皆さま、ご機嫌よう。どす恋まん花です。
本日お届けするのは、あの伝説的タイトル『The Settlers』の生みの親が手掛けたことで話題沸騰中の街づくりシミュレーション、『Pioneers of Pagonia(パイオニア・オブ・パゴニア)』の徹底分析です。
実を申しますと、まん花はこの作品に2000時間という、もはや人生の貴重な一部を丸ごと溶かしてしまいました。霧の中から現れる村人たちを眺め続け、気づけば季節が一つ二つ通り過ぎていた……なんてことも珍しくありません。それほどまでに中毒性がある一方で、Steamのレビュー欄を見渡せば「低評価」の嵐が吹き荒れているのもまた事実。
「神ゲーなのか、それとも時間の無駄なのか?」
その答えを求めて彷徨う迷える開拓者たちのために、一人の狂的なゲーマーとして、そしてデータ重視のライターとして、本作の「光と影」を容赦なく暴いていこうと思います。どす恋まん花と一緒に、パゴニアの霧を晴らしに参りましょう。
作品概要

本作は、霧に分断された島々を舞台に、コミュニティを再建し世界を統合していく「街づくり・経済シミュレーション」ゲームです。
プレイヤーは航海士となり、無数の島々を開拓して集落を発展させます。最大の特徴は、60種類以上の建物と100種類以上の商品が織りなす「完全シミュレートされた経済」です。生産から物流、消費に至るまで全ての工程が可視化されており、何千人もの住民が息づく様子を詳細に観察できます。
ゲームプレイには、ストーリーを楽しめるキャンペーンモードに加え、地形や目標がランダム生成されるプロシージャルな探索要素があります。順風満帆に街を広げるだけでなく、周囲の部族と交易で同盟を結んだり、脅威となる敵に対して軍を率いて防衛戦を行ったりと、戦略的な判断が求められます。
最大4人の協力プレイにも対応しており、仲間と資源を共有し、協力して巨大な開拓地を作り上げることが可能です。さらに、独自のマップを作成できるエディター機能も搭載。緻密な経済管理と冒険を楽しみながら、分断された世界に希望を取り戻す、奥深いシミュレーション体験が待っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Pioneers of Pagonia |
| 発売日 | 2025年12月11日 |
| 開発元 | Envision Entertainment |
| 総レビュー数 | 5,235件 |
| 評価内訳 | 高評価: 4,301 / 低評価: 934 |
| 好評率 | 82% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.1) / 5.0 |
| メタスコア | 82 / 100 |
| 日本語対応 | ✅ 対応 |
| 概要 | 霧に覆われ失われた世界に、希望を取り戻そう。 開拓者たちを率いてパゴニアの諸島を巡り、散り散りになった部族をまとめ、豊かな共同体を築き上げよう。 そして、新たなストーリーキャンペーンで、世界を取り戻しながら自分たちの民の歴史を解き明かしていこう。 |
| 対応機種 | PC (Steam) PlayStation 4 Xbox One |
データが示す不満の傾向

本作の不満カテゴリを分析すると、最もプレイヤーの心を折っているのは「ストーリー/テンポ」の17件です。これは、単に「話がつまらない」というレベルの話ではありません。本作をプレイして私の魂の半分をパゴニアの開拓に捧げた経験から言わせてもらえば、このゲームの「物語」は、経済シミュレーションとしての面白さを加速させるスパイスではなく、むしろ足を引っ張る「重し」になってしまっているのです。
期待を裏切る「スカスカ」な物語構造
多くのプレイヤーが期待していたのは、開拓を通じて世界が繋がっていく壮大な叙事詩でした。しかし、実際に提供されたのは、非常に淡白で、時には「鼻につく(cringy)」とまで評されるテキストの羅列です。キャンペーンモードは実質的に長いチュートリアルの域を出ず、プレイヤーを次のマップへ、またその次のマップへと駆り立てる動機付けに欠けています。
「世界を再びひとつにする」という大義名分はあるものの、出会うキャラクターたちの掘り下げは浅く、せっかくの美しいグラフィックが活かしきれていません。これでは、単に「指定されたタスクをこなすだけの労働」に感じられても仕方がないでしょう。
プレイヤーの時間を奪う「人為的な遅延」
さらに深刻なのがテンポの問題です。このゲーム、とにかく「待ち時間」が長い。街を広げ、次のエリアに進むためには「境界線を広げる」というステップが必須なのですが、この速度が驚くほど遅いのです。後半のマップでは、敵をすべて倒した後に、ただアイテムを回収するためだけに、ユニットがノロノロと移動するのを20分間眺め続ける……といった事態が頻発します。
