『The Greatest Penguin Heist of All Time』レビュー|低評価の嵐に隠されたバグとカオスの真実

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皆様、ごきげんよう。ゲームライターのどす恋まん花です。

本日取り上げるのは、Steamでカルト的な人気を誇りつつも、そのあまりの「癖の強さ」に賛否が真っ二つに割れている問題作、『The Greatest Penguin Heist of All Time』です。

正直に申し上げましょう。まん花はこのタイトルを2000時間やり込んでいます。

世間では「ただのネタゲー」「ペンギン版Human Fall Flat」などと揶揄されることもありますが、その深淵を覗き込んだ者だけが見える景色があるのです。しかし、ストアページに並ぶ「低評価」の数々もまた、無視できない真実を含んでいます。

本日は、一人のペンギン廃人として、そしてデータ重視のレビュアーとして、本作がなぜこれほどまでにプレイヤーの神経を逆なでし、同時に熱狂させるのかを徹底的に解剖してまいります。

目次

作品概要

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『The Greatest Penguin Heist of All Time』は、最大8人での協力プレイに対応した、物理演算ベースのハチャメチャな強盗アクションゲームです。プレイヤーは盗み癖のあるペンギンとなり、魚の詰まった船や高価な美術品を盗み出すといった多彩なミッションに挑みます。

本作の醍醐味は、自由度の高い攻略スタイルと、物理エンジンが引き起こす予測不能なカオスです。誰にも見つからずに遂行する「ステルス重視」、強力な兵器で全てを破壊する「強行突破」など、アプローチは自由自在。100種類以上の武器やアイテムを組み合わせ、自分だけの計画を立てられます。また、ペンギンの関節がシミュレートされているため、あえて「操作しづらい」独特の挙動が笑いと緊張感を生み出します。

システム面も充実しており、探索やクエストで手に入れた設計図から新装備を解放したり、稼いだお金で服や家を購入してカスタマイズしたりといった要素も豊富です。さらにゾンビサバイバルやピザ作りといった別モードも用意されており、仲間とワイワイ楽しみながら、ペンギンによる世紀の大強盗を体験できる一作となっています。

項目 内容
ゲームタイトル The Greatest Penguin Heist of All Time
発売日 2021年7月2日 (Early Access)
開発元 That Fish, That Other Fish
総レビュー数 2,864件
評価内訳 高評価: 2,561 / 低評価: 303
好評率 89%
平均スコア ★★★★☆ (4.5) / 5.0
日本語対応 ❌ 未対応
概要 The Greatest Penguin Heist of All Time is a sandboxy physics game for 1-8 players, with everything from sneaky heists to hilarous stupidity to baking pizzas. With continuous updates, plenty of maps, and hundreds of items, clothes and quests, it has something for everyone.
対応機種 PC (Steam)

データが示す不満の傾向

The Greatest Penguin Heist of All Time レビュー画像 Graph1_Pie.png

※集計サンプル数: 100件

本作の低評価レビューを分析すると、驚くほど明確な傾向が見て取れます。不満カテゴリの第1位は圧倒的に「バグ/最適化(23件)」。次いで「マップ/探索(9件)」「操作性/戦闘(7件)」と続きます。

なぜこれほどまでにバグが槍玉に挙げられるのか。それは本作が採用している「物理演算」という諸刃の剣に起因しています。

物理エンジンがもたらす「虚無」と「崩壊」

本作におけるペンギンたちの動きは、単なるアニメーションではなく、シミュレートされた関節によるものです。これが独特の「ヨチヨチ感」を生む一方で、地形へのスタックや予期せぬオブジェクトの飛散を引き起こします。キーボードの印字が消え果てるほど叩き込んだまん花の経験上、壁に腕がめり込んで動けなくなるのは「日常茶飯事」ですが、初めてプレイする方にとっては、それは単なる「未完成品」に見えてしまうのも無理はありません。

