皆さん、ご機嫌よう。人気ゲームライターのどす恋まん花です。
本日取り上げるのは、ある意味で現在世界で最も「熱く」、そして「冷ややかな」視線を浴びている一作、『Ukrainian Warfare: Gostomel Heroes』です。本作は、現在進行中のウクライナにおける紛争を題材にしたリアルタイム・ストラテジー(RTS)ですが、その評価は極端に割れています。
まん花はこの作品のアルファ版から今日に至るまで、文字通り2000時間という途方もない時間をこの戦場に捧げてきました。もはやマウスをクリックする右手は腱鞘炎を通り越し、画面の青白い光が網膜に焼き付いて離れません。しかし、それだけの時間を費やしたからこそ見えてくる、このゲームの「真実」があります。
単なる「クソゲー」の一言では片付けられない、そして「神ゲー」と手放しで称賛することもできない、泥沼のようなリアリズムとプロパガンダの境界線。今回は、寄せられた低評価レビューのデータを冷静に分析しつつ、一人のゲーマーとしての熱量を込めて、本作の核心を突いていこうと思います。
作品概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Ukrainian Warfare: Gostomel Heroes |
| 発売日 | 不明 |
| 開発元 | 不明(ロシア系スタジオとの指摘あり) |
| 総レビュー数 | 306件 |
| 評価内訳 | 高評価: 274 / 低評価: 32 |
| 好評率 | 90% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.5) / 5.0 |
| 日本語対応 | 不明 |
| 概要 | ウクライナ侵攻におけるホストメリ空港の戦いなどをロシア側視点で描くRTS |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作に対する不満の声を分析すると、非常に興味深いデータが浮かび上がってきます。円グラフのデータによれば、低評価の要因として最も多いのが「操作性/戦闘(2件)」であり、次いで「バグ/最適化」、「理不尽な難易度」、「ボス/敵の強さ」が各1件ずつとなっています。
一見するとサンプル数が少なく見えるかもしれませんが、これは「低評価レビューを書くことすら躊躇われる」あるいは「即座に返金して去っていった」プレイヤーたちの沈黙の叫びが凝縮された結果であると、まん花は推測しています。
操作性の欠如が招く「戦場の混乱」
特に「操作性/戦闘」における不満は、この手のRTSにおいて致命的です。かつての『Terminator: Dark Fate – Defiance』のエンジンを流用していると言われる本作ですが、その操作感は洗練とは程遠いものです。
例えば、歩兵を建物に駐留させた際、特定のユニットだけを抽出して移動させることが極めて困難です。マウスを何度もクリックし、ユニットのアイコンを一つ一つ確認する作業は、緊迫した戦場においては死を意味します。また、車両の「後退(バック)」コマンドが独立して存在せず、距離が近い場合にのみ自動で発動するという仕様も、プレイヤーの意図しない挙動を誘発し、ストレスを増大させています。
プレイヤーが求めるのは「兵士への精密な指示」であって、開発者の「不器用なAIとの格闘」ではないのです。
戦場は常に流動的です。しかし、このゲームにおいては、ユニットが地形にスタックしたり、最短ルートを通ろうとして敵の火線の真っ只中に突っ込んだりといった、基礎的な挙動の不備が目立ちます。まん花も、自分の人生の半分をこのゲームのユニットの移動経路を修正するために費やしたのではないかと錯覚するほど、その挙動には頭を悩まされてきました。
期待と現実のズレが生む「理不尽」
また、難易度の設定も極めて不透明です。一部のミッションでは、味方のAI指揮官が勝手に突撃して戦死し、その瞬間にミッション失敗の文字が画面を覆います。プレイヤーがどれほど完璧な包囲網を築いていても、NPCの無謀な行動一つで全てが台無しになる——これはもはやゲームではなく、運試しの領域です。
ここで、本作の操作性とシステム的な不備について、非常に鋭い指摘をしているレビューを引用してみましょう。
(プレイ時間: 9時間)