これはゲームバランスの調整不足というより、プレイ時間を稼ぐための不自然な引き延ばしではないか、と勘繰りたくなるレベルです。効率を求める現代のゲーマーにとって、この「虚無の20分」は致命的なストレス源となります。
(プレイ時間: 15時間) Ich liebe die klassischen Siedler Teile und so sehr ich dieses Spiel auch empfehlen will, ich kann es einfach nicht. … Ohne Fraktionen mit ihren eigenen Stärken ist es schlicht langweilig und die Kampagne ist Frust pur. … Am Ende hat man zwar einen wunderschönen Wuselfaktor mit 2.000 Siedlern, allerdings führt das auch dazu das das Spiel ständig freezed oder auch gerne mal Abstürzt.
(私は古典的なセトラーズシリーズを愛していますが、このゲームをお勧めしたくても、どうしてもできません。独自の強みを持つ派閥がないため単純に退屈で、キャンペーンはフラストレーションの塊です。……最終的には2000人の入植者が蠢く美しい光景を拝めますが、そのせいでゲームが頻繁にフリーズしたりクラッシュしたりすることもあります。)
このように、古参ファンほど「美しさ」と「退屈さ」の板挟みに遭い、最終的には沈黙して去っていく……。そんな悲しい構図が浮かび上がってきます。
「パゴニアの物語は、壮大な叙事詩ではなく、終わりの見えないエクセル作業の連続である」
不満の元凶「Das」の分析

頻出単語ランキングを見ると、ドイツ語の定冠詞「Das」が36回でトップに君臨しています。これは開発元がドイツのスタジオであることも影響していますが、レビューの内容を詳細に読み解くと、ドイツ人プレイヤーたちが非常に具体的な「Das Problem(その問題)」を指摘していることがわかります。彼らが指差しているのは、主に「複雑すぎる生産チェーン」と「不透明なUI」です。
複雑さという名の「迷宮」
本作は、往年の『セトラーズ』を彷彿とさせる緻密な経済システムを売りにしています。しかし、その緻密さが「楽しさ」ではなく「煩わしさ」に変換されている場面が多々あります。例えば、1つの最終製品を作るために、5種類以上の異なる中間素材を、それぞれ別の場所で、別の職人に作らせる必要があります。
これ自体はシミュレーションゲームの醍醐味ですが、本作にはその流れを正確に把握するための統計データやグラフが、驚くほど欠けています。自分の街のどこでボトルネックが発生しているのか、なぜパンが焼かれないのか。それを突き止めるために、親の顔より見慣れた道路網をくまなくチェックし、一人一人の村人の動きを目視で追うしかありません。
専門職の過剰な細分化が招く混乱
また、「Das」という言葉が飛び交う文脈で目立つのが、職種の細分化に対する不満です。「Jägerinnen(狩人・女性形)」「Holzfällerinnen(木こり・女性形)」といった呼称の違和感から始まり、職業ごとに必要な装備や建物が複雑に絡み合いすぎていて、プレイヤーが経済を「管理」しているのではなく、システムに「振り回されている」感覚に陥るのです。
効率化を極めようとすればするほど、UIの不親切さが壁となり、最終的には「よく分からないが、とりあえず村人を増やしておけば回るだろう」という大雑把なプレイに落ち着いてしまう。これは精密なシミュレーションを求める層にとっては、最も避けたい事態でしょう。
(プレイ時間: 13時間) Als Siedler Fan der ersten Stunde wollte ich dieses Spiel mögen aber es zündet nicht. Die Warenketten sind künstlich verkompliziert. Der Zahlensalat am oberen Bildrand hat unübersichtlichen Baustellencharacter inkl. EXCEL Versicherungstabellen DLC … Mir ist das zu altbacken.