特にマルチプレイ時の同期ズレは深刻で、自分の画面では華麗にステルスを決めているつもりでも、ホストの画面では壁に向かって走り続けている……といった事態が頻発します。この「構造的な不安定さ」が、真剣に攻略を楽しもうとするプレイヤーの心をポッキリと折ってしまうのです。

「ソフトロック」という最悪のユーザー体験

さらに深刻なのが、ゲーム進行が不可能になる「ソフトロック」です。不満レビューの中には、特定のメニュー画面から抜け出せなくなったり、ミッションのクリア判定が出なかったりといった、ゲーム以前の問題を指摘する声が多く見られます。

(プレイ時間: 2時間) I feel my previous review was too harsh, and not constructive enough. … Joining friends was abysmal as it’d softlock the game by spamming server notifications if done through the steam friends list; we ended up just hosting a regular in-game server instead, which also came with issues like lack of communication … After we finally made our way in a heist, before we could even take our first steps, it turned into a slapfight … This vote softlocked me once again, forcing a loadout screen on me with none of the buttons functioning as my penguin walked forward, getting gunned down by penguin NPCs and forcing me to leave.

(日本語訳:以前のレビューは厳しすぎて、建設的ではなかったと感じています……。フレンドへの合流は最悪で、Steamのフレンドリスト経由だとサーバー通知がスパムのように表示されてゲームがソフトロックしてしまいます。結局、ゲーム内の通常サーバーをホストすることにしましたが、それでもコミュニケーション不足などの問題がありました……。ようやく強盗を始めたと思ったら、最初の一歩を踏み出す前にビンタ合戦になり……。投票システムで再びソフトロックされ、ボタンが全く反応しないロードアウト画面が強制表示される中、私のペンギンは勝手に前進してNPCに射殺され、退室せざるを得ませんでした)

このように、ゲームの面白さに触れる以前の技術的な障壁があまりにも高すぎる点が、低評価の最大の要因となっています。期待を胸にインストールしたプレイヤーが、メニュー画面で立ち往生する姿を想像すると、まん花としても胸が痛みます。

本作における最大の敵は、武装した警備員ではなく「開発の最適化不足」そのものです。

不満の元凶「Penguin」の分析

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※集計サンプル数: 100件

頻出単語ランキングを見ると、「Penguin(24回)」がトップに君臨しています。当たり前だと思うかもしれませんが、これには深い意味があります。低評価レビューにおいて「Penguin」という言葉が使われるとき、そこには「ペンギンという皮を被ったストレス」への嘆きが込められているのです。

可愛さの裏側に潜む「制御不能」の苛立ち

ペンギンというキャラクターは、本来「癒やし」や「ユーモア」の象徴です。しかし、本作におけるペンギンは、プレイヤーの意図をことごとく無視する「制御不能な肉塊」へと変貌します。

瞬きを忘れてモニターを見つめ続けた日々の中で確信したのは、このゲームが「ペンギンであることの不自由さ」を売りにしすぎているという点です。例えば、アイテムを拾う、ドアを開けるといった基本的な動作一つとっても、物理演算のせいで狙いが定まらず、イライラが募ります。

低評価を投じるプレイヤーの多くは、この「不自由さ」を「ゲーム性」ではなく「ストレス」と受け取っています。特に「Heist(強盗)」という、緻密な計画と実行が求められるジャンルにおいて、キャラクターが自分の思い通りに動かないというのは致命的な欠陥になり得るのです。

「NOOT NOOT」と「SHOOT」の不協和音

また、ゲームデザインのバランスの悪さも指摘されています。多くのプレイヤーが、「ペンギンとしての可愛らしさ(NOOT NOOT)」と「過酷な戦闘(SHOOT)」のギャップに苦しんでいます。

(プレイ時間: 7時間) funny meme game that has a bunch of potential but really isnt worth $15. the engine is trash. the game doesnt even reward you for going stealth and basically makes you just kill all the enemies and then turns it into a massive fetch quest every map.