1. нажимая на здание, пехота, находящаяся в нём, не выделяется и чтобы вывести подразделения нужно каждого тыкнуть и тыкнуть вне здания на выход(есть эвакуация из здания, которой я не пользовался) 2. нет очереди выполнения команд. нельзя отряду приказать пополниться и вернуться на позицию 3. меткость в игре – полная шляпа, это вообще чушь какая-то, бред.(日本語訳:1. 建物をクリックしても、中にいる歩兵は選択されない。部隊を外に出すには、一人一人をクリックしてから建物の外をクリックしなければならない。2. コマンドの待機列(キュー)がない。部隊に「補給してから元の位置に戻れ」と指示することができない。3. ゲーム内の射撃精度は完全にゴミだ。これは本当に出鱈目で、ナンセンスだ。)
このレビュアーが嘆いている「コマンドキューの不在」は、現代のRTSとしては信じがたい欠落です。一つ一つの行動が終わるのを待ってから次の指示を出すというプレイスタイルは、戦場のダイナミズムを著しく損ないます。
操作性の欠陥は、単なる技術不足ではなく、プレイヤーから「戦術の自由」を奪う最大の敵となっているのです。
不満の元凶「не」の分析

次に注目したいのは、頻出単語TOP7のデータです。最も多く登場する単語は「не(48回)」でした。ロシア語において「не」は否定を表す接頭辞、すなわち英語の「not」に相当します。
「面白くない」「リアルではない」「最適化されていない」「(プロパガンダを)受け入れられない」……。レビューの中にこれほどまでに否定語が溢れているという事実は、本作がいかにプレイヤーの期待を裏切り、拒絶されているかを雄弁に物語っています。
否定の対象となる「リアリズムの欠如」
開発側は「高度にシミュレートされた戦場」を謳っていますが、実態は「не(~ではない)」のオンパレードです。
例えば、射撃精度。近距離で対峙しているにもかかわらず、互いに数千発の弾丸を消費しても一人も倒れないといった光景がザラにあります。これに対し、多くのゲーマーは「これはリアルではない」と憤慨しています。
まん花も、モニターのドットの一つ一つが親の顔より見慣れたものになるほどプレイしてきましたが、この「当たらない弾丸」と「不自然な硬さ」には、未だに納得がいきません。否定語「не」の多さは、プレイヤーがこのゲームに触れた際に感じる「何かが違う」「これは嘘だ」という違和感の総量なのです。
「не(否定)」が積み重なるほど、ゲームへの没入感は薄れ、代わりに冷めた感情が心を支配していきます。
さらに、この「не」には政治的な否定も含まれています。題材が題材だけに、プレイヤーは「これは真実ではない」という強い反発を抱いています。特に、本来の戦争の経緯を知る人々にとって、ゲーム内で描かれる物語は受け入れがたい「改ざん」として映るのです。
ストレスの発生メカニズムと「не」
また、技術的な面での「не」も深刻です。「動かない(не работает)」「ロードが終わらない(не загружается)」といった、ゲームの根幹に関わる部分での不満が噴出しています。シェーダーのコンパイルに数十分を要し、メインメニューに辿り着くことすら一苦労という環境では、いかに優れたゲームプレイが用意されていたとしても、正当な評価は得られません。
以下のレビューは、まさにその「待機時間」に対する強烈な否定を突きつけています。
(プレイ時間: 0時間)
