皆様、ごきげんよう。人気ゲームライターのどす恋まん花(どすこいまんか)でございます。
世の中には「綺麗なゲーム」が溢れていますが、時として我々ゲーマーは、毒々しいネオンと鉄錆の匂いが漂う「汚物の中の宝石」を求めてしまうもの。今回、まん花が筆を執るのは、知る人ぞ知る怪作『Voltage High Society』でございます。
何を隠そう、まん花はこの作品に2000時間という、正気の沙汰とは思えない時間を注ぎ込んできました。監獄都市の壁を舐め回し、敵のポリゴンの隙間に挟まり、虚無の彼方へと落下すること数知れず。もはや私の毛細血管には血ではなく、このゲームを象徴する「汚れた電力」が流れているのではないかと錯覚するほどです。
しかし、Steamの評価欄を覗けば、そこには賞賛の声と共に、悲痛な叫びにも似た「低評価」が積み重なっています。好評率89%という数字の裏側に潜む、残り11%の闇。なぜこれほどまでに尖った作品が、一部のプレイヤーを絶望の淵に突き落とすのか。
長年この世界に居座り続け、もはや親の顔よりも頻繁にゲーム画面を見つめてきた廃人ゲーマーの視点から、その「不満の正体」を徹底的に解剖していきましょう。
作品概要

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Voltage High Society |
| 発売日 | 不明 |
| 開発元 | 不明 |
| 総レビュー数 | 174件 |
| 評価内訳 | 高評価: 155 / 低評価: 19 |
| 好評率 | 89% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.5) / 5.0 |
| 日本語対応 | 不明 |
| 概要 | 概要取得失敗(サイバーパンク・ボディホラー・FPS) |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作に対する不満の声を分析すると、一つの明確な頂点が見えてきます。それは、全不満要素の約2割を占める「理不尽な難易度」です。
プレイヤーを置き去りにする設計
このゲームにおける難易度は、単に「敵が強い」という次元の話ではありません。プレイヤーが習得したスキルや経験を、システム側が根底から否定してくるような、ある種の「設計上の暴力」がそこには存在します。
例えば、多くのプレイヤーが指摘する戦闘バランス。敵の攻撃予備動作(テレグラフ)が極めて不明瞭であり、かつ当たり判定(ヒットボックス)が物理的な見た目と乖離しているため、「避けたはずなのにダメージを食らう」「当たったはずなのに手応えがない」というストレスが常態化しています。
これは、プレイヤーが上達する喜びを奪う致命的な欠陥と言えるでしょう。2000時間、いえ、人生の半分をこのゲームに捧げてきた私ですら、未だに「今のはどう考えても避けられただろう!」とコントローラーを投げ出したくなる瞬間があるのです。
「理不尽」を生む構造的欠陥
なぜこれほどまでに理不尽さが際立つのか。それは本作が、メトロイドヴァニア的な探索要素と、ソウルライクなデスペナルティ、そしてサイバーパンクなFPS要素を、極めて「生煮え」の状態で融合させてしまったからです。
特に悪名高いのが、死亡時に手持ちの通貨(スクラップ)をその場に落とすシステムです。通常のソウルライクであれば、リスタート時に敵が復活し、再度リソースを稼ぐ機会が与えられます。しかし本作では「死んでも敵がリスポーンしない」という仕様が、逆に仇となっています。
一度通貨を失い、かつ周囲の敵をすべて倒してしまった場合、プレイヤーはパワーアップの手段を永久に失いかねない状況に追い込まれます。この「詰み」に近い状態を生み出す設計こそが、低評価の源泉となっているのです。
(プレイ時間: 0時間) I want to like this game… The combat is a clunky mess: some basic attacks makes you kinda teleport forward and the enemies briefly disappear, and clearly none of this is intended, hitboxes are broken, and enemies hit you while you clearly are out of their reach… I didnt go far in-game, as my playtime can show, but if I could notice so many problems on such a short period of time, I prefer to stop right away.