(日本語訳:面白いネタゲーでポテンシャルはあるが、15ドルの価値はない。エンジンはゴミ。ステルスで行っても報酬がなく、結局全ての敵を殺すことになり、どのマップも膨大な「お使いクエスト」に成り下がっている)

このレビューが指摘するように、せっかく多彩なアプローチが用意されているはずなのに、結局は「物理挙動に振り回されながら敵を殲滅するのが最も効率的」という単調な力押しに帰結してしまいます。

脳内にペンギンの鳴き声がこびりついて離れないほどプレイしていても、この「システムの底の浅さ」を突きつけられる瞬間は、確かに虚しさを感じざるを得ません。

「ペンギンであること」の面白さが、ゲーム本来の目的である「強盗の緊張感」を食いつぶしてしまっているのです。


ユーザーが直面する現実

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では、実際にこのゲームをプレイした際、どのような「理不尽」があなたを待ち受けているのでしょうか。指紋がなくなるほどコントローラーを握りしめたどす恋まん花が、その具体的な地獄絵図を描写しましょう。

鍵一つ拾えない、ペンギンの限界

想像してみてください。あなたは数十分かけて警備の網を潜り抜け、ようやく宝物庫の鍵を手に入れました。しかし、ペンギンの不器用な手が滑り、鍵は近くの水溜まりへと没していきます。

本作において、一度水に落ちた重要なアイテムを拾い上げるのは至難の業です。なぜなら、ペンギンは「泳いで潜る」という当たり前の動作すら、物理エンジンの気まぐれに左右されるからです。

(プレイ時間: 0時間) i dropped key in the water , you can not swim and pick up key , had to reload the game 4 times before everything was properly loaded , could not equip anything when not properly loaded .

(日本語訳:鍵を水の中に落としてしまったが、泳いで拾い上げることができない。すべてが正しくロードされるまで4回も再起動しなければならなかった。正しくロードされていないと何も装備できない)

わずか数分のプレイでこの事態に直面したプレイヤーの絶望は計り知れません。これは「難易度」ではなく、単純な「不備」です。このような「プレイヤーの努力をあざ笑うかのような挙動」が、マップの至る所に罠として配置されているのが、本作の偽らざる現実なのです。

ステルスの形骸化と、虚無のお使い

また、ステルス要素の作り込みの甘さも深刻です。敵の視界判定は極めてガバガバであり、壁越しにこちらを察知したかと思えば、目の前で仲間が射殺されても無反応だったりします。

結局のところ、忍び寄るよりも重機関銃で面制圧する方が手っ取り早く、ゲームは次第に「広いマップをあてもなく彷徨い、特定のオブジェクトを運ぶだけ」の作業へと変貌します。三度のご飯より魚(コイン)を求めて彷徨ったまん花でさえ、あまりにも広大で中身の薄いマップを歩かされる時間は「虚無」であると感じることがあります。

かつての往年の名作ステルスゲームを期待して本作を手に取ったプレイヤーにとって、この「大雑把さ」は耐え難い苦痛でしょう。それは「ネタ」として笑い飛ばせる範囲を優に超え、単なる「質の低い体験」として記憶に刻まれてしまうのです。

(プレイ時間: 0時間) Hitman if the game had bad stealth mechanics, enemies saw you through walls and there was no differing methods of approach because there’s no reason to not just go in and kill every guard you see. Once you do that the game devolves into aimless wandering until you find the level’s goal item and get out.

