スルタンのゲーム 忖度なしレビュー:低評価が叫ぶ「快楽と苦行」の正体とは?

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皆さん、ごきげんよう。ゲームライターのどす恋まん花です。

本日取り上げるのは、Steamで圧倒的な支持を得つつも、その裏で阿鼻叫喚のレビューが渦巻く怪作『スルタンのゲーム』です。アラビアンナイトの幻想的な夜に酔いしれるつもりで足を踏み入れたプレイヤーたちが、なぜ泥沼のような絶望に叩き落されているのか。

実は、まん花はこの作品を2000時間やり込んでいます。もはやスルタンに仕える身というより、ゲーム画面そのものが私の生活圏と言っても過言ではありません。そんな「廃人」の視点から、巷に溢れる低評価の「熱量」を分析し、このゲームが孕む真の毒と蜜を解剖していきたいと思います。

目次

作品概要

スルタンのゲーム イメージ

『スルタンのゲーム』は、『千夜一夜物語』風の世界で暴君に仕える、カード要素を取り入れたターン制リソース管理シミュレーションです。プレイヤーは7日ごとに引かされる「殺戮」や「色欲」といった狂気的な任務を、斬首を免れるために完遂しなければなりません。

ゲームはカード化した資源や仲間を駆使して進め、権力争いや背徳的な人間模様の中で自身の限界を試されます。極端な行動は憎しみを招くため、慎重な選択が求められます。周回により資源を強化し、スルタンへの忠誠や反逆、あるいは世界の破壊など、プレイヤーの決断次第で多様な結末が展開される、極限のサバイバルストーリーです。

項目 内容
ゲームタイトル スルタンのゲーム
発売日 2025年3月30日
開発元 Double Cross
価格 ¥ 2,240
総レビュー数 31,197件
評価内訳 高評価: 29,688 / 低評価: 1,509
好評率 95%
平均スコア ★★★★★ (4.8) / 5.0
メタスコア 83 / 100
日本語対応 ✅ 対応
概要 スルタンは邪悪な魔法使いに惑わされ、あなたに残酷なゲームを命じました。毎週、あなたは4種類のカードから1枚を引かなければなりません。色欲のカードは情事を求め、散財のカードは金銭を浪費させ、征服のカードは危険な冒険を強制し、殺戮のカードは命を捧げることを要求します……

データが示す不満の傾向

スルタンのゲーム 不満内訳

※集計サンプル数: 71件

「ストーリー/テンポ」が不満の約4割を占める理由

さて、提供された不満カテゴリの内訳データを見てみましょう。最も多いのが「ストーリー/テンポ」の24件。全体の約4割近くがここに集中しています。これは、ナラティブ(物語体験)を重視する本作において、致命的な「ズレ」が生じていることを示唆しています。

『スルタンのゲーム』は、その名の通り「物語を紡ぐこと」がゲームの根幹です。しかし、プレイヤーが期待していたのは「流麗なアラビアンナイトの物語」であり、実際に提供されたのは「支離滅裂な機械翻訳と、終わりの見えないルーチンワーク」だった……という悲劇が、低評価の背景には横たわっています。特に翻訳の質に関しては、多くのプレイヤーが「没入感を削ぐ」と嘆いています。

重複するテキストと「虚無のループ」

不満の矛先は、物語の内容そのものよりも、その見せ方に向けられています。このゲーム、一度仕組みを理解してしまえば、やることは「最適なカードを最適なスロットに嵌める」だけの作業になりがちです。

特に中盤以降、イベントが枯渇し始めると、プレイヤーは毎日毎日、同じテキストを読まされることになります。後述する頻出単語データにも表れていますが、「キッチンを漁り、スルタンのカードを愛でる」という描写が、まるで壊れたレコードのように繰り返されるのです。これは、もはやナラティブではなく、精神修養に近い苦行と言えるでしょう。

(プレイ時間: 42時間) I simply can’t recommend Sultan’s game in its current state. … For a gameplay that is 20% choices, 80% narration and reading about the consequences of your actions, Sultan’s Game starts with a somewhat acceptable quality, but shortly later descends into complete gibberish. … The english translation of Sultan’s game botched so hard that I lost the desire to continue playing. … Another problem is how repetitive the text for daily occurrences can be thanks to the lack of iterations.