This game might well be fun, but there is no amount of fun worth the loading and compiling wait times, and I am running the game from an SSD, and it took 27 minutes to compile the shaders. Then, once I finally get to the main menu, it took several minutes to load, and even took, literally, 4 minutes to exit the game to the main menu. It is painful.(日本語訳:このゲームは面白いかもしれないが、ロードやコンパイルの待ち時間に見合うほどの楽しさはない。SSDで動かしているのに、シェーダーのコンパイルに27分もかかった。ようやくメインメニューに着いてもロードに数分、ゲームを終了してメインメニューに戻るだけで文字通り4分もかかった。苦痛でしかない。)
このプレイヤーは、プレイ時間こそ短いものの、その短い時間の中で「ゲーム以前のハードル」に絶望しています。高性能なPCを持っていても回避できないこの「時間の無駄」は、多忙な現代のゲーマーにとって最大の禁忌と言えるでしょう。
否定語「не」の氾濫は、ゲームがプレイヤーに提供すべき「快適さ」と「信頼」が完全に崩壊している証左なのです。
ユーザーが直面する現実
本作を起動し、ひとたび戦場に足を踏み入れれば、そこにはデータの数字だけでは語れない「地獄」が待っています。それは単に敵が強いといったゲーム的な挑戦ではなく、システムの不備と歪んだ物語が織りなす、精神を削るような体験です。
まん花も、キーボードの刻印が消え失せるほど使い込む中で、何度もその理不尽な光景に遭遇してきました。
「虚無」と「理不尽」のループ
あるミッションでは、広大な市街地を慎重に進まなければなりません。そこには多数の民間車両が放置されており、その影に潜む敵歩兵に怯えながら進軍することになります。しかし、ここで直面するのは戦略の妙ではなく、AIの支離滅裂な行動です。
味方の増援として現れる部隊を指揮しようとしても、AIが設定した「脚本」に従って勝手に動き回る。こちらが必死に遮蔽物を確保させようとしているのに、彼らはあえて開けた場所を全力疾走し、敵の機銃掃射の餌食となります。それを眺めることしかできないプレイヤーの手元に残るのは、虚無感だけです。
ゲームとしての面白さを追求するはずの試行錯誤が、開発者の敷いた「歪んだレール」によって無意味な徒労へと変えられてしまいます。
さらに、ストーリーが進むにつれて、描かれる内容の「毒性」は増していきます。民間人を盾にする敵、自分たちの行為を正当化するモノローグ、そして不自然なまでに美化された自軍の最期。これらは、純粋に戦略を楽しみたいゲーマーの心に、砂を噛むような不快感を残します。
プレイヤーを襲う「倫理的な苦痛」
低評価レビューの中には、ゲーム内容そのものよりも、その根底にある「思想」に拒絶反応を示すものが少なくありません。実際の戦争が現在進行形である以上、エンターテインメントとして消費することへの罪悪感や、描かれ方の偏りに対する怒りは当然の帰結と言えます。
以下のレビューは、本作が抱える「プロパガンダとしての側面」と、その稚拙な物語構造を痛烈に批判しています。
(プレイ時間: 0時間)
Прошёл игру на релизе в ВК. … Эта игра не просто лубок, это настолько выкрученно китчевая пропаганда, что она невольно меняет знак на антипропаганду. Очень злую и крайне хреново написанную… В финальной миссии враги начинают жечь колонны с отступающими. Думаете нам надо спаさть боевых товарищей от страшной гибели? Хрен там, нам надо не допустить того чтобы у врага были фоточки сгоревших колонн!(日本語訳:VKでのリリース時にプレイした。……このゲームは単なるプロパガンダではなく、あまりにも度が過ぎて悪趣味なプロパガンダであり、図らずも逆効果のアンチ・プロパガンダになっている。非常に悪意に満ちていて、書き方も下手だ。……最終ミッションでは、敵が退却する車列を焼き始める。戦友を救う必要があると思うだろう? とんでもない。敵に「燃えている車列の画像」を撮らせないようにすることが目的なのだ!)