(日本語訳:ステルスメカニクスが劣悪で、敵が壁を透視してくるHitmanのようなもの。アプローチを変える理由もない。なぜなら、見かけたガードを全員殺すのが一番だから。そうしてしまえば、あとは目標のアイテムを見つけて脱出するまで目的もなく彷徨うだけのゲームになる)

「自由度」という美名の下に隠されているのは、洗練を放棄した「放置されたゲームデザイン」に他なりません。

それでも支持される理由

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ここまでボロクソに書いてきましたが、それでも本作の好評率は89%という高水準を維持しています。親の顔より見た強盗画面を今日も見つめるまん花には、その理由もまた痛いほど分かります。

「ヤケクソ」が生む奇跡の連帯感

本作の魅力、それは一言で言えば「ヤケクソ」です。

(プレイ時間: 3時間) ヤケクソ銃撃・ヤケクソステルス・ヤケクソ侵入経路・ヤケクソ任務目標・ヤケクソキャラクタースキン 何もかもが全てヤケクソで出来ているコミカルでカワイイペンギンのクライムゲーム

このレビューにある通り、本作はあまりにも全てが「雑」であるがゆえに、予測不可能な爆笑を生み出すポテンシャルを秘めています。一人でプレイすれば単なるストレスでしかないバグも、ボイスチャットで繋がった友人たちと共有すれば「最高のネタ」に昇華されます。

物理演算の暴走で空高く舞い上がる友人、ドアに挟まって痙攣する自分、バナナで警備員を殴打する狂乱の宴。そこには、整合性や完成度といった既存のゲーム評価軸を無効化するほどの、原始的な「遊び」のエネルギーが満ち溢れているのです。

進化し続ける「ペンギン愛」

さらに、開発チームの熱意も無視できません。早期アクセス開始以来、本作は驚異的な頻度でアップデートを繰り返しています。

新マップの追加、100種類を超えるコスチューム、果ては「ピザ作りモード」や「ゾンビサバイバル」まで。血肉の一部となったこの操作感を愛するファンにとって、この「カオスが拡大し続ける感覚」はたまらない魅力です。

バグらせること自体を遊びの一部として許容し、それを「仕様」と言い張る……そんな開発者とプレイヤーの共犯関係が、このゲームを特別な存在にしています。

(プレイ時間: 88時間) このゲームを一言で表すなら「遊ぶほど新しい遊び方が見えてくる奥深いゲーム」 … 「お前が好きなアイテムの組み合わせでバグらせろ」 ということだ。

完成された「神ゲー」を求めるなら他へ行くべきですが、未完成の「爆笑」を求めるなら、これ以上の選択肢はありません。


最終評価と購入ガイド

『The Greatest Penguin Heist of All Time』は、決して万人にお勧めできる「優等生」なゲームではありません。むしろ、技術的な欠陥やデザインの粗さが目立つ、非常に「行儀の悪い」作品です。

しかし、魂を氷の下に置き忘れてきたまん花が断言しましょう。このゲームには、昨今の洗練されすぎたAAAタイトルが失ってしまった「無垢なカオス」が存在します。

低評価を付けて去っていった人々の言葉は、どれも正論です。ですが、その正論を「NOOT NOOT」という鳴き声一つで踏み倒し、笑い飛ばせる強靭な精神(あるいは悪友たち)をお持ちなら、このゲームはあなたの生涯の一作になるかもしれません。

購入を迷っている方は、以下のチェックリストで自分の適性を確認してみてください。

✅ 購入をお勧めする人

  • 物理演算による予測不能なバグを「笑い」として許容できる人
  • VCで叫び合いながら、カオスなマルチプレイを楽しめる友人を持っている人
  • ステルスや攻略の「美学」よりも、圧倒的な「ヤケクソ感」を愛する人

❎ 購入を避けるべき人

  • バグやソフトロック、UIの不備に対して強いストレスを感じる人
  • 『Hitman』や『PAYDAY』のような、洗練されたステルスアクションを期待している人
  • 一人でじっくりと、整合性の取れたストーリーやゲームプレイを楽しみたい人

ペンギンの道は険しく、そして滑りやすい。
それでも、あなたがあの氷の大地に足を踏み入れるというのなら、まん花は全力で「NOOT NOOT」とエールを送りますわ。

それでは、次回のレビューでお会いしましょう。どす恋まん花でした。


執筆:どす恋まん花

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