(日本語訳:現状では『スルタンのゲーム』をお勧めできません。……選択が20%、ナラティブと結果の読み込みが80%というゲーム性において、最初は許容できる質でしたが、すぐに支離滅裂な内容へと転落します。……英語翻訳があまりにひどく、プレイを続ける気力が失せました。……もう一つの問題は、バリエーションの欠如により、日常的な出来事のテキストがどれほど繰り返されるかという点です。)

物語の豊かさを謳いながら、実際には「翻訳の壁」と「繰り返しの苦痛」がプレイヤーの心を折っている

贅沢なはずの「千夜一夜」が、いつの間にか「千回同じ夜」に成り果てている

不満の元凶「Card」の分析

スルタンのゲーム 頻出単語

※集計サンプル数: 71件

頻出単語トップ「Card」が象徴するUIの地獄

次に、頻出単語TOP7のデータを見てみましょう。圧倒的1位は「Card(72回)」。カードゲームなのだから当然だろうと思うかもしれませんが、その後に続く「Through」「There」「Caressing」「Rummaging」「Kitchen」といった単語の並びを見ると、不穏な空気が漂ってきます。

これ、実は「特定の行動を繰り返す際に表示されるテキスト」の一部なんです。「Caressing(愛でる)」「Rummaging(漁る)」「Kitchen(台所)」……。これらが頻出するということは、プレイヤーがゲームの大部分を、これらの単語が含まれる固定テキストのスキップ、あるいはカードのドラッグ&ドロップに費やしていることを証明しています。

インベントリ管理という名の「ゴミ拾い」

まん花も、もはや自分の指紋がなくなるほどマウスを滑らせてカードを整理してきましたが、このゲームのUIは控えめに言って「美しく着飾った迷宮」です。

手元には50枚以上のカードが溢れ、キャラクターカード、アイテムカード、クエストカード、そして「いつ使うのか分からない謎のカード」が入り乱れます。それらを一つずつクリックしてステータスを確認し、適切なスロットに運ぶ。この工程が、ゲーム後半になると膨大な時間を奪うことになります。「ニッケルを貯めてドルに替えるような作業」と揶揄される通り、戦略性よりも「管理の煩雑さ」が勝ってしまう瞬間があるのです。

(プレイ時間: 10時間) Speaking of cards, let’s talk about inventory management. You get a lot of cards in this game … Dozens and dozens pile in as you engage in the core game play loop … By mid-game, you’ll probably be getting 4-5 of these cards each round. And when you get them, they land in your main hand., where you get to play the actual Sultan’s Game, which is taking your trash cards out of your main hand and placing them in the careful system you’re trying desperately to maintain.

(日本語訳:カードといえば、インベントリ管理の話をしましょう。このゲームでは大量のカードが手に入ります。……コアとなるゲームループを進めるうちに、何十枚ものカードが積み上がっていきます。……中盤までには、毎ラウンド4~5枚のカードが手に入るでしょう。それらはメインの手札に入ります。そこでプレイヤーは、本来の『スルタンのゲーム』をプレイすることになるのです。つまり、手札からゴミカードを取り出し、必死に維持しようとしている管理システムへと配置していく作業のことです。)

「カードを引く喜び」が、中盤以降は「整理整頓の義務」へと変質してしまう構造

戦略のカードバトルではなく、終わりのない「部屋の片付け」を強いられている


ユーザーが直面する現実

理不尽な死と、不親切な「お告げ」

本作をプレイするということは、人生の半分を捧げた私であっても、時にコントローラーを窓から投げ捨てたくなるほどの理不尽に耐えることを意味します。

特に初心者を突き放すのが、「チュートリアルの不在」と「情報の不透明さ」です。例えば、スルタンの部屋にカードを配置できるスロット。ここには「狂気(Madness)」という警告文が出ていますが、具体的に何が起こるのかは書かれていません。何も知らないプレイヤーが「征服」のカードをそこに置けば、次の瞬間には処刑エンドです。

「失敗から学べ」というローグライク的な思想は理解できますが、本作の場合、一回のプレイ時間が非常に長いため、その「学び」の代償が重すぎるのです。数時間をかけたプレイが、翻訳ミスか説明不足か分からない「不透明な選択肢」一つで水の泡になる……。この徒労感が低評価の大きな要因となっています。