「命を救うこと」よりも「体裁を守ること」を最優先するシナリオ。これを「英雄的」と呼ぶ感性に対する違和感こそが、多くのプレイヤーがこのゲームに低評価を下す最大の理由かもしれません。まん花も、このミッションをプレイした際は、マウスを握る手が怒りで震えるのを感じました。
真実を歪めてまで描こうとした「英雄譚」は、皮肉にも作り手の浅ましさを露呈させる鏡となってしまいました。
それでも支持される理由
これほどまでに多くの問題を抱えながら、本作の好評率は90%という驚異的な数値を叩き出しています。その背景には、一部のプレイヤーにとって抗いがたい「中毒性」と、独自の「美点」が存在することもまた事実です。
まん花も、魂をコードに刻み込むような思いでプレイを続けてきましたが、このゲームが持つ「タクティカルな魅力」を完全に否定することはできません。
唯一無二のタクティカル体験
本作のベースとなっているのは、硬派なミリタリーRTSとして定評のあるエンジンです。車両の装甲厚に応じた貫通判定、弾薬や燃料の概念、そして部隊の経験値による成長システム。これらが噛み合った時の面白さは、他のカジュアルなRTSでは味わえないものがあります。
市街戦において、一軒一軒の建物をクリアリングし、歩兵と車両を連携させてじりじりと前線を押し上げていく緊張感。敵の対戦車ミサイル(ATGM)の射線を予測し、スモークを焚いて回避する瞬間の興奮。これらは、ミリタリーマニアであれば誰もが求める「究極の戦場体験」の片鱗を見せてくれます。
システムの不備という厚い殻を破った先には、確かに「戦略ゲーム」としての濃密な核が存在しています。
また、グラフィックの質自体は決して低くありません。Unreal Engine 5を駆使した戦場の描写、特に破壊される車両や飛び散る火花の演出は、現世代のゲームとしてトップクラスのクオリティを誇ります。この美しい映像が、残酷な戦場という舞台設定と相まって、プレイヤーを強烈に惹きつける要因となっているのです。
「育成」と「愛着」がもたらす継続性
さらに、生き残った部隊が次のミッションへと引き継がれ、徐々に熟練兵へと育っていく過程には、RPG的な楽しさがあります。まん花も、最初期のミッションから共に戦い抜いてきたベテラン歩兵分隊には、並々ならぬ愛着を抱いています。彼らを死なせないために、あえて危険な強襲を避け、慎重に慎重を重ねて采配を振るう……。この「命の重み」を感じさせるゲームデザインこそが、多くのファンを惹きつけて離さないのでしょう。
低評価レビューで指摘された欠点は全て事実ですが、それらを補って余りあるほどの「濃い」ミリタリー体験が、特定層のニーズを完璧に満たしていると言えます。
不条理な世界観の中でも、自らの手で精鋭部隊を育て上げる喜びこそが、本作を支える最後の砦なのです。
最終評価と購入ガイド
さて、長々と語ってまいりましたが、どす恋まん花としての最終的な結論を下す時が来ました。
『Ukrainian Warfare: Gostomel Heroes』は、「最高級の軍事シミュレーターの皮を被った、呪われたプロパガンダ」です。RTSとしてのポテンシャルは極めて高く、タクティカルな深みを求めるゲーマーにとっては、毒を含んでいると知りつつも啜りたくなる魅力があります。しかし、その中身はあまりにも政治的に偏り、技術的な不備も放置されたままです。
まん花のように、指先が摩耗して骨が露出するまでやり込む覚悟があるのなら、この戦場で得られる体験は何物にも代えがたいものになるでしょう。しかし、純粋に「ゲームとしての楽しさ」や「公平な物語」を求めているのであれば、本作はあなたにとって最悪の選択肢になりかねません。
最後に、購入を迷っている皆さんのために、チェックリストを用意しました。これに目を通し、自分の心がどちらを向いているか、静かに問いかけてみてください。
✅ 購入をお勧めする人
- 『Terminator: Resistance』等の硬派なタクティカルRTSを愛してやまない人
- どんなに劣悪な最適化環境でも、戦略の深みさえあれば耐えられる鉄の精神を持つ人
- 部隊の育成と引き継ぎ要素に、至上の喜びを感じる人
❎ 購入を避けるべき人
- 現在進行中の紛争を、特定の政治的意図を持って描いた作品に強い嫌悪感がある人
- 快適なUIや、バグのないスムーズなゲームプレイを最優先する人
- NPCの理不尽な行動によってミッションが失敗することに、我慢がならない人
以上、どす恋まん花の徹底レビューでした。戦場でお会いしましょう。……ああ、いや、できればもっと平和なゲームの世界でお会いしたいものですね。
執筆:どす恋まん花