(日本語訳:このゲームを好きになりたいんだけど……。戦闘はひどくガタガタだ。基本攻撃を出すと前方にテレポートしたみたいになって敵が一時的に消えるし、明らかに意図された挙動じゃない。当たり判定は壊れていて、敵のリーチの外にいるのに攻撃を食らう。プレイ時間を見ればわかる通り、あまり進めていないが、これほど短時間でこれほど多くの問題に気づいてしまうなら、すぐにやめたほうがいいと思った。)
理不尽な難易度は、挑戦意欲ではなく「作り込みの甘さ」への怒りを買っている。
不満の元凶「Your」の分析

データによれば、低評価レビューにおける頻出単語の第1位は「Your」という単語です。なぜ、これほどまでに「あなたの(Your)」という言葉が繰り返されるのでしょうか。
主体性を奪われるもどかしさ
分析の結果、この「Your」は主に「Your movement(あなたの動き)」「Your camera(あなたのカメラ)」「Your attacks(あなたの攻撃)」といった文脈で使用されています。つまり、プレイヤーが自分のキャラクターを制御しようとする際、その「意図」と「結果」が乖離していることへの苛立ちが、この単語に集約されているのです。
例えば、移動時の慣性。本作のキャラクター操作には独特の重み……というよりは「ヌルつき」があり、プラットフォームアクション(足場移動)を要求される場面で、プレイヤーの意図に反してずるりと足場から滑り落ちることが多々あります。
指紋がなくなるほどボタンを押し込んできた私でも、この「Your movement」がもたらす不安定さには閉口します。特に、カメラを動かすと画面が微妙に揺れる(スクリーンシェイク)演出や、視野角(FOV)が勝手に変動する仕様は、プレイヤーに「自分の身体(キャラクター)を制御できていない」という強烈な不安感を与えるのです。
プレイヤーに向けられた不満の矛先
また、この「Your」は、UIの不備や設定の欠如に対しても向けられています。「Your settings(あなたの設定)」を変更しようにも、キーコンフィグ(キーの割り当て変更)すら実装されていない現状(※レビュー時点)では、プレイヤーは開発者の押し付けた「不自由」を甘んじて受け入れるしかありません。
「マウスの感度がX軸とY軸で異なる」という技術的な初歩ミスに至っては、もはや「Your aim(あなたのエイム)」を根本から破壊する行為です。ゲームをプレイすればするほど、「自分の思い通りに動かない」という感覚が「Your」という言葉に乗り、批判の刃となって開発者に向けられる。この単語の多さは、プレイヤーが感じている「没入感の阻害」そのものを象徴していると言えるでしょう。
(プレイ時間: 2時間) Controls are so f***ing wonky. You’ll slide off things because as you move – camera will tilt to give you an impression of running, which’ll throw off the idea of where is actually your contact point with the ground… The problems are mainly technical ones.
(日本語訳:操作性がめちゃくちゃ不安定だ。動くたびにカメラが傾いて走っているような演出が入るせいで、地面との接地点がどこなのかわからなくなり、足場から滑り落ちる。問題は主に技術的な部分にある。)
「自分の思い通りにならない」という絶望が、頻出語「Your」に凝縮されている。
ユーザーが直面する現実
では、実際にこのゲームをプレイしたユーザーは、どのような「地獄」を体験することになるのでしょうか。2000時間を経過し、もはやゲームの世界が現実で、現実が夢であるかのような錯覚に陥っているまん花の視点から、その凄惨な現場を描写します。
迷宮と虚無のループ
まず、プレイヤーを待ち受けるのは「地形の認識不全」です。サイバーパンク特有の過剰な装飾と、本作独自の歪んだアートスタイルが融合した結果、どこが道で、どこが壁なのかすら判別がつかない事態が頻発します。
不満レビューの中には「地形学的な痴呆(Topographic cretinism)」という、非常に辛辣かつ的確な表現がありました。地図は存在するものの、階層構造が複雑すぎて現在地を把握できず、数時間にわたって同じ場所をぐるぐると回り続ける。ようやく見つけた「スイッチ」を押しても、何が変化したのか一切の説明がない。
この「導線の欠如」が生む虚無感は、現代の親切なゲームに慣れたプレイヤーにとっては耐え難い苦行でしょう。暗い監獄の中、正解ルートを探して何時間も彷徨った挙句、バグで世界の裏側に落下してセーブデータからやり直しになる。これが本作の「洗礼」なのです。
「戦い」ではなく「作業」と化す戦闘
さらに、戦闘が追い打ちをかけます。敵のビジュアルは「鉄男」を彷彿とさせるボディホラー的な魅力に満ちていますが、その中身は空っぽと言わざるを得ません。
敵のガード方向(左か右か)を見極めて反対側を叩く、というコンセプト自体は面白いのですが、モデルが奇怪すぎて「今どちらをガードしているのか」が視認できません。結局のところ、多くのプレイヤーは「ヒット&アウェイ」で敵のAIの穴を突き、単調なクリックを繰り返すだけの「作業」に逃げ込むことになります。
高評価レビューで「作業感がない」と評されることもありますが、それはごく初期の体験に過ぎません。中盤以降、理不尽な遠距離攻撃で一瞬にして体力を溶かされる現実を前に、プレイヤーは「このゲーム、本当にテストプレイしたのか?」という疑念を抱かずにはいられないのです。
(プレイ時間: 2時間) Ну я честно пытался играть в эту игру… Заблудиться в игре проще простого. Найти куда идти — вообще не просто. И такие затупы случаются стабильно раз в 20-30 минут… за 2 часа во рту появился привкус грязной, немытой неделю писи.
