる大事業となる「テラフォーミング」です。例えば、小惑星帯から水資源を火星に運び、居住可能な環境を創り出すといった壮大なタスクに挑みます。イオやタイタンなどの天体からも必要な資源を採掘し、人類の居住範囲を広げることができます。
太陽系での開拓が完了すれば、恒星間船を建造し、アルファ・ケンタウリやトラピストといった実在・生成された他の星系へと旅立つことも、将来的な目標として用意されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Solar Expanse – Space Exploration Manager |
| 発売日 | 2026年4月9日 |
| 開発元 | SpaceOps |
| 総レビュー数 | 250件 |
| 評価内訳 | 高評価: 229 / 低評価: 21 |
| 好評率 | 92% |
| 平均スコア | ★★★★★ (4.6) / 5.0 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | 太陽系を探索し、小惑星を採掘。植民地化とテラフォーミングを進め、宇宙開発競争を勝ち抜く。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作の低評価レビューを分析すると、非常に興味深いデータが浮かび上がってきます。不満のカテゴリーが「ストーリー/テンポ」「理不尽な難易度」「マップ/探索」「バグ/最適化」に見事に分散しているのです。しかし、その中でも特に根深いのが「ストーリーとゲームテンポ」に関する不満です。
序盤の甘い誘惑と、中盤の絶望的な突き放し
多くのプレイヤーが指摘するのは、チュートリアル終了直後に訪れる「何をすればいいのか分からない」という放り出された感覚です。序盤、月への着陸までは丁寧に手取り足取り教えてくれるのですが、火星ミッションが始まった途端、ゲームは急激に冷淡になります。
これまで優しかった教官が、突然「あとは自分で考えろ、物理学と経済学の学位は持っているな?」と言わんばかりの態度に急変する。この温度差に、多くの新米CEOたちが風邪を引いて返金ボタンへ走っているのが現状です。
期待と現実のミスマッチ
「宇宙開発」という言葉から、多くの人はロケットの打ち上げシーンや、未知の惑星への着陸といったダイナミックな演出を期待します。しかし、本作の本質は「宇宙版Excel」です。数値と格闘し、リソースの最適解を導き出す作業が9割を占めます。
この「地味さ」に対する不満は、特にプレイ時間が短いプレイヤーに顕著です。彼らは宇宙のロマンを求めて購入し、届いたのが「膨大な帳簿」であったことに憤りを感じているのです。
(プレイ時間: 13時間) Oh boy, I really don’t know if I like this game in its state right now enough to give it a positive review. I really want to like it, it seems to be a really good economy simulation. But why is everything so unneccessary complicated? (…) At least if you don’t want to bring humans into orbit and let them wait for over a year until the launch window to Mars opens.
(やれやれ、今の状態でこのゲームに高評価をつけられるか正直わからない。本当に好きになりたいんだ、これは本当に優れた経済シミュレーションに見えるからね。でも、なぜ何もかもがこんなに不必要に複雑なんだ?(中略)火星への打ち上げウィンドウが開くまで、人間を軌道上で1年以上待たせたくないならね。)
このレビュアーが嘆くように、リアルを追求しすぎた結果、ゲームとしての「楽しさ」が「待ち時間」と「複雑な計算」に埋没してしまっているのです。
ロマンを求めて飛び込んだ先は、空気のない宇宙ではなく、出口のない事務作業の迷宮だった。
不満の元凶「Mission」の分析

頻出単語データを見ると、圧倒的な1位は「Mission」という単語です。これは一見、宇宙ゲームとして当然の結果に見えますが、その文脈を読み解くと、プレイヤーが抱える「ミッション構築における操作的苦痛」が透けて見えます。
クリック地獄の洗礼
本作において、一つのミッション(打ち上げ)を完遂するためには、船体を建造し、ランチャーを用意し、モジュールを載せ、物資を積み込み、ウィンドウを設定するというプロセスが必要です。指紋が磨り減って消失するほどのクリックを繰り返してきた私から言わせれば、このUI設計はもはや「修行」の域に達しています。
中盤以降、50基の発電所を建設しようと思えば、50回同じ手順を繰り返さなければなりません。一括操作や自動化の仕組みが極端に不足しているため、プレイヤーの熱意は次第に「単純作業の摩耗」へと変わっていきます。
「What」「Why」が飛び交う困惑の現場
頻出単語の2位以下に「What」「Why」「When」が並んでいる点にも注目してください。これは、ゲーム側からのフィードバックが圧倒的に不足していることの証左です。
「なぜこのミッションは送れないのか?」「何が足りないのか?」「いつになれば完了するのか?」
これらの問いに対する答えが、不親切なUIの奥底に隠されているため、プレイヤーは常に暗闇の中で手探りを強いられます。
(プレイ時間: 9時間) People had been raising the issue of insane amount of clicks you have to do to perform basic tasks for almost a year. I cannot recommend this game if you’re not ready to basically click every second of this game…
(基本的なタスクをこなすために必要な、正気の沙汰とは思えないクリック数の問題については、1年近く前から指摘され続けている。このゲーム中、基本的に1秒ごとにクリックし続ける覚悟がない限り、お勧めすることはできないね。)
このレビューが指摘するように、QoL(生活の質ならぬ、ゲーム体験の質)の低さが、せっかくの重厚なシミュレーション体験を阻害している事実は否定できません。
宇宙を支配する前に、プレイヤーは自分の指の関節炎と戦わなければならない。
ユーザーが直面する現実