「道徳の欠如」という名のエンターテインメント

また、一部のレビューで強く批判されているのが、その過激で倫理的に問題のあるコンテンツです。
「色欲」のカードがもたらす展開は、単なるアダルト要素の枠を超え、暴力や非道な行為をプレイヤーに強いることがあります。これらは「混沌とした邪悪な世界観」を演出するためのギミックですが、人によっては生理的な嫌悪感を抱くレベルに達しています。

特に、それらの行為が「戦略的に効率が良い」からという理由で推奨されるゲームデザインは、プレイヤーの倫理観を激しく揺さぶります。これを「ダークファンタジーの極致」と楽しむか、「悪趣味な拷問ポルノ」と切り捨てるか。ここで評価が真っ二つに分かれるのです。

(プレイ時間: 1時間) The gameplay goes as follows: You’re given a number of character and item pieces that fit into slots in the games board … My first game I drew a conquest card and the game kept urging me to use it immediately or I would die. The only place I could slot the card was the Sultan’s chamber, which causes you to die.

(日本語訳:ゲームプレイは次のように進みます。ゲームボードのスロットに適合するキャラクターやアイテムのピースが与えられます。……最初のプレイで「征服」のカードを引いた際、ゲームはすぐにそれを使わなければ死ぬと促し続けました。私がそのカードを配置できた唯一の場所はスルタンの寝所でしたが、そこに配置すると即座に死にました。)

「何が正解か分からない」状態での即死が、探索の楽しみを奪っている

スルタンの機嫌を伺う前に、開発者の「意図」という名の迷宮で遭難する

それでも支持される理由

95%の好評率を支える「抗いがたい中毒性」

ここまで散々に低評価の理由を分析してきましたが、客観的な事実として、本作の好評率は95%という驚異的な数値を叩き出しています。画面を親の顔より長く眺めてきた私には、その理由も痛いほど分かります。

不満点として挙げられた「複雑すぎるUI」や「理不尽な難易度」は、裏を返せば「圧倒的な密度」と「達成感」に繋がっているのです。50人以上のキャラクター、それぞれに用意された膨大なサイドストーリー、そしてプレイヤーの数だけ存在する分岐。これらをすべて解き明かそうとすると、時間はいくらあっても足りません。

「死に戻り」が快感に変わる瞬間

本作の真髄は、一度クリアした後にあります。アンロックされる新要素、引き継がれるリソース、そして「次はもっと上手く立ち回れる」という確信。これは、かつての『鬼畜王ランス』や『Cultist Simulator』といった名作たちが持っていた、「絶望を攻略する喜び」そのものです。

不自然な翻訳であっても、その奥にある「狂気に満ちた世界観」に一度魅了されてしまえば、もう抜け出すことはできません。プレイヤーはスルタンの奴隷ではなく、このゲームそのものの奴隷へと変貌していくのです。

理不尽な死すらも、壮大な物語の一片として受け入れさせる圧倒的な世界観の力

「地獄」だと分かっていても、もう一晩だけスルタンに仕えたくなる魔力


最終評価と購入ガイド

『スルタンのゲーム』は、決して万人向けではありません。むしろ、人を選ぶ要素のバーゲンセールです。
しかし、電子の海で魂を削り、マウスを握る手が震えるほど没入できるゲームを探しているなら、これ以上の選択肢はないかもしれません。

不満レビューの多くは「期待の裏返し」です。これほど独創的で、これほどダークで、これほどプレイヤーの感情を揺さぶるゲームは、そうそうお目にかかれるものではありません。翻訳の不備やUIの煩雑さを「スルタンが用意した試練」として笑って受け流せる心の広さ(あるいは変態性)があるかどうかが、あなたの運命を分けるでしょう。

どす恋まん花としては、この「美しき毒薬」を、まずは覚悟を決めて飲み干してみることをお勧めします。

✅ 購入をお勧めする人

  • ダークで退廃的な世界観、倫理観が崩壊した物語を楽しめる人
  • リソース管理の煩雑さや、高難易度の試行錯誤に快感を覚える「ドM」なゲーマー

❎ 購入を避けるべき人

  • 洗練された快適なUIと、完璧にローカライズされた物語を求める人
  • 性暴力や残酷な描写に対して強い抵抗感があり、エンタメとして割り切れない人

執筆:どす恋まん花

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