皆さま、こんにちは。人気ゲームライターのどす恋まん花です。
本日取り上げるのは、一部の熱狂的なファンから神格化されつつも、一方で「理不尽の極み」と罵声を浴びている問題作、『Xenonauts 2 ゼノノーツ 2』です。
最初に断っておきますが、まん花はこの作品を2000時間やり込んでいます。地球を何度救い、そして何度エイリアンのプラズマ兵器によって消し炭にされてきたか、もう数えるのもやめました。本作は、1994年に発売された不朽の名作『X-COM: UFO Defense』の精神的続編として、あえて「不便で、残酷で、地味」な道を選んだ稀有なストラテジーゲームです。
しかし、Steamのレビュー欄を見れば、そこには阿鼻叫喚の図が広がっています。好評率は80%と一見高めですが、その裏側に潜む低評価レビューの熱量は凄まじいものがあります。今回は、蓄積された膨大なデータと、人生の半分をこのゲームのタイル計算に捧げた私の主観を交え、本作の真の姿を解剖していきましょう。
作品概要

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ゲームタイトル | Xenonauts 2 ゼノノーツ 2 |
| 発売日 | 2023年7月18日(早期アクセス開始) |
| 開発元 | Goldhawk Interactive |
| 総レビュー数 | 3,746件 |
| 評価内訳 | 高評価: 3,004 / 低評価: 742 |
| 好評率 | 80% |
| 平均スコア | ★★★★☆ (4.0) / 5.0 |
| 日本語対応 | 公式対応(一部未翻訳・怪しい箇所あり) |
| 概要 | 1990年代の硬派な『X-COM』を現代に蘇らせたターン制タクティカル・シミュレーション。冷戦時代の1950〜2000年代を舞台に、秘密組織「ゼノノーツ」を率いて地球外生命体の侵攻を阻止する。 |
| 対応機種 | PC (Steam) |
データが示す不満の傾向

本作に対する低評価の声を分析すると、一つの明確な傾向が浮かび上がってきます。データ1(不満カテゴリの内訳)において、第1位に輝いたのは「操作性/戦闘(15件)」です。これに次いで「ストーリー/テンポ」と「理不尽な難易度」が同数で並んでいます。
なぜこれほどまでに戦闘システムに不満が集まるのでしょうか。それは、本作が提供する「戦術」の定義が、現代のゲーマーが想像するものと大きく乖離しているからです。最近の『XCOM』シリーズ(Firaxis版)に慣れたプレイヤーが本作に触れると、まずその「鈍重さ」と「不透明さ」に絶望します。
AIの「全知全能」というズル
不満の核心にあるのは、AIの挙動です。プレイヤー側は「視界(Fog of War)」に縛られ、一歩一歩慎重に進まなければならないのに対し、敵のエイリアンは最初からこちらの配置をすべて把握しているかのような動きを見せます。
「遮蔽物に隠れているはずなのに、視界外からピンポイントで狙撃された」「曲がり角で待ち伏せていたら、なぜか正確に裏をかかれた」といった体験が、プレイヤーの心をへし折るのです。
特に、敵の「リアクション射撃」の判定がプレイヤー側のステータスを無視して一方的に発動しているように感じられる点は、多くの廃人予備軍を返金へと追いやる要因となっています。これは単なる難易度の高さではなく、ゲームデザインとしての「不公平感」として認識されているのです。
虚無感を生むマップの少なさ
また、やり込んだプレイヤーほど口にするのが「マップのバリエーション不足」です。戦闘自体が1時間以上かかることも珍しくない本作において、同じような地形、同じようなUFOの内部構造を何度も繰り返すことは、苦行以外の何物でもありません。特に特定のバイオームにおいて、数種類のマップがループする仕様は、親の顔より見た画面をさらに数千回見せられるような苦痛を伴います。
ここで、あるベテランプレイヤーの悲痛な叫びを紹介しましょう。
(プレイ時間: 104時間) I’ve played this a lot and supported the original kickstarter. But now… It’s been in development for over 4 years, and remains little more than a clone of Xenonauts 1. The bloody air combat system has been a placeholder carbon copy of Xenonauts 1 for years and they’ve only just started to make revisions. There’s only 3-4 maps per biome which gets stale really fast. Constant delays and bugs have slowed all real progress to a halt. They don’t even say anything when they sail past their deadlines. Look, I love the original XCOM and I desperately wanted this game to work. The whole espionage angle really appealed to me. But I can’t recommend this to anyone. Keep your promises and stop taking advantage of the good will of fans, Goldhawk. ~A very disappointed fan
(日本語訳:かなりプレイしたし、最初のキックスターターも支援した。だが、今は……。4年以上開発を続けているのに、結局は前作『Xenonauts 1』のクローンに過ぎない。忌々しい空中戦システムは何年も前作のプレースホルダー(仮置き)のままで、ようやく修正が始まったばかりだ。バイオームごとに3〜4種類のマップしかなく、すぐに飽きる。絶え間ない遅延とバグですべての進捗が止まっている。締め切りを過ぎても彼らは何も言わない。いいか、私はオリジナルのXCOMを愛しているし、このゲームが成功することを切に願っていた。スパイ活動的な要素も本当に魅力的だった。だが、誰にもお勧めできない。ゴールドホーク社よ、約束を守れ。ファンの善意を利用するのはもうやめてくれ。〜非常に失望したファンより)
長年連れ添った伴侶に裏切られたような、深い絶望と期待の裏返しがこのレビューには詰まっています。
不満の元凶「не」の分析