さて、ここからは実際にプレイヤーがどのような「理不尽」や「虚無」に直面するのか、より解像度を上げて描写していきましょう。
親の顔より見慣れた漆黒の画面を眺めながら、あなたは火星への補給物資を積み込んでいます。食料、水、そして貴重な電子部品。すべてが完璧なはずでした。しかし、ミッションを開始しようとすると、ボタンが反応しません。なぜか? 画面には何も表示されません。
数分間、メニューの迷宮を彷徨った末、あなたは気づきます。数段階前のメニューで、ほんの小さな部品の製造キューが、リソース不足で止まっていたことに。ゲームはその事実を教えてはくれません。ただ、あなたのミッションを無言で拒否し続けるのです。
AI生成画像という「魂の欠如」への批判
また、無視できないのが「AI生成画像」の使用に対する強い拒絶反応です。低評価レビューの中には、ゲーム内容以前に、アートワークにAIが使われていること自体を理由に「不当」とする声が散見されます。
(プレイ時間: 0時間) AI Art :c
(AIアートなんて悲しいよ)
宇宙という、人類の英知と情熱の結晶をテーマにしているからこそ、プレイヤーはそこに「人間の手による熱量」を求めてしまう。人生の半分を無重力空間に捧げた私であっても、冷機的なAI画像が散見されるUIには、どこか寂しさを感じざるを得ません。
技術的な未完成さと最適化の壁
さらに、マルチモニター環境での解像度崩壊や、突如として30年前のPCのような640×480ピクセルに強制変更されるバグなど、早期アクセス特有の荒削りな部分が、プレイヤーの没入感を無慈悲に引き裂きます。
宇宙の暗闇を表現するために、UI全体がグレーと黒で構成されているのですが、これが視認性を極限まで下げており、数時間のプレイで眼精疲労がピークに達します。暗い宇宙で、暗いメニューを操作し、暗い気分で数字を打ち込む。これはもはや、宇宙開発のシミュレーターではなく、宇宙での「孤独な事務職」のシミュレーターなのです。
(プレイ時間: 6時間) I want to love this game, but the UI is giving me serious issues. (…) Since sending missions is literally 100% of the gameplay this gets frustrating very quickly.
(このゲームを愛したいと思っているけれど、UIに深刻な問題を抱えている。(中略)ミッションを送り出すことが文字通りゲームプレイの100%を占めている以上、これはすぐにフラストレーションに変わってしまうんだ。)
完璧な軌道計算を終えた報酬が「解像度の崩壊」と「眼精疲労」であってはならない。
それでも支持される理由

ここまでボロクソに書いてきましたが、それでも本作の好評率は90%を超えています。この矛盾、一体どういうことでしょうか? それは、本作が持つ「代わりの利かない中毒性」にあります。
硬派すぎるがゆえの悦び
本作は、あの名作『Kerbal Space Program』と比較されることが多いですが、中身は別物です。あちらが「ロケットを飛ばす楽しさ」なら、こちらは「宇宙をシステムとして管理する悦び」に特化しています。
心臓の鼓動が軌道計算の秒読みと同期するほどにのめり込めば、煩雑な操作の先にある「宇宙が自分の思い通りに動く快感」に気づくはずです。数十年かけて火星の気温を1度上げ、海が生まれる予兆を感じたとき、これまでのクリック地獄はすべて「必要な犠牲」であったと肯定したくなる——そんな魔力が、このゲームには宿っています。
圧倒的なリアリズムへの渇望
「サンドイッチ一つ作るのになぜこんなに苦労するのか」という不満さえ、超ハードコア層にとっては「宇宙開発の難しさを正しく表現している」と受け取られます。
宇宙では、ネジ一本、水一滴が命取りになる。その「息苦しさ」をゲームシステムとして体験できる作品は、他に類を見ません。不親切さは、宇宙という環境の「不毛さ」そのものであり、それを克服することこそが真の「マネージャー」の仕事なのだと。
開発元のSpaceOpsは、批判に対しても非常に真摯であり、バグの修正やQoLの改善に驚くべきスピードで取り組んでいます。この「共にゲームを創り上げている感」が、熱狂的な支持層を生んでいるのです。
このゲームは「娯楽」ではない。人類の限界に挑む「シミュレーション」そのものだ。
最終評価と購入ガイド
『Solar Expanse – Space Exploration Manager』は、決して万人に勧められる「楽しいゲーム」ではありません。むしろ、人を選ぶ「劇薬」です。
UIの不備、クリックの洪水、突き放すような難易度。これらはすべて事実であり、低評価をつけたプレイヤーたちの怒りは正当なものです。しかし、それらの障害を乗り越えた先にしかない、太陽系を掌の上で転がすような「神の視点」の快楽もまた、紛れもない真実なのです。
どす恋まん花としては、このゲームを「宇宙への片道切符」だと思っています。帰還の保証はありませんし、機内サービスも最悪。ですが、窓から見える景色だけは、何物にも代えがたい。
購入を迷っているあなたへ。以下のチェックリストを確認してください。
✅ 購入をお勧めする人
- 数字の羅列やグラフを見てニヤニヤできる、自他共に認める「数字フェチ」な人
- 数時間単位の「待ち時間」や「準備」を、計画の一部として楽しめる忍耐強い人
- 物理法則に基づいた、極めて硬派でストイックな宇宙開発を体験したい人
❎ 購入を避けるべき人
- 派手な爆発、ロケットの操縦、宇宙人との戦闘など「アクション性」を求める人
- 洗練された直感的なUIと、丁寧なチュートリアルによる快適なプレイを重視する人
- AI生成画像の使用に対して、強い倫理的・美学的な拒絶感を持っている人
宇宙は広いですが、私たちの時間は有限です。この事務作業の山を「ロマン」と呼べるかどうか、それはあなた次第なのです。
執筆:どす恋まん花