(日本語訳:正直、このゲームを頑張ってプレイしようとしたんだ。……迷うのは簡単だが、行くべき道を見つけるのは至難の業。20分か30分おきに必ず行き詰まる。2時間プレイした後の気分は、1週間洗っていない不潔な性器を口に含んだような後味の悪さだった。)
美学の代償として支払わされるのは、プレイヤーの「尊厳」と「貴重な時間」である。
それでも支持される理由
ここまでボロクソに言いながら、なぜ好評率が8割を超えているのか。なぜ、まん花は網膜にネオンの残像が焼き付くほどこのゲームを愛でてしまったのか。
唯一無二の「毒」という魅力
その答えは、本作が持つ「圧倒的なアートスタイル」にあります。カルト映画「鉄男」や「Electric Dragon 80,000V」を彷彿とさせる、モノクロームと極彩色のネオンが混ざり合う世界観。肉体と機械がドロドロに溶け合い、脈動するそのビジュアルは、他のどのゲームでも味わえない「体験」を提供してくれます。
多くのファンは、本作を「ゲーム」としてではなく「動かせる地獄のアート」として評価しているのです。バグも、理不尽な死も、操作性の悪さすらも、この歪んだ世界観の一部として……いわゆる「ユーロジャンク(独特な味のある粗削りなゲーム)」的な愛着を持って受け入れられています。
開発者の狂気と情熱
また、アップデートによってUIが改善されたり、溜め攻撃が追加されたりと、開発者が「この世界を完成させたい」という執念を見せている点も、ユーザーの支持に繋がっています。
不便さ、不親切さ、説明不足。それらは確かに「低評価」の要因ですが、同時に「何が起こるか分からない初期衝動的な面白さ」を演出する要素でもあります。レールの上を走らされる AAAタイトルに飽き飽きしたゲーマーにとって、この制御不能な機械の獣のようなゲームを飼い慣らす過程は、一種の快感に変わるのです。
粗削りであるがゆえに、プレイヤー自身が「攻略法を編み出す」余地がある。この「隙」こそが、カルト的な人気の秘訣と言えるでしょう。
「完成された凡作」よりも「壊れた傑作」を愛する者たちにとって、これは聖典なのだ。
最終評価と購入ガイド
『Voltage High Society』は、万人に勧められるゲームではありません。むしろ、9割の人にとっては、前述のレビュー通り「洗っていない不潔な後味」を残すクソゲーかもしれません。
しかし、もしあなたが「洗練された娯楽」ではなく「心に深い傷を残す体験」を求めているのであれば、これほど刺激的な毒薬は他にありません。脊髄がコントローラーの振動と共鳴するまでやり込んだ私から言わせれば、このゲームは「選ばれしジャンキー」のための遊園地なのです。
購入を検討されている皆様は、以下のチェックリストでご自身の適性を確認してください。
✅ 購入をお勧めする人
- 「鉄男」やサイバーパンク・ボディホラーの美学に心酔できる人
- バグや理不尽な仕様を「味」として楽しめる、強靭なメンタルの持ち主
- 迷子になること自体に快感を覚える、探索ジャンキーなゲーマー
❎ 購入を避けるべき人
- 快適な操作性と、親切なチュートリアルを重視する人
- 「死んでリソースを失う」ことに耐えられない、安定志向のプレイヤー
- 3D酔いしやすく、視覚的な明瞭さを求める人(画面が激しく揺れ、歪みます)
それでは、監獄都市の錆びた隅っこでお会いしましょう。どす恋まん花でした。
執筆:どす恋まん花