データ2(頻出単語TOP7)を見てみましょう。ここで注目すべきは、第1位の「не(89回)」です。これはロシア語で「〜ない(Not)」を意味する否定の接頭辞です。つまり、レビューの多くが「〜ができない」「〜ではない」「面白くない」といった否定的な文脈で埋め尽くされていることを示唆しています。
ロシア語圏には伝統的に『X-COM』の熱狂的なファンが多く、彼らの要求水準は極めて高いことで知られています。指紋がなくなるほどキーボードを叩き、緻密な計算を行う彼らにとって、本作の「不完全さ」は許しがたい侮辱に映るのでしょう。
「できない」のパレード
「не(〜ない)」という言葉が具体的に何を指しているのか。それは主に、「命中しない(не попал)」「見えない(не вижу)」「機能していない(не работает)」といった、ゲームの根幹部分に対する不満です。
特に命中率90%を超えていながら、至近距離で銃弾がエイリアンの頭上を虚しく通り過ぎていく瞬間、プレイヤーの脳内では「не」の嵐が吹き荒れます。
本作の弾道計算は、単なる乱数ではなく、物理的な弾丸の軌道をシミュレートしています。そのため、視覚的には当たっているように見えても、システム上は「手前の柵に当たった」と判定されることが多々あります。この「視覚情報と内部処理の乖離」が、プレイヤーに「ゲームに拒絶されている」という強烈なストレスを与えるのです。
1作目からの進化の欠如
また、「前作と変わっていない(не изменилось)」という批判も目立ちます。8年という長い開発期間を経てリリースされたにもかかわらず、グラフィックの向上やUIの洗練、新要素の導入が、多くのプレイヤーにとって「期待値」に届いていなかったのです。
特に、前作で好評だった要素が削除されていたり、逆に不評だった空中戦の仕様がそのまま残されていたりする点について、ロシアの熟練指揮官たちは容赦のない言葉を浴びせています。
(プレイ時間: 108時間) Вторая попытка разработчика сделать Х1. Поэтому разрабы наступают на одни и те же грабли. 1. В игре НЕТ случайных событий. 2. Крайне замкнутый интеллект. 3. Ваншоты. Просто ваншоты. 4. Корабли пришельцев при катастрофе не разрушаются. 5. Укрытий НЕТ. 6. Нельзя изучить оружие пришельцев и затем его использовать.
(日本語訳:開発者による『Xenonauts 1』を作り直そうとする2度目の試みだ。だから開発者は同じ過ちを繰り返している。1. ゲームにランダムなイベントがない。2. AIが極めて閉鎖的。3. ワンパン死。とにかくワンパン。4. エイリアンの船が墜落しても破壊されない。5. 遮蔽物がない(機能していない)。角に立っても野原に立つのと同じだ。6. エイリアンの武器を研究して使用することができない。)
「期待していたのは進化であり、停滞ではない」という、DNAレベルでこのジャンルを愛する者たちの叫びが聞こえてくるようです。
ユーザーが直面する現実