(初期からのセトラーズファンとしてこのゲームを好きになりたかったのですが、心に響きませんでした。生産チェーンは人工的に複雑化されています。画面上部の数字の山は、まるで建設現場のような乱雑さで、Excelの保険表DLCでも見せられているかのようです。……私にはあまりにも古臭すぎます。)
「古き良き」を目指した結果、現代的な快適さを置き去りにしてしまった。その不器用さが、理論派のドイツ人ゲーマーたちの逆鱗に触れているようです。
「緻密なシミュレーションの皮を被った、情報の整理されていない不親切な迷路」
ユーザーが直面する現実

さて、ここからはより具体的な「絶望」の話をしましょう。本作をプレイしていると、指紋が磨り減って平らになるまでマウスを走らせたとしても、どうしても拭えない「理不尽」に直面する瞬間があります。それは、本作の最大の問題児とも言える「戦闘システム」です。
終わりのない防衛、削り取られる資源
本作の戦闘は、プレイヤーが直接ユニットを操作して戦術を練るRTS的な楽しさは皆無に等しいと言っていいでしょう。基本的には「兵士を集めて、敵のキャンプに突撃させる」だけ。しかも、その兵士を作るためのコストが非常に重い。一方で、敵である「スキャヴ(略奪者)」や「スペクター(亡霊)」は、霧の中から定期的に、かつ容赦なく襲来します。
特にスペクターが厄介で、彼らに触れられた兵士や住民は、せっかく苦労して作った高価な装備を一瞬で失い、ただの民間人に戻されてしまいます。これに対抗するには、さらに高価な装備と長い時間をかけて「ウォーロック」や「レンジャー」を育成しなければなりません。しかし、彼らを揃えた頃には、次の襲撃でまたリソースが削り取られている……。この「賽の河原」のようなループが、多くのプレイヤーの心を折っています。
「13時間のミッション」という狂気
あるプレイヤーは、たった一つのミッションをクリアするのに、ゲーム内時間で13時間を費やしたと報告しています。その大半は、敵のキャンプを潰すための兵士が補充されるのを待つ時間か、あるいは広大なマップの端から端まで資材が運ばれるのを眺める時間です。
さらに悲惨なのは、ミッションの目標をすべて達成した「直後」の展開です。ようやく終わったと思いきや、キャラクターが「おや、あそこに何か落ちているぞ! 回収して調べよう!」などと言い出し、その数センチ移動するためだけに、また新たな拠点を築き、領土を広げる作業を強行されるのです。この瞬間の「え、まだやらせるの?」という脱力感は、言葉では言い表せません。
(プレイ時間: 6時間) Genuinely terrible for one very simple reason: The combat. … I quickly reached a point where there are 20 spectres and 30 thieves invading my town every 5 minutes, and I literally can’t recruit units fast enough to fight them off due to my cloth economy not keeping up at all. … Who thought this was fun?
(たった一つのシンプルな理由で、純粋にひどいゲームです。それは戦闘です。……5分おきに20体のスペクターと30人の盗賊が町に押し寄せてくる段階にすぐ到達しましたが、布の経済が追いつかず、彼らを追い払うためのユニットを十分に早く募集することが全くできません。……これが楽しいと誰が思ったのでしょうか?)