では、具体的にどのような「理不尽」が現場で起きているのか。本作をプレイするということは、ある種の「地獄のシミュレーター」に身を投じることと同義です。
想像してみてください。あなたは多額の資金を投じて育成した精鋭部隊を、墜落したUFOの回収に向かわせます。降下艇のハッチが開いた瞬間、視界外の暗闇から放たれた一本のプラズマビームが、部隊の要であるスナイパーの頭を貫きます。敵の姿すら見えないまま、戦闘開始からわずか数秒でミッションは崩壊の危機に瀕するのです。
降下艇の扉が開いた瞬間の絶望
本作において、移動には「タイムユニット(TU)」というリソースを消費します。一歩進む、向きを変える、銃を構える。そのすべてにTUが必要です。しかし、エイリアンはこのTUの概念を超越したかのような反応を見せます。
こちらが慎重にクリアリングを行っていても、隠れていた敵が突然飛び出し、反撃の隙も与えず全弾命中させてくる。
この「待ち伏せ」に対する有効な対抗手段が、序盤から中盤にかけて極めて限られていることが問題です。煙幕(スモーク)を焚き、フラッシュバンを投げ込み、それでもなお「運が悪ければ死ぬ」という環境。これはもはやタクティカルゲームではなく、「いかにしてセーブ&ロードを繰り返さずに精神を保つか」という忍耐のゲームと化しています。
「急げ」という名のストレス
さらにプレイヤーを苦しめるのが、一部のミッションに課された「ターン制限」です。じっくりと時間をかけて慎重に進みたいプレイヤーに対し、ゲームは「数ターン以内に市民を救え」「データを回収しろ」と無理難題を突きつけます。
この制限があるせいで、本来の売りであるはずの「慎重なタクティクス」が否定され、半ばヤケクソな突撃を強要されることになります。その結果待っているのは、無慈悲な全滅の二文字です。
(プレイ時間: 11時間) Удивительная возможность отразить нашествие пришельцев, управляя воспитанниками детского сада “Солныфко” для детей с проблемами в развитии. Косоглазие, криворукость и просто общая вредоносность команды потрясает. Промахнуться с шансом в 90? Легко! Кидаем гранату в противника… А нет, под себя. Лоуд. Тотально рандомный симулятор загрузок.
(日本語訳:発達に問題を抱えた子供たちが通う幼稚園「おひさま」の園児たちを指揮して、エイリアンの侵略を撃退するという驚くべき体験ができる。チームの斜視、不器用さ、そして全体的な有害さには目を見張るものがある。命中率90%で外す? お安い御用だ! 敵に手榴弾を投げる……と思いきや、自分の足元に落とす。ロードだ。これは完全にランダムな「ロード・シミュレーター」である。)
「地球の運命を託されたのが、なぜ自分の足元に手榴弾を落とすような連中なのか」という虚無感こそ、本作の真の敵かもしれません。
それでも支持される理由

これほどまでに不満が噴出していながら、なぜ本作の好評率は80%を維持しているのでしょうか。それは、本作が提供する「苦みの効いたカタルシス」が、他の洗練された現代的ゲームでは絶対に味わえない唯一無二のものだからです。
網膜にベースレイアウトが焼き付くほど本作を遊んだ私が言えるのは、このゲームはプレイヤーを「英雄」として扱いません。あなたはあくまで、圧倒的なテクノロジーを持つ侵略者に対し、泥臭く、卑屈に、ありとあらゆる手段(主に爆発物)を使って食い下がる「抵抗勢力のリーダー」なのです。
唯一無二の「不便さ」という快楽
現代のゲームの多くは、プレイヤーがストレスを感じないよう、親切なガイドや救済措置を用意しています。しかし、『Xenonauts 2』にはそれがありません。
兵士は消耗品であり、一瞬のミスで死にます。研究はなかなか進まず、資金は常に不足しています。しかし、その「不便さ」を乗り越え、最新鋭のレーザー兵器で憎きエイリアンを消し炭にした時の快感は、何物にも代えがたいものがあります。
「自分の立てた慎重な計画が、敵の理不尽を上回った瞬間の全能感」。これこそが、数千時間のプレイを強いる中毒性の正体です。不自由であればあるほど、それを克服した時の喜びは大きくなる。まさにマゾヒズム的ゲーマーにとっての聖域なのです。
開発者の情熱とコミュニティ
また、開発チームの姿勢も評価の一因です。早期アクセスという形態を活かし、ユーザーからのフィードバックに対して驚くほど迅速に反応し、修正を繰り返しています。
「バグを報告したら、UFOより速く修正された」というレビューがある通り、未完成であることを認め、完成に向けてひたむきに進む開発者の熱意が、多くのファンを惹きつけて離しません。
内蔵時計がTU(タイムユニット)と同期してしまうほど没頭したプレイヤーたちは、この「未完成の傑作」がいつか真の姿を現すことを信じて疑わないのです。
このゲームは「選ばれし者」のための、最高に贅沢で残酷な暇つぶしなのです。
最終評価と購入ガイド
『Xenonauts 2 ゼノノーツ 2』は、万人にお勧めできるゲームではありません。むしろ、9割の人にとっては「金を払ってストレスを買うようなもの」でしょう。しかし、残りの1割、すなわち「理不尽を噛み締め、絶望の中でニヤリと笑える」人種にとっては、これ以上の宝物はありません。
どす恋まん花としての結論は、「この不便さを愛せるかどうかが、あなたのゲーマーとしての試金石になる」ということです。
✅ 購入をお勧めする人
- 1990年代の初代『X-COM』の死ぬほど硬派なプレイ感が忘れられない人
- 兵士の死を「統計データの一つ」として冷徹に割り切れる指揮官気質の人
- 圧倒的な格上相手に、煙幕と爆薬で泥沼のゲリラ戦を仕掛けるのが好きな人
❎ 購入を避けるべき人
- 「命中率95%で外れるのはバグだ」と憤慨してしまう、運命に愛されたい人
- スタイリッシュでテンポの良い、派手な演出のタクティカルゲームを求めている人
- 早期アクセス特有の未完成部分や、頻繁なバランス調整に耐えられない人
執筆:どす恋まん花