戦略性がないのに、要求される管理コストだけは異常に高い。この歪なバランスが、パゴニアの美しい風景を「苦行の場」へと変えてしまうのです。
「あなたの街を破壊するのは敵の軍勢ではなく、終わりのない待ち時間とリソースの枯渇である」
それでも支持される理由

ここまで散々に叩いてきましたが、それでも本作には80%を超える高評価が付けられています。なぜか? それは、本作が「現代に蘇った純粋なセトラーズ」という、極めて希少な価値を持っているからです。私の網膜にパゴニアの霧が焼き付いて離れないのも、この作品が持つ「唯一無二の心地よさ」を知っているからに他なりません。
究極の「Wuselfaktor(ワラワラ感)」
ドイツ語で「Wuselfaktor」と呼ばれる、小さな人々が忙しなく動き回る様子を眺める楽しさ。これに関して、本作の右に出るものは現代のゲーム界には存在しません。3000人の村人がそれぞれ自分の意志を持ち、森を切り開き、石を運び、市場でパンを売る。その様子を等倍速でじっくりと眺めている時間は、多忙な現代人にとって至高のヒーリング体験となり得ます。
食料がなくても死なない、幸福度のパラメーターに追われない。そんな「ぬるい」設定も、裏を返せば「好きなだけ街を飾り立て、住民の生活を観察できる」という自由さに繋がっています。
ストイックなまでの「原点回帰」
最近の街づくりゲームは、サバイバル要素や複雑なスキルツリー、派手な戦闘など、要素を盛り込みすぎる傾向があります。しかし、本作はあえてそこから逆行しました。
「道を作り、資材を運び、領土を広げる」
この根源的な楽しさにフォーカスした設計は、90年代のシミュレーションゲームを遊んで育った世代には、実家に帰ったような安心感を与えてくれるのです。
アップデートを重ね、正式リリース版ではストーリーモードもしっかりと整備されました。UIの不備やバランスの悪さは残っているものの、開発陣が「セトラーズの精神」を真摯に受け継ごうとしている姿勢は、多くのファンに届いています。バグが少なく、動作が非常に安定している点も、EA(早期アクセス)から見守ってきたユーザーには高く評価されています。
「合理性や効率を超えた先にある、小さな命の躍動を愛でるための贅沢な玩具」
最終評価と購入ガイド
『Pioneers of Pagonia』は、万人向けの傑作ではありません。むしろ、遊ぶ人を選ぶ「非常にクセの強い逸品」です。
ストーリーの薄さや、戦闘の単調さ、そして何よりも「プレイヤーの時間を奪うスローテンポ」を受け入れられるかどうか。それが、あなたがパゴニアの地で幸せになれるかどうかの分かれ道となります。どす恋まん花としては、このゲームを「最高の暇つぶし」と呼びたい。何かに追われる日常を忘れ、ただ画面の中で蠢く何千人もの民に癒やされたい……。そんな欲求を持つ方には、これ以上の選択肢はないでしょう。
逆に、スピーディーな展開や、奥深いタクティカルな戦闘、あるいは心を揺さぶる重厚な物語を求めているなら、今はまだ霧の外で待機しておくのが賢明です。
✅ 購入をお勧めする人
- 「The Settlers」シリーズの初期作(1~4)をこよなく愛しており、あの頃のプレイ感を現代のグラフィックで味わいたい人。
- 効率や攻略よりも、村人がワラワラと働く様子を眺めることに至福の喜びを感じる「観察型」のプレイヤー。
❎ 購入を避けるべき人
- 短いプレイ時間で達成感を得たい人、または不自然な待ち時間や「おつかい」的なタスクに強いストレスを感じる人。
- 軍事ユニットを自在に操って戦略的な勝利を収めたいRTSファン。本作の戦闘は「数とリソースの暴力」がすべてです。
皆さまのゲームライフに、パゴニアの輝かしい光(または、ほどよい癒やしの霧)があらんことを。
どす恋まん花でした。
執筆:どす恋まん花
